20081103 日本経済新聞 朝刊

 世界的な株価下落や円高を背景に、日本株で運用する投資信託に個人マネーが戻ってきた。十月は三十日時点で新規構入から解約・償還を差し引いた資金流入額が約七百七十億円となり、月間で七カ月ぶりの資金流入超に転じたもよう。日経平均株価がバブル後最安値を更新するなど割安感が出てきたことで、個人投資家の関心が高まった。一方でこれまで人気だった外国債券で運用するタイプは資金流出超に転じた。
 野村総合研究所が追加型公募投信(公社債投信や上場投資信託=ETF=を除く)約二千七百六十本について調査した。日本株投信の中でも、日経平均株価などに連動する「インデックス型」への資金流入が目立った。「(リスクをとりながら日経平均株価などよりも高い値上がり益を目指す)アクティブ型よりも、値動きが分かりやすいタイプにまず資金が向かった」(投信コンサルタントの田村威氏)とみられている。
 三菱UFJ投信は日経平均連動型など五本のインデックス投信を運用している。十月の資金流入額は合計で約百四十億円と九月の五倍超になった。銀行の窓口でも「日経平均が一時七〇〇〇円を割り込んだ二十八日前後に申し込みが集中した」(りそな銀行)という。
 これに対して、外国債券で運用する投信は新規購入額を解約・償還額が二千二百億円上回った。資金流出超は二〇〇七年二月以来、二十カ月ぶり。一時、一ドル=九〇円台になるなど、円はドルやユーロなどに対して急上昇。為替差損が膨らんだのを受けて、保有していた投信を解約する投資家が相次いだ。外債型投信の代表格である「グローバル・ソブリン・オープン」(国際投信投資顧問)も九月までは資金流入超が続いていたが、十月に入り解約が優勢になった。欧米の中央銀行が次々と利下げに動いていることも、運用意欲の減退につながっているもようだ。
 投信全体では人気の高かった外債型が大幅な資金流出に転じたことで、十月は資金流出超になった可能性が高い。ただ急激な株安を受けて、底値は近いとみた個人投資家などが株式市場に参入。東京証券取引所によると、個人投資家の売買は十月第四週まで五週連続で買い越しになっており、この間の買越額は九千億円を超えた。
 銀行の店頭などでは今後円安が進むとみて、日本円を外国紙幣に両替する動きも目立つ。急激な円高・株安で損失を被った投資家は多いが、株式・外為市場の動揺が続くなかで、個人投資家の相場観や投資行動は分かれている。



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