20081204 日経産業新聞

 サントリーは来春、家庭菜園向けに野菜苗の拡販に乗り出す。欧州産のトマトとパプリカについて、取扱品目を二・五倍に増やす。初心者でも栽培できるように解説した冊子も配布する。節約のため外食せずに自宅で料理する人が増えていることに着目。自家製の珍しい野菜を使ってささやかなぜいたくを味わいたいというニーズを取り込む。
 子会社のサントリーフラワーズ(東京・千代田)が扱う。従来のイタリアのトマト五種類に、フランスのトマト四種類とパプリカ三種類を加える。仏種苗大手のヴィルモランから仕入れた種を国内で苗まで育てて販売する。店頭価格は一株三百円程度と通常の野菜苗の約三倍。二〇〇九年十二月期に今期比二倍の七十万鉢の販売を目指す。
 いずれも通常のトマトやパプリカに比べて味に特徴がある。たとえば仏のボンリッシュというトマトはダシのようなうまみがあり、コメや肉と混ぜてチキンライスにすればケチャップなどの味付けが要らないという。
 サントリーによれば、三十―四十代の女性や団塊の世代の男性を中心に自宅で料理を楽しむ人が増えている。週末などには凝った料理を作るため、ニーズは大きいとみている。
 認知度の向上に向け広告などの販促費も前年比三割増やす。取扱店はホームセンターや園芸店を中心に従来比五割増の約千八百店に広げる。栽培の方法やトマトを使った料理のメニューなどを載せた約二十ページの小冊子も新たに八十万部用意。従来は店頭に置くだけだったが、初心者向けの園芸雑誌に挟み込む。
 野菜苗はサカタのタネなど種苗会社が強いが、農家向けが中心で、一般家庭がベランダなどで少量だけ育てるような商品は手薄だった。サントリーは珍しい品種をそろえるとともに、コールセンターで栽培方法を説明するなどきめ細かな対応で対抗する。
 サントリーフラワーズは花が中心。売上高はここ数年横ばいが続いており、二〇〇八年十二月期は四十二億円の見通し。野菜苗を花に続く主力事業に育てる考えだ。

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20081204 日本経済新聞 朝刊

 不動産投資信託(REIT)の運用環境は厳しさを増している。金融市場の混乱で公募増資や投資法人債の発行が難しく、資金調達は事実上、銀行からの借入金に頼らざるを得なくなっている。信用力が低い中小REITでは銀行が借り換えに応じないケースや、高い金利を求められるケースも目立つ。厳しい状況が続けば、合併・再編が加速する可能性もある。
 REITは利益のほぼ全額を分配金の形で投資家に還元するため、内部留保が少なく必要な資金を外部調達に頼っている。市場の値動きを示す東証REIT指数は昨年五月の高値から約七割下落。十月に破綻したニューシティ・レジデンス投資法人は物件購入の中止で支払う違約金などの資金を調達できず、運用に行き詰まった。
 多くのREITは現在、新規の物件取得を見送っている。ただ貸し手の銀行も体力が低下しており、ローンの借り換えもままならないのが実情。プロスペクト・レジデンシャル投資法人は、十一月下旬の借り換えで金利が約一・七%から六・八%に跳ね上がった。
 来年以降は投資法人債の償還を迎えるREITも多い。機関投資家は債券の借り換えに慎重とみられ、償還資金の工面に苦慮するREITが出てくるとの見方もある。
 国土交通省や金融庁は税制見直しなどでREITの合併・再編を後押しする仕組みづくりを急いでいる。綱渡りの資金繰りを強いられる中、合従連衡を模索するREITが増える可能性もある。


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20081204 日本経済新聞 朝刊

ネット活用の強み生かす
 インターネットで生命保険を販売するライフネット生命保険が、生保商品の「原価」の開示を始めた。契約者が払う保険料のうち、保険金の支払いにどのくらい充てられ、保険会社の利益や経費にどのくらい回るかが全面的にわかるのは業界で初めて。
 経営の透明性を高めるとともに、営業職員を持たず経費を抑えられるネット生保の強みをアピールする。
 生命保険料は保険金支払いに回る「純保険料」に、保険会社のもうけや経費に回る「付加保険料」が上乗せされる。ライフネットは純保険料と付加保険料の内訳をホームページで全面開示。契約者はコールセンターに問い合わせてもよい。
 商品、年齢、性別、保険金額ごとに保険料の内訳がわかる。例えば三十歳男性、保険期間十年、保険金額三千万円の死亡保険では、月三千四百八十四円の保険料のうち、純保険料が二千六百六十九円(七七%)、付加保険料が八百十五円(二三%)となる。
 条件により異なるが、保険料に占める付加保険料の比率は二―三割が多い。大手生保の死亡、医療保険では付加保険料が四―五割を占めることもあるとされ、ライフネットの保険料が大手より安い一因となっている。

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20081204 日本経済新聞 朝刊

 運用成績によって受取額が変わる変額年金保険が、生保各社の経営を揺さぶっている。株価下落による運用不振で穴埋めを迫られており、その金額は二〇〇八年四―九月に住友生命保険など七社で計千九十億円にのぼった。いまの株価水準がつづけば通期ではさらに穴埋めが必要とみられ、各社の利益を圧迫しそうだ。
 変額年金は契約者が数百万円の保険料をまとめて払い、生保が十年間ほど運用した後、年金を受け取る仕組み。多くの変額年金には保険料分の年金額を最低保証する機能がついている。株安で運用が不振なら、生保は将来の年金支払いに備えた責任準備金を積み増さなければならない。準備金の積み増しは期間利益を悪化させる。
 各社の積み増し額は住友生命が五百十九億円、三井生命保険が百八十八億円、T&Dフィナンシャル生命保険が百六十六億円など。積み増しは三井生命が九月中間期に経常赤字になった一因だ。〇八年三月期の積み増し額は通期で計千百億円だったが、半期でこれに並んだことになる。
 一方、ハートフォード生命保険が五億円、三井住友海上メットライフ生命保険とアイエヌジー生命保険はゼロなど、販売額が多いのに積み増し額が少ない生保もある。再保険を使ってリスクを他の保険会社に移転しているためだ。
 ただ、世界的な株安で変額年金の再保険料は高騰しているとされ、今後は再保険を利用すると採算が大幅に悪化する可能性もある。

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20081204 日本経済新聞 朝刊

 二〇〇九年度予算編成の基本方針はシーリングの扱いを「堅持」から「維持」へと改めた。「状況によって果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」との文言も盛り込まれた。実際の予算編成で、小泉政権以来の歳出抑制路線にどんな影響を与えるのか。財務省は財政規律のタガが外れることへの警戒を強めている。
 財務省は公共事業費の三%削減は揺るがないとみている。問題は政府・与党内で浮上している特別枠の扱い。この中に巨額の公共事業費が入ってくると、事実上の尻抜けになってしまう。
 特別枠の創設について財務省は、当初予算で上積みを認めれば一般会計予算の膨張を招くとして否定的だ。シーリング決定時に設けた重要課題推進枠(三千三百億円)にとどめ、追加の歳出を盛り込むなら補正予算に回したい考え。
 財務省が特別枠に慎重なのは財源確保が難題だからだ。特別会計からの流用は一時的なもので「三年間で十兆円」といった歳出の財源になじまない。
 建設国債を充てる案もあるが、税収減によって増発を見込む国債発行に拍車がかかる。
 社会保障費の伸びを二千二百億円抑制する方針も事実上、棚上げとなる見通しだ。舛添要一厚生労働相は三日の閣議後、記者団に「新たな財源手当てがなければ予算編成は不可能に近い」と強調。政府はたばこ税増税で一千億円程度を捻出(ねんしゅつ)する方向で検討している。
 三日の自民党総務会では「二千二百億円の削減はやるのかやらないのか」と迫った尾辻秀久参院議員会長に、内閣府の宮沢洋一副大臣が「政治的には(削減は)ない」と応じた。

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