どこにでもコンパスは
○と中心を作り出す
針の刺さった点と
鉛筆で描かれた円は
僕と地球に似てる
心の中心にコンパス刺して
心の外へと○を描く
地球の広さを感じれば
人はいつだって
世界の中心に立てる
ノートに描かれた
○それぞれの中心に
生きている命がある
置かれてある物がある
みんな自分を主人公にして
○を大きく膨らませて
いくつもの○と重なり合う
隣り合う命を感じれば
人はどこにいても
世界の中心に立てる
街の裏側に行けば
今でも残っている
少年時代の風景
潰れそうで潰れない
薄暗い古本屋は
もはや文化遺産のようで
夕暮れまで遊んだ神社
今の子どもが遊び回る
テレビ番組のセリフを真似てはしゃぐ
「売家」の看板が前に立った
駄菓子屋の扉の向こうに
仕舞いこまれた過去を見てる
ちょっと待って
その言葉には
罠が隠れているのです
聞く人を引き込む
上手い言い回しが仕掛けてあります
見る人の眼を引く
独特の文体が仕掛けてあります
ちょっと待って
その音楽にも
罠が隠れているのです
聴く人を高揚させる
巧みなリズムが仕掛けてあります
飽きさせないように
気持ちのいいフックが仕掛けてあります
あらゆる商品には
あらゆる情報には
罠が隠れているのです
作った人も気づいていないかもしれない
罠が隠してあるのです
「だまされないぞ」と叫んでいる人も
別の罠にかかっているのです
私たちは
より素敵な罠を探します
罠を選ぶことで
私たちは個性を主張します
私という人間を育て上げます
だから止めといてなんですが
自分の心が惹かれるものを
選べばいいのです
心は心のつまずきを
僕よりずっと覚えていて
似たような場面に出くわすたび
引き起こされる
ひりひりとした気持ち
歳を重ねるたびに
感じなくなった体なのに
つまずいた箇所は増えて
どうでもいいことの中にも
かけがえなさを見つけ出してしまう
ありがちな映画の結末に
「ふうん」とつぶやく
冷めた瞳から
流れる涙の不意打ち
地べたに伝う
雨のつぶやきは
いっせいに落ちれば
賑わいに聞こえる
溝に落ちれば
叫びとなり
川になれば
歌となり
声にならない雨は
水溜りとなり
誰かの足が聞きに来るまで
黙っている
それでも声になれない雨は
言いそびれたように空になって
例え好きな僕を
からかうようにささやいてくる
謙遜することで
守っていたのだろう
裏切られた場合の
衝撃から
遠慮することで
避けていたのだろう
求められた場合の
責任を
不吉な未来を