20080730 日本経済新聞 地方経済面

 中国電力は二十九日、電気料金の見直しを経済産業相に届け出た。原燃料価格の高騰で燃料費が上昇しており、コスト上昇を料金に反映しやすくする。原油価格が現在の水準で高止まりすれば、来年一月以降に標準家庭で八百円を超える値上げとなる公算が大きい。ガス料金も値上げされる見通しで、家計への負担が一段と増す。(企業面参照)
 九月一日からの料金改定により、一キロリットルあたりの基準燃料価格をこれまでより三四%増の二万六千円に引き上げる。燃料費の上昇分を三カ月ごとに自動で引き上げる「燃料費調整制度」では、あらかじめ決めた基準価格が五割を超えて上昇した場合、電力会社の負担となる。今回の算定基準の引き上げにより、燃料費の上昇を料金に反映しやすくする狙い。
 改定により、来年一月以降の電気料金は大幅値上げとなる可能性が高い。足元の輸入原油価格(一バレル一三〇ドル)が続けば、電力使用量が平均的な標準家庭の料金は約八百五十円増の七千九百円程度となる見込み。山下隆社長は「値上げは心苦しいが、電力の安定供給を確保する必要がある」と述べた。
 十―十二月分は燃料費調整制度を実施せず、一時的に全体の電気料金は八月分よりも下がる。「急激な価格の上昇を避ける」(山下社長)という。値上げの先送りで、百五十億―二百億円の減収要因となる。
 燃料費の上昇で、二〇〇九年三月期の連結最終損益が百五十億円の赤字(前期は二百五十二億円の黒字)に転換する見通しと発表した。原油価格の高騰で、燃料費が六百五十億円に達するため。単独では第二次石油ショックだった一九七九年以来、二十九年ぶりの赤字転落となる。原油価格の前提を期初計画の一バレル九三ドルから、一二五ドルに引き上げた。




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20080730 日本経済新聞 地方経済面

 水戸信用金庫(水戸市、西野一郎理事長)は、信金会員向けに保険料を割り引いた医療保険の取り扱いを始めた。商品は損害保険ジャパンの「Dr.ジャパン」。信金会員の場合、毎月の保険料が一割ほど安くなる。水戸信金はがん保険の販売も開始。保険商品の拡充で、投資信託販売の落ち込みをカバーする狙い。
 水戸信金の会員数は企業と個人を合わせて約十万人。損保ジャパンの医療保険は信金会員をひとつの集団とみなし、団体割引を適用させたのが特徴。割引により一般向けの商品に比べ保険料が安くなる。加入条件や保障内容などは一般向けと同じ。
 がん保険はアメリカンファミリー生命保険の商品を採用した。医療保険、がん保険ともに全支店の営業窓口で販売を始めている。販売実績に応じて、各保険会社から水戸信金に手数料が支払われる。
 昨年十二月末の保険窓販の全面解禁により、銀行や信金の窓口で医療保険やがん保険の取り扱いが可能になった。茨城県内では、関東つくば銀行が医療保険やがん保険の販売を始めている。






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20080729 日本経済新聞 夕刊

 政府は二十九日、社会保障分野で緊急に取り組む「五つの安心プラン」をまとめた。医師不足対策として主に産科、救急、へき地医療に携わる医師を集中的に財政支援する方針を打ち出したほか、高齢者雇用や保育サービスの拡充なども盛り込み、今後一―二年で実行を目指す。信頼回復に向けて厚生労働省の組織や業務も見直す。ただ必要な財源規模は不明確で、実現に向けては課題が多く残る。(解説2面に)
 プランは福田康夫首相の指示で舛添要一厚労相ら関係閣僚がまとめ、同日午前の閣僚懇談会で報告した。(1)高齢者への対応(2)医療体制の強化(3)子育ての支援(4)雇用対策(5)厚労行政の信頼回復――の五分野で、計百五十以上の項目を列挙。実行に向けた工程表もまとめ、大半は来年度予算の概算要求に盛る。法整備が必要な施策は秋の臨時国会や来年の通常国会への関連法案の提出を目指す。
 高齢化社会への対応としては、「六十五歳以上」の雇用継続の推進を打ち出した。雇用保険などを財源に、継続雇用に取り組む企業を支援する。これまで「六十五歳まで」の雇用を重視してきたが、政策の範囲を一段と広げる。
 中期的な課題として、高齢単身女性ら公的年金額が低い人に対し、現行の社会保険方式のもとで税財源で基礎年金を加算する「最低保障年金」の創設を検討する。会社で働く高齢者が老齢厚生年金を受け取る際、賃金に応じて年金額が減る在職老齢年金制度の見直しも検討し、高齢者の働く意欲を高めたい考えだ。
 医療体制の強化も目指す。全体の医師養成数の増加に加え、短期的には産科や救急、へき地などで働く医師を手当などの形で財政支援する。その上で二〇一〇年度の次期診療報酬改定で地域医療の拡充を検討する。
 子育て支援では、保育園と幼稚園の機能を合わせた「認定こども園」の整備を促進する「こども交付金」を創設。マンガ喫茶などで寝泊まりする「ネットカフェ難民」の就労なども支援する。
 相次ぐ不祥事や縦割り組織への批判が多い厚労行政の改革も掲げた。厚労省内に新設する奥田碩トヨタ自動車取締役相談役を座長とする有識者懇談会が組織や業務の見直しを議論する。
 社会保障費を巡っては、政府は来年度予算でも自然増を二千二百億円抑制する方針。医師不足対策などは抑制対象から外し、重要課題推進枠で対応するが、どれだけ財源を手当てできるかは不透明だ。








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20080729 日本経済新聞 夕刊

 総務省が二十九日発表した六月の完全失業率(季節調整値)は四・一%と、前月よりも〇・一ポイント上昇し、二〇〇六年九月以来の高水準になった。厚生労働省が同日発表した六月の有効求人倍率(同)も前月から〇・〇一ポイント下がって〇・九一倍になった。新規求人数も前年同月に比べて一七・九%減少した。厚労省は雇用情勢について、「注意を要する」との基調判断を三カ月連続で据え置いた。
 完全失業率は十五歳以上の働く意思のある人のうち、全く職についていない人の比率。男性の完全失業率は四・二%と前月比横ばい。女性は〇・三ポイント上がって四・〇%になった。厚労省は資源や食料高の家計への影響を指摘。新たに収入を得るために職を探し始めた女性が前年同月と比べ六万人増えたことも、失業率を押し上げる要因になったとみている。
 公共職業安定所(ハローワーク)で求職者一人あたりに何件の求人があるかを示す有効求人倍率は低下傾向が続き、七カ月連続で一倍を下回った。新規求人数は一年六カ月連続で前年同月を下回っている。六月はサービス業が二九・五%減になるなど、九カ月ぶりに主要な産業がすべてマイナスになった。






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20080729 日本経済新聞 夕刊

 福田康夫首相が策定を指示し、政府が二十九日発表した社会保障分野の緊急対策「五つの安心プラン」は、産科医などへの財政支援や厚生労働省の組織の見直しを盛り込み、ほころびの目立つ社会保障の再構築が政権の命運を握るとの危機感がにじむ。だが中身をみると、八月末にまとめる二〇〇九年度予算の概算要求の項目を前倒しして寄せ集めた印象が色濃い。(1面参照)
 プランでは産科、救急などを担う医師の手当への財政支援や、「認定こども園」の整備に向けた交付金の創設などを目玉に据えた。年金記録問題や後期高齢者医療制度の不手際で国民の不満は高まっており、不安解消への取り組みが急務であることは間違いない。
 とはいえ、プランは迫力を欠く。その大きな原因は財源規模を明示していないことだ。政府は社会保障国民会議で秋までに社会保障の大きな将来像を描き、緊急に取り組むべき対策は今回のプランで示すという整理をした。だが多くの施策は例年の概算要求項目と同様に、予算編成が終わるまで、どの程度の実効性を持つ仕組みや規模に仕上がるか分からない。
 国民会議が六月の中間報告で指摘した基礎年金への「最低保障年金」導入も、今回「検討する」としたが、具体論はこれから。大きな柱に掲げた「厚労行政の信頼回復」でも、厚労省の組織や業務を見直す方向性は明確とは言えない。
 少子高齢化で社会保障への国民の期待は膨らみ、かかる費用も増大。財源論を避けたまま総花的にメニューだけを並べても、一つひとつの施策が力強さに欠けるという結果を招きかねない。国民の安心にすぐにつながるかどうかは不透明だ。






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