週刊ストーリーランド元作家&アドバイザー 本貴田英工 ぴったりのブログ

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パウロの後継(完全版): 悲しみの人はルカに問う (BI)

パウロの後継(完全版): 悲しみの人はルカに問う (BI) [Kindle版]

本貴田英工(週刊ストーリーランド元アドバイザー)BI出版代表

読者の感想(なみだめ さん)

「主人公瑠花の生い立ち、人間性、哲学、思想、苦悩の描き込みが秀逸。しかも、彼女だけではなく、登場する人間の一人一人が克明に描写され、創作世界でありながら、現実世界の人間よりも人間らしい感情と思いが交錯する。【悲しみの人】が連続狙撃事件と爆破事件を起こすが、そこにその人間の思いが狂おしいほどに凝縮されている。視点の切り替えが激しい物語だが、複雑そうな話を分かりやすく描いているので、感情移入が途切れることなく、いつの間にか、読み終え、年甲斐もなく号泣している自分に気づく」

 

 

:::::::::::::::::::::::

僕は僕なりに、これまで起きたことを考えていた。多分、書道教室に連れていかれたという、この表現は、僕がこしらえた嘘だ。

 

本当のところは、姉ちゃんやそのお友達たちが、通っているのを見て、自分も行きたいって宣言したんだろうね。

 

だって、教室に通う子たちが持っているように、自分専用の習字セットを買ってもらった時ってのは、もう跳び上がるくらいに嬉しくてさ。それにもっと嬉しかったのは、半紙を文鎮でおさえ、墨をすり、初めて、筆先についたノリを落とし、先生の手に支えられて、一本の縦線を、引いた時だよ。筆が動く際の、グ、ググ、ススー、グって独特なリズムが、体に響くんだ。もう自分の心臓がひっくり返りそうなくらいに興奮したさぁ。

 

けれども、ある事件が起こったんだ。

 

最初の合格認定テストのようなものがあった時のことだった。一枚の清書を、先生を通して、書道の協会に提出するらしく、で、僕なりに張り切ったし、頑張ったって気持ちがある。

 

ところがさぁ、「合格者一覧が掲載された協会作成の冊子」に、僕の名前がなかった。姉ちゃんも含めた知り合いの中で、

僕一人だけが、不合格者ってことになる。

 

この時の悔しさを自分でも忘れていたけど、そこから僕は、一気に習字への興味がなくなり、ぽっかり空いた心の空白地帯を、何かで埋め合わせるため、授業後にもらえる飴玉に気持ちを走らせたんじゃないかって思う。

 

つまり、僕には僕の言い分ってものがある。

 

ただし、そうだとしても、それは僕だけの言い分であって、だから、

勝手なふるまいってのが許されるわけがないのだろうね。

 

そのことを、ママは、教室から戻ってくる姉ちゃんの報告がある度に、何度も僕に伝えたはずなんだ。

 

なのにさ、僕はとても言語の発達が遅い子だったから、何を言っているのか、もうチンプンプンってので、理解不能だよ。

 

それで、ママの気持ちからすると、口ではなかなか伝わらないし、言葉を使って上手に表現のできない子だから、顔の表情で伝えることを、とても意識したんじゃないだろうか。

 

とにかく、僕は、ママの言っている言葉はよく理解できないけれど、ママの悲しい表情だけは気になって仕方なくて、ずっとその顔が心から離れなくて、それで、その悲しい顔のわけを考えるようになっていった。

 

そう──僕はしたいことを、ただするのではなく、考えるってことをし始めんだ。

 

人が喜べば、人は喜ぶ。いかれば、いかる。誰かが悲しめば、別の誰かが悲しむ。もしもその人が最も近くにいて、愛ある人なら、なおさら言葉の扱いが不器用な僕だって、その人に合わせて悲しむくらいのことができる。すると、どうだろう。自分が悲しむと、すこしは深刻に考えて、その悲しみの原因が僕に在るって気づかされることになる。

 

そうして随分経ってから、ある時、僕は、ママと一緒に、書道教室へ行ったんだ。もう小学二年生の一学期の頃になるのかな。おうちが引っ越しになるってことで、結局姉ちゃんも教室をやめることになったから、それでお礼の品を携えて、ついでにおまけの僕と妹も連れられていた。

 

先生とママが何かしら、話し込んでいる間、その時、僕はこっそり、姉ちゃんがお稽古している教室の様子を眺めてみた。

 

正直いえば、やめさせられた負い目みたいなものがあったからか、教室をチラ見するのは、ちょっと勇気がいることだった。

 

それで、その中を覗き込んだ時、僕はよもやの反応を示した。

 

ふぇぇーっ!

 

僕は喉の奥から妙な声を出し、そのまま、フリーズして、動けなくなっていた。

 

目の前の世界が、一変していたって言い方が、多分正しい。

 

これまで、僕に見えなかったものが、見えるようになっていたんだ。

 

それが、何か──

 

なあ、筑波山くん、僕が何を見たか、分かるかい?

 

とにかくさ、僕はママの悲しむ顔を見て、その原因が僕に在るって気づいた。けれども、この先が白い霧が立ち込めように、ぼやっとしていたところがあったんだよ。そして、こんな場面で、まさか、まさか、の事態っての。なんで、あの日のママが、あんなに悲しく僕を見たのか、その謎がはっきりしたのさ。

 

……ってまあ、そんなこんなで、続きは、次回ってことかな。次回はたぶん、本貴田作品「パウロシリーズ」からも、何かしらあるみたい。もう一回言うけど、たぶん、だよ~~~

 

 

ということで、おしまいです。

 

本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

 

また明日も、ぜひ、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

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