20081205 日本経済新聞 夕刊

 政府・自民党は五日、預金の利子や株式の譲渡益、配当などを一体で課税する金融所得一体課税の導入を、当初予定していた二〇一一年から一年先送りする方針を固めた。追加経済対策の一環として株式譲渡益課税の優遇税率を一一年まで三年延長させるため、証券投資のみに優遇税制を設けたまま、ほかの金融商品と一体で課税するのは困難と判断した。十二日決定する予定の〇九年度与党税制改正大綱に盛り込む。
 株式譲渡益と配当に適用してきた軽減税率(一〇%、本則二〇%)は当初、来年以降段階的に戻される予定で、金融所得一体課税の導入時にはすべての金融商品の所得にかかる税率が二〇%でそろうはずだった。だが、証券優遇税制の三年間延長に伴い、政府・与党内で「一体課税は制度上、無理がある」との声が出ていた。一体課税開始には、銀行や証券会社などの間で情報をやりとりする新システムが必須。金融機関などの負担を考慮する必要も指摘されていた。
 昨年の税制改正で決定した〇九年からの株式の譲渡損と配当の損益通算は、現在の株安局面での投資家保護も考え、予定通り実施する方針だ。麻生太郎首相が追加経済対策で打ち出した少額投資優遇税制も、一体課税の導入にあわせ一二年に開始する方向だ。英国の個人貯蓄口座(ISA)にならい、一定額の株式投資の配当や譲渡益を非課税にする「日本版ISA」を一体課税の導入時に創設する案が浮上している。



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20081205 日本経済新聞 夕刊

 自民党税制調査会(津島雄二会長)は五日、二〇〇九年度税制改正で、日本企業が海外子会社から受け取った配当を非課税とする方針を固めた。海外で得た利益を国内に還流させるのが目的だ。日本の海外現地法人が持つ内部留保の残高は〇六年度に約十七兆二千億円と過去最高水準に膨らんでいる。資金の国内還流で国内投資や研究開発の活性化を狙う。
 非課税対象とするのは、日本の親会社が、経営実態のある海外子会社から受け取る配当。六カ月以上の期間にわたって、二五%以上を出資していることを条件にする案を軸に財務・経済産業両省と最終調整に入った。
 非課税とする受取配当額については(1)配当額の一定割合(2)配当の受け取りにかかる費用を配当額から差し引いた額――などの案が出ている。今後詳細を詰め、十二日に決める〇九年度与党税制大綱に盛り込み、来年度から実施する予定だ。
 現行の日本の法人税制は、企業の海外所得も課税対象にする「全世界所得課税制度」。海外子会社から受け取る配当収入には、世界的に高い水準にある法人税(実効税率約四〇%)が課されている。
 例えば日本企業が法人税率二〇%の国で稼いだ利益を日本に戻した場合、現行制度では約四〇%の日本の法人実効税率との差である約二〇%が追加で課税されてしまう。一方、税率の低い海外に利益を残しておけば二〇%の課税で済む。この違いが海外利益の国内還流を妨げる一因となっていた。
 日本企業の海外現地法人の内部留保は〇六年単年度で三兆二千四百二億円に上る。経産省などは内部留保の増加がこうした税率の低い海外に利益を残す企業行動にあるとみなし、税制改正を求めてきた。
 海外法人の利益の国内還流を促す方策を巡っては、麻生太郎首相が就任直後に新たな制度の導入を表明。これを受けて十月末に策定した政府の追加経済対策で「海外子会社利益の国内還流」との文言が盛り込まれたほか、政府税制調査会(首相の諮問機関)も来年度税制改正の答申で提言していた。



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20081204 日本経済新聞 地方経済面

 一部の県が六十五―七十四歳の障害者に後期高齢者医療制度への加入を事実上強制している問題で、山形県は三日、二〇〇九年四月をメドに是正する方針を固めた。
 同県の重度心身障がい者医療給付制度では県単独の医療費助成を受けるには後期高齢者医療制度への加入が要件。未加入者の補助は打ち切られるため「事実上の強制加入」との批判が出ていた。対象者は約四千人。県は来年四月にも加入要件を撤廃し、財源として〇九年度予算に六千八百万円を計上する方針だ。
 同問題で厚生労働省は今年七月、十道県に改善を要請。山口県は是正したが、山形県はこれまで見直しに動かなかった。


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20081204 日本経済新聞 地方経済面

 広島県は三日、七億六千九百万円の補正予算案をまとめた。新型インフルエンザ対策の医療機器設置助成に約六千万円、耐震補強などの学校施設整備に約三億九千万円を計上。病院関連では尾道市に移管後の運営経費を支給するほか、移管に伴う特別損失を約二億九千万円計上する。四日開会する定例県議会では予算案のほか、県税条例の改正などを議案として提案する。


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20081204 日本経済新聞 名古屋朝刊

還元セールでも節約志向
 師走に入り、世界を覆う金融危機や円高の進行が、中部地方の外国人留学生や観光地に暗い影を落とし始めている。留学生は生活に悲鳴を上げ、観光地の宿泊施設では年末以降の予約の出足が鈍く、今後の影響を懸念する。一方、円高還元セールで輸入品の値下げが相次ぐ中、財布のひもを引き締める消費者には、歓迎とあきらめムードが漂う。
 「生活への余裕が無くなってきた」。名古屋市港区の韓国出身の留学生、趙宗熙さん(25)はため息をついた。
 今春から一年間、愛知県内の大学でデザインを専攻。日本での生活費は、実家からの毎月百万ウォンの仕送りで賄う。九月ごろまでは円換算で約十万円。寮の入居費や食費などを賄い、自由に使えるお金は一万―二万円という生活だった。しかし急激なウォン安で現在では六万三千円程度まで“目減り”。
 趙さんはスーパーで特売品を選ぶ節約生活を続け、十一月からは韓国料理店でアルバイトを始め、不足分を補う。「働かないと生活できず、大学の課題制作の時間が削られてつらい」と漏らす。前倒しで帰国した友人もいるという。
 中部三県の大学・専門学校などには約七千九百人の外国人留学生が通う。約三百人を抱える南山大学(名古屋市)では留学生向けの奨学金申請は現在、前年比二割近く増加。円高による生活苦が理由の例が目立つ。アルバイトの許可申請数も二割程度増え、「この状況が続けば支援策も検討しなければならない」(同大)。
「戻るまで我慢」
 中部地方の観光地は最近、海外の旅行客に人気だったが、「宿泊予約に影響が出始めた」。飛騨の小京都といわれる岐阜県高山市。飛騨高山旅館ホテル協同組合理事長を務める「ひだホテルプラザ」の社長、堀泰則さん(60)は嘆く。
 例年、年末から三月は台湾を中心としたアジア客のピークで、約二割が外国人宿泊客だ。堀さんは「円高が二割進めば、宿泊客は二割減る」と予測。年末年始の国内客の予約は例年より増えており、「円安になれば、(海外からの)客足は戻ってくる。それまで我慢するしか」と話した。
 同市では海外からの宿泊数は昨年度約十三万人。二年前に比べ約四万人増だ。「今後、影響が出てくるかもしれず、先行きが不安」(市観光課)
「値下げ続いて」
 大手スーパー「ジャスコ熱田店」(名古屋市)では十月以降、輸入食品を値下げ。一部の輸入牛肉が半額に下がり、ワインも二割ほど安い。
 「思わず、(輸入品を)買い込んでしまいたくなる」と話すのは、同市熱田区の主婦、藤永純子さん(40)。食料品の高騰が続いた一年前に比べ、一回の買い物では三百円程度の出費が減ったといい、「このまま値下げが続いてほしい」と訴えた。
 輸入牛肉を購入した同区のパート女性(55)も「ありがたい」と喜んだ。ただ、家計は厳しく、週二回の買い物を一回に。「まとめ買いで節約を心がけている」と話した。
 名古屋市内の大手百貨店でも十月から円高還元セールを実施。高級輸入ブランド品が並ぶ。愛知県常滑市の男性会社員(50)は高級腕時計を眺め、「今は貯金。買うのは我慢する」と悔しそう。飲食店の女性経営者(52)は「今、買った方がいいと思うが……。思い切って買えない」と高級バッグを棚に戻した。


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