20080829 日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は二十八日、二〇〇六年度に医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が前の年度に比べ十三億円減り、三十三兆一千二百七十六億円になったと発表した。四年ぶりに減少したものの、依然として過去最高水準で高止まりしている。〇六年度は診療報酬引き下げや医療制度改革で医療費抑制を目指したが、急速な高齢化による医療費の膨張圧力は強く、抑制効果は限られた格好だ。
 国民医療費は病気やけがの治療のために医療機関に支払われた一年間の医療費の総額。診療費や調剤費などを含むが、健康診断や分娩(ぶんべん)などの費用は除く。
 国民一人あたりの医療費は二十五万九千三百円で、前の年度と同じで過去最高。年齢層別では、六十五歳未満の平均が十五万八千二百円だったのに対し、六十五歳以上は六十四万三千六百円で約四倍。国民医療費に占める六十五歳以上の比率は五一・七%と前の年度を〇・七ポイント上回り、過去最高になった。
 国民医療費から歯科診療医療費や薬局調剤費などを除いた一般診療医療費は二十五兆四百六十八億円。傷病別にみると、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞など循環器系の疾患が二三%でトップ。がんなどが一一・五%、呼吸器系疾患が八・五%で続いた。
 〇六年度は医療費抑制を目的にした政策が大きく動いた年だった。医療費の単価である診療報酬が過去最大の三・一六%引き下げられ、産科や小児救急などを除く医療機関の報酬は低下した。
 並行して実施した医療制度改革では、七十歳以上で現役並み所得のある人の病院窓口での自己負担が二割から三割に上がるなど患者負担が増えたほか、高額医療費の自己負担も引き上げられた。
 だが実際の医療費の推移は、高齢化の進展や医療の高度化を背景に高止まり。〇六年度の国民医療費は二十年前の約二倍だ。〇七年度も概算段階で三十三兆四千億円と前の年度に比べて一兆円増えて過去最高を更新しており、今後も増加が続きそうだ。



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20080829 日本経済新聞 朝刊

 「保険会社よりも大きな規模の保険流通企業をつくる」。客が店を訪れて、複数の保険会社の商品から選ぶ保険の来店型ショップ、「ライフサロン」を運営するリンク・トラスト(東京・中央)の大寄昭生社長の持論だ。現在は八十店舗だが「五年後には二千店舗をめざす」と意気込む。
 二〇〇〇年ごろから出店が始まった来店型ショップ。大寄社長の試算では、仮に二千店舗になれば新契約から得る保険料収入は年一千億円。明治安田生命保険に匹敵する。「強い流通ができれば保険販売のムダをなくせる。保険会社はメーカーに徹してほしい」(大寄社長)
 千葉県の松戸、新松戸、南柏、柏、我孫子など特定地域に集中出店する戦略をとる。出店にはフランチャイズチェーン方式を活用するなど、戦略は小売業そのものだ。
外回りをやめる
 「外回りの営業には行かないでください」。三井住友銀行コンサルティング事業部の真鍋浩グループ長は、保険会社から中途採用した職員二百五十人に語りかける。店舗を訪れた客に勧める来店型に絞った、新しい販売手法の確立を目指す。
 昨年十二月に死亡保険、医療保険などあらゆる保険商品を銀行が窓口で扱えるようになった。三井住友銀は三メガバンクの中でも「保険の銀行窓販」に積極的だ。
 訪問販売しか知らない保険会社OBには戸惑いもある。だが「生保の営業職員は二十五万人。そこに銀行が後発で入っても勝てない」(真鍋氏)。一―三月の販売実績は約九百件。法令順守に気を使ったこともあり、件数はまだ少ない。将来は取扱店舗を全四百十店舗に広げ、保険会社からも採用を増やす。
 保険商品の内容に差がなかった時代は、もっぱら製造から販売までを一体で手掛ける大手生損保が優位だった。規制の緩和や商品の多様化が進めば、客にとっての利便性や販売コストがカギを握る。大手生損保は高コストの販売網が負担になる可能性がある。「生命保険の罠」などの著書がある後田亨氏は「自社商品しか売らない保険会社の営業体制は限界」と指摘する。
 既に効率的に保険を販売する「製販分離」を見越した動きもある。
電話だけで販売
 東京・渋谷のオフィスビル。若者が電話をかけ続ける。「私、アフラックの代理店をしております……」。電話だけで保険を販売するフィナンシャル・エージェンシー(東京・渋谷)のコールセンターだ。
 同社は代理店として保険を売るだけでなく、保険会社から販売業務を受託する。斎藤正秀社長は「保険の流通構造を合理化する会社」と語る。
 斎藤社長は以前在籍した光通信で、生命保険を電話だけで販売する手法を確立した。いまや光通信グループはアフラックやアリコジャパンの有力代理店だ。
 既に変額年金で起きているように、製販分離が進めば商品の開発競争が激しくなる。巨大流通はわかりやすく、安い保険商品を選んで売るからだ。保険金不払いで生損保各社は複雑な商品を見直し始めたが、川下からさらに大きな変革のうねりが迫っている。
 銀行や来店型ショップは、複数の保険会社の商品を比較して選べるのが最大の利点だ。相談は無料の場合が多く、保険知識が乏しい人が気軽に話を聞くのに向いている。ただ、ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんは「相談風景がほかの人から丸見えで、プライバシー保護が不安なショップもある」と話す。保険会社から受け取る販売手数料が収益源なので「手数料の高い商品を勧める傾向がある」との指摘もある。本当に自分にあった商品かをよく確認することが必要だ。
【図・写真】複数の保険会社の商品から選べる(千葉県松戸市の「ライフサロン」)


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8月28日15時37分配信 産経新聞


 出産前のマタニティーブルーや産後の鬱(うつ)に陥っている妊産婦をサポートするため、厚生労働省は精神科の医師や助産師を配置した宿泊型の「ケアセンター」(仮称)を来年度から全国数カ所に設立することを決めた。少子化対策の一環で、心身が不安定になりがちな産前産後の母親に地域の受け皿を提供し、安心して産み育ててもらうのが狙い。産後鬱を原因とする育児放棄や虐待の防止にもつなげる考えだ。

 厚労省の構想によると、入院の必要がない程度に心身の不調を訴える母親や、出産前後に近親者の協力がなく、孤立する可能性が高い妊婦らが対象。乳児が問題を抱える場合も、母親の不調や虐待を引き起こすケースがあるため対象に含める。

 入所期間は約1週間。低料金で医師らのカウンセリングのほか、母親が悩むことの多い授乳や入浴指導などが受けられる。本人の希望以外に、乳児健診などで自治体が必要と判断した場合も入所できる。

 センターの数や利用料など詳細は今後詰めるが、当面は既存の病院への併設となる見通し。設置や運営に必要な費用の2分の1を国が補助、残りを都道府県が負担する。全国に先駆け、4月から同様の事業を実施している東京都世田谷区の場合、利用料金は食事とケア付き1泊2日が5600円、日帰りは1600円という。

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【用語解説】産後鬱

 無事に出産したのに、涙ぐむ、気分が沈むなどの抑鬱(よくうつ)感や疲労感があり、育児や家事に支障をきたすようになる。多くの場合、出産後2週間から数カ月以内に発症し、数年の経過をたどる。衝動的に自殺したり、攻撃的になって子供を虐待したりするケースもある。

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20080828 日本経済新聞 朝刊

 保険の売り方が大きく変わり始めた。インターネットや電話を通じて顧客に保険商品を販売する動きが一段と広がり、規制緩和で銀行も保険を扱うようになった。保険の販売ルートで生じた構造変化は止まらず、営業職員や代理店などによる販売に力を注いできた大手生損保の経営も揺さぶる。地殻変動を起こす保険ビジネスの現状を追う。
シェア10%迫る
 「ガソリン代は気にするのに、自動車保険料は気にしてなかった」。ソニー損害保険の広告だ。代理店を通さず、ネットや電話で自動車保険などを販売する「直販損保」の最大手。ガソリン高騰に的を絞り、保険の見直しを呼びかける。
 米国などで広がった直販損保が日本に上陸して約十年。年齢や条件によっては大手より二―三割安いと言われる低水準の保険料でじわじわと浸透してきたが、最近のガソリン代高騰で追い風が強まった。保険比較サイトで三井ダイレクト損害保険を選び、保険料見積もりを求めるアクセス件数は年明け以降、前年を三―四割上回っている。
 ソニーなど直販三社の四―六月期の自動車保険料は前年同期比一二%増だが、東京海上日動火災保険など大手七社は一%減。個人自動車保険に占める直販のシェアは二〇〇八年度に一〇%に迫る見通し。「直販損保はこれからまだ伸びる。大手損保の危機感も強いはずだ」と、保険評論家の山野井良民氏は分析する。
 横浜市在住の会社員、内田晴喜さんは七月、結婚を機に生命保険に加入した。選んだのはネットで保険を販売するライフネット生命保険の死亡保険と医療保険。「商品がわかりやすく、保険料も安い」。保険料は合計で月三千八百円と大手生保の半額ほどだ。
事務経費を抑制
 四月にSBIアクサ生命保険、五月にライフネットと相次いで開業した「ネット生保」は営業職員を持たない。安い保険料は少ない経費の裏返しともいえる。両社の知名度はまだ低く、四―六月の新契約は合計約一千件。大手生保は「想定より少ない」と胸をなでおろすが「生命保険は対面でないと売れない」という業界の常識が崩れ始めているのは確かだ。
 「ネット販売の検討を進めろ」。都道府県民共済を創業した正木万平氏は最近、ひそかに指示した。同共済は営業員を持たず、格安保険料で新聞の折り込みチラシで勧誘。いまや日本生命保険を超す加入者を抱える「直販生保の巨人」だ。
 正木氏が「次世代のビジネスモデル」と確信するのがネット販売。「いまはまだチラシで売れるが将来はわからない」。さらに手続きが簡単なネット販売の検討を急ぐ。
 ライフネットは「一二年には年間百万件の生保新規契約がネット経由になる」と見込む。大手生保の一部は今秋に保険料を下げて対抗する構えだ。家計マネーが「ネット保険」にさらに流れるようなら、保険料に価格破壊の波が押し寄せる事態も起こりうる。
 ネット生保はほとんど特約がないなど商品設計が単純。二十―三十歳代の死亡保険料は大手より四―五割ほど安い場合もある。医療保険は一部の外資系と比べると必ずしも安くない。ファイナンシャルプランナーの内藤真弓氏は「必要な保障額を自覚している人などに向いている」と話す。
 対面販売でないので、契約を見直したり解約をしたりしやすい半面、住所や名義の変更など、契約の自己管理が不可欠だ。ウソの告知を防ぐため加入時に細かい質問を設ける会社もある。加入審査が厳しくなる可能性も指摘されている。


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 厚生労働省が、在宅死の割合を4割にする目標を示していることについて、長崎県保険医協会が実施した高齢者意識調査では、「最期まで自宅で療養したい」と答えた人が1割強にとどまっていることが明らかになった。また、看取りの場所として、厚労省が自宅を勧める中、「自宅では無理」とする人が半数近くに上っており、厚労省の目標と現実には、大きな乖離(かいり)があることも分かった。

【関連記事】
終末期医療の在り方に高齢者の疑問続出
「最期まで自宅」は1割、国の目標と乖離
「後期高齢者医療制度」の狙いは団塊の世代
「国の在宅死4割目標は不可能」
「医療差別」に高齢者は怒っている

 厚労省は2004年にまとめた終末期医療に関する報告書で、「自宅を希望している国民が約6割」と発表し、「患者の意思を尊重した適切な終末期医療を提供する」として、25年までに在宅死の割合を現在の2割から4割に引き上げる目標を示している。

 同協会は、県内の高齢者を対象に脳血管疾患の終末期医療について調査を実施。635人から回答があった。

 その結果、自宅などで療養中に重症の病気になり、回復する可能性が50%と宣告された場合、どこで療養したいかについては、「病院」が57.2%、「介護施設」が16.1%で、「自宅」は14.2%にとどまった。
 「病院」と答えた人に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「回復する可能性があるなら、きちんと治療を受けたい」が49.9%で最も多く、「家族に迷惑を掛けたくない」が43.0%、「自宅や介護施設での治療には不安がある」が29.5%、「介護してくれる人が高齢化して大変だから」が23.1%と続いた。

 また、入院中、退院を勧められたときに希望する療養場所については、「別のリハビリのできる病院」が30.6%、「リハビリはできないが、長期療養できる病院」が23.3%と、計53.9%が他の病院への転院を望んだ。「介護施設」は20.9%で、「自宅」は16.1%だった。
 「自宅」と答えた人に、現在、その条件が整っているかどうかを尋ねたところ、「可能だと思うが、不安がある」が45.1%、「現在は条件がない」が32.3%、「十分療養できる」が19.6%だった。
 一方、家族が自宅で看取ってくれるかについては、「無理と思う」が48.3%と半数近くに上り、「看取ってくれると思う」は19.4%にとどまった。




更新:2008/08/26 17:19   キャリアブレイン


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