あなたに心を許せない

ここで少しも笑っては

いけないような気がしてる

 

あなたに時間を使えない

少しの言葉を交わす時も

腕時計を気にしてる

 

涙もジョークも気遣いも

以前は何一つ

惜しむことなどなかったのに

 

あなたの声が聞こえてきても

離れゆく足は止まらない

描けなくていい

写せなくていい

 

虹が見えた

それだけでいい

 

雲がひらけて

太陽が現れ

 

街に差した

この午後がいい

夜の坂道を下る

まだ半袖の腕が

ざわざわしてる

 

生ぬるくて

当たっているのかいないのか

分からないくらいの風

 

今日を見失い

明日も見えない

瞳が月に寄りかかる

 

ゆるぎのない

満ち欠けが

また時を満たす

冷めた瞳が

捨てきれずにいる

 

見慣れた景色に

見慣れないものを探している

 

塞ぎこんだ聴覚が

捨てきれずにいる

 

何かの予感に

どこか耳を澄ましている

 

心にぐっとこみ上げるものを

その手がばっと飛びつけるものを

 

見つけたらもう

止まれそうな気がしない

別れには

言葉にならない

秘密がついてくる

 

捉えようのない

理由が

胸を締め付ける

 

物差しで計れない

深さが

共に歩んだ証

 

誰にも暴けない

結論を置いて

幕は閉じる

刺さるほどの

鋭い陽に

ソフトクリームと景色も歪む


狂いそうな季節に

対抗するのは

持ち前の無気力さ


扇風機の表情を

何度も伺いながら

眠りを待つ

汗臭い午後に

閉ざされたポストの

暗がりに差し込んだ光


つかえていたものが

喉元を過ぎていくように

すとんと落ちる


ひび割れそうな感情を

穏やかな日常でつなぐ

あなたの言葉が今は頼り

勢い任せで行けず

おっかなびっくりで広げる

行動範囲


三月の妄想が

喧騒で弾け飛ぶ

四月


心と現実に生じた

すれ違いも

ここから始まりの予感


よくよく考えれば

些細なことも

春の色に染まっていた

何の悲しみもない夜に

目が覚めて

ふと悲しくなる


始めからこの夜には

誰もいなかったはずなのに

寂しくなる


あんなに目一杯手を振った

確かさが

こぼれ落ちていく


さよならの

後になって分かることに

怯えている

体をここに残して

あなたは旅立つ

時間も場所も越え


空に向かって

遠い友人への伝言を

呟き続けている


あなたは今を捨てて

過去を歩いている

あなただけの物語を


皺だらけの皮膚と

あどけない瞳で

あなたは旅立つ

陽の当たる午後に