20081112 日本経済新聞 夕刊

 社会保障審議会年金部会は年金制度改革に向け八つの主な検討項目を示したが、国民年金保険料を軽減し、税で補助する案などの実現には新たな財源が必要になる。数年後に税制抜本改革で財源が確保できると当て込んだ形だ。しかし制度見直しの前に、まず来年度に基礎年金の国庫負担割合を引き上げるための安定的な財源を確保することが、制度を維持していくうえで必須の条件になる。(1面参照)
 いまの年金制度では保険料負担が上限まで段階的に引き上げられる。一方、給付については現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合(所得代替率)が「将来も五〇%を下回らないようにする」と約束している。その前提は来年度の基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げだ。
 必要な財源は二兆三千億円。麻生太郎首相は日本経済は「全治三年」と指摘し、消費税を含む税制改革の中期プログラムをつくる方針を掲げる。まず国庫負担引き上げの財源を確保しなければ、負担の上限と給付の下限を約束するいまの制度の前提が崩れ、将来の改革もおぼつかなくなる。
 部会では経済学者らで構成する経済前提専門委員会が、五年ごとの財政検証の中で見直す厚生・国民年金の予想運用利回りの想定範囲について基準ケースで名目三・七―四・五%になると報告。現在想定している三・二%を上回る水準で、足元の金融危機を織り込んでおらず、「制度の経済的な前提が甘い」との批判も出そうだ。





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20081112 日本経済新聞 夕刊

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会は十二日午前、年金部会を開き、年金制度改革に向けた本格的な議論を始めた。いまは定額の国民年金保険料を所得に応じて軽減し、税で支援する案を柱とする低年金者対策など、八項目の主な検討課題を提示。来年以降の予想運用利回りを現状の三・二%を上回る水準に設定する方向でも調整に入った。新たな財源をどう確保するかなど実現へのハードルは高い。(解説2面に)
 八つの検討課題は厚労省が九月にまとめた「検討の視点」を踏まえ、部会長の稲上毅東大名誉教授が「年金制度の将来的な見直しに向けて」と題した論点メモで示した。政府の社会保障国民会議が公的年金を「高齢期の所得保障の柱」と位置付けたのを受け、数年かけて見直す年金制度の将来像を示すのが狙いだ。
 政府・与党は二〇〇四年の年金改革で「百年安心」をうたったが、国民年金の空洞化や年金記録漏れなどの問題がおきて制度への不信が高まり、新たな改革に乗り出すことになった。検討課題の筆頭に掲げたのは、保険料の支払期間が短いといった理由で基礎年金が満額(月六万六千円)に満たない低年金・低所得者対策だ。
 論点メモでは具体策として、いまは定額(月一万四千四百十円)の国民年金保険料を所得に応じて軽減し、不足分を税で埋めて基礎年金を満額受け取れるようにする案を提示。単身の高齢女性を念頭に、所得が低い人には基礎年金の給付の上乗せも検討する。
 基礎年金に一定額の最低保障年金を導入することや、給付財源をすべて税でまかなう税方式化も課題に挙げたものの、「税方式では財源の確保をどうするか」として、消極的な姿勢をにじませた。
 現役時代に高収入の人が実収入に見合った年金を受け取れるようにするため、厚生年金の算定基礎の月給である「標準報酬月額」の上限(月六十二万円)引き上げも検討する。同時に、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金」の減額基準の緩和も挙げた。緩和に伴って必要になる財源を標準報酬月額の上限引き上げでまかなう思惑もありそうだ。
 検討課題にはこのほか育児休業中の支援の拡充や、パート労働者への厚生年金の適用拡大などを列挙。年金制度の信頼回復に向け、「税方式と社会保険方式の利点を活用していく視点」が必要と指摘した。





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20081111 日本経済新聞 朝刊

金融危機反映不十分 前提に甘さも
 厚生労働省は五年ごとに見直す厚生、国民年金の予想運用利回りを、来年から現在想定している名目三・二%より高い水準とする方向で調整する。技術革新の進展などで長期的に日本経済の生産性が高まり、年金運用にも好影響を与えるとみているためだ。ただ足元の金融混乱の影響は十分に織り込んでおらず、予想利回りを長期間にわたって下回れば給付水準の維持が難しくなる可能性もある。年金制度の前提の甘さに批判が出そうだ。
 今後百年程度の長期的な財政の安定性を確認する「財政検証」の中で前提となる利回りを見直す。二〇〇四年の年金制度改革で原則五年に一度の実施が定められ、次回は来年二月をメドとしている。前提となる経済条件は、経済学者らで構成する「経済前提専門委員会(委員長・米沢康博早大大学院教授)」が検討している。
生産性が向上
 同委は十二日、利回りや物価などの「想定範囲」を社会保障審議会年金部会に示す。内閣府の分析などを踏まえ、例えば、技術革新などによる「全要素生産性」の上昇率は基準ケースで五年前の〇・七%から一・〇%に上がるとみている。分散投資効果も加味して示す予想利回りの幅は最低でも現状の前提である三・二%を上回る公算だ。
 現在、年金積立金管理運用独立行政法人が市場運用しているのは、約百五十兆円の年金積立金のうち約九十兆円。その平均利回りは〇三―〇七年度で五%台後半。しかし〇七年度は世界的な株安が直撃し、運用損失が過去最大の五兆八千億円に膨らんだ。
水準下回る懸念
 現行の年金制度は厚生、国民年金の保険料を上限まで段階的に引き上げる一方、給付水準は自動的に抑えるが、積立金を取り崩して現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合(所得代替率)は将来も五〇%を下回らないと約束した。この前提の一つが三・二%の運用利回りで、与党は〇四年年金改革の際に「百年安心」とうたった。
 高い利回りを前提に財政検証すれば、計算上は将来の給付水準を確保しやすい。一方で、長期間にわたって利回りが予想を下回れば「百年安心」の根拠としている「給付水準五〇%以上」の達成が難しくなる。
 経済専門委では「現下の金融危機の混乱を脱した後、再び安定的な成長軌道に復帰することを想定」しており、最近の金融市場の混乱を織り込んでいるとは言い難い。さらに実際の長期金利は一%台半ばで、現在の国内債券中心の運用では三・二%の実現さえも難しいとの指摘がある。甘い想定は年金制度への不信を一段と深めかねない。
 厚労省は来年一月に政府が決める「日本経済の進路と戦略」を踏まえ、財政検証の前提となる予想利回りなどの数値を最終的に決める。これを目標として年金積立金独法は翌年度からの運用資産の構成割合を決める。高い利回りを想定すれば外国株式などの比率を高める必要があり、その分、運用リスクは高まる。「安全かつ効率的」な年金運用への道は険しい。


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20081111 日本経済新聞 夕刊

 麻生太郎首相は十一日昼、消費税率引き上げについて「経済情勢次第だが二年でうまくいったらその時は出す」と述べ、早ければ二年後に関連法案を国会に提出する意向を表明した。同時に「三年たってもうまくいってなければその段階で考える」とも語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 首相は「きちんとした行政改革や無駄の排除をやり、景気対策を打って経済状況が良くなり、経済のパイが大きくならない限りできない」との認識を重ねて強調した。
 首相は景気回復を条件に、早ければ三年後の消費税増税を主張している。次期衆院選や二〇一〇年夏の参院選を経て、国会の「ねじれ」が解消されていることが前提とみられる。


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20081110 日本経済新聞 夕刊

■生活設計塾クルーの「医療費負担、本当はいくらかかるのか?」 14日午後6時30分―8時30分、中野サンプラザ(東京都中野区中野4―1―1)にて。公的医療保険がカバーする医療費や民間医療保険の特徴などについて、ファイナンシャルプランナー(FP)の清水香氏が解説する。参加費1000円。申し込みはホームページ(http://www.fp-clue.com/form1.html)から。
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■日興コーディアル証券の「豪ドルと商品市況の見通し」 13日、午後1時30分―3時、千葉支店(千葉市中央区富士見2―10―1)。資源国通貨である豪ドルと商品市況の今後の見通しについて、同社のマーケットエコノミストが解説する。無料、要予約。申し込み・問い合わせは日興コンタクトセンター((電)0120・550・250)へ。
■大和証券の「緊急開催!ダイワの投資信託セミナー」 20日、午後2時―3時30分、鎌倉支店(神奈川県鎌倉市小町1―4―31、(電)0467・23・1616)。世界経済の見通しと、アジアの高配当株で運用する投資信託について解説。無料、要予約。申し込みは同支店へ電話するか、ホームページ(http://www.daiwa.jp)から。
■みずほ銀行の「これからの資産運用」 12月11日、午後1時30分―3時、津田沼支店(千葉県船橋市前原西2―14―8、(電)047・476・2155)。投信で運用する資産運用の基礎について、みずほ投信投資顧問の担当者が説明する。無料、要予約。申し込みは同支店へ。


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