リビングのボードの中に

何十年も開かれていないオルゴール

あまりにも主張しないから

大掃除始めるまで気づかなかった

蓋を開けば際限なく歌うのに

オルゴールはいつも懐かしい

まつわるエピソードは一つもなくても

鼓膜をそっと撫でながら

一つ一つの音を

搾り出すようにゆっくりと

もしかしたらオルゴールは

閉じられていた間もずっと

歌っていたのかもしれない

そう思わせるように

変わらないメロディーを産み続けて

蓋を閉じる

また長い沈黙が始まる

休日の午後は短い

ほのかな余韻を耳に残して

大掃除は続く