20080830 日本経済新聞 朝刊

 Q 政府・与党が実施する定額減税とは。
 A 所得税・住民税などから一定の額を差し引く減税のこと。毎月の給料から天引きされる税金などが一時的に減り、その分手取りが増える仕組みだ。納税額にかかわらず、個人の負担する税金が一律の金額で安くなるため、低所得者に手厚い政策とされている。
 Q どのくらい税金が安くなるの。
 A 今秋の自民党税制調査会などで話し合い、減税規模などを決める予定だ。定額減税は、橋本龍太郎首相が一九九八年に実施したことがある。この時の減税では、夫婦と子供二人の家族なら追加分を合わせ年十三万七千五百円の負担減になった。民間試算によると、一世帯(二・五人)当たり一万円の減税に必要な財源は約五千億円。九八年と同規模の減税を実施するには四兆円超の財源が必要になる。
 Q 減税を実施する時期は。
 A 政府・与党は二〇〇八年度中に実施したい考えだ。ただ、所得税などを減税するには、改正所得税法などの関連法を国会で成立させる必要がある。仮に来年一月の通常国会で関連法が成立すれば、二月または三月から減税になる公算が大きい。ただ参院で多数を占める民主党の反対など、ねじれ国会のあおりを受けて関連法の成立が遅れれば、年度内に実施できなくなる可能性もある。
 Q 所得税をもともと払っていない低所得者には、恩恵が及ばないのか。
 A 政府は老齢福祉年金の受給者などの低所得者に対して特別給付金を支給することを検討するとしている。ただ老齢福祉年金の受給者は二万人程度と少なく、より幅広い低所得者を対象とすべきだとの声が出てくる可能性がある。
 米国では、四月から所得税の戻し減税(所得税の還付)を実施している。個人向けの戻し減税は世帯(夫一人、妻一人)当たりで千二百ドルを上限に給付。所得税の課税最低限に届かない低所得者層にも同六百ドルを上限に給付している。



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20080830 日本経済新聞 朝刊

 大阪府の河村忠二さんがあいおい損害保険からの内容証明郵便を受け取ったのは昨年六月。「ランク認定要件が足りず、代理店委託契約の継続は不可能と判断します」。損保の代理店契約を解除するとの通知だ。
 河村さんは三十六年間、損保代理店を営んできた。保険料収入は年五百万円ほど。「売り上げが少ないからと違いまっか」。河村さんは解除の理由をこう推測する。
代理店を統廃合
 大手損保会社が代理店の統廃合を進めている。二〇〇八年三月末の代理店数は二十三万六千。一年で七%減った。五年前より九万店少なく、減少ペースも速まっている。「保険金の不払いや保険料の取りすぎで、法令順守の水準が低い零細代理店を抱えられなくなった」(大手損保の首脳)。各社は商品知識や契約事務に精通した大型代理店を増やし、全体の業務品質の向上をねらう。
 大手生保の営業職員、山本秋子さん(仮名)は入社十三年目のベテラン。支社で同期入社は四百―五百人はいたが、いま残るのは三人。所属する都内の営業部は総勢四十人ほどのうち、六十歳以上が十人、入社二年目までの育成社員が十六人。山本さんは「高齢者と初心者ばかりで働き盛りがいない」と嘆く。
 営業職員の高い離職率と高齢化は大手生保共通の悩みだ。保険金不払いも、加入時の営業職員が辞めて担当者が誰もいない「売りっぱなし」の契約で多発したとされる。日本生命保険の営業職員の経験がある後田亨氏は「新契約の厳しいノルマに追われ、アフターサービスをする余裕もなかった」と振り返る。
 「もっと介護保険制度を勉強しなければと感じました」。東京・西新宿のオフィスビル。住友生命保険の営業研修だ。集まった女性はふつうの営業職員ではない。給与が完全固定給なのだ。
完全固定給制に
 生保の営業職員は新契約の獲得に応じた歩合給が当たり前。条件なしに固定給を払うのは珍しい。住友生命都心人材開発室の曽根基次室長は「優秀な人材を確保し、長く働いてもらいたい」と話す。七月に五十人を初めて採用し、五年後には九百人まで増やす。
 明治安田生命保険は十一月、加入者へのアフターサービスに給与で報いる営業職員制度を始める。契約者を年二―四回訪問したりすれば、固定給を大幅に増やす。昨年四月に同様の制度を導入した日本生命では、契約の継続率や営業職員の離職率が大きく改善した。
 生損保各社は戦後、事実上の「保険販売会社」として成長してきた。商品や保険料に大きな差はなかったからだ。「生保は営業職員数、損保は代理店数だけを競ってきた」(大石保険研究所の大石正明代表)。保険を普及させる役割は果たしたが、顧客満足度や業務品質を高める発想に乏しく、制度疲労の行き着いた先が不払いだった。
 行政にお灸(きゅう)を据えられ、ようやく重い腰を上げた保険会社。変革の歩みを止めれば、今度こそ消費者はそっぽを向きかねない。
 どんな保険に加入したらいいのかわからない人は、営業職員や独立系ファイナンシャルプランナーに相談するのも手だ。インターネットで相談相手をみつける方法もある。保険関連サイト「生命保険選びネット」には営業職員や保険代理店を登録したコーナーがある。登録した約三百人が得意分野や取扱商品を紹介する。同サイトを主宰する山浦邦夫氏は「商品を探す以上に『保険のプロ』を見つけることが大切。一人でなく複数のプロの話を聞くべきだ」と話している。
【図・写真】固定給の営業職員を対象にした住友生命の研修(東京・新宿)




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20080830 日経プラスワン

 家計が苦しくても節約が難しいのが医療費。病院や診療所の窓口で支払う家族の医療費の月平均はいくらか聞いたところ、千円以上五千円未満が最多(四四%)となった。千円未満(二五%)が続き、九割の家庭の医療費が月一万円以内に収まっているようだ。だが「およそ六万円」(愛知県の男性、55)などと高額だった人もいる。
 医療費が高額になった場合、医療費控除制度の活用も考えよう。納税者と生計を共にする家族が一年間に支払った医療費が一定額(通常十万円)を超える分について、税金が還付される制度で、確定申告が必要だ。
 モニターに医療費控除の確定申告経験の有無も聞いた。「ある」(五一%)と、「ない」(四九%)がほぼ半々。「ない」派の代表意見は「領収書を取っておいたり何が対象になるのかを調べるのが面倒臭い」(山梨県の女性、40)。「返ってきたのが百五円。電車賃の方が高かった」(宮城県の女性、32)というケースも中にはある。
 でも多いのは「還付金が振り込まれた時はちょっとしたお小遣いのようでうれしかった」(東京都の女性、59)という声。一度チャレンジしてみては?
 調査の方法 調査会社のマクロミルに依頼し、インターネットで実施。対象は全国の二十代から五十代までの既婚男女で、有効回答六百十八人(男女半々)。




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20080830 日経プラスワン

 ガソリンの店頭価格は全国平均で一リットル百八十円台。来月にかけては少し下がりそうだが、まだ三年前の約一・五倍の水準だ。マイカー利用が欠かせない人に有効とされるのが、ガソリン消費を抑える省エネ運転術「エコドライブ」。節約できる金額を試算するとともに、役立つ情報源をまとめた。
 「エコドライブの省エネ効果について、漠然と五%くらいかと思っている人が多いが、教習会を受けた人の燃費向上率は平均で二四%にのぼる」(省エネルギーセンターの谷口正明エコドライブ推進部長)。「自分はそこそこエコ運転をしている」というつもりでも、基本の技術を総合的におさえれば、さらに節約できるかもしれない。
 発進、走行、減速、停止の四項目について、年間走行距離一万キロメートル、平均燃費一リットルあたり十一・六キロメートルの乗用車に乗る人を例に、エコ運転がどれだけ財布に優しいか見てみよう(表A)。年間に削減できる燃料消費量は、省エネセンターが運転コンテストで計測したデータから算出したものを使用。ガソリン価格は一リットル百八十円として、年いくら節約できるかを試算した。
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 まず発進。急発進でなくてもアクセルを強く踏みすぎている人が多く、燃料を浪費している。普段よりふんわりとアクセルを踏み込み徐々に加速すると燃費が良くなる。これで年八十三リットル強の燃料を減らせるので、一万五千円強の節約だ。走行時は加減速を繰り返すと燃費が悪くなる。車間距離の詰めすぎは速度のムラを生じやすくするので、走りたい気持ちを少し抑えよう。これで三十リットル弱、約五千三百円を節約できる。
 減速する時は早めにアクセルから足を離す。アクセルを離し惰性で走ると少ない燃料で走れるエンジンブレーキで減速し、年十八リットル強のガソリンを節約できる。節約効果は年三千三百円弱にのぼる。
 アイドリングはどうだろう。市街地では運転中の四割近くが信号待ちで停止している時間。徹底してエンジンを止めれば年九十リットル以上の燃料を減らせ、一万六千円強節約できるが「そこまでできない」という人もいるだろう。
 では往復三十キロメートル走ると仮定し、人や荷物の積み降ろしの際の二分間ずつだけエンジンを止めたらどうか。四分間の停止で年十七・三三リットル、約三千百円の節約になる。
 発進・走行・減速でエコ運転を実践し、往復四分間のエンジン停止を実行した場合、年間約二万七千円の節約になる。走行距離が一万キロメートルより長ければ、当然さらに効果は大きくなる。節約アドバイザー、和田由貴さんは三年ほど前にエコ運転の節約効果を実感し、今も実践中だ。指導員の指示に基づいて自宅近所を十分程度運転したところ、エコ運転の方が普段の運転よりもガソリンの消費量が四百ミリリットルも減ったからだ。
 谷口氏は、エコ運転を意識するには三つの「五」を覚えてほしいという。発進の際は「最初の五秒間」で時速二十キロメートル程度に到達すれば良い。走行時は普段よりも「時速五キロメートル落とす」と五%程度燃費が改善する。「五秒以上止まる時」にはエンジンを切った方が省エネ効果が上がる。
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 エコ運転の支援サービスや情報源も増えてきた。例えば日産自動車の情報サービス「カーウイングス」。瞬間ごとの燃費表示を確認しながら走れるほか、会員になれば同じ車種と比べた自分のエコ運転度合いがカーナビゲーション画面にランキングされる。「タイヤの空気圧を点検しましょう」などのエコ助言も受けられる。
 「燃費表示だけだと次第に飽きてしまう人もいるので、エコ運転を楽しく維持するための仕組みにした」(技術開発本部の土井三浩テクノロジーマーケティング室長)。エコ助言を活用した人の平均燃費改善率は一八%。カーウイングスの会費は三年間無料で、エコ運転情報だけの利用なら四年目以降も無料だ。
 また、最近は燃費の良い走り方をしているとランプが点灯して教えてくれる機能がある車も多く、エコ運転の頼もしい味方になりそうだ。
 基本のエコ運転術をふまえてさらに省エネを目指すなら、インターネットサイト(表B)が役に立つ。例えば「燃費.biz」ではエンジンオイルなど、メンテナンスの重要性と燃費の関係を解説している。「ReCoo(レクー)」や「燃費王」などのサイトでは、登録をすると会員同士で燃費ランキングを競うこともできる。(岩崎珠実)
【図・写真】日産の車載情報サービスでは、エコ運転度合いが「金」「銀」などとランキング表示される



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20080829 日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は二〇〇九年度予算概算要求でも、社会保障費の自然増を二千二百億円抑制する政府方針を踏襲した。だが具体的な抑制策の見通しは立っていない。同省は税制改革で「安定財源」を確保できた場合の抑制額の縮小ももくろんでおり、次期衆院選をにらんで「歳出抑制は限界」と唱える与党の論理が色濃くにじんでいる。
 厚労省内では「たばこ税増税が実現すれば、抑制額を数百億円圧縮できる」との意見もある。政府・与党内では社会保障の効率化をめざした制度改革論議より、給付増の議論が先行。来年度は介護報酬の改定時期だが、与党内では「介護保険加入者の保険料を上げず、介護報酬を増やせないか」といった“無理難題”まで取りざたされる。
 具体的な抑制策としては、後発医薬品の利用促進で数百億円が見込める程度。財務省は雇用保険に投入している千六百億円の国費の廃止・縮減を訴えるが、景気後退で失業者の増加も懸念され、実現は不透明だ。
 積み残しの課題もある。政府管掌健康保険の国庫負担を大企業の健康保険組合などに肩代わりさせる法案は、ねじれ国会で継続審議中。成立しなければ、今年度の抑制計画のうち一千億円分の穴があく。



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