20081212 日経産業新聞

血管の状態、短時間で検査
 熊本市の日本赤十字社熊本健康管理センターは、予防医学の分野で先進的な取り組みを進めてきた。一九七八年の設立から三十年、健康診断や人間ドックに新たなサービスや設備を導入。利用者の健康管理に効果的な方法を探り続けている。
 頭から足まで血管の状態を一度に確認――。同センターは四月、全国初の「メタボ血管ドック」を始めた。メタボリック(内臓脂肪)症候群の関心が高まるなか、動脈硬化などが起きやすい血管に着目。磁気共鳴画像装置(MRI)による頭部の血管撮影、頸(けい)動脈の超音波検査など六つの診断を一貫して受けられるようにした。
 最大の特徴は迅速さ。一連の検査は二―三時間で終わり、数時間のうちに結論が出る。精密検査が必要な場合はその日のうちに隣接する熊本赤十字病院で対応が可能だという。地元で注目を集めたことで実施も定員五人の週一回から八人・二回に拡大、利用者は延べ二百人を超えた。旅行会社と組み、熊本観光をセットにした東京発の旅行商品も企画している。
 同センターの人間ドックは二〇〇七年に一日コースを二万五千人、二日コースは九千人が利用した。生活習慣病の検査は三万七千人が受診。各種がん検診の利用者は延べ約二十万人に達した。
 丸林徹所長が掲げる理念は「利用者一人ひとりに向かい合って病気を予防すること」。メタボ血管ドック以前にも利用者の需要に応える企画を手がけてきた。八四年には全国初の超音波がん検診を始めている。脳腫瘍(しゅよう)や肺がん発見の精度が高いメチオニンやアセテートを使った陽電子放射断層撮影装置(PET)も三年前に導入した。
 〇三年から熊本大学、熊本県などとコンソーシアムを結成。健診や日常生活の情報をサーバーに蓄積し、健康指導に役立てる情報基盤「私の健康履歴」を開発した。健康保険組合などと協力して実証実験も手がけた。健診結果のほか、日々の運動量や摂取カロリーなどをインターネットで集約し、希望者に適切な健康指導も実施した。
 これから取り組むのが医療機関との連絡体制の整備。「健診だけではなく、フォローにも責任を持つ」(丸林所長)という。健診や人間ドックの利用者に、県内の最適な医療機関を紹介できる体制を整える。受診の有無や診断状況などの情報も医療機関と交換する。
 がん検診で精密検査が必要とされたのに、受診していない利用者には連絡を入れる予定。医療機関から提供された診療の情報は、診断の精度向上にも役立てる。
 同センターは地元企業や大学と県内健康産業の活性化を進め、人材育成にも熱心。西南戦争で日本の赤十字が誕生した場所でもある熊本で、病気を未然に防ぐ基盤づくりに一段と力を入れる。
(熊本支局 宮坂正太郎)


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20081212 日本経済新聞 朝刊

北越銀行は定期預金で運用してもこれまでの給付水準が維持できる確定拠出年金(日本版401k)プランを開発した。従業員の理解が得やすいため二〇一二年に廃止される適格年金制度からスムーズに移行できる。新プランを武器に年間十社程度の401k新規受託を目指す。


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20081212 日本経済新聞 朝刊

 自民、公明両党が二〇〇九年度税制改正でたばこ税の引き上げを見送る方針を固めた背景には自民党税制調査会(津島雄二会長)を中心とした根強い反対論があった。政府・与党の調整不足も露呈した格好で、今後の政権運営に不安の声も上がっている。
 「そんな考えはもとよりおかしい。たばこ税は社会保障の特定財源ではない」。党税調顧問の町村信孝前官房長官は十一日、二千二百億円目標に関連したたばこ税増税案に強い批判を浴びせた。
 たばこ税の増税は社会保障費の伸びを年二千二百億円抑制する目標を緩めることに伴う財源対策として浮上していた。だが、党税調がこれまで開いた幹部会合では、増税反対論ばかり。支持の声はほとんどなかった。全議員が参加できる小委員会では、厚生労働関係議員を中心に増税を求める声が上がったものの、大きな流れはつくれなかった。
 党税調が不信感を抱いたのは政府内の動きだ。四日には中川昭一財務相と舛添要一厚生労働相が会談し、たばこ増税分を二千二百億円目標に伴う財源に充てる方針で一致。税制改正は「党税調の専管事項」(税調幹部)と言われるなかで、両閣僚が党税調の議論に先行して増税方針を打ち出したからだ。
 「まず財務相が『財政が厳しいので増税を検討してほしい』と党税調に要請してから始まる」。複数の党税調幹部はこう言い続けたが、結局十一日までに財務相からの増税要請はなかった。閣僚合意は党税調と連携せず、たなざらしになったまま終わった。


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20081212 日本経済新聞 朝刊

 保護者が国民健康保険の保険料を滞納したため「無保険」になっている中学生以下の子どもに短期の保険証を交付する国民健康保険法改正案が、十一日の衆院本会議で全会一致で可決、参院に送付された。今国会で成立する見通し。

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20081212 日本経済新聞 朝刊

たばこ増税見送り 代替策にも難題
 与党がたばこ増税の見送りを決めたことで、二〇〇九年度予算編成で社会保障費の伸びを二千二百億円抑制する政府方針が暗礁に乗り上げた。麻生太郎首相は十一日、たばこ税に代わる「新たな財源」の確保を与党に指示。政府・与党内では来年度から一般財源化する道路特定財源の一部を充てる構想や、特別会計の積立金を充てる案などが浮上しているが、調整は難航必至だ。(1面参照)
 たばこ税の引き上げが政府内で急浮上したのは先月末。麻生首相が抑制方針の見直しを示唆したことを踏まえ、財務省などが増税分を原資とみなすことで、実際の抑制額を一千億円程度圧縮する検討に着手した。しかし総選挙を控えた与党内には増税への慎重論が強く、自民党税制調査会は十一日、来年度の引き上げを見送ることにした。
 これを受け麻生首相は同日夕、自民党の保利耕輔政調会長を首相官邸に呼び、「新たな財源の確保のため、責任を持って対応してもらいたい」と指示した。河村建夫官房長官はその後の記者会見で「首相は二千二百億円の削減は限界との認識を持っている」と指摘。歳出を削るのではなく、新たな財源を確保することで抑制額を穴埋めする策が検討の軸になるとの見通しを示した。
 与党内では、道路特定財源の一部を回す案が取りざたされている。ただ道路整備費を削ろうとすれば、道路族が反発するのは必至とみられる。
 十兆円強ある財政投融資特別会計の積立金の活用を唱える声もある。しかし概算要求基準では、穴埋めの前提を「新たな安定財源が確保された場合」に限定している。「埋蔵金」はいったん取り崩せばそれきりで、財務省は「安定財源と呼ぶにはほど遠い」(幹部)との立場だ。
 財務省は歳出の抑制をなお模索する。千六百億円にのぼる雇用保険への国庫負担削減を求めるが、厚生労働省は「雇用情勢が悪化し、労使の賛同が得られない。法案を作っても与党が反対する」(幹部)と反発。今年度予算に引き続き後発医薬品の利用促進も検討するが、削減効果は数百億円どまりだ。
 二千二百億円の抑制方針はすでに事実上、破綻している。今年度は旧政府管掌健康保険への国庫負担を大企業の健康保険組合に肩代わりさせることで一千億円余りを削減する予定だったが、そのための特例法案はこの臨時国会で廃案となることが決まったからだ。政府・与党内では、抑制方針そのものの撤回を求める声もくすぶっている。


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