20080825 日本経済新聞 朝刊

 家計が払い込んだ生命保険料は二〇〇六年時点で一世帯当たり約五十二万円。一九九〇年代のピークから二割減ったものの、月四万円を超す。低保険料を打ち出し、インターネット専業で生命保険の販売を五月に始めたライフネット生命保険の出口治明社長に、新ビジネスの手応えを聞いた。
 ――ネットで生保を売る狙いはどこに?
 「保険料を安くしたかった。生保保険料は規制価格の純保険料と、自由価格の付加保険料で成り立つが、付加保険料の六割は販売経費だ。既存生保は営業職員を大量に動員し、膨大な労務管理費がかかる。販売コストを抑えるにはネットしかなかった。商品も特約をなくし、シンプルにしてシステム費用を抑えた」
 ――開業からの加入状況はどうですか。
 「七月末時点の契約件数は七百六十件。年齢は想定通り三十歳代が圧倒的に多い。死亡保険金の額は平均二千万円。千五百万円を想定したのでちょっと多い」
 ――ネット加入の利点はどこにありますか。
 「いつでもどこからも入れること。営業職員を介さず自分で申し込むので、従来のような申込書類の入力ミスもない」
 ――顔の見えないネット経由の加入に不安を抱く人もいるのでは。
 「平日は夜十時までコールセンターを開けて対応している。よく、健康状態を虚偽告知する人が増え、保険金の支払いが膨らんで経営を圧迫しないかと指摘されるが、紙の告知に比べて数倍の質問を用意した。ウソの告知はしにくいはずだ」
 ――生命保険選びのポイントは。
 「複数の会社の保険を比べること。昔は生保会社の営業職員を通じて入るしかなかったが、今は家電量販店で品物を選ぶ感覚で保険商品を比べられる。ニーズに合い、少しでも安い商品を選べばいい。保障額も何回か試算してみるといい。ネット生保のサイトでは必要保障額を試算できる」
 「死亡保険の場合、保険期間が十年定期の商品がいいと思う。例えば三十歳から四十歳になる間に家族の構成が変われば、必要な保障も変わる。定期保険は終身保険より保険料は高いが、十年単位で保険を見直すのが合理的だと考えている」
 記者(27歳、配偶者と子供1人)が試算した必要保障額は2800万円で、今の契約内容とそう違わなかった。さらに細かく保険料を比べるには根気も必要。ネットも有効活用して賢く選びたい。(G)


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