20081025 日経プラスワン
物価高が続く中で、家計の悩みの種の一つが電気代。足元の原油価格は下落しているものの、二〇〇九年からは電気料金の引き上げが見込まれ、家計には負担増となる見通しだ。ただ、電気代は家電の使い方を少し工夫すれば、結構抑えられる。値上げを前に専門家の助言を中心に節電法を点検した。
「今年の冬はエアコンの使い方を少し工夫しよう」。東京都在住の男性会社員Aさん(29)は、冬の訪れを前にこんな“決意”をしている。妻と二人暮らしだが、夏真っ盛りの八月は冷房を使いすぎ、電気代は九千円もかかった。九月は五千円程度に減ったが、暖房を使う季節になれば、また増える。「夏は電気代を気にしなかったが、値上げも近いし、この冬は使い方を考え直さないと」と話す。
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資源エネルギー庁の資料によると、家庭での家電別の消費電力量の比率はエアコンが二五・二%と四分の一を占める(グラフA)。次いで冷蔵庫(一六・一%)、照明器具(一六・一)の比率が大きい。
消費電力の最も多いエアコンの使い方を工夫するのが、電気代節約の第一歩。省エネルギーセンターのスマートライフ推進本部の山川文子さんは「電気代の節約を意識しなかった人が、少し工夫すれば、すぐに一―二割は節約できる」と指摘する。
暖房ではまず設定温度を下げることが基本だ。二十一度から二十度に一度下げれば、年間約千円節約できる(表B)。ただ、設定温度を下げれば当然ながら寒い。そこで温度を下げても快適に過ごせる工夫が必要になる。
工夫の一つ目は、扇風機を上向きにしてエアコンと併用することだ。暖かい空気は室内の上部にたまるため、扇風機を使って空気を循環させると全体が暖まる。エアコンの風向きも下向きに調整するとよい。二つ目は、室内の熱は開口部から多く逃げるため、窓周りの断熱をすることだ。具体的には「窓周りに市販のすき間テープを張ったり、厚手のカーテンに替えて床まで付く長さにしたりするとよい」(山川さん)。
室外機の置き方も重要。室外機の周りに物があると、風通しが妨げられ、冷暖房効率が二〇%程度落ちる。東京電力のくらしのラボグループの田辺健一さんは周りに植木やゴミを置かないよう助言するとともに「月に一、二度、フィルターの掃除をする」ことをすすめる。ホコリがたまると冷暖房効率が下がり、電気を余分に消費するからだ。
冷蔵庫も置き方がポイント。周囲にすき間を空けると、放熱しやすく、省エネになる。東電が冷蔵庫の上部に何も置かず、側面と背面を壁から十センチ空けた場合の一日の消費電力を調べた結果、上部は五センチ、側面は〇・五センチ空け、背面はすき間なく置いた場合より二七%も少なかった。一般に、側面は〇・五から二センチ、上部は五センチから三十センチ以上のすき間が必要という。
節約アドバイザーの矢野きくのさんは、寒い冬場は庫内の温度が上がりにくいため、温度設定を弱めにすることをすすめる。さらに「開閉時間を短くするため、同時に使う食材をケースなどにまとめるとよい」と助言。朝食用のバターとジャム、中華料理の調味料など同時に使う物を一度に取り出せる工夫をすると、電気代の節約につながる。
照明器具は、五十四ワットの白熱電球を同等の明るさの電球形蛍光ランプ(十二ワット)に替えると節電になる。購入価格は白熱電球が約百七十円、電球形蛍光ランプは約二千円と差があるが、電気代を含めた試算では「九カ月以上使えば電球形蛍光ランプの方がコストが安くなる」(田辺さん)。
機能を把握して使えば節電できる機器もある。掃除機や洗濯機だ。東電の調査では、掃除機の吸い込みモードの「強」は「弱」に比べて三倍以上の電力がかかる。しかし、フローリングや畳なら「ゴミの除去率はほとんど変わらない」(田辺さん)ので「弱」でも十分きれいになり、電気代も少なくて済む。洗濯機は「軽い汚れなら短時間のコースで洗えば十分」(矢野さん)。短時間にすれば、その分時間も電気代も節約できる。
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最近は省エネ効率のよい新製品が登場している。エアコンは最新の製品と十三年前の製品を比べると「消費電力は約四割少ない」(山川さん)。節電効果は「家で一番広い部屋のエアコンから買い替えると高い」(田辺さん)。
「電気代の節約は小さなことの積み上げが大事。長く続けるには無理しないのがコツ」。矢野さんが指摘するように、まずは冷暖房や冷蔵庫の温度設定を弱めにするなど、一度操作したら自動的に継続できるものから始めるとよいだろう。(川本和佳英)
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