20080825 日本経済新聞 朝刊

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は公的医療保険、介護保険、障害者向け福祉サービスなど制度ごとに異なる低所得者向け減免措置の基準一元化を十月にもまとめる最終報告に盛り込む。現行の各制度は厚生労働省内の縦割り行政の下、個別に制度設計してきたため、特例措置を受ける際の所得状況の統一基準がなく、手続きにも違いがあった。報告では各制度の個人情報を統一して管理する「社会保障番号制」の導入も提案する方向だ。
 低所得者向けの特例措置は支払保険料の減免やサービス利用時の負担額の軽減が代表的。生活保護の受給者や課税所得が一定以下の利用者などを対象としている。制度ごとの基準の違いは、厚生労働省内の各部局や社会保険庁などを含む縦割りの弊害といえ、過去の制度見直しでも、個別の調整にとどまっていた。
 例えば保険料の減免措置の場合、国民健康保険では本人の所得状況が基準になるが、介護保険では生活保護の受給者であるかどうかや、同じ世帯に市町村民税の課税対象者がいるかなどが目安。利用者から「分かりづらい」との不満が出ていた。
 各制度の個人情報を統一管理する「社会保障番号制」の導入では、利用者がどの制度で特例措置を受けているかを、窓口の自治体が即座に把握できる体制づくりを求める。
 政府は国民会議の最終報告を受けて、法改正を含め必要な見直しに着手する。制度を一元化する場合、従来、減免措置を受けていた層が対象外にならないよう範囲の拡大を迫られる可能性が高い。社会保障番号制の整備にも初期費用がかかるとみられ、財源確保が課題になる。




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20080825 日本経済新聞 朝刊

 家計が払い込んだ生命保険料は二〇〇六年時点で一世帯当たり約五十二万円。一九九〇年代のピークから二割減ったものの、月四万円を超す。低保険料を打ち出し、インターネット専業で生命保険の販売を五月に始めたライフネット生命保険の出口治明社長に、新ビジネスの手応えを聞いた。
 ――ネットで生保を売る狙いはどこに?
 「保険料を安くしたかった。生保保険料は規制価格の純保険料と、自由価格の付加保険料で成り立つが、付加保険料の六割は販売経費だ。既存生保は営業職員を大量に動員し、膨大な労務管理費がかかる。販売コストを抑えるにはネットしかなかった。商品も特約をなくし、シンプルにしてシステム費用を抑えた」
 ――開業からの加入状況はどうですか。
 「七月末時点の契約件数は七百六十件。年齢は想定通り三十歳代が圧倒的に多い。死亡保険金の額は平均二千万円。千五百万円を想定したのでちょっと多い」
 ――ネット加入の利点はどこにありますか。
 「いつでもどこからも入れること。営業職員を介さず自分で申し込むので、従来のような申込書類の入力ミスもない」
 ――顔の見えないネット経由の加入に不安を抱く人もいるのでは。
 「平日は夜十時までコールセンターを開けて対応している。よく、健康状態を虚偽告知する人が増え、保険金の支払いが膨らんで経営を圧迫しないかと指摘されるが、紙の告知に比べて数倍の質問を用意した。ウソの告知はしにくいはずだ」
 ――生命保険選びのポイントは。
 「複数の会社の保険を比べること。昔は生保会社の営業職員を通じて入るしかなかったが、今は家電量販店で品物を選ぶ感覚で保険商品を比べられる。ニーズに合い、少しでも安い商品を選べばいい。保障額も何回か試算してみるといい。ネット生保のサイトでは必要保障額を試算できる」
 「死亡保険の場合、保険期間が十年定期の商品がいいと思う。例えば三十歳から四十歳になる間に家族の構成が変われば、必要な保障も変わる。定期保険は終身保険より保険料は高いが、十年単位で保険を見直すのが合理的だと考えている」
 記者(27歳、配偶者と子供1人)が試算した必要保障額は2800万円で、今の契約内容とそう違わなかった。さらに細かく保険料を比べるには根気も必要。ネットも有効活用して賢く選びたい。(G)


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20080824 日本経済新聞 朝刊

 国土交通省は二〇〇九年度の税制改正要望に地方都市の中心市街地を再生するための「都市環境改善促進税制」の新設を盛り込む方針を固めた。放置された不動産を買い取り、建て替えなどで価値を高めて売却する地元企業などをあらかじめ認定。取引ごとにかかる土地売買に必要な税金を軽減する。中心市街地に人や施設が集まる「コンパクトシティー」づくりにつなげ活性化をめざす。(コンパクトシティーは3面「きょうのことば」参照)
 新制度で想定するのは駅前スーパーの跡地や虫食い、土壌汚染などで現状のままでは活用が難しい遊休地などを対象にした事業。土地の再生を目指す地元企業や、地域の金融機関を中心に立ち上げたファンドなどあらかじめ認定した事業者に登録免許税や不動産取得税を軽減するなどして後押しする。
 「土地転がし」のように転売益を目当てにした行為を防ぐため、認定の際に事業計画を提出させて審査する。
 地元企業と土地を交換するなど都市再生に協力的な地権者も税の軽減が受けられるようにする。既存の補助金制度を拡充し、地元企業などに資金面での支援ができるようにすることも検討する。
 支援対象数や減税規模など具体的な内容は年末にかけて財務省と折衝して詰める。国交省は早ければ〇九年度にも始めたい考えだ。ただ財務省は慎重に検討する構え。
 多くの地方都市では郊外への大型商業施設の出店などで中心市街地が衰退し、放置された不動産も多い。国交省はこうした不動産が中心市街地のゴーストタウン化を招き活性化を妨げているとして、不動産の売買を促すことが必要と判断した。
 歩行者が歩きやすいデッキや緑地を設けるなど、街の魅力を高めようと努力する地元住民や企業を支援するための新しい仕組みも要望する。市街地整備を行う公益法人を市町村長が指定。同法人に土地を売却する人や企業には所得税や住民税、法人税などを軽減する。




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20080824 日本経済新聞 朝刊

 基礎年金の国庫負担割合を将来も二分の一に引き上げず、現行の三六・五%にとどめた場合、自営業者らが加入する国民年金の積立金が二〇四七年度に枯渇するとの厚生労働省の内部試算が二十三日、明らかになった。国民年金を含む全国民共通の基礎年金の給付財源が賄えなくなり、すべての公的年金の給付財源が不足する事態に陥る。
 政府は〇四年の年金改革で〇九年度までに国庫負担を二分の一に上げると決めたが、必要な二兆円余りの財源のメドは立っていない。現行では今世紀半ばから積立金を計画的に取り崩し給付に充てる予定だが、国庫負担を上げなければ積立金の取り崩しが早まる。
 試算では、年金の給付水準を現行制度で約束している「現役世代の手取り収入の五〇%以上」よりも下げ、四〇%強に抑える前提。それでも現在十兆円弱の国民年金の積立金は約四十年後に底をつく。継続審議となっている〇八年度の国庫負担割合を三七%強に上げる法案が成立しても、五三年度には枯渇する。
 近い将来に国庫負担引き上げが実現し対応が遅れた間の財源を補えれば制度は維持できるが、給付水準の引き下げや保険料アップが必要になる可能性がある。



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20080824 日本経済新聞 朝刊

 中国の四川省に続き、日本の東北地方でも大きな地震が発生した。地震による自宅の倒壊や火災のリスクに改めて関心が集まっているが、意外と知られていないのが、火災保険に入っていても地震に関しては本格的な補償は受けられないこと。ではどんな保険に入ればいいのか、どの程度の費用がかかるのかを検討した。
 地震に本格的に備える商品の代表格は、政府と民間が運営する地震保険。普通の火災保険では、地震で自宅が火事になっても、お見舞金的なもの(地震火災費用保険金)が出る程度だが、地震保険に入っておけば、もっと大きな補償を受けられる。
補償額に制限
 いくつか特徴がある。単独では入れず必ず火災保険に付け加える形をとる。また対象は原則居住用の建物だ。さらに補償額に制限がある。火災保険でかけた額の三―五割で、建物は五千万円、家財は一千万円が上限。建物に二千万円、家財に一千万円の火災保険をかける人は、地震保険が建物六百万―一千万円、家財が三百万―五百万円になる。
 保険料は、地震発生の可能性や予想される被害の大きさなどをもとに都道府県別に決まっている。表Aは木造家屋に一千万円(一年契約)をかけたケースの料金表だ。非木造はこの半分程度になる。どの保険会社の火災保険に付帯させても、同じ料金体系が適用される。
 実際の支払額は全損、半損、一部損の三段階に応じて決まるため、常に「満額」が出るとは限らない。この点は後述の共済も似た仕組みだ。また地震保険には一回の地震当たりの総支払額に上限があり、かなり大規模な被害が起きた場合、保険金額が減額される可能性もある(安心クイズ3択参照)。
 地震保険は火災保険の五〇%までしかかけられないが、それでは不安という声もあり、民間損害保険会社は、もう五〇%分を上乗せして一〇〇%補償を可能にする特別な商品も扱い始めた。例えば損害保険ジャパンの「新家庭保険」(凍結水道管の修理費なども補償する火災保険)に入れば、一〇〇%補償も受けられる(料金は表B・(1))。地震への補償が五〇%まででいいなら、もっと安い火災保険で済ますこともできる。
 地震保険以外の選択肢も見てみよう。全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)の「建物更生共済」は、火災共済金に地震などを補償する自然災害共済金などを合わせた内容。地震に対する補償は火災の半分だ。満期金(満期共済金)があるほか、事業用建物にもかけられ、さらに料金が全国一律であるなど、地震保険とは異なる点もある。
 基本的には農業従事者向けだが、それ以外の人向けの利用枠もある。枠が空いていない場合も、出資金を払えば使える。
 共済では、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)にも「自然災害保障付火災共済」という商品がある。地震補償は火災の五分の一で地震保険より低い設定。これも料金は全国一律だ。出資金を払えば原則だれでも使える。
 二つの共済について、二千万円の「火災保険」とそれに応じた地震補償を付けた場合の保険料を、表B・(2)(3)に示した。JA共済連は高めだが、満期共済金があるなど他とは商品内容が違い単純比較はできない。
 以上見てきたように、地震に対する保険は火災と切り離してかけることはできないのが原則。例外的に地震だけに備えられるのが少額短期保険(ミニ保険)事業者の日本震災パートナーズ(東京・千代田)が扱う「リスタ」。世帯人数に応じかけられる保険金が決まっており、最低は「一人以上」の三百万円、最高は「五人以上」の九百万円(いずれも全壊)。あまり大きな額はおりないがその分、料金は安い(表B・(4))。
ローン一部免除
 そのほかユニークなのが、三井住友銀行の「自然災害時返済一部免除特約付き住宅ローン」。地震などで家が倒壊した場合などに災害の程度に応じて一部、返済額を免除する。
 様々な商品を紹介したが、どれを利用すればいいだろうか。もちろん全く使わないという考え方もあるが、「地震大国」に暮らす以上、持ち家のある人は備えがないのは不安だろう。とはいえ、負担できる保険料には限度もある。ここではおおまかに三つのニーズ別に選択肢を考えてみた。
 第一に、できるだけ負担を抑えたい場合。日本震災パートナーズの「リスタ」や全労済の自然災害保障付火災共済、さらに地震保険のうち火災保険の三割(下限)をかけるタイプなどが候補だ。第二に、その程度では不安という人は地震保険で火災保険の五割(上限)をかけるのがいい。「リスタ」にも入り補償を拡充する手もある。
 第三に、できるだけ完全に近い備えを望むなら、地震保険の「一〇〇%タイプ」を選べばいいだろう。ただ費用はかなりかかる。
 ちなみに、第一、第二の選択肢をとると、地震被害のうち保険でカバーできない部分が出てくる。税制面で、その部分に応じて税金をある程度軽くする制度(雑損控除など)もある。税務署などに確認し、活用してほしい。
 どの選択肢にせよ、保険料はできるだけ安い方がいい。別稿では地震保険の費用節約法を紹介した。
(編集委員 清水功哉)
【図・写真】能登半島沖地震では多くの木造家屋が倒壊した(2007年3月)




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