絵を始めるとき | 唄のイラストブログ

唄のイラストブログ

山田唄のイラストレーションブログです

 こんばんは。またイラストレーター活動のほうが色々と手詰まりになって参りまして、心機一転をと考えております。そもそも自分は高校中退の身で、絵の勉強のほうもデッサン教室に半年通ったことがあるだけであとは独学です。免許や資格もまったく無く、正直、今の世の中で生きていけるスペックではありません。
 ついでに体を壊したとあって今年に入るまでずっと無職でした。

 先日ツイッターを観ていると「学生必見! イラストレーター〇〇さんの学生時代!」というような纏めツイートが回って来ましたけれど、そういう成功者様達の影に、私のような何百倍もの人数の挫折者がいることも知ってほしいものです。

 私が絵を続けているのははっきり言って意地と惰性です。でも、もしこの先少しでも成功したなら、まず転び方を学生の方達に伝えられるような大人になれれば良いな、とその成功体験のツイートを拝見しながら考えたりしました。将来を考えるようになったとき、もし転んでもその責任を取れるのは自分だけなので…。
 今日もちょっとだけ絵の込み入ったお話を書かせて頂きます。「素描」と「絵の始め方」のお話。


 絵を始めるとなった時、大体の人が躓くポイントが「敷居の高さ」です。
 どんな趣味でもそうだと思うのですが、まず始めるにあたって何を買いそろえ、どういった勉強をしていけば良いのか分からない。その点では絵は割と敷居が低いほうだと言えると思います。鉛筆とコピー用紙さえあれば簡単な絵の道具は揃ってしまいますし、あとは何を描いてどういう方向に進んで行くか次第です。
 ただ、その「何を」「どういう方向で」描いて行くかという部分で多くの人が挫折するのではないかなと思います。

 先日から絵の話をちょくちょくこちらで描いて来て、でもこの知識を得た所でいきなり描けるようにはならないし、無駄だよなーと自分で反省しておりました。エッジやコントラストといった技術面の話は、実際ある程度描けるようになってから実践するようにしなければ混乱するばかりです。

 では、なにから始めれば良いのか。

 これを問うと、大体絵をしっかり描いてきた人には「デッサンから」と言われると思います。
 間違いではないというか正しいのですが、じゃあデッサンとは何なのか。そもそもなぜデッサンをしなければいけないのか。


 私はぶっちゃけデッサンや絵の勉強が嫌いです。最初に絵を描き始めたときには独学でデッサンの知識をかじり、それで飛躍的に上手くなったものの、その後もたびたび「デッサン(絵のバランス)が崩れている」「デッサンからやり直せ」といったアドバイスを頂き、大いに自尊心を傷付けられましたし、「あなたのデッサンのやり方は間違っている」と言われてデッサンそのものが怖くもなりました。
 「デッサン」と一言で言っても、その方法論は多岐に渡り、絵描き様によって様々に持論もあります。学校が違えば教えることの50%くらいはその校のオリジナル、理屈もバラバラです。
 だから、私はよほどしっかり美術の勉強をするのでない限り、デッサンの必要は無いと思う。

 ただ、「理屈の上で正しい絵」を描くためのデッサンの理論は覚えておいても損はないと思います。


 次回以降自分の知識の整理もかねてそこの所を詳しく書かせて頂こうと思うのですが、今回は「何もわからないけど絵が描きたい」という方のために、「素描」をご紹介いたします。

 私の仕事であるゲーム系のクリエイターを観ていると、何もない所からぽんっと絵を考え出しているように見えるかと思うのですが、実際には鎧の騎士の絵を一枚描くために鎧、剣、背景、その他たくさんの資料を集めてイメージを纏める手順を踏んでいます。
 これがデッサンが必要だと言われる所以、一言で言えば現実にあるものを正しく見て描けない限り、想像で何もかも補ってしまえるわけがない。想像だけで描いてしまわれる人もたまにおられますが、そうして描いた絵が現実味を持って見えるかどうかという点で言うと、やはり現実にあるものがどのように見えるのか、知って居なければ描けません。これを「説得力がない(ある)」という言い方をすることが良くあります。リアルな絵はそれだけ絵の説得力が強いわけです。

 そのために絵描きは生涯を通じてデッサンと素描を行うことになります。
 素描、とは、デッサンと同義語として扱われることも多々あるのですが、ここでは簡単に現実にあるモチーフを紙に描く作業を差すものとします。


 多くの人が、ゲームやアニメの絵を練習するのと同時に「ビルや木々やリアルな人物も写実的に描ければ良いなー」と一度は思われるのではないかなと思います。でも、ちょっと描いてみるとこれが意外と難しい。私も中学時代、ぱっと目についた扇風機や学校の教室の風景などを描こうとしてみて、なぜかわからないほどに上手く描けませんでした。

 それで良いと思います。絵はその人が描きたいときに自由な発想で描くのが良いと思うし、そのほうが絶対楽しい。実際、知識と技術を身に着けてしまうと逆に描けなくなるタイプの絵もたくさんございます。
 ただ、簡単にヒントだけ申しますと、「三次元」にある現実の物体を「二次元」の紙の上に再現しようとするから難しくなるのです。立体のまま描こうとせずに、モチーフを簡単な平面図形(四角形や三角形、丸など)に置き換えて描いてみると、意外と描けることに気付けるのではないかなと思います。
 最初はそれだけ頭に入れて、とにかく絵を楽しむことが大切だと思います。

 次回以降、簡単にデッサンの時使える知識を書かせて頂きます。興味のある方はお付き合いくださいませ。


 今日も落書きを載せてみます。先頭の話に戻りますが、ぼちぼち自分ももう一段階上手くならなければならない時期です。嫌いとばかりは言っていられませんし、デッサンをやり方の段階からやり直してみようかなと思っております。その話もまた次回。