20081205 日本経済新聞 夕刊

 自民党税制調査会(津島雄二会長)は五日、二〇〇九年度税制改正で、日本企業が海外子会社から受け取った配当を非課税とする方針を固めた。海外で得た利益を国内に還流させるのが目的だ。日本の海外現地法人が持つ内部留保の残高は〇六年度に約十七兆二千億円と過去最高水準に膨らんでいる。資金の国内還流で国内投資や研究開発の活性化を狙う。
 非課税対象とするのは、日本の親会社が、経営実態のある海外子会社から受け取る配当。六カ月以上の期間にわたって、二五%以上を出資していることを条件にする案を軸に財務・経済産業両省と最終調整に入った。
 非課税とする受取配当額については(1)配当額の一定割合(2)配当の受け取りにかかる費用を配当額から差し引いた額――などの案が出ている。今後詳細を詰め、十二日に決める〇九年度与党税制大綱に盛り込み、来年度から実施する予定だ。
 現行の日本の法人税制は、企業の海外所得も課税対象にする「全世界所得課税制度」。海外子会社から受け取る配当収入には、世界的に高い水準にある法人税(実効税率約四〇%)が課されている。
 例えば日本企業が法人税率二〇%の国で稼いだ利益を日本に戻した場合、現行制度では約四〇%の日本の法人実効税率との差である約二〇%が追加で課税されてしまう。一方、税率の低い海外に利益を残しておけば二〇%の課税で済む。この違いが海外利益の国内還流を妨げる一因となっていた。
 日本企業の海外現地法人の内部留保は〇六年単年度で三兆二千四百二億円に上る。経産省などは内部留保の増加がこうした税率の低い海外に利益を残す企業行動にあるとみなし、税制改正を求めてきた。
 海外法人の利益の国内還流を促す方策を巡っては、麻生太郎首相が就任直後に新たな制度の導入を表明。これを受けて十月末に策定した政府の追加経済対策で「海外子会社利益の国内還流」との文言が盛り込まれたほか、政府税制調査会(首相の諮問機関)も来年度税制改正の答申で提言していた。



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