20081113 日本経済新聞 大阪朝刊

 「経済対策」の目玉として登場した定額給付金問題が決着した十二日、街角には様々な波紋が広がった。厳しい家計をやり繰りしている生活の現場からは「ちょっとしたぜいたくを」「赤字の穴埋めにしたい」。喜ぶ声の半面、肝心の景気への効果には疑問符が並び、「ばらまき政治は混乱を招くだけ」「暮らしを支える抜本的な政策を打ち出して」という冷ややかな受け止めも目立つ。
(3面参照)
●使い道
 「約五万円を手にしても、余裕のない生活は変わらない」。大阪市東住吉区に住むホームヘルパーの女性(48)の表情は晴れない。十代の子供二人を抱える母子家庭。月収十三万円の暮らしは厳しく、「食材の購入回数も二回減らして月四回になった」と嘆く。
 出張で大阪を訪れている津市のIT(情報技術)関連会社勤務の男性(36)も「子供の養育費や住宅ローンであっという間に消えてしまう」と複雑な表情。来年二月に二人目の子供が生まれる予定といい「自分の小遣いが増えることはなさそう」と話す。
 大阪市北区の会社員、和田春美さん(60)は「一年ぶりの外食がいまから楽しみ」と話す。不況で夫の給料も減額となり、節約のため外食を控えていたという。「久しぶりのぜいたくを楽しみたい」と笑顔を見せる。
●景気浮揚は?
 東大阪市で従業員十七人の照明部品会社を経営する向山秀弥さん(47)は「中途半端な政策だ」とぴしゃり。建設不況で先行きは判然としない。景気対策への期待は大きいものの「(一家族分の)数万円の支給でマンションが買えるわけではないし……」と懐疑的だった。
 同市で自動車関連機器の会社を経営する男性(49)も「個人的にはありがたいが、車販売への追い風にはならないだろう。恩恵を受けるのは小売業などの一部だけではないか」と考えている。
●異議の声も
 ホームレスの就労支援に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)「釜ケ崎支援機構」(大阪市)の沖野充彦事務局長(47)は「まとまった財源があるなら、雇用の創出や生活保護家庭の支援などを優先するのが筋ではないか」と訴える。
 一方、「収入が所得制限を超えそう」という兵庫県芦屋市の会社役員の男性(68)は「所得制限の金額を決めた理由も不明確でナンセンスな政策」と切り捨てる。「個人的には社会のために辞退してもいいが、実際のところは妻と相談しないと……」と言葉を濁す。


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20081113 日経産業新聞

 住宅大手八社の二〇〇九年三月期(積水ハウスは〇九年一月期)の新たな販売戸数見込みが出そろった。住宅需要の低迷を受け上期を終えた時点で期初予想を下方修正する企業が目立ち、八社合計の販売戸数見込みは期初予想比三・三%減の十七万二百三十四戸(前期比二・一%減)となった。それでも「まだ下振れする可能性がある」(野村証券の福島大輔シニアアナリスト)と懸念する声も出ている。
 最大手の積水ハウスやミサワホームなど、八社中五社が販売戸数見通しを引き下げた。分譲住宅の不振などが影響し、六社が〇八年三月期実績を下回る見通し。このため各社は「棟数追うのでなく、利益の出る体質を構築する」(住友林業の矢野龍社長)「購買意欲の低迷に直面しており、コストダウンを急ぐ」(ミサワホームの竹中宣雄社長)と単価上昇や経費削減などで収益を維持・拡大する戦略を示している。
 一方、三井ホームは通期の販売戸数見込みを期初予想から据え置き、六千二百戸とした。若年層向けの低価格住宅が受けたことなどが奏功し、上期が終わった時点で、注文住宅を中心とした建築請負の受注残は前年同期末時点に比べ百三十棟上回った。同社の中村良二社長は「全体の着工戸数は大きく伸びない」としながらも、注文住宅の下落幅は小さいと判断したようだ。
 同じく積水化学工業は通期の販売戸数見通しを期初予想を二・七%上回る一万四千八百戸と上方修正した。上期に発売した若年層向け低価格住宅の新商品が好調だったことが主因。
 住宅生産団体連合会(東京・港、和田勇会長、住団連)が十月時点で調査した住宅大手十六社の経営者による住宅着工戸数の予測値によると、〇八年度の通期の着工戸数は百六万四千戸。四月時点の予測にくらべ五・五%減少した。
 内訳をみると、マンションなどの分譲住宅は一〇・七%減、アパートなどを指す賃貸住宅は五・二%減、四月時点より減少するのに対し、持ち家(注文住宅)は一・八%減にとどまる。「上期の受注を伸ばした企業もいたことから、マンション・アパートにくらべ戸建ての落ち込みは比較的小さいと判断したのでは」(住団連)と分析している。
 ただ、福島シニアアナリストは「九月のリーマンショックの影響で十月に入り受注が急激に冷え込んでおり、各社が発表した販売戸数見通しよりもさらに下振れするのではないか」と話す。実際、期初予想から上方修正をした積水化学でも十月の受注戸数は前年同月実績比六%減となっており、「業界全体では二割程度下落したようだ」(福島シニアアナリスト)という。
 政府が景気対策の一環として検討している住宅ローン減税制度の拡充などが実現すれば、住宅需要を刺激すると期待されている。ただ、世界的な景気後退局面で個人消費が落ち込む中、マンションに比べ“強気”にも見える各社の戸建て住宅の販売計画が実現するどうか予断を許さない。
 縮小する市場でシェア争いが激しくなるのも必至で、ブランド力やコスト削減の巧拙によって各社の収益力にも格差が出そうだ。
(戸田健太郎)


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20081113 日本経済新聞 朝刊

 東京都渋谷区神宮前で起きた爆発火災で、出火元のイベント企画会社「ブロンコ」経営の横山信一さん(60)方の焼け跡から十二日午後、横山さんの母、喜代子さん(88)と妻、洋子さん(55)の遺体が見つかった。横山さんは全身やけどで重傷。長男(29)と次男(23)ら四人も煙を吸うなどして軽傷という。
 横山さんが救急搬送中に「一階の作業場で火薬を調合中に爆発した」と話したことから、警視庁原宿署は調合ミスで爆発が起きた疑いがあるとみて、火薬類取締法違反や業務上過失致死傷容疑を視野に、横山さんの回復を待って事情を聴く方針。
 調べなどによると、横山さんは「ビル横山」の名で映画やテレビの爆発や銃撃などのシーンで使われる特殊効果音を手掛け、業界で知られた存在だった。自宅一階にある作業場に映画撮影用の拳銃などに使う火薬類を保管していたという。
 東京都などによると、原則として火薬類の貯蔵などには経済産業省や都からの許可が必要になる。火薬量が規定より少ない場合などは許可が不要。同社や横山さんは許可を受けていなかった。
 横山さんは六人暮らしで、喜代子さんと洋子さんの遺体は横山さん方の一階風呂場と二階南側の居間でそれぞれ見つかった。長男と次男は三階にいたが、爆発音に気付き二階ベランダから飛び降りて逃げた。長女(26)は外出中だった。
 火事は十二日午後零時半ごろに発生。爆発音とともに燃え広がり、横山さん方と向かいの民家計二棟約二百二十平方メートルを全焼したほか、周囲の住宅の外壁などを焼き、約六時間後に鎮火した。

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20081113 日本経済新聞 朝刊

 株価下落の影響が、比較的安全な運用資産とされる変額年金保険にも及んできた。変額年金は払い込んだ保険料と同額の年金原資を保証する商品が一般的だが、最大手のハートフォード生命保険の商品などで運用成績の悪化により「元本保証」が外れた。加入者が受け取れる年金額が目減りする恐れがある。
 ハートフォードの主力商品「アダージオ3WIN」では十月第二週以降、二〇〇七年中に購入したほぼ全員の保険で運用が停止になった。〇八年に購入した人の一部も対象になったとみられる。
 運用停止となった加入者は(1)払込保険料の八〇%を一括で受け取る(2)払込保険料の十五分の一ずつを十五年間かけて受け取る――を選ぶ。
 ハートフォードのデイビッド・レベンソン社長は「運用停止は顧客の資産を市場の乱高下から避難させるため」と説明。同商品を販売する住友信託銀行は「九月の株価急落時から複数回にわたって加入者への説明をしてきた」と話す。
 同商品は〇七年二月以降、これまでに数千億円を販売した。米ハートフォード本社は今回の件で二百億円前後の損失を計上。大和証券は十月下旬から同商品の販売を停止している。
 カーディフ生命保険の「年金たまてばこ」は加入時の日経平均株価から三割下落すると、元本保証機能が外れる仕組み。〇六年三月から六回に分けて販売してきた商品のうち、五回分で元本保証が外れた。ただ、運用は続けるため、今後の株式相場によっては運用終了時に払込保険料を上回る年金原資を確保できる可能性もある。
 東京海上日動フィナンシャル生命保険の「異次元発」では、これまで販売した分の一部で株式と債券での運用をすべて債券に切り替えた。株価急落で株式の運用リスクが高まったためだ。


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20081113 日本経済新聞 朝刊

 経済産業省は産業活力再生特別措置法(産業再生法)を抜本改正する方針を固めた。省エネルギーや二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる事業の計画を新たに同法の適用要件に加え、税の軽減などを認める。中長期的な資源価格上昇と世界的なCO2排出規制の強化が避けられないなか、企業に原油や資源に対する生産性向上を促すのがねらい。法律の目的の軸足を当初の事業再編から技術革新に移す。
 経産省は法律の名称変更も検討し、来年通常国会に法案を提出する方針。改正の柱は(1)企業の資源生産性向上に向けた支援(2)「イノベーション創造機構」の創設(3)中小企業再生の支援強化――の三つとする。
 資源生産性向上への取り組みでは省エネルギーやCO2排出の削減につながる設備投資や物流効率化などを計画し、エネルギー使用量やCO2排出量に関して一定の数値目標を設定した企業に適用を認める。登録免許税や不動産取得税の軽減、欠損金の法人税繰り戻し還付などで優遇する。
 イノベーション創造機構は、大学やベンチャー企業に埋もれている先端技術を集約する官民の投資ファンド。民間の人材を集めた十五年の時限組織とする方向だ。中小の事業再生支援では、企業が将来性のある部門を別法人に切り離し、不採算部門を旧会社に残して清算する場合に、別法人が営業に必要な許認可を取りやすくする。


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