あらゆる偶然を拒絶して

運命の気配を遮断した

薄っぺらい壁を境界線にして

曖昧な自分を守っている

僕は僕を隔離する

僕は独りで一人になる

何もない一点を見つめ続ける

希望の形に見えてくるまで

24時間向き合うのは自分

堂々巡りと知っていても

部屋をカーテンで隠しながら

差し込む光を待っている

何かしらの病を

人は生まれつき持っている


飲まれそうになっては飼いならし

共に生きていく


病気を治すための薬

病気になるためのクスリ


人は時に病に憧れ

人は時に病と闘う

誰に言われるわけでもなく

自分が行きたいわけでもなく

仕事の準備をして

大人になったつもりでも

新聞をまだ

後ろの面から読んでる

行く先の違う人々と

似たようなコート着て並ぶ

プラットホーム

何の期待も抱いてはいけない

ひしめきあい

この列車は

各駅停車です

川の源をたどることはできても

水の源をたどることはできない

気が付けば始まっていた輪廻が

生も死もなく水を巡らせている


川は絶え間なく生まれ続けているから

人には流れているように見える

ある水は地を飲む洪水となり

ある水は憩いのせせらぎとなり


川は幾つの人の瞳をよぎってきたのだろう

水は幾つの人の体をくぐってきたのだろう

時の中に川はある

川の中に時はある


川は今も生まれ続けている

数え切れない命を含みながら

抱きしめることで

振り落とされそうな時にしがみつく

孤独のざわめきを超え

夜の影と和解する


抱きしめることで

抱きしめられている感じがする

わたに柔らかく弾かれて

夢よりも優しいうつつの中で


親でも恋人でも友達でもない誰かに

抱きしめられたい夜がある

抱きしめ合ったまま潜って行きたい

どこまでも深い闇の奥

この歌には続きがある

だけど

今日はこれでおしまい


この歌には永遠がある

だから

どこから始めても終わらせても自由


心地よく言葉が入り込める

そのタイミングを待って

僕は繰り返されるメロディーの真ん中で息を潜めている

春が来る

別れが来る

一人になる

人はそれを旅立ちと呼んだ


僕が望んだわけじゃない

だけど僕は荷物をまとめる

夢にも満たないような

代物まで詰めて


いつも通りに動き出した電車を

特別な想いで乗り込んだ

くぐり抜けるトンネルの中

過去と未来がよぎる

一つのものを

想い続ける

その最も孤独な作業に

果てはなくても


自分を見つけるということは

自分の好きなものを見つけるということ

個性とはつまり

愛し方の違いのようなもの

好きなものを

好きな人に

「好き」と言ってもらえる

その時の喜びといったら

無理矢理

超えようとしていた

夜が

あったけど


自分で

這い上がらなくても

朝日は

やってくる


心を

焚きつけて

火のないところから

煙を立たそうとしてたけど


自分で
輝こうとしなくても
帰り道は
見つかる


車や
ビルが捨てていった
光を繋げて

家まで

大切な人と

さよならする時に

止まってしまった時計の針


また心に一つ

時計をしまう

別れの時間を指したままの


再び動き始めるときを待ちわびて

自分の時を黙々と刻む

一番大きくて寂しがりの時計