20081103 日本経済新聞 朝刊

 個人マネーが安全資産へのシフトを強めている。元本割れリスクのない預金への資金の移動が目立つほか、満期まで保有すれば投資の元本が償還される債券の人気も高まっている。ただ、債券投資にもリスクはつきもの。百年に一度といわれる金融危機のなかでも、債券は本当に安全なのだろうか。
 債券は定期的に利子を受け取ることができ、満期日を迎えれば元本が戻ってくる。株式に比べて安全性は高いといわれ、株価の下落局面では債券が買われてきた。債券を発行する企業が倒産したり、国や地方自治体が財政破綻したりすれば、利子や元本が戻ってくる保証はない。
 債券の安全性を判断するには、格付けが参考になる。格付けとは格付け機関が企業などの収益力や財務内容を分析し、債券の信用力を評価したものだ。格付けが低いと債務の返済が不履行になるおそれがある。
 ただ格付けが高いからといって、必ずしも安心できるわけではない。特に金融危機下では企業の信用力が急速に低下し、破綻する場合もある。
 実際、今年に入り、米証券大手のリーマン・ブラザーズが発行した円建て外債(サムライ債)などが相次いで債務不履行(デフォルト)になった。破綻直前のリーマン債の格付けはシングルA(格付け会社はスタンダード&プアーズ)で、信用力は上から六番目の水準だった。
 リーマン債の発行残高は千九百五十億円で、過去最大のデフォルト。地方銀行や証券会社などプロの投資家が購入しており、損失計上を余儀なくされた。数十億円の損失を計上したある中小証券会社は「格付けが高く、まさか破綻するとは思わなかった」と嘆く。
 十月二十七日にはアイスランドの最大手銀行カウプシング銀行が発行したサムライ債がデフォルト条件に該当した。国内ではスルガコーポレーション債など、不動産業のデフォルトが目立つ。
 いずれも機関投資家向けの債券で、個人投資家が直接、損失を被ることはなさそう。ただ、二〇〇一年には個人向けに発行したアルゼンチン政府のサムライ債がデフォルトした例がある。アルゼンチン債は結局、投資元本の三割程度しか投資家に戻らなかった。個人向け社債でもマイカル債(〇一年)がデフォルトしたことがある。マイカル債の投資家にかえってきたのも三割程度だ。
 マネックス証券商品サービス部の岡本哲司氏は「格付けは一つの物差しであることは間違いないが、流通利回りや企業の財務状況をチェックすることも必要だ」と話す。経営破綻することはなくても、企業の信用力が落ちれば、債券の価格が急落。売却すると損失が出る可能性がある。
 過去に発行した債券(既発債)は市場で取引され、信用力に応じて流通利回りが変動している。元本や利払いが確実にできると市場で思われている債券ほど利回りは低く、価格は上昇する。
 新発債(新しく発行する債券)の購入を検討している場合も、既発債の市場動向が参考になる。個人が購入できる社債の流通利回りは、日本証券業協会がホームページで毎日公表している。
 一例をみてみよう。満期日が近い金融機関の個人向け社債を比べたのが、グラフAだ。
 米シティグループの個人向けサムライ債の場合、発行時に投資家に約束した利回りは年二・六六%だが、直近は四・九八%に上昇した。逆に三菱東京UFJ銀行の個人向け社債の利回りは年一%で、直近は一・〇二九%とわずかに上昇したにすぎない。シティはリーマン破綻以降、利回りが上昇。金融危機の余波をまともに受けた形だ。


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20081103 日本経済新聞 朝刊

 世界的な株価下落や円高を背景に、日本株で運用する投資信託に個人マネーが戻ってきた。十月は三十日時点で新規構入から解約・償還を差し引いた資金流入額が約七百七十億円となり、月間で七カ月ぶりの資金流入超に転じたもよう。日経平均株価がバブル後最安値を更新するなど割安感が出てきたことで、個人投資家の関心が高まった。一方でこれまで人気だった外国債券で運用するタイプは資金流出超に転じた。
 野村総合研究所が追加型公募投信(公社債投信や上場投資信託=ETF=を除く)約二千七百六十本について調査した。日本株投信の中でも、日経平均株価などに連動する「インデックス型」への資金流入が目立った。「(リスクをとりながら日経平均株価などよりも高い値上がり益を目指す)アクティブ型よりも、値動きが分かりやすいタイプにまず資金が向かった」(投信コンサルタントの田村威氏)とみられている。
 三菱UFJ投信は日経平均連動型など五本のインデックス投信を運用している。十月の資金流入額は合計で約百四十億円と九月の五倍超になった。銀行の窓口でも「日経平均が一時七〇〇〇円を割り込んだ二十八日前後に申し込みが集中した」(りそな銀行)という。
 これに対して、外国債券で運用する投信は新規購入額を解約・償還額が二千二百億円上回った。資金流出超は二〇〇七年二月以来、二十カ月ぶり。一時、一ドル=九〇円台になるなど、円はドルやユーロなどに対して急上昇。為替差損が膨らんだのを受けて、保有していた投信を解約する投資家が相次いだ。外債型投信の代表格である「グローバル・ソブリン・オープン」(国際投信投資顧問)も九月までは資金流入超が続いていたが、十月に入り解約が優勢になった。欧米の中央銀行が次々と利下げに動いていることも、運用意欲の減退につながっているもようだ。
 投信全体では人気の高かった外債型が大幅な資金流出に転じたことで、十月は資金流出超になった可能性が高い。ただ急激な株安を受けて、底値は近いとみた個人投資家などが株式市場に参入。東京証券取引所によると、個人投資家の売買は十月第四週まで五週連続で買い越しになっており、この間の買越額は九千億円を超えた。
 銀行の店頭などでは今後円安が進むとみて、日本円を外国紙幣に両替する動きも目立つ。急激な円高・株安で損失を被った投資家は多いが、株式・外為市場の動揺が続くなかで、個人投資家の相場観や投資行動は分かれている。



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20081102 日本経済新聞 朝刊

 民主党は政府の追加経済対策への対案となる経済・金融危機対応策をまとめた。次期衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げる主要政策に加え、中小企業への金融機関の貸し渋りや貸しはがしを監視する第三者機関設置を柱とする地域金融円滑化法案の制定を盛り込んだ。内需主導への転換で家計の可処分所得を増やす政策を列挙している。
 五日の「次の内閣」会合で正式決定する。実施後三年目の経済効果も試算し、中学卒業までの子ども一人月額二万六千円の子ども手当は実質国内総生産(GDP)を〇・九四%、ガソリンなどの暫定税率廃止は〇・五三%、高速道路無料化は〇・四一%それぞれ押し上げるとした。
 地域金融円滑化法案では、金融機関の地域への貢献や中小企業融資を監視する「地域金融円滑化評価委員会」を内閣府の外局として設置。立ち入り検査で貸し渋りを監視するほか、関係省庁への勧告権も付与する。


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20081101 日経プラスワン

 少しでも厳しい家計の足しにしようと、副業を考えている人も多いのではないか。ただ、全国の既婚成人男女に「一カ月の副収入(本業以外の定期的な収入)の額」を聞いたところ「ない」との答えが最も多く、全体の六割を超えた。「副業をするより、時間的なゆとりが欲しい」(石川県の会社員男性、44)と考える人も少なくないようだ。
 副収入がある人の中では「五千円未満」が一四%で最も多かった。「一万円以上」は合計で一九%で、そのうち「五万円以上」が六%を占めた。最高額は百万円だった。
 副業をしている理由では、やはり「生活が苦しいため」という切実な回答が二八%で最も多かった。「趣味や特技が生かせる」(二五%)、「手軽に始められると聞いて」(二四%)という声も多く寄せられた。
 副業の方法としては「台湾茶の講師をしている」(千葉県の自営業男性、52)、「ピアノを教えている」(静岡県の女性、58)といった本格的な副業をしている人もいる。一方で「インターネットでアンケートに回答してポイントを稼ぐ」(北海道の会社員男性、40)など、少しでも余った時間を利用してコツコツためている人も目立った。
 調査の方法 調査会社のマクロミルに依頼し、インターネットで実施。対象は全国の子どもを持つ成人既婚男女で、有効回答は六百十八人(男女半々)。


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20081101 日経プラスワン

 服や靴などの日常生活品を修理に出す人が増えている。物価の上昇が続く中で、むやみに捨てたり、新品に買い替えたりするのではなく、直して再利用することで出費を抑えるのが狙いだ。家計にも環境にもやさしい倹約修理術のコツと注意点をまとめた。
 神奈川県在住の専業主婦、青木昌子さん(五十歳代、仮名)は、そのままでは使えなくなった日常品を再利用する“修理マニア”の一人だ。体形に合わなくなった洋服のサイズの変更や、すり減った革靴の底の張り替えをはじめ、テレビなど家電製品が故障した場合も、費用次第の面もあるが、修理に出して長持ちさせる。「気に入って使っているのだから当然のこと。今まで修理内容に不満を持ったことは一度もない」という。
 衣服や靴、家電製品などの日常品は、いつかは使えなくなる消耗品。破損や故障の場合、従来は新品への買い替えも多かったが、ここ数年は環境意識の浸透や景気の悪化を背景に、直せるものは直して再利用する人が増えている。
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 日常品を修理に出す場合、どこに注意すればよいか。専門家の話をもとにまとめたのが表Aだ。まずは必ず見積もりを取ること。料金表には基本料金しか載っていないことが多く、使用している素材の種類などによって実際にかかる金額が変わることが多い。革靴の底の全面張り替えの場合、男性用なら七千円から三万円と大きな開きがある。
 修理代は「購入時の価格の半分以下に抑えるのが理想的」とされる。日経生活モニターに登録する読者への調査でも、修理代のメドについて「購入時の価格の二一―四〇%」との回答が最も多く、全体の四割以上を占めた。
 修理業者の選択も重要だ。購入元の企業(店舗)に修理を引き受けてもらうのが安心だが、そうでない場合は自前の修理部門を持つ業者を選ぶとよい。修理から戻ってきたら、その場で注文通りに直っているか確認することも大事。後々のトラブルの防止策になる。衣服なら受け取り時に必ず試着すべきだろう。
 表Bに商品ごとの修理の特色をまとめた。衣服を直す場合は「使用している素材によって、価格面や仕上がり具合などに差が生じる」(衣服専門のリフォームショップ「銀の糸」を東日本中心に展開するトノオカの外ノ岡由夫常務)。ベルベットなど毛足のある素材で作られたコートのすそを伸ばす場合、伸ばした部分は外部に触れていなかった分、毛足が寝ていて修理の跡が目立ってしまう。ニット製のカットソーなどの修理は、特殊なミシンを持つ業者に頼む方が仕上がり面で安心だ。
 スーツなどのサイズの大幅変更は、料金が一万円以上とかさむことが多い。袖丈の変更は、袖の加工方法の違いで価格差が生じる。婦人物では、デザインや裏地の有無などで価格が大きく異なる。ワンピースをブラウスとスカートに作り替える場合は、刺しゅうやスパンコールなどが切れ目についていると作業できないので注意が必要だ。
 靴の修理では、男性物と女性物で違いがある。「男性の革靴は高級であるほど構造がしっかりしていて修理がしやすい傾向があるのに対し、女性用の靴はかかと部分の構造で修理の可否が決まる」(靴修理チェーン「ミスターミニット」を運営するミニット・アジア・パシフィック営業企画部の増田恭子課長)。デザイン重視のためにヒール部分が細かったり、もろいプラスチック製の場合、いくら高価でも修理自体が不可能だ。
 靴は傷が浅いうちに早めに修理に出すのがコツ。女性物のヒールは、ゴムの部分が残っていれば修理は簡単だが、ヒール内部の金属部分が見えるまですり減ると、手間がかかり、修理後の見栄えもあまりよくないという。革靴も底がすり減る前に、新しい革を張っておけば長持ちする。
 スニーカーなど靴の本体と靴底が一体製造されているものは、一般に応急措置はできるが、抜本的な修理は難しい。女性用のブーツは長さを短くはできるが、デザイン的な加工は難しい場合が多い。
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 家電製品は部品数が少ない白物家電より、部品数が多いDVDプレーヤーなどの方が追加料金が発生する可能性が高い。また、地上デジタルに未対応のテレビを修理に出すのは、放送終了まで三年を切った段階では得ではない。実際に「残り二、三年と割り切って修理する人もいるが、買い替える人の方が多い」(家電修理の専門店「ミスターコンセント」の本保明彦社長)。
 エアコンや洗濯機は靴と同様、定期的に分解して掃除するのが理想的。細菌を除去し清潔に使えるうえ、機器にかかる負荷も低下することから製品の寿命を延ばす効果があるためだ。(大角浩豊)


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