駒門駐屯地創立52周年記念行事(終章)
当初の予定では4月第1週に終わってるはずだった駒門駐屯地祭レポートだが4月が終わる頃になってしまった。
さて最後はOBなるが故の特権的事例
先に度々出てきているゴルゴ曰く
「機甲隊舎二階の会議室に行くといいよ。10式戦車の蛇行走行間射撃のビデオ放映してるから」
ということで、いつもなら時間一杯戦車の傍にいるところを渡り廊下走り隊しながら機甲隊舎に向かう。
勝手知ったる・・・と言いたいところだが、旧特科連隊隊舎という事で何か入りづらい。
しかも第1戦車大隊の隊舎は玄関ホールに受付があったのだが機甲隊舎にはそのようなものが無い。
一瞬躊躇したが、立ち入り禁止にはなっていないのでお邪魔することにする。
ガラスケースに入っているので俺映り込んじゃってる
とりあえず聞いた通りに二階へ向かう。
階段を上がった所で・・
「あれ?軍曹じゃねーか」
との声に顔を見れば新隊員の時の先任士長だったお方
「お久しぶりです(敬礼)。ゴルゴに会議室に行けと言われたのですがどこですか?」
と尋ねると
「そこだよ。なんかお前を探している人いるぞ」
と言われ、何の事か分からないまま部屋に入ると
「おー!久しぶり!会いたかったんだよ」
と元上司の握手攻撃
どうやらゴルゴに聞いて探していたようだ。
「お前に紹介したい人がいてなあ」
と紹介された方がカマド自動車の社長さん
NPO法人「防衛技術博物館を創る会」http://www1.ocn.ne.jp/~npo-dtm/
の代表理事さんと言う話だ。
カマド自動車と言えば御殿場の官舎に住んでいたころの最寄整備工場でお世話になっていた所だ。
世の中狭いものである。
更に社長さんからはPANZER誌の編集さんを紹介されたりと何だか訳の分からない状況になってきた。
横ではOB会長が「久しぶり久しぶり」の連発で握手を求めてくる。
気を取り直し、画像の写っているスクリーンを見る。
10式戦車のビデオではなく記念行事の模様を撮ったものが映し出されている。
映像担当者らしきお兄さんに
「ゴルゴに10式戦車のプロモがあるって聞いたんですけど見れますか」
と聞いたら、ああ有りますよということで
観 覧
「ここでだけで見れる」という事なので、撮影はNGなんだろうと判断、残念ながら映像はない。
結構良くできた映像であった。
もっとも、酔っぱらった方たちのお相手をしながらだったのでしっかりと見れなかったのは残念
しばらくすると機甲教育隊長が挨拶に入ってきた。
自分は特に話をした訳では無いし面識もなかったが90式戦車の教範を作った方と言うことで絵心がある人なんだろうとは思っていたが結構すごい人だった。
先の元先任士長が「これ隊長が作ったんだぜ」と持って来たのが
デフォルメがよく効いた作品である。
御覧のように砲塔も動く
更に96式装輪装甲車のペーパークラフト、圧巻である。
全て機甲教育隊長自身が設計製作したものである。
素晴らしいですね。
自身の作った96式WAPCを前に震災の災害派遣時の話をされる機甲教育隊長
そんなこんなでもっといろいろな方と話をしたかったが、お開きの時間を知らせる蛍の光が流れてきたので残念ながら帰路へと向かいました。
今回の駒門訪問、四月としては驚くほど寒かったけど人の温かさに触れる事ができ大変収穫が大きかった一日であった。
駒門駐屯地創立52周年記念行事(10式戦車特別展示)
駒門駐屯地創立52周年記念行事(戦車展示)
と予告したのだが、パンフレットには
-10式戦車特別展示(模擬戦終了後)-
となっていたので表題も変えた
さて、模擬戦終了後
お約束の薬きょうの数を数える隊員をしり目に
10式戦車を先頭に戦車4両が縦隊で並ぶ
先頭より
10式戦車
90式戦車
74式戦車(改)
74式戦車
である
10式戦車はもちろんであるが74式戦車(改)も初の展示である
ゴルゴ曰く
「サプライズです」
今回の展示要領は姿勢制御など、試作車でも行ってなかった方法を用いるサービス精神あふれたものであった。
30分ごとに全車が砲安定装置を効かせた超信地旋回、姿勢制御のパフォーマンスを見せてくれた
参加戦車を紹介
まず
10式戦車の量産車である。
砲身先端がT字状になってるね
砲塔モジュール装甲はおろかサイドスカートもないぞ
これが噂の40t状態か?
しかも前方起動方式だ!
試作車とは全く別の戦車といってもいい
・・・・・別の戦車だね
駐屯地内に展示されてた61式戦車です
後方に富士山を入れた撮影ができるというナイスな展示場所でした。
さて気を取り直して
【10式戦車(量産車)】
<主要諸元>
全長:9485㎜
車幅:3120㎜
全高:2300㎜
質量:43.25t
乗員:3名
<指揮統制>
音声無線+データ通信
<火力>
・威力:120㎜ 44口径滑腔砲(国産)
・制御:赤外追尾+
・装填:自動装填
<機動>
・動力:機関1500ps・無段階変速
・速度:70km/h
・懸架:全油気圧懸架(独立)
姿勢制御(前後・上下・左右)
<防護>
複合装甲着脱式
試作車との差異については別に詳しく述べる予定なのでこうご期待
【90式戦車】
<主要諸元>
全長:9755㎜
車幅:3430㎜
全高:2340㎜
質量:50.2t
乗員:3名
<指揮統制>
音声無線
<火力>
・威力:120㎜ 44口径滑腔砲(ライセンス)
・制御:赤外追尾
・装填:自動装填
<機動>
・動力:機関1500ps・自動変速
・速度:70km/h
・懸架:ハイブリッド懸架(独立)
(油気圧+トーションバー)
姿勢制御(前後・上下)
<防護>
複合装甲
【74式戦車(改)】
<主要諸元>
全長:9423㎜
車幅:3250㎜(スカート付:3270㎜)
全高:2250㎜
質量:38.5t(スカート付:38.9t)
乗員:4名
<指揮統制>
音声無線
<火力>
・威力:105㎜ 51口径施条砲
・制御:電動、砲安定装置
・装填:手動装填
<機動>
・動力:機関720ps・手動変速(パワーシフト)
・速度:53km/h
・懸架:全油気圧懸架(連成)
姿勢制御(前後・上下・左右)
<防護>
傾斜装甲
【74式戦車】
<主要諸元>
全長:9423㎜
車幅:3180㎜
全高:2250㎜
質量:38.0t(投光器付:38.2t)
乗員:4名
<指揮統制>
音声無線
<火力>
・威力:105㎜ 51口径施条砲
・制御:電動、砲安定装置
・装填:手動装填
<機動>
・動力:機関720ps・手動変速(パワーシフト)
・速度:53km/h
・懸架:全油気圧懸架(連成)
姿勢制御(前後・上下・左右)
<防護>
傾斜装甲
74式戦車の写真撮ってなかった・・・
30分ごとのパフォーマンスはこんな感じ
砲安定
超信地旋回左
砲は正面を向いたまま、車体のみが90度左に旋回
砲を車体に合わせる
その後姿勢制御展示
代表として
10式戦車の姿勢制御六態
10式戦車は姿勢制御中のエンジン音も非常に静かであり
隣の90式戦車のエンジン音の方が良く聞こえた
10式エンジンかかってるのか?と思ったほど
10式戦車はステルスにも十分配慮された戦車であることがうかがえたパフォーマンスであった
また、パフォーマンスの合間には戦車乗員との質疑応答もあり有意義だった
担当者さんお疲れ様!
駒門駐屯地創立52周年記念行事(訓練展示)
訓練展示だ
模擬戦とも言われる
模擬戦に先立ち市街地戦闘訓練展示が行われた
隊舎屋上からリぺリングの準備をする隊員
「懸垂降下」という一般的なリぺリング姿勢
機甲教育隊の隊員だという話だ。
大方、偵察区隊の助教かレンジャー出身隊員が行っているのだろう。
次は壁を射撃しながら駆け降りる
「戦闘降下」と言われるリぺリング要領を展示
戦闘降下は実際やってみると勇気いるし結構難しい。
ちなみに陸自では「リぺリング」と称するが「ラぺリング」とか「レぺリング」とかの呼称もある。
原文は「RAPPELLING」であり「レ」の口をして「ラぺリング」と言う発音が一番近いのかな?
良く分からんか。
なお英語では
懸垂降下は「SEAT HIP RAPPEL」
戦闘降下は「AUSTRALIAN RAPPEL」
と表記する
模擬戦は、お約束通り航空機による航空偵察から始まる。
第1師団第1飛行隊のUH1ヘリコプターが参加
地上部隊は特科部隊が射撃支援の為に展開する
高射特科大隊の81式短距離地対空誘導弾
観閲行進時は装着されていなかったがランチャー上側にミサイルが装着されている
もちろんダミーのミサイル
自走による陣地進入を行う第1特科連隊の
155mm榴弾砲FH70
地上からの偵察も実施
偵察用オートバイが走り回る
駒門はグランドが狭いので縦横無尽に走れるのはオートバイくらいだ
87式偵察警戒車が続く
奥では10式戦車がハルダウン(車体遮蔽)状態で待機中
発見した敵を掃討する為に普通科部隊が進入する
駒門駐屯地には普通科部隊は駐屯していないので
国際活動教育隊の軽装甲機動車と第1戦車大隊の96式装輪装甲車が参加
96式装甲車からは普通科隊員が下車戦闘を行う
89式5.56㎜小銃が折曲銃床式なので第1戦車大隊の戦車乗員が普通科隊員を演じているのだろう
そうこうしているうちに(いい加減)戦車部隊の進入開始
手前のお客さん達は空包発射に備え皆さん耳を塞いでいる
戦車のクサビマークで分かるように1機甲4中の74式戦車(改)
10式戦車も進入してくる
事前の空包発射秘密情報では
進入してきて停止射で1発
その後、行進射で1発撃つと聞いていたので
動画モードでカメラを構える
停止射
WAPC邪魔!!
10式が射撃したんだか良く分からないじゃないか!
残念な結果となった
訓練展示はグランドの狭さも相まって
戦車等が前進後退を繰り返すことで戦闘様相を表現した後、突撃となる
普戦同時突撃なんだろうが・・・
一直線は無いだろ!!
WAPC邪魔だって言ってるじゃないか(泣)
模擬戦の演出に問題ありだな
戦い終わった戦車たち
かこええ
手前より
10式戦車
74式戦車(改)
90式戦車
敵と対峙する最前線の兵士達
敵役の74式戦車が姿勢制御でヤラレちゃった感を演出
カメラの性能もありできるだけ近くで撮りたかったのだが、後方の土手の上の方がよかったかな?と反省
まあ、しょうがないな
【おまけ】
105m空包の撃ち殻薬きょうを並べる戦車乗員

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