20081026 日本経済新聞 朝刊

 海外赴任する場合の、公的年金や健康保険について間違っているのはどれでしょうか?
(1)海外子会社に転籍した場合は、日本の国民年金に加入することはできない
(2)海外赴任中も国内企業から給与が支払われている場合は、これまでの厚生年金や健康保険を継続できる
(3)日本国内に住所がなくなるので、国民年金保険料を納める必要はなくなる
▼正解とミニ解説を下に
 (1) 日本の社会保険が適用されない海外子会社に転籍する場合でも、日本国籍をもつ20歳以上65歳未満の人は、国民年金に任意で加入できます。日本国内の最後の住所を管轄する社会保険事務所で手続きをします。海外で勤務する間も「合算対象期間」になりますが、年金の受給額は、保険料を納付した期間と保険料によって決まるため、海外赴任の期間中も国民年金に任意加入することによって、将来の受給額を増やすことができます。ただし医療保険については、日本国内に住所がない場合、国民健康保険に加入できないため、これまでの健康保険を任意継続したり、民間の医療保険に加入する必要があります。
 海外赴任中も国内企業から給与が支払われるなら、これまでの厚生年金や健康保険組合などの被保険者資格を継続できます。日本国内に住所を持たなくても、資格を失うことはありません。仕事を持たない妻がいる場合、国内と同様、妻は「第3号被保険者」になります。
 相続というとまず税金を心配する人が多いが、実際にはここ数年に亡くなった人で、相続人が相続税を払う必要があったのは4―5%程度にすぎない。財務省によると、2006年の課税件数は4万5322件で、死亡者数に対する割合は4.2%だった。
 中長期的にみても、相続税を払う割合は1991年の6.8%をピークに、低下傾向が続いている。相続税の納付税額も91年には3兆9651億円だったが、06年には1兆2234億円に減った。相続税についてはもともと非課税枠が比較的広く認められているうえ、バブル崩壊後の地価下落なども影響したとみられる。
 一方、政府税制調査会(首相の諮問機関)が非課税枠を縮小して課税範囲を広げるよう求めるなど、政府内には相続税見直しの動きもある。


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20081026 日本経済新聞 朝刊

 世界的な金融危機をきっかけにしたマネーの激流は先週、日本の為替・株式市場を直撃した。円相場は一週間で対ドルで七円強も急騰、日経平均株価は一〇〇〇円を超す下げとなり、二〇〇三年につけたバブル崩壊後の安値に迫った。円高と株安の負の共振に歯止めがかかるのか。週明けの市場も波乱含みだ。(1面参照)
 世界全体の株式時価総額が急減している。前週末は三十一兆ドル(約三千兆円)となり、昨年十月末のピークに比べて半減した。一年間で約三千兆円が目減りした。世界景気が予想を上回るスピードで悪化するとの懸念からマネーの株式離れに拍車がかかっており、先進国から新興国まで株安が加速している。急激な株価の下落が消費や投資の減少を通じて実体経済を一段と冷え込ませる可能性が強まっている。
 時価総額は各市場に上場する企業の株式数に株価を掛け合わせた金額の総計。国際取引所連盟(WFE)によると、世界の株式時価総額のピークは昨年十月の六十三兆五百億ドル。金融危機の表面化でその後は減少が続き、八月末で四十九兆六百億ドルと二割強減った。米モルガン・スタンレーの算出する世界株指数を使って推計すると、二十四日現在は三十一兆ドルに減ったもよう。
 月間の減少額は七、八月は二兆ドルだったが、九月は七兆ドル、十月は十一兆ドルと加速。ピークからの減少額の三十二兆ドルは世界の名目国内総生産(GDP)の六割強に相当。日本の個人金融資産の二倍が世界で吹き飛んだ計算になる。ヨルダンなどごく一部を除いて、一年前に比べて株価が上昇している市場が見あたらない異例の事態だ。
 主要市場の騰落率をみると、ロシアが七五%も急落。株安が止まらず取引を一時停止した。中国やアルゼンチンも六割超下落している。日本も日経平均は半値以下。今年前半まで堅調だったカナダや南アフリカも資源価格下落の影響で低迷している。ここにきて欧州の下げがきつく、金融危機の震源地である米国の下落率を上回っている。東欧や中南米では株価が一年前の三分の一になったところが相次いでいる。
 株価下落は「家計の金融資産の含み損が『逆資産効果』となり、消費者心理を悪化させる」(大和総研)。株安に歯止めがかからなければ消費の落ち込みや企業の設備投資抑制で実体経済が悪化、さらなる株安を招く悪循環に陥る懸念もある。

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20081026 日本経済新聞 朝刊

 埼玉医大病院(埼玉県毛呂山町)へ入院する場合、極めて厳しい院内感染検査がある。「(抗生物質が効かない)バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)発生病棟の入院歴があるかどうか」「九十日以内に入院歴があるかどうか」「透析中かどうか」――。入院後の検査基準を含めると九項目にも及ぶ異例の厳格さだ。
すべて病院持ち
 同病院は二〇〇七年、二度にわたってVREの院内感染が発生した。「集団発生を起こした病院として手を抜くことはできない」と院長の片山茂裕(61)。一件約四百円の検査は千六百件を超え、費用はすべて病院負担。しかも検査機関に詳細な遺伝子検査を委託すると一件二万円に跳ね上がる。衛生的なはずの病院で今、院内感染との激烈な闘いが続いている。
 「院内感染対策はカネがかかる」は対策に消極的な医療機関の逃げ口上だ。しかし自治医大准教授の森澤雄司(42)らの試算ではまったく逆の結果が出た。
 ベッド数が千床規模の病院でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の院内感染が発生した場合、患者の在院日数は六十六日延び、追加医療費は一人二百三十万円かかる。集団発生が起きれば、予防対策をはるかに超える負担と医療費の支出が待っている。
 院内感染対策で全国をリードするNTT東日本関東病院(東京・品川)は八年前、手術に伴う感染対策を厳密な調査で見直した。ブラシによる手洗いからアルコール消毒に変更したほか、病室と手術室の間の患者のベッド載せ替えや、入室時の履物交換を廃止した。その結果、大腸がん患者一人当たりの感染率を一割減らしたうえ、対策費を半減させた。「現場には科学的根拠のない旧来の習慣が数多く残っている」と手術部長の針原康(53)は話す。
 「今の状況が続けば、二十年後には有効な抗菌剤が大幅に減る可能性もある」。抗菌薬使用の実態調査などに携わる医師、中浜力(54)は国内の過剰使用を警告する。一九九〇年代から世界的に抗菌薬の新規開発は滞っており、既存薬を長く使い続けることが不可欠。ところが不安や習慣から「抗菌薬が効かないウイルス性の風邪にまで使うケースも少なくない」と中浜は憂う。
 限られた“資源”の有効利用のため、米国の多くの病院では一般の医師が使える抗菌薬は限定され、それ以外の抗菌薬を使うには専門医の許可が必要。さらに専門薬剤師が不適切な利用がないかチェックする。
 日本はその専門家も不足する。神戸大教授の岩田健太郎(37)は「日本では抗菌薬の処方を熟知する専門家が圧倒的に少ない」と指摘する。感染症専門医六千五百人の米国に対し、日本は学会認定の専門医は九百人。しかも実践研修が始まったのは〇七年からで、三年の研修を終えた医師はまだいない。
 病院レベルにとどまらない。「日本と韓国、香港、台湾のMRSAは共通の遺伝子を持つ」。九月、韓国の成均館大教授、宋在〓らの論文が米科学アカデミー紀要に載った。研究目的だった「微生物の種の起源調査」とは別に、図らずも広範にわたる耐性菌の脅威が明らかになった。
試される地域力
 宮城県を中心にした「東北感染制御ネットワーク」代表を務める東北大教授、賀来満夫(54)も地域レベルでの重要性を指摘する。九九年に約二十病院でスタートした連携は現在、五百近い施設が参加する。講習会や地域版のマニュアル作りなどの活動を積み重ね、参加施設で院内感染が減少する成果も出ている。
 ゴールの見えない院内感染対策は、今後起こりうる新型インフルエンザなど新興感染症対策との共通点も多い。賀来らが作成したマニュアルの中にも、新興感染症が大流行した際の対応をまとめたDVDがある。「新型インフルエンザが流行したら、外部から支援は来ない。大流行を防げるかどうか地域力が試される」
 意識が低い医療機関が一つでもあれば、制御は難しい。一度発生すれば記録的な損害を被る「災害対策」規模の取り組みまで必要なのかもしれない。=敬称略(「蘇れ医療」取材班)
次回は社会面に掲載します
 ご意見、情報を郵便かメール(iryou@tokyo.nikkei.co.jp)でお寄せ下さい。日経ネットPLUS(http://netplus.nikkei.co.jp)でも関連情報を掲載しています。


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20081025 日経プラスワン

 値上げが相次ぎ、生活費を切り詰めることになっても「これだけは削らない」と思う費用は何か。全国の成人既婚男女に尋ねたところ「子供の教育費」(四二%)が最も多く、次いで「飲食費」(一六%)だった。「特にない」も二割強あった。
 教育費を削らない理由は「子供の将来のために、払って当たり前。毎月、定額を積み立てて準備している」(茨城県の男性、39)、「重要だから。食費をできるだけ削っている」(兵庫県の女性、40)と親心がにじみ出る回答が目立つ。教育費以外でも「家族旅行は子供が小さい間しか行けない」(大分県の女性、36)などと、子供と過ごす時間に費やすお金は削らないとする人が多かった。
 一方「車が大好きなので、車の費用は削れない」(神奈川県の女性、62)など、趣味への支出を最優先する人も。「パソコンは毎日の楽しみ」(大阪府の男性、73)、「毎晩のビールは欠かせない」(北海道の男性、66)と生活の潤い重視派も多い。
 削らない費用の年間支払額で最も多かったのは「十万円以上五十万円未満」(四五%)。教育費は金額が大きいためか、二番目は「五十万円以上」(一八%)だった。
 調査の方法 調査会社のマクロミルに依頼し、インターネットで実施。対象は全国の子どもを持つ成人既婚男女で、有効回答は六百十八人(男女半々)。


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20081025 日経プラスワン

 物価高が続く中で、家計の悩みの種の一つが電気代。足元の原油価格は下落しているものの、二〇〇九年からは電気料金の引き上げが見込まれ、家計には負担増となる見通しだ。ただ、電気代は家電の使い方を少し工夫すれば、結構抑えられる。値上げを前に専門家の助言を中心に節電法を点検した。
 「今年の冬はエアコンの使い方を少し工夫しよう」。東京都在住の男性会社員Aさん(29)は、冬の訪れを前にこんな“決意”をしている。妻と二人暮らしだが、夏真っ盛りの八月は冷房を使いすぎ、電気代は九千円もかかった。九月は五千円程度に減ったが、暖房を使う季節になれば、また増える。「夏は電気代を気にしなかったが、値上げも近いし、この冬は使い方を考え直さないと」と話す。
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 資源エネルギー庁の資料によると、家庭での家電別の消費電力量の比率はエアコンが二五・二%と四分の一を占める(グラフA)。次いで冷蔵庫(一六・一%)、照明器具(一六・一)の比率が大きい。
 消費電力の最も多いエアコンの使い方を工夫するのが、電気代節約の第一歩。省エネルギーセンターのスマートライフ推進本部の山川文子さんは「電気代の節約を意識しなかった人が、少し工夫すれば、すぐに一―二割は節約できる」と指摘する。
 暖房ではまず設定温度を下げることが基本だ。二十一度から二十度に一度下げれば、年間約千円節約できる(表B)。ただ、設定温度を下げれば当然ながら寒い。そこで温度を下げても快適に過ごせる工夫が必要になる。
 工夫の一つ目は、扇風機を上向きにしてエアコンと併用することだ。暖かい空気は室内の上部にたまるため、扇風機を使って空気を循環させると全体が暖まる。エアコンの風向きも下向きに調整するとよい。二つ目は、室内の熱は開口部から多く逃げるため、窓周りの断熱をすることだ。具体的には「窓周りに市販のすき間テープを張ったり、厚手のカーテンに替えて床まで付く長さにしたりするとよい」(山川さん)。
 室外機の置き方も重要。室外機の周りに物があると、風通しが妨げられ、冷暖房効率が二〇%程度落ちる。東京電力のくらしのラボグループの田辺健一さんは周りに植木やゴミを置かないよう助言するとともに「月に一、二度、フィルターの掃除をする」ことをすすめる。ホコリがたまると冷暖房効率が下がり、電気を余分に消費するからだ。
 冷蔵庫も置き方がポイント。周囲にすき間を空けると、放熱しやすく、省エネになる。東電が冷蔵庫の上部に何も置かず、側面と背面を壁から十センチ空けた場合の一日の消費電力を調べた結果、上部は五センチ、側面は〇・五センチ空け、背面はすき間なく置いた場合より二七%も少なかった。一般に、側面は〇・五から二センチ、上部は五センチから三十センチ以上のすき間が必要という。
 節約アドバイザーの矢野きくのさんは、寒い冬場は庫内の温度が上がりにくいため、温度設定を弱めにすることをすすめる。さらに「開閉時間を短くするため、同時に使う食材をケースなどにまとめるとよい」と助言。朝食用のバターとジャム、中華料理の調味料など同時に使う物を一度に取り出せる工夫をすると、電気代の節約につながる。
 照明器具は、五十四ワットの白熱電球を同等の明るさの電球形蛍光ランプ(十二ワット)に替えると節電になる。購入価格は白熱電球が約百七十円、電球形蛍光ランプは約二千円と差があるが、電気代を含めた試算では「九カ月以上使えば電球形蛍光ランプの方がコストが安くなる」(田辺さん)。
 機能を把握して使えば節電できる機器もある。掃除機や洗濯機だ。東電の調査では、掃除機の吸い込みモードの「強」は「弱」に比べて三倍以上の電力がかかる。しかし、フローリングや畳なら「ゴミの除去率はほとんど変わらない」(田辺さん)ので「弱」でも十分きれいになり、電気代も少なくて済む。洗濯機は「軽い汚れなら短時間のコースで洗えば十分」(矢野さん)。短時間にすれば、その分時間も電気代も節約できる。
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 最近は省エネ効率のよい新製品が登場している。エアコンは最新の製品と十三年前の製品を比べると「消費電力は約四割少ない」(山川さん)。節電効果は「家で一番広い部屋のエアコンから買い替えると高い」(田辺さん)。
 「電気代の節約は小さなことの積み上げが大事。長く続けるには無理しないのがコツ」。矢野さんが指摘するように、まずは冷暖房や冷蔵庫の温度設定を弱めにするなど、一度操作したら自動的に継続できるものから始めるとよいだろう。(川本和佳英)



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