20081029 日本経済新聞 朝刊

 政府・与党は二〇〇九年度の税制改正で、住宅を取得した人が住宅ローン減税で所得税額の控除を受けられる上限を過去最高の六百万円に引き上げるなど、制度を大幅に拡充する検討に入った。住宅取得を促し、世界経済の減速に伴って悪化する景気にテコ入れするのが狙い。月内にまとめる追加経済対策に方向性を盛り込み、年末の税制改正論議で詳細を決める。(住宅ローン減税は3面「きょうのことば」参照)
 麻生太郎首相が二十三日に住宅ローン減税を過去最高まで引き上げるよう指示したのを受け、国土交通省と財務省が協議に入った。
 政府は税額控除の上限を最大六百万円程度、対象となる借入金の上限を五千万―六千万円で調整する方針だ。控除期間や控除率は検討中だが、それぞれ十年、一%前後が有力。最近は減税幅を縮小しながら制度を延長してきたが、今回の減税は景気てこ入れのため制度の期限を二―三年とする公算が大きい。
 今の住宅ローン減税は借入金二千万円を上限に一―六年目までは残高の一%(年二十万円)、七―十年目は〇・五%(同十万円)を所得税から差し引く。十年間の減税額は最高で百六十万円。
 住宅ローン減税の額が最大だったのは一九九九年から二年半。当時の減税額は最大で五百八十七万五千円。規模は約六千億円で今回も同程度に膨らむ可能性がある。
 所得が少なくて所得税から控除しきれない人向けに、個人住民税の税額を差し引ける制度の導入も検討する。省エネ住宅や高齢者らが住みやすい住宅に改修する人を対象に、費用の一定額を税額控除する「リフォーム減税」も対象を拡大する。



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20081028 日本経済新聞 夕刊

 舛添要一厚生労働相は二十八日の閣議後の記者会見で、雇用保険制度の国庫負担廃止について「絶対反対」と述べた。「保険料が低く抑えられているのは、最後は国が出てきて労働者の権利を守るという担保があるからだ」として国庫負担の必要性を強調した。





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20081028 日本経済新聞 地方経済面

 二十七日に日経平均株価が二〇〇三年四月に付けたバブル崩壊後の最安値を更新した。主要な経済指標を五年前と比べると、現在の中部経済の実力は当時よりなお堅固だが、先行きは不透明だ。今後、先行指標といわれる株価を追いかけるように、経済が悪化するとの懸念が地元の経済関係者の間で強まっている。
 〇三年は衆院選で自民党が勝利し、第二次小泉内閣が発足。経営難に直面したりそなホールディングスへの公的資金注入決定をきっかけに金融不安が解消に向かった。中部では愛知万博(愛・地球博)や中部国際空港開港を〇五年に控え、経済が徐々に活気づいていた時期だ。トヨタ自動車はハイブリッド車のヒットなどで販売台数を初めて六百万台に乗せた。
 企業の生産活動の活発さを示す鉱工業生産指数をみると、現在の水準は〇三年当時を二割程度上回っている。トヨタ単体の〇八年の世界販売台数の見通しは八百三十万台程度。金融危機のあおりで先進国で販売が低迷しているが、〇三年との比較では約四割増となる。
 こうした実体経済の実力からみて、最近の株式相場は「下げすぎ」との見方も出ている。だが今後の経済情勢について慎重な声も少なくない。
 愛知県の商業地の地価平均は一平方メートル当たり三十二万円とわずか五年で約十万円上昇した。しかし投資資金の流入による地価上昇はピークを過ぎたとみられ、日本不動産鑑定協会の副会長で、基準地価の取りまとめに携わっている小川隆文氏は「当面の地価は下落基調となる」と警戒する。
 中部の地方銀行九行の不良債権比率は、〇三年三月期で平均六・一一%だった。その後、いざなぎ景気を超える戦後最長の景気拡大が続き、直近の〇八年三月期では三%台まで低下している。だが中部景気の減速とともに、比率は再び上昇する気配がみられる。
 その背景にあるのが企業倒産の増加だ。今年一―六月は五百二十三件で〇三年当時を下回っているが、前年同期に比べると増えている。
 東京商工リサーチ名古屋支社は「以前は原材料高や個人消費低迷による倒産が目立ったが、最近は円高が加わった」と分析。
 業種別ではこれまで建設・不動産やサービス業の倒産比率が高かったが、「来年以降は製造業にも広がりそう」(情報部)と予測する。
専門家の見方
雇用・消費影響 長引く恐れも
 水谷研治氏(中京大名誉教授) 実体経済はこれから株価以上に悪くなるのではないか。中部地方の経済が好調だったのは、米国の消費に支えられ輸出が伸びたからだ。だが住宅ローン問題でその構図は一変した。
 今後、製造業が衰え膨大な貿易赤字を抱える米経済の実態が意識され、ドルは一段と売られるだろう。円高で経済環境はさらに厳しくなる。財務が堅実な中部企業も、今後は売り上げが減り、利益縮小を余儀なくされよう。雇用や消費への悪影響は避けられない。景気の厳しい状況は長期化する恐れがある。
株空売り規制で市場に平静さも
 江口忍氏(共立総合研究所主席研究員) 株式相場は理由なく下げすぎだと感じる。バブル経済崩壊後に比べ、雇用や所得の水準は悪化していない。政府が乗り出そうとしている株の空売り規制強化が効き、市場は今後、平静さを取り戻すとみている。
 一時的には中部への影響は大きい。トヨタが生産を一割落とすと愛知県の県内総生産を三%押し下げるとの試算もある。だが企業の技術力、国際競争力は高い。内部留保が厚く金融不安があっても研究開発投資を継続できる。長い目で見て悲観する必要はないだろう。





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20081028 日本経済新聞 朝刊

処遇改善も視野に検討本格化
 介護職の質の向上や人材確保の議論が活発になり始めたのは、二〇〇五年の介護保険法改正に向けた見直し期のこと。二〇〇〇年度に介護保険制度が始まって数年でサービス利用量が急増し、質を巡る問題が課題となった。このためまず社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護保険部会がサービスの質向上の観点から、介護職のあり方について議論を始めた。
 〇四年に部会は将来的に介護職の任用資格は介護福祉士を基本とすることを前提に、資格要件や研修の体系的な見直しが必要と提言。目指すべき介護職像と、それに向けたキャリア開発支援システムに関する検討がスタートした。さらに、介護福祉士の教育内容充実や資格取得に一定の教育プロセスに加え必ず国家試験を受験する仕組みに一元化するなどの方向性が出され、〇七年に社会福祉士・介護福祉士法の一部が改正された。
 一方、〇五年ごろからは景気回復などを背景に、急速に介護職の人手不足感が広がった。将来を見据えた介護サービス基盤充実に向け人材確保が不可欠との視点から、〇七年に福祉人材確保の指針が十四年ぶりに抜本的に見直された。「労働環境整備推進」「キャリアアップの仕組み構築」「潜在的有資格者等の参入促進」など五つの柱が示され、実効性はともかく、経営者や関係団体、国、自治体が担うべき役割が明らかにされた。
 質を保ちつつ人手を確保するには、処遇改善が不可欠だ。〇八年に入ってから、社保審介護給付費分科会で介護職の給与水準を含めた処遇や介護福祉士ら有資格者の報酬上の評価などを考慮した次期介護報酬改定の議論が本格化している。
 政府の社会保障国民会議や厚生労働相が開く「安心と希望の介護ビジョン」会議など、より長期的視点で介護のあるべき姿を描く議論の場でも、介護人材の確保が焦点の一つとなっている。財政の制約は厳しいが、介護職に対して集まる注目をいかに介護従事者、ひいては利用者や家族の安心につなげていけるかが問われている。





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20081028 日本経済新聞 夕刊

 経済産業省は二十八日、最近の原油価格の下落に伴うガソリンと灯油の値下がりで、家計の負担は八月の最高値が継続した場合に比べ、一世帯あたり年間二万円軽減するとの試算を発表した。二階俊博経産相は閣議後の記者会見で「原油価格が異常な高値で推移していた夏に比べて大幅に下落していることは国民生活や日本経済にとってプラス要因だ」と強調した。
 二〇〇七年度の総務省家計調査で示した一世帯あたりのガソリンと灯油の購入量から試算。ガソリン価格が十円下落すれば年間五千円、灯油価格が十円下がれば年間三千円程度の家計負担軽減になると算出した。






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