だんだん未来が

限られているような気がして

焦りを覚えながらも叩くキーボード

きっかけがほしい

本当にしたいことなんてない

でも変わりたい

切られてはまた鳴り出す

電話のベルの隣で

誰も本気で読まない書類を作る

ありふれた悩みだ

分かってる

ありふれた

リビングのボードの中に

何十年も開かれていないオルゴール

あまりにも主張しないから

大掃除始めるまで気づかなかった

蓋を開けば際限なく歌うのに

オルゴールはいつも懐かしい

まつわるエピソードは一つもなくても

鼓膜をそっと撫でながら

一つ一つの音を

搾り出すようにゆっくりと

もしかしたらオルゴールは

閉じられていた間もずっと

歌っていたのかもしれない

そう思わせるように

変わらないメロディーを産み続けて

蓋を閉じる

また長い沈黙が始まる

休日の午後は短い

ほのかな余韻を耳に残して

大掃除は続く

教科書で覚えたまま

一度も使ったことのない言葉がある

おそらくこの先も使うことのない

使ったことがないのが気になって

忘れられないでいる言葉

じゃあ無理やりにでも使いたいかといえば

そうでもない

言葉はいつも思いがけず

絶好の場面で発せられるものだから

別にその日が来ることを

楽しみにしているわけでもないけれど

疲れた体でドアを開けば

住み慣れた家で布団が待っている

昼間吸い込んだ太陽の光が

夜に温もりとなって人を包む

せっせとシャワーを浴び

締め付けのない服に着替え

崩れ落ちるように終わる一日を

ふわりと受け止めてくれる

やがてカーテンの隙間

陽が差して

夜中沈んだ体は

跳ね返るように目覚めていく

両親に叱られて

みじめに泣きじゃくった日も

思いがけず積もらせた悲しみを

部屋で一気に溢れさせた日も

顔は何度の涙を越えてきたのか

それともまだここにいて

僕の顔の一部になっているのか

幼い頃に付けた切り傷

思春期に潰したにきびの跡

鏡は昨日の自分を映さないが

顔には小さな歴史がある

朝になればいつものように鏡に向かい

わけもなく頬をぱんと叩く

あなたが二択で問いかけるから

僕は二通りの生き方しかできない


あなたが答えを迫ってくるから

僕の答えは窮屈になる


僕が出した答えに対して

あなたはまた問いかけてくる

あなたが差し出してきた疑問に

疑問をはさむことはできないのでしょうか

空は全てを受け入れるが

決して受け止めようとしない

鳥や雲がどこへ向かおうとも

人には横切っているようしか見えない

僕らも空に抱きしめられたくて

とうとう宇宙まで旅したものの

その果てを知ることはない

空はひとりでに色を変え

あらゆるものと距離をとる

誰にも触れられないキャンバス

僕らにできることは

あの美しいキャンバスの前に立ち

一緒に写真をとることだけ

本当に大切なものは

いつも気づかずに捨てている

時の片隅に

書き捨てた落書きがある


通いなれた遊歩道を

掘り起こすように歩いていく

自分で埋めた覚えがなくても

タイムカプセルは見つかる

心は上の空

校長先生が何か言ってる

急ぐ用事もないのにそわそわ

後輩達が作った道を歩く

涙する女子となぐさめる女子

握手してうなずく先生と同級生

僕たちの一年は

3月で終わるから

咲き乱れる桜の色が

妙に鮮やかに映るのだろう

卒業証書の筒を開ける音

新しい始まりの合図

思い残すことだらけの校舎を

ぼんやり見上げてさよなら

雀が飛ぶ

朝が一斉に

鳥かごを開いたみたいに

雀が鳴く

夜が磨いた後の空に

鳴き声をばら撒いて

雀は見守る

人と街の営みを

電線の上から並んで

目覚まし時計の音で始まる

けたたましい朝に

凛とした歌