くるみあるく研究室

くるみあるく研究室

沖縄を題材にした自作ラブコメ+メモ書き+映画エッセイをちょろちょろと

沖縄糸満軽石被害寄付キャンペーン ご協力ありがとうございましたサーフィン

「わたまわ」エピソードは基本的にすべて「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。

沖縄・那覇を舞台に展開するラブコメディー「わたまわ」をこちらに転載しています。70から2年後のゴールデンウィークあたりの設定です。サーコのモノローグです。

 

昨晩、なんとあのあとリャオにスイッチが入ってフィニッシュしてしまった。結婚してから初めてだ。だって、ライカは結婚する前に授かった子供だから。
「昨夜はすみませんでした」
リャオが謝ることないよ、ベッドに誘ったのはあたしだ。でも最後まで行けるとは思わなかった。
「……ひょっとして今回も大当たりですか?」
そうかも。ジングが、トモが名付け親になってくれないのがとても残念です。
「いいじゃない、トモって名前にしようよ。男女どっちでもいける名前だし」
それ、いいね。トモもきっと喜んでくれる。

雨が降ったせいで空に虹が架かっている。しかも二重に。まるでここから那覇向けにトンネルが繋がっているようだ。

 

 

 

リャオがストーンズの“She's A Rainbow”を口ずさむ。あたしも側で一緒にリズムを取る。


彼女は虹みたいな人だ。空を鮮やかに染めていくよ、どこもかしこも。

……ということは、今度は女の子なのかな。あけみさんに似るといいな。

あたしたちは歩いている。ライカがトテトテッと走って行って転ぶ。リャオが追いかけて抱きかかえ、こっちに戻ってきた。彼はライカを肩車する。キャッキャとライカが喜んでいる。
「神様の恵みはすごいよ。この私に子供がいるなんて」
あきれた。ライカに髪の毛を引っ張られながらよくそんなこと言えるね? あたしだったらすぐ怒るところだ。
「ライカ、あれ、虹だよ、虹。よく覚えとけ」
そう言いながらリャオはライカを降ろした。またトテトテッと駆けていく。その繰り返し。沖縄に帰ったら、宜野湾教会で彼の幼児祝福式の準備だ。リャオはまだ、“あけみさん”で臨むか“あきお君”で臨むか決めかねている。教会側はジングから連絡を受けていたそうで、どちらでも歓迎するというメッセージをくれた。
「ライカもそうだけど、産まれてくる子が宣教師になりたいって言ったらどうする?」
えー、どうしよう。でも、あたしたちには止められない。すべては神様の最善なのだから。
「そう、神様の最善だよ。私を受け入れてくれる人がいて、一緒にストーンズを口ずさめて。なかなかいい人生だ」
よかった。リャオがそう思って生きてくれるから、あたしも一緒に生きていける。

「リャオはあたしの命の恩人です」
「サーコは私の一部分です」
あたしたちは互い微笑む。うん、なかなかいい人生だ。
「先月、通信制大学に申し込みました。たぶん秋から大学生」
あらま、おめでとう。MBAへの第一歩だ。
「でも、もしトモが産まれたら、サーコに育児の負担が増えるね」
それは、しょうがない。でもきっと周囲が助けてくれるよ。

ライカは道の真ん中に座り込む。
「こらこら」
舌打ちしてリャオが歩み寄る。するとライカがニマッと笑ってまた走り出す。あたしたちは追いかける、いや、あたしは走ってはいけないのかも。少しだけ立ち止まって虹を見上げた。薄くなりながら虹はなおも視線の先にある。

さあ、戻ろう、那覇へ。あたしたちの故郷へ。
そう、あたしたちは帰るんだよ。虹の輝く街に。人々がみんな輝く、あけもどろの街に。
あたしは家族に手を振る。家族はあたしを待ってくれている。
ほら、並んだよ。一緒に歩こうね?

ゆっくり足取りを整えながら、あたし達は虹のトンネルを潜ろうとしていた。

(終章_虹のトンネル FIN)
(小説「わたしの周りの人々」FIN) ---ご愛読誠にありがとうございました!---

~~~

青春小説「サザン・ホスピタル」などリンク先はこちらから。サザン・ホスピタル 本編 / サザン・ホスピタル 短編集 / ももたろう~the Peach Boy / 誕生日のプレゼント / マルディグラの朝 / 東京の人 ほか、ノベルアップ+にもいろいろあります。
 

小説「わたまわ」を書いています。

ameblo版選抜バージョン 第一部目次 / 第二部目次 / 第三部目次&more / 2021夏休み狂想曲

「わたまわ」あらすじなどはこちらのリンクから:
当小説ナナメ読みのススメ(1) ×LGBT(あらすじなど) /「わたまわ」ナナメ読みのススメ(2) ×the Rolling Stones, and more/当小説ナナメ読みのススメ(3)×キジムナー(?)

「わたまわ」エピソードは基本的にすべて「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。 

ローリングストーンズの曲をいろいろぶっ込みつつ展開するWeb小説「わたまわ」第三部&more ameblo収録分のみリンクしてます。もう少しリンク増える予定です。

 

第三部

 

  1. 再会 (1)(2)
  2. LoveSong (2)(3)
  3. あけみさん解放大作戦 番外編 go
  4. Go to イースター (1)(2)
  5. 女子?な会合 go
  6. あきお君、サーコと無断外泊する (2)(3)
  7. あけみさん解放大作戦、撤収 go
  8. あなたを追って go
  9. 大阪・京都・二人三脚 (3)
  10. 運動の秋はゲイ?の秋 (1)(2)*中途収録
  11. 電話相談室 (2)(3) (4)(5)
  12. ジング氏、決意する go
  13. 再び、満月 (1) (2)(3) (5)(6)

第四部

  1. プロポーズ (1)(2)
  2. スイッチを探して 前編 (1)(2)*中途収録 (3)(4)*中途収録 (5)

 キム・ジング氏インタビュー(ameblo) go

  1. あけみさんクリスマスに呼び出される go
  2. Merry Christmas from West Africa go
  3. スイッチを探して 後編 (1)(2) (3)(4)
  1. 成人式 (1)(2)*中途収録 (3)
  2. 急転直下 (1) (2) (3),(5) *(4)未収録
  3. KNJ商事恒例水餃子パーティー (3)(4)

 intermission その3~ジング氏、説教する(ameblo) go

  1. さらば魔法の城 go
  2. 過去の傷 (4)(5)
  3. あけみさん告白される go
  4. 君は男の子 go
  5. クスクスと逆子 go
  6. 旧盆でーびる (1) (3)
  7. 出会いの時 (1)(2) (3)(4)
  8. ジング氏への手紙 go

終章 虹のトンネル (1) (2)(3) (4)

 

ノベルアッププラス、最初から最後までの目次のってるページありますのでこちらのリンクからどうぞ。ameblo版と若干話の流れが異なりますが完全版です。

 

 

 

付記:ストーンズの動画リンク一覧についてはこちらcheckしてください。

 

 

あまりいい画像ないけどexciteに使った瀨長島の画像でも貼り付けます。焦げそうでした。
 

 

 

 

「わたまわ」エピソードは基本的にすべて「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。

沖縄・那覇を舞台に展開するラブコメディー「わたまわ」をこちらに転載しています。70から2年後のゴールデンウィークあたりの設定です。今回2話分の話をUPなので少々長めです。

目次クリックで移動します。3.はリャオ、4.はサーコのモノローグです。

 

目次
3.指輪
4.どっちであっても

---

 

3.指輪

 

「あけみさんとお話があります」
風呂上がりの私が化粧水で肌を整えているとき、サーコが話しかけた。
「あけみ?」
「見てほしいものがあるの」
そう言って私が座っている側に小箱を持ってきた。彼女が小箱を開けると、銀色の指輪が入っている。


(image: Photo by Aung Soe Min on Unsplash)

「どうしたのこの指輪?」
「ジングが、……トモが買ったんだって」
「え? サーコに?」
「それがねえ、とっても不思議なの」
サーコは指輪を摘まむと、私に指輪の内側を示した。
「ここ、刻印あるでしょ。何って書いてる?」

  Always with you. T to A

「いつも君と一緒、って、ずいぶんキザなこと書いてるのね」
「でも、変だと思わない?」
「どこが?」
「だって、トモの本名はジングだから、イニシャルはTじゃなくてJだよ?」
私は驚いてサーコを見た。そして指輪を注意深く眺める。うん、どう見てもこれはTで彫ってある。
「それから、もっと不思議なことがあるの。この指輪、サイズが大きいの」
サーコが結婚指輪をしたまま、左手薬指にトモの指輪をはめてみせる。確かに大きくてゴロゴロしている。おかしいな。私、サーコの指輪のサイズ、9号ってちゃんとトモに伝えたけど?
「しかも、刻印の近くに宝石埋めてあるでしょ」
うん、見える。小さい奴が光っている。
「それ、アクアマリンでもルビーでもなくて、ペリドットなの」
「えええ?」
私は驚きの声を上げる。確かにペリドットだ。サーコは息を継いで、言った。
「つまり、この指輪、あけみさんのなのよ」

私は目をしばたかせた。トモが、私に、指輪? なんで?
「うーん、多分、彼はあけみさんになにかお礼がしたかったんじゃないかな。だって、リャオがジングに最後に会ったの、ラブホテルだったんでしょ?」
「そんな、何もなかったわよ!」
とっさに私は叫んだ。
「だって、私が迫ったらティミョパンデトルリョチャギするって言った!」
私たちは顔を見合わせて笑った。サーコはホテルの電話機の側にあるメモ帳とボールペンを手に取った。
「韓国にこんな言葉があるのよ。独身男性がよくつぶやくんだって」
サーコはささっとハングルを書き綴り、私に発音してみせる。

내 잃어버린 한쪽갈비는 지금쯤 어디서 뭘하고 있을까?
ネ  イルボリン ハンチョッガルビヌン ジグンチュン オドィソ モルハゴ イッソルカ?
(私の失ったあばら骨は今頃どこで何をしているんだろう?)

「それ、旧約聖書の創世記だよね」
結婚の起源として巷でよく知られている話だ。神様はアダムを作ってから、1人でいる彼を哀れんで連れ合いを作ろうと思い立つ。すなわちアダムから肋骨を一本取り出してエバを作った。創世記第2章18節、21-22節:
また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。(中略)そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。

眠りから覚めたアダムはエバを見てとても感激して叫ぶ。同23節:
そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。男から取ったものだから、これを女と名づけよう」。

だから、人は結婚するんだって。自分の身体の一部ともう一回一緒になるために。

サーコはつぶやいた。
「あたし、ジングのあばら骨になれなかった。ジングは、トモは、あけみさんに、あばら骨になって欲しいんだよ」
「あばら骨、ねえ」
全然ピンとこない。彼はあけみを見ても喜んだり叫んだりしなかったよ?
あ、いや、何度かある。思い返すと、トモは私の料理をいつも絶賛してくれた。美味しいと全部平らげてくれた。私が沖縄そばにコーレーグースを大量に仕込んだときでさえ。もっとも私の誕生日プレゼントと称してアフリカから食材送りつけて料理のリクエストまで書いてきたときは、かなりあきれかえったけど。
「じゃ、トモのあばら骨な私は、天国に行かなくちゃいけないわね?」
するとサーコはうなずき、私の目をのぞき込んだ。
「そう、そのためには、教会へ行かなきゃ」
「あー、あの男!」

私は叫んだ。そこまでして私に教会に行けと? 全く、トモなら、企てそうなことだな!

とりあえず、いただいた指輪をはめてみる。左薬指に指輪が二つ。
とても嬉しいのだけど、うーん、これじゃ商談のとき相手に妙な顔されちゃうよ?
「どっちか右の薬指に移動したら?」
「じゃ、トモのを右手にするね?」
私は半分泣きそうになりながら右薬指にトモからの指輪をはめた。ピッタリだ。
「でもさ、“あきお君”で指輪はめててもいいのかな?」
「いいんじゃない? トモはリャオには“あきお君”でいて欲しいみたいだから」
サーコは私の右手を握って、指輪を眺めている。
「いいなー。あたし、結局ジングから指輪、もらえなかった」

そうか。私、サーコからトモを取っちゃったんだね。

「ごめんね」
私は申し訳なく思ってサーコに謝った。サーコは首を振る。彼女は微笑んだ。
「いいの。あたし、あきおさんから、星の王子さまのダイヤモンドいただいたから」
とっさに私は彼女を抱きしめた。何度も何度もキスをした。十回くらいキスをして、私はサーコに言った。
「思い出した。私、あんたに話があるんだったわ」

 

4.どっちであっても

 

リャオは冷蔵庫から缶ビールを取ってきて、開けた。コンビニで買ったおつまみの柿ピーの袋をいじくって笑っている。
「昔のネタばらし、しちゃおうかなー」
リャオはあたしは尋ねた。
「聴かせてよ、是非」
リャオは袋から豆を取って口に放り込んだ。噛んで飲み込む。そして、ケタケタ笑い出す。
「ちょっと何よ。一人で笑うなんてズルいよ」
「わかった、わかった、話すよ。あのね、2022年の正月に、波上宮行ったじゃん」

行きましたね。高校二年生の正月。トモは鳥居をくぐらなかった。あたしとリャオだけ参拝した。
「あのとき、賽銭箱に五百円玉入れて、中国語でお祈りしたでしょ。サーコにズルいって言われてさ」
ああ、そうだった。あたし、ちゃんと日本語を口に出して願い事言ったのに、リャオは中国語でお祈りして、ちっとも教えてくれなかった。
「教えてあげようか?」
そしてリャオは中国語で言った。
「ゥルゥ グオ ニン シー ジェン シェン , チーン イー シー ダオ ジョーァ イー ディエン 。 ウォ ヤオ ジア ゲイ ジョーァ ゴーァ ゥレン」
言いながら、あたしが書いたハングルの下の余白に繁体字を書きつける。相変わらずの達筆。
「漢字だから、意味わかるんじゃない?」

如果您是真神,請考慮這一點。我要娶給這個人。

あたしは驚いて両手で口元を押さえた。これは、ひょっとして……。まさか。
あたしをいたずらっぽい目で見て、リャオは日本語で言った。
「もしも本当の神さまがいらっしゃるなら、かなえて下さい。どうか私がこの人と結婚できますように」

あたしは真っ赤になる。
「あたし、あの時まだ16歳だったよ?」
リャオは、相変わらずいたずらっぽい目のまま笑っている。この人と知り合って7年、結婚して2年ちょっと。それでも、知らないことがまだまだある。
「あの時、サーコが声に出して祈ってくれたでしょ、私にいい人が現れますようにって。その瞬間、思ったの。こんなこと祈ってくれるの、サーコしかいない。だったら、そう祈ってくれる人と一緒になりたい。五百円入れたら、ひょっとしたら、かなえてくれるかもしれないって」
それから、リャオはとつとつとしゃべり出した。
「“あけみ”のこと、あんたずっと姉のように慕ってくれてたじゃない。私もあんたのこと妹みたいに思ってた。だけど、“あきお君”のお見合いの話をブロックするためにサーコを社長に会わせたら、なーんか切なくなってね。ああ、この人は自分の事を女だと信じてくれているのに、今更、今度は男性としてあなたのことを考えるようになりました、なんて言えないなーって。まして、サーコにはトモもいたんだからね?」
そこまで話すと、リャオはうつむいた。右手で目元をこすってる。
ああ、また泣いてるよ。本当に泣き虫。じゃあ、肩を抱いてあげる。よしよし。
そうだ、訊いてみたいことがあった。
「リャオは、今、あけみさん? あきお君?」
リャオは電話機の側にあるティッシュで涙を拭きながら言った。
「どっちも私の中にいる。ちょっと前までは、どっちかはっきりしていた。でも今はよくわからない」
「じゃあさ」
あたしは彼を向いた。思い切って尋ねた。
「もし、今、あたしが、とてもあなたを欲しいですって言ったら、どっちになる?」
「今?」
あたしは頷く。たぶん顔は真っ赤だと思う。でも、言わなきゃ伝わらないから。

リャオは立ち上った。電気を消し、あたしを抱きしめる。
「どっちだっていいじゃない。おいでよ。ほら」
あたし達はベッドになだれ込む。激しいキスを交わす。彼の手があたしをまさぐる。やがて全身が炎のように熱くなる。
あたしは韓国ドラマ「コーヒープリンス1号店」を思い出していた。コン・ユ演じる主人公ハンギョルは結婚話を避けるため、男友達ウンチャンと付き合う演技をする。ところが、演技のつもりだったのが本気でこの男友達を好きになってしまう。
ま、実際はウンチャンは女の子なんだけどね。で、ウンチャンに愛を告白すべく、ハンギョルの名セリフが炸裂するのだ。

너 좋아해. 니가 남자건 외계인이건 이제 상관안해.
ノ ジョアヘ. ニガ ナムジャゴン ウェギェインイゴン イジェ サングァンアンヘ.
(お前が好きだ。お前が男でも宇宙人でももう関係ない)

そうだよ、どうだっていい。あけみさんでも、あきお君でも。リャオは、リャオだ。
あたしは、リャオと一緒にいたいんだ。このままずっと。

ひょっとすると。
日本が、沖縄が、世界が荒れ狂って争いごとが起き、兵役拒否のために彼が性転換手術を受けるような事態になったとしても。
あたしは彼を、彼女を求め、彼の、彼女の指の動きに感じてしまうだろう。
そしたら、人はあたしをレズビアンと言うのかもしれないね?
LGBTの定義はきっと、どこか、あいまいなままだ。人間が定義づけるものなんて、所詮そんなものだ。

お願いリャオ、もっとあたしを狂わせてよ。あたしは、ずっと、あなたと溶けちゃいたい。男とか女とか飛び越えて、ずっと繋がって、ただひたすら漂っていたい。ずっと、ずっと。

心の中でストーンズが流れる。台風の夜にジングがあたしに聴かせてくれた曲、あたしの和訳をリャオが読んで笑い転げたあの曲が。

 

 

共に夜を過ごそう
今まで以上にあなたが必要なの
あなたにはガイドが必要ね
あなたが求めるものをあたしは与えてあげる

共に夜を過ごそう ラララ……

~~~

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小説「わたまわ」を書いています。

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沖縄・那覇を舞台に展開するラブコメディー「わたまわ」をこちらに転載しています。70から2年後のゴールデンウィークあたりの設定です。

目次クリックで移動します。

 

目次
1.ジング氏の家で
2.小箱の中身

---

 

1.ジング氏の家で

 

5月2日

あたしたち家族はソウル市内にあるジングの実家へ来ていた。ミヨリさんの結婚4周年のお祝いと、ジングの、トモのお墓参りのために。
あたしがジングの家へ来るのは2度目だ。3年前の秋に訪れたときはジングと、トモと一緒だった。結婚するつもりだったから。まさか3年のうちに事態がこんなに変わるなんて想像もしていなかった。

ご両親とミヨリさん、ミヨリさんのご主人とウネちゃんが出迎えてくれた。リャオは今回の旅行はずっと“あきお君”で通すと決めていた。ライカははじめ人見知りをしたが、ミヨリさんとウネちゃんがよく構ってくれて次第になじんでいった。
前回はかなりピリピリ張り詰めた空気が流れていたが、今回は和やかな雰囲気のなかでお話しができた。ジングが神学校で取得したディプロマ証書とか、今まで撮りためたホームビデオをいろいろ見せてくださった。幼いジングがテコンドー大会に出ている姿や、ピアノコンクールに出場した模様など、あたしたちが知らない、在りし日のジングの姿があった。
3年の間にご両親は随分お年を召されたようだ。両者とも白髪が目立った。あたしは心の中でママや死んだパパの姿を重ね合わせた。
韓国の家には大抵中庭があり、ウネちゃんとライカはそこで追いかけっこをしてはしゃいでいる。ジングのお母さんが一人つぶやいた言葉が、あたしの耳に今でも貼り付いている。

“진구가 결혼했으면 이만한 아이가 있을 텐데.”
ジングガ ギョルホンヘッウミョン イマンハン アイガ イッウル テンデ.
(ジングが結婚していたらこれほどの子供がいたであろうに)

お父さんとミヨリさんのご主人はリャオと英語で会話して時折笑い声まで聞こえた。

 

2.小箱の中身

 

ミヨリさんがそっとあたしを呼んだ。あたしは廊下の端っこへ招かれた。


(image: Photo by Markus Winkler on Unsplash)

ミヨリさんは小箱を持ってきてあたしに手渡した。

“이거, 진구가 맡겨 둔 거. 진구가 아프리카 가기 전에 여기 들렀었거든요. ”
イゴ, ジングガ マッギョ ドゥン ゴ. ジングガ アプリカ ガギ ジョンエ ヨギ ドゥルロッオッゴドゥンヨ. 
(これ、ジングから預かっていたの。ジング、アフリカ行く前にここに寄っていったから)

“남편분 계시는 곳에서 전해주는 것은 좀 그래서. ”
ナムピョンブン ギェシヌン ゴッエソ ジョンヘジュヌン ゴッウン ジョム グレソ. 
(ご主人がいらっしゃるところでお渡しするのはちょっと気が引けて)

開けてみる。銀色の指輪。ジング、こんなの買ってたんだ。不思議だな、別れた後に指輪を買うなんて。
でも、……あれ? あれれ?
このとき、あたしはとあることに気がついた。気づいたとき、鳥肌が立った。

“고마워요. 소중히 간직할게요.”
ゴマウォヨ. ソジュンヒ ガンジクハルゲヨ. 
(ありがとうございます。大事にします)

ミヨリさんには丁寧にお礼を言って、あたしは小箱を自分のバッグへ仕舞った。ミヨリさんはニッコリしておっしゃた。

“아사코가 행복한 거 같아서 다행이에요. 진구도 기뻐하고 있을 거예요.”
アサコガ ヘンボクハン ゴ ガッアソ ダヘンイエヨ. ジングド ギポハゴ イッウル ゴイェヨ. 
(麻子が幸せそうで良かった。ジングも喜んでいると思うよ)

あたしは小さくうなずいた。

みんなでジングの墓参りに行く。ジングの骨があるわけではない。彼はアフリカで埋葬されたらしい。骨壺に収められたのは、あたしとリャオがプレゼントして身元確認に用いられた時計だ。
ご両親のお気持ちを考えるとやりきれない。殉教したんだからジングは間違いなく天国にはいるんだろうけど、大事な長男の骨すら戻ってこなかったんだから。
ここでも子供達はずっと追いかけっこに夢中だ。ウネちゃん、すっかりライカのお姉さんになっちゃったね。

“한국에 또 놀러 오세요. ”
ハングクエ ト ノルロ オセヨ. 
(また韓国へいらっしゃい)

あたしたちはご家族と握手して別れた。

ホテルに戻る。夕食を済ませ、リャオとライカは一緒に湯船に入った。
あたしはもう一度、指輪を取り出す。……うん、そうだよ。間違いない。あたしは一人で頷いた。
ライカ、寝ました。昨日は初めてのフライトだったし、今日はいろんな方々とお会いしてかなり興奮しちゃってたみたい。あたしはリャオに声をかけることにした。     NEXT:終章_虹のトンネル(2)(3)

第三部 &more 目次  ameblo

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こんにちはー。

ずっとノベルアッププラスにいまして。キャンペーン終了まで二週間切りました。すこしずつ現実へ戻ろうと考えております。

目次いきます。

 

目次
1.沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン ノベルアッププラス版
2.沖縄コラム「くるみあるくは来る、見る、歩く」
3.kindle本売り上げ&7月分スコア報告

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1.沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン ノベルアッププラス版

 

ほぼ毎日更新です。こちらへ掲載していない作品の紹介もあります。虚構新聞コラボネタとかね。第1話に列挙しています。

 

 

2.沖縄コラム「くるみあるくは来る、見る、歩く」

 

すきづきん先輩からコラムの執筆を薦められたのでやってます。早くも2100PVを突破しました。

 

近視乱視ですが縦横無尽に走ってます。このコラムでしかやらないネタ多し。しばらくアメブロ留守にすると思うので、こちら来ていただくと助かります。

今日は玉城デニー知事の話ちょろっとしました。

この動画、ラジオのトーク番組のノリ。さすが元パーソナリティ。面白いです。今回出た自叙伝、表紙でフェンダーのギターをかまえていらっしゃいますが(製造元の許可取るのが大変だったそうですよ)、このうんちくが55分過ぎからあります。フェンダーやらギブソンやらかなり熱く語っていらっしゃいます。

 

 

3.kindle本売り上げ&7月分スコア報告

 

kindle本の売り上げが9円ありました。ありがとうございます。
アルファポリスさんち、7月分は6スコアいただきました。いつも応援ありがとうございます! 皆様のご愛読が寄付キャンペーンへつながります。今後ともよろしくお願いいたします。

 

記事は以上となります。記事にあまり関係ない画像ですが豊見城の景色です。飛んでいるのはソラシドエア。早く旅行できるようになりたいな。



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青春小説「サザン・ホスピタル」リンク先はこちらから。サザン・ホスピタル 本編 / サザン・ホスピタル 短編集など。今後ノベルアップ+側へも転載していきます。

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当小説ナナメ読みのススメ(1) ×LGBT(あらすじなど) /当小説ナナメ読みのススメ(2) ×the Rolling Stones, and more/当小説ナナメ読みのススメ(3)×キジムナー(?)

2022.07.31 末尾に動画リンク追加しています。terubozuさんお世話になっております!

この作品は「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。

詳しくはリンク先をご参照ください。

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沖縄を舞台に展開する青春小説「サザン・ホスピタル」本編Part3Ch.02より「Happy Birthday」後編を転載してみます。ちなみに(5)がちょうど100話目だそうです。(笑)

今回動画リンクするにあたってあらすじ述べますと、勉君が大学時代にホストやっていたことが幼馴染の多恵子さんにバレちゃって……という内容。どうぞノベルアップ+へ飛んで下さい。リンクは「Happy Birthday(1)」です。(5)まで読むとこちらにUPした動画さんの元ネタ動画に行き当たります。

 

 

正直申し上げますと「サザンホスピタル」本編・短編集ともに沖縄方言記述に伴うルビタグが大量発生するため、ブログへの転載は不向きです。Google Search Console からも警告を受けていますので。

現在、ノベルアッププラス版サザン・ホスピタルでは各章のおわりに主に80s洋楽のYouTube動画をアップしています。くるみさんが17年前の執筆当時、曲をセレクトしながらノリノリに書いていました。洋楽好きなあなたも読み進めながらぜひチェックしてくださいね。

 

今回は上間勉(うえま・つとむ)のモノローグになります。お試しバージョンとして小説ながら目次を作成することでノベルアップ+版とほぼ似た仕様でのご提供を考えました。今回は(4)からスタートです。クリックすると各意味段落へジャンプします。

 

目次
4.勉、誕生日プレゼントを選ぶ
5.「恋の花」

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4.勉、誕生日プレゼントを選ぶ

 

At the Southern Hospital, Nakagusuku Village, Okinawa; March 10 and 12, 2000.
At Naha City, Okinawa; March 13,2000.
At Nishihara Town, Okinawa; March 15, 2000.
Now, the narrator returns to Tsutomu Uema.

 

多恵子が僕を怒鳴ったあの日の夕方、僕はサザンから呼び出し(オンコール)を受けた。交通事故の急患さんが搬送されたのだ。

患者さんは知念安達(ちねんあんたつ)さん、六十五歳。農道を横断中に、突っ込んできた乗用車にはねられたらしい。意識は清明。右肩、腰椎、骨盤から右大腿骨のあたりを強打されたらしく、全身に軽い打撲症状を伴っていた。鎖骨に骨折は見られるものの緊急オペの必要はなく、入院して四~五週間安静を保つ必要があった。僕は、泊り込むことに決めた。

 

知念さんの様子を見守りながら、思い出した。

そういえば、もうじき多恵子の誕生日。二十六歳か。なにかプレゼントしなくちゃ。でも、何がいいんだろう?

多恵子は女としてはかなり変わった奴で、あまり、おしゃれを楽しむとかブランド物を集めるといったことをしていない。だから、アクセサリーを贈っても、全然喜びそうになかった。ただ一点、ピアスを除いて。

もちろん、看護師だから勤務中はしてないんだけど、普段の彼女はかならずピアスを身に着けていた。結構、いろんなものをもっているみたいだ。でも、どれも安物らしい。二十六歳にもなるのに、イミテーションしか持ち合わせていないとは、ね。

あれだけ怒らせてしまったから、今回は、奮発せざるを得ないだろうな。

この際だから、何か本物を贈ってやろう。

よし、今度の休みにでも、探しに行くか。

 

僕がTOEFL550点というスコアを医局で受け取ったのは、それから二日後のことだ。このころはまだ月に一度しか試験が開催されてなかったため、Writingが苦手な僕はかなり苦戦していた。日々の勤務をこなしながらずっと対策に追われ、ようやく550点ギリギリのスコアを出した。本当に、しんどかった。

これで、あとはCSA(臨床技能試験)を残すのみ。それを突破すれば、ようやく、アメリカの医者になれる。

 

いい思いをする時というのは不思議と続くもので、ほぼ三日ぶりに帰宅すると、多恵子から留守電が入っていた。ここ数日、彼女とは全然、病棟で会わなかった。朝の回診には出向いていたが、ICUと手術室とを頻繁に行き来していると、こんなこともあるのだ。

留守電の彼女は、怒鳴ったことを、かなり丁寧に謝っていた。本当に律儀な奴だ。感心しながら僕は、例のごとく彼女の声をMDに保存して、ベッドサイドに持ち込んだ。

 

「あなたのことを誤解して、本当にすみませんでした。おやすみなさい」

いやいや、あの時期、僕は確かに遊び人(あしばー)でした。責められても仕方ないです。

許してくれてありがとう。多恵子さん、おやすみなさい。

 

翌日がちょうどオフだったので、僕は車を飛ばしてあちこちの店を回った。でも、あんまり、ないんだよな、ピンとくる奴が。ダイヤモンドはなんかちょっと違う気がするし、かといって、ありふれたデザインの奴を贈ったら、あいつは自分(どぅー)の安物と間違えかねないからなー。

 

image

 

何軒回っただろう。国際通りにある有名な宝石店で、やっと、見つけた。

それは、お腹にアクアマリンを抱えた、ホワイトゴールドの小さなイルカが一対になっているペンダントタイプのピアスで好感が持てた。でも、さすがに値が張った。八千円も取られた。年度末で出費がかさむ時期な上、まだ研修医の身分だった僕にはかなり重い金額だったけど、仕方がない。

 

そして、やってきました三月十五日、水曜日。

その日の午後、僕は年休を取り、サンシンとプレゼントの包みを持って東風平(こちんだ)家を訪れた。サザン・ホスピタルにはバースデー休暇制度がある。多恵子は家に……いるよな? それとも、出掛けたかな? 車を停め、玄関のチャイムをならした。

多恵子は、いた。

「あい、勉」

なにせ、あの喧嘩の後だ。ちょっと、気まずい雰囲気が走った。

「あ、留守電は、聞いたよ」

僕がそういうと、多恵子はほっとした表情を見せた。

「上がってよ? お父はコミュニティの会合に出てる」

「お邪魔しまーす、あれ、おばさんは?」

「今さっき買い物に行った」

そっか。じゃあ、今、渡しちまおうか。

「多恵子、今日、誕生日だろ?」

「うん」

僕は、小さな紙製のバックを渡した。

「これ、プレゼント」

「へえ? あんた、お金大丈夫ね?」

「いいよ、来月から正職員だから」

「そっか。じゃあ、ありがたく頂戴いたします。いっぺーにふぇーでーびる。今、開けてもいい?」

「どうぞ」

 

多恵子は鼻歌を歌いながら包みを開けている。

な、なんか、開けてるのをただ側から見てるのって、変に緊張するやっさー。だんだん顔が赤らむのがわかる。僕は多恵子に尋ねた。

「あ、俺、サンシンの準備してて、いいかな?」

「あ、どうぞどうぞ」

 

5.「恋の花」

 

At Nishihara Town, Okinawa; March 15, 2000.
The narrator of this story is Tsutomu Uema.

 

サンシンをナップザックから取り出し、調弦(ちんだみ)をはじめた。これはいい時間潰しになる。喫煙者がタバコをのむ感覚も、きっと似ているのだろう。

「うわ、かわいい!」

多恵子の驚く声が響く。続いて、彼女は僕の顔を見上げ、おずおずと尋ねた。

「勉、これひょっとして、本物?」

僕は頷くと彼女の横へ行き、指さしながら説明を始めた。

「ホワイトゴールド。この石は、アクアマリン。三月の誕生石だし、いいだろ?」

すると多恵子は声を落とした。心配そうにこっちを見ている。

「……高かったんじゃないの?」

「まあね」

適当にごまかした。まさか正直に値段を告げるわけにはいかないよな。恐縮して、今更返されても困るってば。

「本当に、いいの?」

「気に入った?」

「とっても!」

「じゃ、良かった」

ほっとして微笑みながら多恵子の方を見やると、なんと彼女、声を詰まらせながら目をこすっている。

「ありがとう……とっても、とってもうれしい」

お、おい、ちょっと?

「えー、お前、泣くなよ?」

「だって、初めてだもん。こんな、いいの、貰うの」

多恵子は、しゃくりあげはじめた。

だ、か、ら、泣かんけー! 如何(ちゃー)っしが()むら、(わか)らんなえーさに?

 

僕は無愛想を装ってこう言ってみることにした。

「だったら泣かんで、着けて見せてみ?」

「そ、そうだね」

多恵子はピアスを手にしたまま立ち上がった。

「洗面所行って、着けてくるね」

 

さてと。ヒマになったな。

僕はサンシンを手にしたまま考えた。右手にはめた水牛の爪で軽く弦の上を滑らせる。調弦は本調子。何か、弾こうかな?

そうだ。いい曲がある。

 

僕はサンシンを構えなおした。曲は、「恋の花(くいぬはな)」だ。

もともと八重山・新城島(あらぐすくじま)の台地「越えの(ぱな)」を舞台に島の生活風景を歌った「くいぬぱな節」が元歌だけど、名前が名前だから、沖縄本島に伝承される際には全然違う歌詞、つまり男女の恋歌になってしまった。実際は男女の掛け合いの歌なのだけど、ここでは一節だけ歌います。

 

 庭や(ゆち)降ゆい (庭には雪が降っていて)

 梅( んみ)や花咲きゆい(さちゅい) (梅の花も咲いていて)

 無蔵( んぞ)(ふちゅくる)や (愛しい女性のふところには)

 真南風( まふぇ)吹きゆる(ふちゅる) (南風がそよいでいます)

 

とても弾きやすく、歌いやすい。僕が好きな歌の一つだ。いいよね。我が世の春って感じで。

弾き終わる頃、ほら、ちょうど多恵子がピアスを身に着けて戻ってきた。耳元でイルカが揺れて、きらきら輝いている。

()ー似合とーっさー」

「ありがとう」

多恵子はにっこり笑った。僕も釣られて微笑んだ。

ああ、君の笑顔は本当に最高だ。僕の心にも南風がそよぐようだ。

 

「勉?」

なぜか多恵子が小声で僕を呼んだ。

「ん?」

「ごめんね」

「何が?」

「いつも身に着けていたいけど、仕事中は外さんといけんから」

「あ、ああ」

僕は頷いた。そりゃそうだろう。規則なんだから。

「本当に、ありがとう」

そんな、何度も言いなさんな。照れ臭いじゃないか。

僕は場の空気を和ませるために、軽くサンシンをかき鳴らし、明るい声を出した。

「よし、おまけだ」

僕はサンシンで簡単に“Happy Birthday”を弾いた。多恵子が隣で笑い転げている。

「あはは、なーんか、変!」

別に変でもいいじゃない。他ならぬ君の誕生日なんだから。

 

多恵子が本当にうれしそうだったから、僕は幸せだった。

きっと、こうして一歩一歩着実に近づけば、やがて、君に認めてもらえる日が来るよね、多恵子?

 

この頃からだろうか、僕らの距離が少しずつ縮んできたのは。

やがて、多恵子は勤務から上がる時に、僕が贈ったピアスとともに、ブルガリの香水を耳たぶに薄くつけるようになった。彼女のことだから、照喜名と粟国さんが意味深げに笑っていても、全然気づいてない様子だけどね。

 

え、僕ですか? 多恵子に会うたび、変な想像してないかって?

……まあ、いいじゃないですか。

これ以上、追求されるのも嫌なんで、逃げます。次章へTo be continued.

 

(Happy Birthday:FIN)

---

16年前に沖縄音楽のMIDIをお借りしていたサイトさん(沖縄音楽素材集の沖縄民謡系の項に「恋の花」あります)。吉田さんが今もがんばっていらっしゃることを知り驚いています。沖縄関係のいろんなものがありますよ。 トップからリンクです。

 

 

それから、こちらインスタにフォローいただいてます三線教室さん。インスタにもいろんな演奏がUPされていますが今回はブログにリンクします。オンラインレッスンもあるのかな? サンシン弾いてみたい方はおたずねしてみて。

 

 

2022.07.31 当時くるみさんが執筆した時、この章にはこんな曲を当てはめていました。terubozuさんの和訳カバーは秀逸です!

 

 

上記ぜひぜひチェックしてみて!

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青春小説「サザン・ホスピタル」リンク先はこちらから。サザン・ホスピタル 本編 / サザン・ホスピタル 短編集

 

小説「わたまわ」を書いています。あらすじなどはこちらのリンクから: exblogへ飛びます。
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沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾開催中。期間は8月いっぱい。よろしくお願いいたします。

こんにちはー。毎日暑いですね。

最近ずっとノベルアッププラスの連載に掛かりきりでこちらがお留守気味です。ノベプラ収録の100ちかい作品がキャンペーン対象だからしょうがない。

ということでアメブロの更新や「いいね!」返しはカメになりますがよろしくお願いいたします。目次いきます。

 

目次
1.英文を提供した話
2.ノベプラ貢献ポイント1000pt超えのご報告

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1.英文を提供した話

 

フォローさせていただいております「聞こえにくくても宝塚を楽しむブログ」さんがこのような記事をUPしました。

 

拙作で必要な英文チェックのついでに、日本語フォームの英訳を翻訳会社さんに依頼しただけよ。それなのにこんなに宣伝していただきまして、ありがとうございます♪

せっかくだから、チェックしてもらったメインの英文がどんなんだったかリンクしておく。英訳日本/沖縄方言童話、どうぞ気分転換にどうぞ。ただし内容はギャグに特化しております。もちろん「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。

2.ノベプラ貢献ポイント1000pt超えのご報告

 

そうなんです、とうとう1000pt超えちゃったんです! 銀行振込み可能ポイントへ到達です!
 

 

もっとも、これは「キャンペーンで寄付するから」ってことで、ノベプラ民のみなさんがくるみさんを信じてノベラポイントをつけてくれたから、なんです。くるみさんのチカラじゃない。読者の皆さんから、糸満への、沖縄への好意であり励ましのメッセージなのよ。

だから、キャンペーン終了してから銀行に振り込んでもらって、全額寄付へ回します。えーっと、ポイント換算率が微妙に謎で1pt=0.7円? と聞いた。あと手数料400円? とかって。だから9月に下ろします。

 

キャンペーンまだまだ続くよ。みなさんどうぞ、沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾へご参加くださいませ。

本日も皆様にとって、誰かにエールを送れる/誰かからのエールに応えられる一日でありますように。

P.S. 今日はミック・ジャガーの誕生日です。Happy birthday Mick! 

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青春小説「サザン・ホスピタル」などリンク先はこちらから。サザン・ホスピタル 本編 / サザン・ホスピタル 短編集 / ももたろう~the Peach Boy / 誕生日のプレゼント / マルディグラの朝 / 東京の人 ほか、ノベルアップ+にもいろいろあります。

小説「わたまわ」を書いています。

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「わたまわ」あらすじなどはこちらのリンクから:
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「わたまわ」エピソードは基本的にすべて「沖縄糸満の軽石被害に寄付しようキャンペーン 第3弾」参加作品です。

沖縄・那覇を舞台に展開するラブコメディー「わたまわ」をこちらに転載しています。今回はスピンオフを特別に掲載します。

実は、宣教師トモ(本名:キム・ジング)のモノローグ作品をノベルアッププラス版本編には2章収めました。

ミックスバーで今宵も乾杯 from「わたまわ」10

ジング氏からのプレゼント from「わたまわ」13

他にもノベルアッププラス版独自エピソードがいくつかあります。読みたい方はノベルアッププラスへ飛んでください。「前振り」「前振り 2」が目次兼リンクとなっております。探してみてね。

 

 

今回は目次つけます。トモのモノローグです。

 

目次
1.ジング氏、あけみさんと猫を探す
2.ジング氏、チュールを買いに行く

---

 

1.ジング氏、あけみさんと猫を探す

 

こんにちは、キムです。そしてここは三たび那覇の松山地区です、ホント、たまには別の場所でお話をしたいものですが、なぜなんでしょう?

時刻はまだ17時、本日も“ミックスバー くりーむぱふぇ”の扉を、……おっとここは自動ドアでした。

「いらっしゃーい」

カウンターには“あけみさん”。9月に入りましたが沖縄の残暑は厳しいのであけみさんも涼しげなモスグリーンのワンピース姿です。

「ごめんねトモ、呼び立てちゃって。ちょっと一肌脱いで欲しいんだけど」

あけみさんはそういうと私を手招きしてカウンターの扉を開けた。中に入ります。右手に畳の部屋、その奥はシャワールームと従業員用のトイレ。へえ、お店の裏側ってこうなっているんだ。

あれ、畳間に体育座りして泣いている女性、いや、オネエさんがいらっしゃる。しきりに涙を拭いている。

「実はさ、さっきここから猫ちゃんが逃げたの」

「猫?」

リャオ、いや、“あけみさん”はシャワールームの天窓を指さした。小さく開いている。

「バーのスタッフの京子ちゃん、最近猫を飼い始めてね。なんでも今日は予防接種の日ってことでペット用のキャリーバッグに入れて獣医さんとこ行って、そのまま直行でここ来たのよ。でね、ここで猫の様子見ようとしてキャリーバッグ開けたら、あっという間に逃げちゃったんだって」

なるほど、慣れない場所での猫逃走はよく耳にします。

「ララアのバカあ!」

黒いレースの服を着た京子さんと思われる人物は大声を上げるとハンカチで顔を押さえおいおい泣き始めた。私、そばへ寄ります。

「猫ちゃん、逃げたばかりなら捕まるかもしれませんよ。どんな子ですか?」

「えっと」

京子さんはスマートフォンを取り出した。写真を見せてくれる。ははーん、シャムネコちゃんですか。


(image: Photo by Alexey Savchenko on Unsplash )

 

「男の子です。鳴き声がうるさくなるからって早めに避妊手術して、今日は予防接種だったの」

ララアちゃんってお名前なんですね。なにか首のところについてます。これ、鈴?

「あ、そうだ、そうだった!」

京子さんの顔が急にパッと明るくなった。

「彼氏がエアタグつけてくれたんだった!」

あけみさんが驚いて尋ねる。

「エアタグって、アップルの? あーこれ、中国製の首輪じゃん」 

「そうそう、彼氏が買ってきたの。何かの時に役に立つからって。でも、使い方わかんない」

すると、あけみさん自分のiPad持ってきた。

「iPadから一回ログアウトしたよ。京子ちゃんのAppleIDでサインインして」

「ええ? あけみちゃん、いいの?」

「だってしょうがないでしょう。いいよ、どうせLINEしか入れてないし」

えー、あまり推奨できる使い方ではないですがこの場合は仕方ないですね。写真などのデータをどうするかは自己責任ですよ。

 

京子さん、あけみさんのiPadにサインインしました。あけみさん「探す」をクリック。

あ、地図にマーク出ました。これは近くのビルですね。

「トモ、追いかけよう!」

私たちは京子さんを置いて店を出た。さっき地図に示されたビルに到着しますがララアちゃんの姿はない。

「おかしいなー。この辺りなんだけど」

リャオはずっとiPadを覗き込んで首をかしげている。このビルはピロティ形式で1階が駐車場なんですよ。沖縄でよく見かけるタイプですね。逃げた猫は車の下、建物の隙間や裏、自販機や室外機の下などにいる可能性が多いそうなんですが、うーん、見つからない。

「ひょっとして」

私、あることに気が付いて顔を上にあげます。

「いた!」

「え、どこどこ?」

私は指をさす。ピンときた読者の方も多いでしょう。猫は高いところが好き。

ララアちゃん、なんとビルの屋上にいました。どうやって上ったのやら。とにかく、無事でよかった。

「困ったなー、どうやって屋上まで行こうか?」 

シャムネコ、賢いけど飼い主さん以外にはあまり懐かないらしいです。我々が無理に追いかけると逃げちゃうかも。

「しょうがない、京子ちゃん呼ぼう。一時お店は閉めるしかないね。でさ、トモ。チュール買ってきてよ」

「ちゅーる?」

「猫のおやつ。あそこ、ほら、津波ビルのところにマックスバリューあるから。買ってきて」

 

2.ジング氏、チュールを買いに行く

 

リャオが千円渡してきたので、歩いて津波避難ビルへ来ました。ここの1階にマックスバリューが入ってます。

……えーっと、ちゅーるって、どこに置いてあるの?

「トモ?」

聞き慣れた声に振りむく。あれ、サーコ?

彼女、制服姿です。しかも、ほかの女子高生と一緒。

「あー、トッケビさんだ!」

「サーコの家庭教師さんでしょ? カッコイイ!」

そういえば私、彼女の高校にバイクで乗りつけたことがありました。そうか、那覇市松山はサーコが通う高校の校区内ですね。

「サーコ、ここに、ちゅーるってある?」

「ちゅーる?」

「あ、それ猫のおやつだ。猫飼ってるんですか?」

「ささみ味がオススメ!」

女子高生の皆さんいろいろ教えてくれる。千円あるから全種類買っちゃった。

そして私、猫が逃げてビルの屋上にいる件を伝えます。みなさん口々に

「ビル入れないなら警察呼んだら?」

「消防に電話して、はしご車出してもらうとか」

「でも、とにかく飼い主さんに来てもらうのが一番いいよ」

みんなついてくる。リャオと京子さんがキャリーバッグ持って待機してる。

京子さんにチュール渡す。 京子さん、猫へ呼びかけます。えー、いつもの声、落ち着いた声で呼びかけるのがいいらしいです。

「ララアちゃーん、チュールあるわよー!」

 

あ、姿消した! と思ったら、

“にゃーん”

5秒後には来ましたよ。早いですね! 京子さん大感激して、立ったままララアちゃん抱きしめて泣いてました。周りを女子高生たちが取り囲みます。もちろん、サーコも。

良かったなー、と思って眺めてたら、不意に隣から抱きしめられた。

「トモ、本当にありがとう!」

そして、左の頬にキスされた。

 

全身の毛が逆立つ。女子高生たちが騒ぐ。

「あー、いいなートモ。あけみさんにキスされてるー!」

「きゃー、あっつーい!」

「おふたり、ラブラブですね!」

 

全然、ちっとも、嬉しくない!

 

「じゃ、トモ、あたしたち今日はクラス新聞作りだから行くね」

「お二人さーん、お幸せに!」

 

え? サーコ行っちゃうの? なんでこうなるの?

 

リャオが私を右腕でホールドしながら左手を振ってる。

「サーコありがとう、じゃーねー」

 

リャオ、ありがとう、じゃないでしょう!

本来ならティミョパンデトルリョチャギしたいところなのに。

京子さんがやってきて私の空いた両手にララアちゃんを抱っこさせる。

「ララア、このお兄さんがいっぱいチュール買ってくれたんだよー。ありがとうして」

“にゃーあー”

 

猫ちゃん抱っこしたまま回し蹴りなんて、できるわけがないでしょう!

 

リャオがこっそり私に耳打ちする。

「今晩、トモにチャスミル一本サービスしてあ・げ・る!」

そして“彼女”は私の頬に再びキスをした。

 

全身の毛が再び逆立つ。

おお神よ、この哀れな子羊をお助けください。

 

沖縄の9月の生温い風がさーっと吹き抜け、“彼女”に抱きつかれたまま私はただ呆然と立ち尽くす。 腕の中で猫が満足そうに、グルグルと喉を鳴らしじゃれついた。 (FIN)

 

つけたり アップルさんはAirTagの猫への取り付けは非推奨です。自己責任でどうぞ。

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