20081101 日経プラスワン

 服や靴などの日常生活品を修理に出す人が増えている。物価の上昇が続く中で、むやみに捨てたり、新品に買い替えたりするのではなく、直して再利用することで出費を抑えるのが狙いだ。家計にも環境にもやさしい倹約修理術のコツと注意点をまとめた。
 神奈川県在住の専業主婦、青木昌子さん(五十歳代、仮名)は、そのままでは使えなくなった日常品を再利用する“修理マニア”の一人だ。体形に合わなくなった洋服のサイズの変更や、すり減った革靴の底の張り替えをはじめ、テレビなど家電製品が故障した場合も、費用次第の面もあるが、修理に出して長持ちさせる。「気に入って使っているのだから当然のこと。今まで修理内容に不満を持ったことは一度もない」という。
 衣服や靴、家電製品などの日常品は、いつかは使えなくなる消耗品。破損や故障の場合、従来は新品への買い替えも多かったが、ここ数年は環境意識の浸透や景気の悪化を背景に、直せるものは直して再利用する人が増えている。
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 日常品を修理に出す場合、どこに注意すればよいか。専門家の話をもとにまとめたのが表Aだ。まずは必ず見積もりを取ること。料金表には基本料金しか載っていないことが多く、使用している素材の種類などによって実際にかかる金額が変わることが多い。革靴の底の全面張り替えの場合、男性用なら七千円から三万円と大きな開きがある。
 修理代は「購入時の価格の半分以下に抑えるのが理想的」とされる。日経生活モニターに登録する読者への調査でも、修理代のメドについて「購入時の価格の二一―四〇%」との回答が最も多く、全体の四割以上を占めた。
 修理業者の選択も重要だ。購入元の企業(店舗)に修理を引き受けてもらうのが安心だが、そうでない場合は自前の修理部門を持つ業者を選ぶとよい。修理から戻ってきたら、その場で注文通りに直っているか確認することも大事。後々のトラブルの防止策になる。衣服なら受け取り時に必ず試着すべきだろう。
 表Bに商品ごとの修理の特色をまとめた。衣服を直す場合は「使用している素材によって、価格面や仕上がり具合などに差が生じる」(衣服専門のリフォームショップ「銀の糸」を東日本中心に展開するトノオカの外ノ岡由夫常務)。ベルベットなど毛足のある素材で作られたコートのすそを伸ばす場合、伸ばした部分は外部に触れていなかった分、毛足が寝ていて修理の跡が目立ってしまう。ニット製のカットソーなどの修理は、特殊なミシンを持つ業者に頼む方が仕上がり面で安心だ。
 スーツなどのサイズの大幅変更は、料金が一万円以上とかさむことが多い。袖丈の変更は、袖の加工方法の違いで価格差が生じる。婦人物では、デザインや裏地の有無などで価格が大きく異なる。ワンピースをブラウスとスカートに作り替える場合は、刺しゅうやスパンコールなどが切れ目についていると作業できないので注意が必要だ。
 靴の修理では、男性物と女性物で違いがある。「男性の革靴は高級であるほど構造がしっかりしていて修理がしやすい傾向があるのに対し、女性用の靴はかかと部分の構造で修理の可否が決まる」(靴修理チェーン「ミスターミニット」を運営するミニット・アジア・パシフィック営業企画部の増田恭子課長)。デザイン重視のためにヒール部分が細かったり、もろいプラスチック製の場合、いくら高価でも修理自体が不可能だ。
 靴は傷が浅いうちに早めに修理に出すのがコツ。女性物のヒールは、ゴムの部分が残っていれば修理は簡単だが、ヒール内部の金属部分が見えるまですり減ると、手間がかかり、修理後の見栄えもあまりよくないという。革靴も底がすり減る前に、新しい革を張っておけば長持ちする。
 スニーカーなど靴の本体と靴底が一体製造されているものは、一般に応急措置はできるが、抜本的な修理は難しい。女性用のブーツは長さを短くはできるが、デザイン的な加工は難しい場合が多い。
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 家電製品は部品数が少ない白物家電より、部品数が多いDVDプレーヤーなどの方が追加料金が発生する可能性が高い。また、地上デジタルに未対応のテレビを修理に出すのは、放送終了まで三年を切った段階では得ではない。実際に「残り二、三年と割り切って修理する人もいるが、買い替える人の方が多い」(家電修理の専門店「ミスターコンセント」の本保明彦社長)。
 エアコンや洗濯機は靴と同様、定期的に分解して掃除するのが理想的。細菌を除去し清潔に使えるうえ、機器にかかる負荷も低下することから製品の寿命を延ばす効果があるためだ。(大角浩豊)


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