20081113 日経産業新聞

 住宅大手八社の二〇〇九年三月期(積水ハウスは〇九年一月期)の新たな販売戸数見込みが出そろった。住宅需要の低迷を受け上期を終えた時点で期初予想を下方修正する企業が目立ち、八社合計の販売戸数見込みは期初予想比三・三%減の十七万二百三十四戸(前期比二・一%減)となった。それでも「まだ下振れする可能性がある」(野村証券の福島大輔シニアアナリスト)と懸念する声も出ている。
 最大手の積水ハウスやミサワホームなど、八社中五社が販売戸数見通しを引き下げた。分譲住宅の不振などが影響し、六社が〇八年三月期実績を下回る見通し。このため各社は「棟数追うのでなく、利益の出る体質を構築する」(住友林業の矢野龍社長)「購買意欲の低迷に直面しており、コストダウンを急ぐ」(ミサワホームの竹中宣雄社長)と単価上昇や経費削減などで収益を維持・拡大する戦略を示している。
 一方、三井ホームは通期の販売戸数見込みを期初予想から据え置き、六千二百戸とした。若年層向けの低価格住宅が受けたことなどが奏功し、上期が終わった時点で、注文住宅を中心とした建築請負の受注残は前年同期末時点に比べ百三十棟上回った。同社の中村良二社長は「全体の着工戸数は大きく伸びない」としながらも、注文住宅の下落幅は小さいと判断したようだ。
 同じく積水化学工業は通期の販売戸数見通しを期初予想を二・七%上回る一万四千八百戸と上方修正した。上期に発売した若年層向け低価格住宅の新商品が好調だったことが主因。
 住宅生産団体連合会(東京・港、和田勇会長、住団連)が十月時点で調査した住宅大手十六社の経営者による住宅着工戸数の予測値によると、〇八年度の通期の着工戸数は百六万四千戸。四月時点の予測にくらべ五・五%減少した。
 内訳をみると、マンションなどの分譲住宅は一〇・七%減、アパートなどを指す賃貸住宅は五・二%減、四月時点より減少するのに対し、持ち家(注文住宅)は一・八%減にとどまる。「上期の受注を伸ばした企業もいたことから、マンション・アパートにくらべ戸建ての落ち込みは比較的小さいと判断したのでは」(住団連)と分析している。
 ただ、福島シニアアナリストは「九月のリーマンショックの影響で十月に入り受注が急激に冷え込んでおり、各社が発表した販売戸数見通しよりもさらに下振れするのではないか」と話す。実際、期初予想から上方修正をした積水化学でも十月の受注戸数は前年同月実績比六%減となっており、「業界全体では二割程度下落したようだ」(福島シニアアナリスト)という。
 政府が景気対策の一環として検討している住宅ローン減税制度の拡充などが実現すれば、住宅需要を刺激すると期待されている。ただ、世界的な景気後退局面で個人消費が落ち込む中、マンションに比べ“強気”にも見える各社の戸建て住宅の販売計画が実現するどうか予断を許さない。
 縮小する市場でシェア争いが激しくなるのも必至で、ブランド力やコスト削減の巧拙によって各社の収益力にも格差が出そうだ。
(戸田健太郎)


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