20080829 日本経済新聞 朝刊
厚生労働省は二〇〇九年度予算概算要求でも、社会保障費の自然増を二千二百億円抑制する政府方針を踏襲した。だが具体的な抑制策の見通しは立っていない。同省は税制改革で「安定財源」を確保できた場合の抑制額の縮小ももくろんでおり、次期衆院選をにらんで「歳出抑制は限界」と唱える与党の論理が色濃くにじんでいる。
厚労省内では「たばこ税増税が実現すれば、抑制額を数百億円圧縮できる」との意見もある。政府・与党内では社会保障の効率化をめざした制度改革論議より、給付増の議論が先行。来年度は介護報酬の改定時期だが、与党内では「介護保険加入者の保険料を上げず、介護報酬を増やせないか」といった“無理難題”まで取りざたされる。
具体的な抑制策としては、後発医薬品の利用促進で数百億円が見込める程度。財務省は雇用保険に投入している千六百億円の国費の廃止・縮減を訴えるが、景気後退で失業者の増加も懸念され、実現は不透明だ。
積み残しの課題もある。政府管掌健康保険の国庫負担を大企業の健康保険組合などに肩代わりさせる法案は、ねじれ国会で継続審議中。成立しなければ、今年度の抑制計画のうち一千億円分の穴があく。
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