望んでも望まなくても

眠りの季節は来る

一枚の葉も残さずに

風は連れて行く

 

木々は知っているのだろうか

次の季節に咲かす花を

木々は知っているのだろうか

そこに人々が集う未来を

本当は僕にだって

確信などないけれど

 

木々は木枯らしの後を

どう生きるのか

夜は冷たさを増していく

空は険しさを深めていく

木々はひたすら耐えているのだろうか

それとも楽しみに待っているのだろうか

ぷつり途切れた大地

そそり立つ灯台

くたびれた靴を弾ませ

ゆっくりゆっくり岬へと

 

やわらかな水平線

呼吸する空と潮

しみじみと風を受け

一人対面する海

 

瞳に映るのは

永遠のような時間

それは自分のちっぽけさを

映し返す

日々に

祈りを織り込んで

人生は形作られる

 

言葉が

強く鳴り響く時も

心は

静けさの中にある

 

世界が移り気に

姿を変えていく

大きなうねりを掻き分け

たどり着いた

たった一つの生き方

 

強風に煽られながら

建てられていく家のような

時代という暴力への

日常は静かなる抵抗

背負いきれないほどの過去から

追いきれないほどの未来へと

命を連ねる流れ

 

血を流し

血に流されながら

僕は歴史は

何処に在るのか

 

体を巡り

時を巡らせ

血は絶えず入れ替わり

僕を絶えず生まれ変わらせる

 

傷ついたときにしか

気づけない

循環からこぼれ落ちた

命の雫の存在に

光へと上る道

闇へと下る道

二つの道は

交わることはないだろう

 

陽当たりのいい部屋と

影に閉ざされた部屋

一つのドアは

お互いの存在を知りながら

開かれることはないだろう

 

けれどそれは吹くだろう

鼻すすった後の風となって

唾吐いた後の風となって

僕らを突然虚しくするだろう

 

光へと上る道

闇へと下る道

二つがもし

ほんの一瞬交じわったとしても

気付く者のないままに

道は続いていくだろう

 

未来へと続く道

過去へと遡る道

二人が振り向いたとき

どんな今があると言えるだろう

太陽に貫かれて

縮こまった一日が

体から湧き出す

 

太陽が染め上げて

大地は色づき

花が香り立つ

 

日を重ね

陽を重ね

僕らの齢は豊かさを増す

 

太陽で育った

地球に育てられた

反射のような僕らの成長

僕にとって

とても大きな事実なのに

テレビをつけても

どの番組もそれを報じていない

 

僕にとって

とても大切なものが欠けたのに

新聞を広げても

誰も記事にしてくれちゃいない

 

詳細が知りたい

自分に何が起きたのかを

まだよく分かっていないんだ

 

ああ この朝の

意味が分からない

意味が分からない

ネットに書き込んだけど

実感が湧かない

消えそうで

消え切らない

確かな肉体と

やるせない気持ち

 

失って

失ってもなお

額に残る

寂しさという微熱

 

握ったハンドルの前で

沈んだベッドの上で

人は自分だけの夜を

抱えて生きる

 

「たすけて!」と

叫びたいけど

何を助けてほしいのか分からない

 

心の声はいつも

曖昧で

こっちが考えてあげなきゃいけない

それも心で

 

あれこれ探った結果

案外くだらないことが原因だったりもする

体に聞いたほうが早かったなんてこともある

あなたの背中にしがみついて

音のない夜を巡った

 

あなたと走る道は

不意に途切れそうな不安がした

 

壊せないから

狂えないから

苦しくて

 

誰も憎くないから

もどかしくて

誰もかれもをにらみつけた日々

 

こんな素直な気持ちが

まだ自分にあるんだって

あなたで知った

 

帰り道の終わり際の

海の香りがしても

ずっと寄りかかっていたかった