20081112 日経MJ(流通新聞)

パン・乳製品 値上げで控える
ポイント
(1)「自宅で毎日の食事を手作りすることが増えた」が全体の四分の一。三十―四十代が多い
(2)「焼き物」「いため物」など比較的調理しやすいもので手作りする人が増えている
(3)パンや乳製品など値上がりしたものは購買を控える動きも強い
 不況感が一段と高まる中、自宅での手作りの食事が増えている人が全体の四分の一に及ぶことが日経産業地域研究所の調査でわかった。加工食品の安全性が問題になる一方、この一年間で値上がりした食品も多いため、自分で作ることで節約しようという意識が働いているようだ。パンなど値上がりした食品については購買を控える動きも出ている。(詳細は「日経消費マイニング11月号に掲載)
 首都圏と近畿圏の消費者六百二十九人の回答を集計すると、「自宅で朝食や夕食など毎日の食事を手作りすることが一年前に比べて増えた」という人は二三・二%とほぼ四分の一を占めた。年代別に見ると三十代(二五・九%)と四十代(二七・四%)が多い。住宅ローンを抱えていたり、育ち盛りの子供がいるなど、家計の負担が重いためと思われる。
 世帯年収別では五百万円未満で「増えた」が二四・六%、五百万―八百五十万円未満で二五・九%なのに対し、八百五十万円以上では一七・五%にとどまっており、低中所得者で高かった。
 自宅での手作りが増えた理由は、「手作りするほうが家計の上で安くつく」(八四・九%)が圧倒的に多い。以下、「栄養のバランスなど健康に注意するようになった」(六七・一%)、「冷凍食品やレトルト、総菜は安全面に心配があるから」(二七・四%)などで、健康への配慮もあるものの、やはり家計を引き締めようという意識が前面に出ている。
 ただ、手作りといっても本格的なものがそれほど増えているわけではない。実際に家庭で食べている一般的なメニューについて手作り(「肉や魚、野菜などの材料を購入し、すべて自宅で手作りする」と定義した)が増えたかどうかを聞いてみると、「増えた」が最も多かったのは「焼き物」(一〇・八%)、次いで「いため物」(九・四%)で、増えているのは比較的簡単な調理方法だ。
 調理がしやすいものは、すでに手作りしている人もそれなりにいる。「焼き物」を手作りをすることが「多い」という人は五二・三%、「いため物」は五八・二%、「チャーハンなどのご飯もの」が五〇・四%。一方、「揚げ物」は三三・九%にとどまる。油汚れなどを嫌うためにやや少なくなるようだ。
 ここでも三十代と四十代は手作りが増えた人が多く、「焼き物」の場合、三十代は一二・九%、四十代は一二・八%。「いため物」は三十代一一・五%、四十代一〇・三%と一割を超えている。ほかには六十代も「焼き物」「いため物」ともに一割を超えたが、二十代と五十代は数%と少ない。六十代も老後を迎えて収入が減ってくるため、作りやすいものは手作りして節約しようという意識が働くようだ。
 手作りを増やすにしてもハードルの高いものには挑戦しにくい。そんな意識が働くからか、消費の現場でも肉や野菜など一、二品の材料があればすぐに作れる「総菜のもと」がよく売れている。
 玉子とご飯があればすぐできる永谷園の「えびチャーハンの素」など具入りチャーハンの素シリーズは四―九月で前年同期比一割増の売れ行きだ。また、お好み焼きを作る人も増えているようで、日本製粉ではお好み焼きの粉の売れ行きが四―九月で前年比二割増だという。肉や野菜を刻んで混ぜてホットプレートで焼くだけで済むという簡便さが評価されているようだ。
 ただ、自宅で手作りするにせよ、この一年ほどで原材料の高騰のために値上げされた食材・食品は多い。十種類について購入動向を聞いたところ、「値上がりしているので購入をできるだけ控えている」が一番多いのは「パン」(二〇・二%)、二番目が「乳製品」(一八・三%)、三番目が「スパゲティ」(一五・六%)などとなり、実際の値上がり状況と合致している。
 このほか「牛肉」(一三・四%)も比較的多い。「より安い鶏肉や豚肉にシフトしている」(ライフコーポレーション)ためだとみられる。
 「家計を節約するために購入を増やしている」ものはいずれも回答率が小さく、「コメ」の六%が最大だった。サミットでは九月のコメの販売数量が前年同月比五%増となるなど、小売りの現場でもコメの売れ行きは堅調だ。
 ただ、いずれの食材も「特に変えていない」という人が七―八割を占めており、総じて変化は少ない。過去十年間にわたって消費者の収入は伸び悩んできたため、すでに節約できるところは節約している人が多いのかもしれない。
 外食産業総合調査研究センターの堀田宗徳主任研究員は「今の経済情勢では、外食や中食を控えて自宅で作ろうという動きは当面続くだろう」と指摘する。
(日経産業地域研究所
白井徹)
▼調査の概要 九月上旬に首都圏六百人と近畿圏三百人の消費者モニターを対象に郵送アンケートで実施。六百二十九人が回答(回答率六九・九%)。





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