20081112 日本経済新聞 大阪夕刊

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会は十二日午前、年金部会を開き、年金制度改革に向けた本格的な議論を始めた。いまは定額の国民年金保険料を所得に応じて軽減し、税で支援する案を柱とする低年金者対策など、八項目の主な検討課題を提示。来年以降の予想運用利回りを現状の三・二%を上回る水準に設定する方向でも調整に入った。新たな財源をどう確保するかなど実現へのハードルは高い。(解説2面に)
 八つの検討課題は厚労省が九月にまとめた「検討の視点」を踏まえ、部会長の稲上毅東大名誉教授が「年金制度の将来的な見直しに向けて」と題した論点メモで示した。政府の社会保障国民会議が公的年金を「高齢期の所得保障の柱」と位置付けたのを受け、数年かけて見直す年金制度の将来像を示すのが狙いだ。
 政府・与党は二〇〇四年の年金改革で「百年安心」をうたったが、国民年金の空洞化や年金記録漏れなどの問題がおきて制度への不信が高まり、新たな改革に乗り出すことになった。検討課題の筆頭に掲げたのは、保険料の支払期間が短いといった理由で基礎年金が満額(月六万六千円)に満たない低年金・低所得者対策だ。
 論点メモでは具体策として、いまは定額(月一万四千四百十円)の国民年金保険料を所得に応じて軽減し、不足分を税で埋めて基礎年金を満額受け取れるようにする案を提示。単身の高齢女性を念頭に、所得が低い人には基礎年金の給付の上乗せも検討する。
 基礎年金に一定額の最低保障年金を導入することや、給付財源をすべて税でまかなう税方式化も課題に挙げたものの、「税方式では財源の確保をどうするか」として、消極的な姿勢をにじませた。
 現役時代に高収入の人が実収入に見合った年金を受け取れるようにするため、厚生年金の算定基礎の月給である「標準報酬月額」の上限(月六十二万円)引き上げも検討する。同時に、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金」の減額基準の緩和も挙げた。緩和に伴って必要になる財源を標準報酬月額の上限引き上げでまかなう思惑もありそうだ。
 検討課題にはこのほか育児休業中の支援の拡充や、パート労働者への厚生年金の適用拡大などを列挙。信頼回復に向け、「税方式と社会保険方式の利点を活用していく視点」が必要と指摘した。





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20081112 日経MJ(流通新聞)

 外食好きとされてきた米国人の食の風景が変わりつつある。今年の前半まで、1年前より卵やシリアルの小売価格が3割以上も跳ね上がったことがきっかけだ。足元では食のインフレはやや小康状態だが、景気が後退感を強め、所得や雇用への心配から食費を削る傾向はむしろ強まっている。
 そこで注目されるのが、自炊。米国版のお弁当は「ブラウン・バッグ」と呼ばれる。手の込んだものを作る日本式の弁当とは違い、サンドイッチや果物などをプラスチック容器に収めて紙袋に入れるスタイルが一般的だ。昼間のビジネス街でも、広場でブラウン・バッグを広げるシーンが目立つように。一方、1杯3―4ドルは下らないスターバックスのコーヒーが売れにくくなり、家計の変調を映している。
 ソーセージや缶入り肉加工品「スパム」のメーカー、ホーメル・フーズが10月下旬に実施した調査では、回答者の5割強が食費を抑える工夫をし、具体的には「より安い肉を選び、主食は米やジャガイモなど割安なものを多く買うようにしている」と答えた。また、84%が「食品の値上がりが心配」と先行きにも不安感を募らせている。
 米最大の小売業ウォルマート・ストアーズで家庭用品を統括するリンダ・ヘフナー上級副社長は「ここ数年間で米国では家庭で調理し自宅で食べる消費者が増え、代わりに外食とテークアウトは減っている」と話す。店頭では調理機器の販売が勢いづいているほか、半加工の冷凍食品もよく売れている。(ニューヨーク=杉本晶子)





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20081112 日経MJ(流通新聞)

パン・乳製品 値上げで控える
ポイント
(1)「自宅で毎日の食事を手作りすることが増えた」が全体の四分の一。三十―四十代が多い
(2)「焼き物」「いため物」など比較的調理しやすいもので手作りする人が増えている
(3)パンや乳製品など値上がりしたものは購買を控える動きも強い
 不況感が一段と高まる中、自宅での手作りの食事が増えている人が全体の四分の一に及ぶことが日経産業地域研究所の調査でわかった。加工食品の安全性が問題になる一方、この一年間で値上がりした食品も多いため、自分で作ることで節約しようという意識が働いているようだ。パンなど値上がりした食品については購買を控える動きも出ている。(詳細は「日経消費マイニング11月号に掲載)
 首都圏と近畿圏の消費者六百二十九人の回答を集計すると、「自宅で朝食や夕食など毎日の食事を手作りすることが一年前に比べて増えた」という人は二三・二%とほぼ四分の一を占めた。年代別に見ると三十代(二五・九%)と四十代(二七・四%)が多い。住宅ローンを抱えていたり、育ち盛りの子供がいるなど、家計の負担が重いためと思われる。
 世帯年収別では五百万円未満で「増えた」が二四・六%、五百万―八百五十万円未満で二五・九%なのに対し、八百五十万円以上では一七・五%にとどまっており、低中所得者で高かった。
 自宅での手作りが増えた理由は、「手作りするほうが家計の上で安くつく」(八四・九%)が圧倒的に多い。以下、「栄養のバランスなど健康に注意するようになった」(六七・一%)、「冷凍食品やレトルト、総菜は安全面に心配があるから」(二七・四%)などで、健康への配慮もあるものの、やはり家計を引き締めようという意識が前面に出ている。
 ただ、手作りといっても本格的なものがそれほど増えているわけではない。実際に家庭で食べている一般的なメニューについて手作り(「肉や魚、野菜などの材料を購入し、すべて自宅で手作りする」と定義した)が増えたかどうかを聞いてみると、「増えた」が最も多かったのは「焼き物」(一〇・八%)、次いで「いため物」(九・四%)で、増えているのは比較的簡単な調理方法だ。
 調理がしやすいものは、すでに手作りしている人もそれなりにいる。「焼き物」を手作りをすることが「多い」という人は五二・三%、「いため物」は五八・二%、「チャーハンなどのご飯もの」が五〇・四%。一方、「揚げ物」は三三・九%にとどまる。油汚れなどを嫌うためにやや少なくなるようだ。
 ここでも三十代と四十代は手作りが増えた人が多く、「焼き物」の場合、三十代は一二・九%、四十代は一二・八%。「いため物」は三十代一一・五%、四十代一〇・三%と一割を超えている。ほかには六十代も「焼き物」「いため物」ともに一割を超えたが、二十代と五十代は数%と少ない。六十代も老後を迎えて収入が減ってくるため、作りやすいものは手作りして節約しようという意識が働くようだ。
 手作りを増やすにしてもハードルの高いものには挑戦しにくい。そんな意識が働くからか、消費の現場でも肉や野菜など一、二品の材料があればすぐに作れる「総菜のもと」がよく売れている。
 玉子とご飯があればすぐできる永谷園の「えびチャーハンの素」など具入りチャーハンの素シリーズは四―九月で前年同期比一割増の売れ行きだ。また、お好み焼きを作る人も増えているようで、日本製粉ではお好み焼きの粉の売れ行きが四―九月で前年比二割増だという。肉や野菜を刻んで混ぜてホットプレートで焼くだけで済むという簡便さが評価されているようだ。
 ただ、自宅で手作りするにせよ、この一年ほどで原材料の高騰のために値上げされた食材・食品は多い。十種類について購入動向を聞いたところ、「値上がりしているので購入をできるだけ控えている」が一番多いのは「パン」(二〇・二%)、二番目が「乳製品」(一八・三%)、三番目が「スパゲティ」(一五・六%)などとなり、実際の値上がり状況と合致している。
 このほか「牛肉」(一三・四%)も比較的多い。「より安い鶏肉や豚肉にシフトしている」(ライフコーポレーション)ためだとみられる。
 「家計を節約するために購入を増やしている」ものはいずれも回答率が小さく、「コメ」の六%が最大だった。サミットでは九月のコメの販売数量が前年同月比五%増となるなど、小売りの現場でもコメの売れ行きは堅調だ。
 ただ、いずれの食材も「特に変えていない」という人が七―八割を占めており、総じて変化は少ない。過去十年間にわたって消費者の収入は伸び悩んできたため、すでに節約できるところは節約している人が多いのかもしれない。
 外食産業総合調査研究センターの堀田宗徳主任研究員は「今の経済情勢では、外食や中食を控えて自宅で作ろうという動きは当面続くだろう」と指摘する。
(日経産業地域研究所
白井徹)
▼調査の概要 九月上旬に首都圏六百人と近畿圏三百人の消費者モニターを対象に郵送アンケートで実施。六百二十九人が回答(回答率六九・九%)。





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20081112 日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は十一日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の雇用保険部会を一年ぶりに開き、失業者への給付のあり方の見直しや保険料率引き下げなどの論点を提示した。年末までに結論を出す。社会保障費の自然増圧縮の財源として浮上している雇用保険の国庫負担の削減については、労働側が強く反対した。
 失業給付を受けるには離職前二年間に保険料を一年以上払っていることが必要。倒産、解雇を理由とした離職なら、離職前一年間に六カ月以上が条件となる。
 ただ実際には雇用情勢の悪化で非正規社員を中心に雇い止めが増えており、雇用保険の適用対象から漏れ失業給付を得ていない。労働側から「非正規社員のセーフティーネットを拡充すべきだ」との声が相次いだ。
 総賃金の一・二%を労使で折半している雇用保険料率の引き下げを巡っては、厚労省が政府の追加経済対策に盛った一年に限り最大〇・四%引き下げという案を提示。この日は労使から賛否の具体的意見は出なかった。
 雇用保険の国庫負担問題では、労働側が「国庫負担削減の話まで議論するなら、今後の審議に参加しない」とけん制した。





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20081112 日本経済新聞 朝刊

 企業倒産が一段と増加してきた。民間調査会社の東京商工リサーチが十一日発表した十月の企業倒産状況によると、件数は前年同月比一三・四%増の千四百二十九件で、単月ベースで五年五カ月ぶりの高水準となった。上場企業の倒産は過去最多の八件だった。景気低迷や長引く金融市場の混乱を反映して、倒産が業種や規模にかかわらず広がってきた。
 倒産件数を業種別にみると、全十業種のうち九業種で前年同月に比べて増加した。市況の悪化や資金調達が困難な不動産(四七・三%増)や燃料高の影響を受けている運輸(四〇・四%増)など六業種は二ケタの増加となった。
 原因別では販売不振や売掛金の回収難など「不況型」が全体の七五・八%を占めた。上場企業では不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人や、マンション分譲のダイナシティなど八社が相次ぎ倒産。単月での過去最多を二カ月連続で更新した。一―十月の累計でも二十七件と、通年で過去最多だった二〇〇二年(二十九件)に迫る勢いだ。
 負債総額は前年同月比二・一倍の一兆七十七億円だった。このうち大和生命保険(負債二千六百九十五億円)とニューシティ・レジデンス(同千百二十三億円)の二社で全体の約四割を占めた。このほか十億円以上の大型倒産も四二・四%増の九十四件となり倒産の大型化が目立っている。
 東京商工リサーチは「実体経済が悪化するなか、本格的な景気対策が浸透するまで企業倒産は高水準で推移する」とみている。





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