20081213 日本経済新聞 朝刊

〔税制抜本改革の意義と必要性〕
 日本財政は債務残高対国内総生産(GDP)比が約一五〇%という危機的な状況。社会保障費について抑制のみによって対応していくのは適切でない。社会保障制度は給付に見合った安定的な財源を確保し、負担先送りを断ち切らなければならない。
 消費税を社会保障の主要な財源に充てることが合理的であり適当。社会保障給付や少子化対策の費用について消費税を主要な財源とした財源確保の道筋をつけるべきだ。
 消費税率の見直しは今、実施のタイミングにない。国民の要請に応えるためには経済状況好転後、速やかに税制抜本改革を実施する必要がある。
〔税制抜本改革の道筋〕
 基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げのための財源措置や、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しを踏まえ、消費税を含む税制抜本改革を経済状況の好転後に速やかに実施し、一〇年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立。必要な法制上の措置をあらかじめ講じておく。経済動向の変化に弾力的に対応。上記の道筋を立法上明らかにする。
1 個人所得課税は各種控除や税率構造を見直す。最高税率や給与所得控除の上限の調整などで高所得者の税負担を引き上げる。給付付き税額控除の検討を含む総合的取り組みの中で中低所得者世帯の負担軽減を検討。
2 法人課税は課税ベースの拡大と法人実効税率の引き下げを検討する。
3 消費課税は全額が社会保障給付と少子化対策に充てられることを明確化した上で税率を検討。複数税率の検討など総合的な取り組みを行う。
4 自動車関係諸税は簡素化を図るとともに、税制のあり方、暫定税率を含む税率のあり方を総合的に見直す。
5 資産課税は格差固定化防止などの観点から相続税の課税ベースや税率構造などを見直す。
6 納税者番号制度の導入準備を含め利便向上と課税適正化を図る。
7 地方消費税充実を検討。地方法人課税のあり方を見直す。
8 低炭素化促進のため税制全体のグリーン化を推進する。


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20081213 日本経済新聞 朝刊

 《国税》
 ▽取引相場のない株式などに係る相続税の納税猶予制度などの創設
 経営承継相続人が非上場会社を経営していた被相続人から相続などによりその会社の株式などを取得し、会社を経営していく場合には、経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続などにより取得した議決権株式などに係る課税価格の八〇%に対応する相続税の納税を猶予。
 ▽取引相場のない株式などに係る贈与税の納税猶予制度の創設
 (1)後継者が経済産業相の認定を受ける非上場会社を経営していた親族から贈与により保有株式などの全部を取得し、会社を経営していく場合には、その猶予対象株式などの贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予。
 (2)贈与者の死亡時には猶予対象株式などを相続により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算する。
 ▽市街化区域外の農地に係る相続税の納税猶予に次の措置を講じる。
 (1)農業経営基盤強化促進法に基づき貸し付けられた農地を適用対象。
 (2)市街化区域外の農地の特例適用を受ける場合は、二十年間の営農継続で猶予税額が免除される措置を廃止する。
 (3)猶予期間中に身体障害などやむを得ない事情で営農継続が困難となった場合は農地の貸し付け(営農の廃止)をしたときも納税猶予を継続。
 (4)災害・疾病などやむを得ない事情のため、一時的に営農できない場合は営農継続しているものとする取り扱いを明確化する。
 (5)納税猶予適用者が特例適用農地を譲渡した場合に納付する猶予税額に係る利子税について税率を年三・六%(現行年六・六%)に引き下げ。
 (6)農用地区域内の特例適用農地を農業経営基盤強化促進法の規定に基づき譲渡した場合は、総面積の二〇%を超えても、納税猶予の取り消し事由としない(譲渡した割合に応じた猶予税額及び利子税を納付)。
 《国税》
 ▽地方道路税について都道府県及び市町村(特別区を含む)に対し道路の費用に充てる財源を譲与するとの目的規定を都道府県及び市町村に対し財源を譲与するとの目的規定に改め、その名称を地方揮発油税(仮称)に改める。
 《地方税》
 (1)自動車取得税及び軽油引取税を目的税から普通税に改め、使途制限を廃止する。
 (2)地方道路譲与税の名称を地方揮発油譲与税(仮称)に改め、地方揮発油譲与税(仮称)、石油ガス譲与税及び自動車重量譲与税の使途制限を廃止する。
 (3)軽油引取税の課税免除措置についてはエチレンその他の石油化学製品を製造する者がその原料の用途に供する軽油に係るものは引き続き地方税法本則による措置とし、その他は三年間の措置とした上で存続する。
 (4)軽油引取税に係る営業用バス、トラックの交付金措置を、軽油引取税の暫定税率も含めた税率の検討がなされる今後の税制抜本改革時までの間延長する。
 《国税・地方税》
 ▽〇九年一月一日から一一年十二月三十一日までの間の上場株式などの配当所得及び譲渡所得などに対する税率を一〇%軽減税率(所得税七%、住民税三%)とする。
 ▽少額の上場株式など投資のための非課税措置の創設
 (1)上場株式などの配当所得及び譲渡所得などに係る一〇%軽減税率が廃止され二〇%本則税率が実現する際に、以下を骨子とする少額の上場株式など投資のための非課税措置を創設する。
 (1)居住者など(満二十歳以上の者に限る)は金融商品取引業者などの営業所に非課税口座を開設できるものとする。
 (2)非課税口座において当該口座を開設した日の属する年の一月一日から十年内に生ずる上場株式などに係る配当所得及び譲渡所得などには所得税と住民税を課さない。
 (2)金融所得課税の一体化については金融商品間の課税方式の均衡化や上場株式などの配当所得と譲渡所得などとの間における損益通算の範囲の拡大を踏まえ、引き続き検討。
 ▽確定拠出年金制度
 (1)企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛け金はその全額を所得控除の対象とする。
 (2)確定拠出年金の拠出限度額は次の通り引き上げる。
 (1)企業型は他の企業年金がない場合は月額四万六千円から五万千円に、他の企業年金がある場合は月額二万三千円から二万五千五百円に。
 (2)個人型は企業年金がない場合は月額一万八千円から二万三千円に引き上げる。
 ▽生命保険料控除の改組
 (1)所得税
 (1)生命保険契約などのうち介護(費用)保障または医療(費用)保障を内容とする主契約または特約に係る保険料などについて、現行の一般生命保険料控除と別枠で四万円の所得控除(介護医療保険料控除)を創設する。
 (2)一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額をそれぞれ四万円(現行五万円)とする。
 (3)一二年分以後の所得税について適用する。
 (2)個人住民税
 (1)生命保険契約などのうち介護(費用)保障または医療(費用)保障を内容とする主契約または特約に係る保険料などについて、現行の一般生命保険料控除と別枠で、二万八千円の所得控除(介護医療保険料控除)を創設する。
 (2)一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額をそれぞれ二万八千円(現行三万五千円)とする。
 (3)一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の適用がある場合における合計適用限度額は七万円とする。
 (4)一三年度分以後の個人住民税について適用する。
 《国税》
 ▽間接外国税額控除制度は廃止する。内国法人が外国子会社から受ける配当などの額について、内国法人の各事業年度の所得金額の計算上、益金の額に算入しないこととする制度を創設する。
 ▽電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除制度の適用期限を二年延長する。
 《地方税》
 ▽新幹線の開通によりJRから経営分離した並行在来線の鉄道施設に関する固定資産税と都市計画税の特例措置、不動産取得税の非課税措置を七年延長する。
 《国税・地方税》
 定額給付金には所得税と個人住民税を課さない。


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20081213 日本経済新聞 朝刊

 自民、公明両党は十二日、二〇〇九年度与党税制改正大綱を決定した。今後二年間に購入した土地の譲渡益に非課税枠を設け、三年間の時限措置で自動車関係諸税を軽減するなど短期集中での景気刺激策に重点をおいた。中期的な税制抜本改革では、消費税増税のほか法人税率引き下げや所得税の最高税率の引き上げ方針を明記した。(関連記事2、3、5、13面、税制改正大綱の要旨4面に)
 大綱は麻生太郎首相が掲げる「三年以内の景気回復」を意識した内容となった。大きな増税項目はなく、国税と地方税を合わせた減税規模は平年度ベースで総額一兆八百億円。政府は来年の通常国会に税制改正法案を提出し、税制改革の全体像を示す「中期プログラム」にも大綱を反映する。
 景気底上げの目玉は土地・住宅税制の拡充。住宅ローン減税は十年間で最大六百万円の税額控除を実施。土地税制では現行の軽減措置について登録免許税は二年、不動産取得税は三年延長する。
 〇九―一〇年に購入した土地を対象とする譲渡益課税の非課税枠は、個人・法人を問わず利用可能だ。中小企業を重点的に減税し、現行の法人税の軽減税率(二二%)を来年度から二年間は一八%に引き下げる。低迷する株式市場の対策としては、〇九―一一年の三年間、上場株式などの譲渡益と配当にかかる税率を一〇%(本則二〇%)に軽減する。
 揮発油税などの道路特定財源の一般財源化に関しては本来の税率を上乗せした暫定税率分も含め税制全体の抜本改革時まで現行税率を原則維持する方針を盛り込んだ。
 消費税増税を含む税制の抜本改革を巡っては「経済状況の好転後に速やかに実施し、二〇一〇年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立」と言及するにとどまった。一方で抜本改革時に(1)国際的に高い法人税の実効税率(約四〇%)の引き下げ(2)所得税の最高税率(四〇%)の引き上げ(3)納税者番号制度の導入準備――などを実施する方向を盛り込んだ。


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20081212 日本経済新聞 地方経済面

 東京都内の区市町村が集めた介護保険料のうち、使い切れずに余った剰余金「介護給付費準備基金」が二〇〇八年度末時点で総額四百億円規模に達することが十一日分かった。〇六年四月に導入された新サービスの利用が低調で、事業者への支払い額が計画を下回るため。来年四月から保険料が見直されることになっているが、都は区市町村が準備基金を取り崩せば、〇九―一一年度の保険料は上がらず〇六―〇八年度と同水準になるとみている。
 介護保険は一割の自己負担のほか、国・都道府県・区市町村の負担分、六十五歳以上の人の保険料、四十―六十四歳の人の保険料が財源。六十五歳以上の人の保険料が使い切れなければ、各区市町村が準備基金に積み立てる仕組みだ。
 都によると、〇六年度末の都内の準備基金総額は約二百三十五億円。〇七年度と〇八年度も百億円規模で積み上がる見込みで、〇八年度末の基金総額が四百億円を超えるのが確実な見通し。
 保険料は国が示した枠組みに基づき、三年ごとに各区市町村が決める。都内の〇六―〇八年度の月額保険料の基準額は平均四千百二円。介護が必要な高齢者の増加などで、〇九―一一年度は本来は引き上げられるはずだが、国は準備基金の原則額取り崩しを求めている。このため、都は準備基金が取り崩されることで「保険料は〇六―〇八年度と同水準になる」(福祉保健局)と試算する。
 多額の準備基金が生じる背景には、〇六年の介護保険制度改正の誤算がある。
 この制度改正では、地域住民が短期間の宿泊や通所で利用する「小規模多機能型居宅介護」などの地域密着型サービスや、介護予防サービスが導入された。ところが、これらのサービスは「採算が合わない」「使いたくない」など、事業者や利用者の不満が多い。都内で予防サービスで事業者に支払われた金額は、計画に対して三割(〇六年度)にとどまる。
 ただ、準備基金は区市町村ごとに残高が異なっている。そのため、基金残高が多い自治体と比較的少ない自治体で、〇九―一一年度の保険料水準には格差が生じる可能性もある。


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20081212 日経MJ(流通新聞)

 イオン系のドラッグストア、CFSコーポレーションは薬剤師が自宅を訪れ、患者に医薬品を届けたり、服薬指導などをしたりする在宅医療向け調剤事業を強化する。三年後をメドに対応可能な拠点を現在の二倍以上に増やし、利用者数を二・五倍の五百人以上に伸ばしたい考え。入院から在宅へシフトする国の医療費抑制策で需要拡大が期待できると判断した。
 現在、在宅調剤が可能な拠点は横浜市などに三カ所あるが、神奈川県内などで少なくとも六カ所以上に増やす方向で検討している。管理栄養士による食事指導なども組み合わせることで「トータルヘルスケアの事業モデルを構築したい」(石田岳彦社長)という。
 来年六月の改正薬事法施行で、スーパーなど異業種を交えた大衆薬の価格競争は必至。収益基盤の多様化に向けドラッグストア各社は調剤事業を強化しており、CFSコーポも三年後には調剤室を併設した店舗の割合を現在の二六%から四〇%に高める計画。


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