今回は「遅刻、早退が多い社員を解雇する方法とは?」を解説します。
勤怠不良に関するご相談は、いつでも全国から数多く頂きます。
遅刻、早退等の勤怠に問題がある社員は、社会人としての常識を欠き、この問題社員を放置しておくと、他の社員へ悪影響が出てくることもあり、職場のモラルが下がってしまいます。
また、こういう社員はどんなに注意しても改善されないケースも多く、「社会人としての常識」が元々無く、会社としても仕事を任せられない、そもそも使えない、というケースも多いでしょう。
だから、「辞めてもらいたい」というのが本音のケースもあります。
このような場合、遅刻や早退をすることは、労働契約上の義務違反に当たり、解雇の事由となるのです。
しかし、解雇となると、多くの社長が「尻込み」をしてしまうのも事実なのです。
それは、解雇が「どうすれば有効になるのか?無効になるのか?」の判断が難しいからです。
解雇が有効となる要因として、このブログでも何回か取り上げた2つの要因があります。
それは、
〇解雇に対し、客観的、合理的な理由があるか?
〇解雇が、社会通念上相当である
ということが必要です。
勤怠不良だからといって特別なことはなく、この2つの要因に当てはまれば、解雇は有効となるのです。
では、勤怠不良による解雇が有効とされた裁判をみてみましょう。
<東新トレーラーエキスプレス事件 東京地裁 平成4年8月25日>
〇社員が入社して1年以上たったが、欠勤が約70日であった
〇会社は、再三注意を行い、警告書で就業状況の改善を求めた
→社員は、その後も同様に欠勤を重ねた
〇会社は就業規則の解雇事由に該当すると判断し、解雇を実施
→「従業員の就業状況が著しく不良で就業に適さないと認められる場合」に該当と判断
〇社員はこれを不服として裁判を起こした
そして、裁判所の判断は以下としたのです。
〇解雇は有効(就業規則の解雇事由に該当)
〇解雇を無効とすべき特段の事情が認めらない
〇会社が勝訴
この裁判で会社が勝訴したポイントは以下となっています。
〇就業規則に解雇の事由が記載されていた(客観的、合理的な理由)、欠勤の多さが就業に適していないと裁判所も認めた
〇欠勤の理由が不明(社会通念上、相当な理由)、個人的な理由としか報告せず
〇会社として再三注意を実施している(社会通念上、相当な理由)
→ その後に警告書で改善を求めている
解雇するに当たり、就業規則に記載された解雇事由があり、会社は解雇を行うまで、社員を改善させようと、再三の注意、警告書による通知も行っているのです。
また、社員が欠勤の事由を明らかにしない以上、会社としても個人的な事情を考慮することはできないのです。