英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。
「英文解釈をやると英文を読むのが遅くなる」という声を耳にすることがあります。
こうした意見を聞かれた方も多いのはではないでしょうか?
でも、これは英文解釈の学習法に対する大きな誤解だと感じています。
今回の記事では、英文解釈に関するよくある批判とその実態について、私の考えを書きたいと思います。
英文解釈への批判
英文解釈に否定的な意見として、よく聞かれるのがこういったものです。
「英文を読むとき、いちいち文の構造を分析しているから読むのが遅くなる。英文解釈は速読に向いていない。」
確かに、英文解釈の参考書を開くと、1文1文をSVOCに分け、節の構造を丁寧に解説するスタイルが続きます。
「これを毎回やっていたら、時間がいくらあっても足りない」と思うのは自然なことですよね。
でも、実際はそうではない
英文解釈を学んでいる人が、すべての英文を逐一分析しながら読んでいるわけではありません。
簡単な英文、たとえば "I went to the gym yesterday." のような文は、構造を意識しなくても意味がすっと入ってきます。
英文解釈の構造分析が必要になるのは、一読して意味が上手く取れない難しい英文に出会ったときだけです。
つまり、英文解釈の学習で身につけるのは「常に構造を分析する習慣」ではなく、「難しい文に出くわしたときに、きちんと対処できる力」です。
英文解釈が速読につながる理由
英文解釈をきちんと学ぶことで、英文の構造が自動的に見えるようになってきます。
最初は意識的に考えないと分からなかった英文の構造が、繰り返し学習することと多読を通じて、次第に無意識のレベルで処理できるようになっていきます。
👉 英文解釈の学習 → 構造の自動化 → 難文でも詰まらない → 結果的に速く読めるようになる
この流れが、英文解釈が「速読の妨げ」ではなく「速読への近道」である理由です。
伊藤和夫先生が「英文解釈教室」のあとがきに書かれていること
英文解釈の名著として知られる『英文解釈教室』(伊藤和夫著)のあとがきに、こんな一節があります。
筆者はこの書物の中で英語のこ構文を理論的に解明することを主眼とし、英文の読解にあたってその構造をできる限り意識的に分析しようとした。
しかし「はしがき」でも述べたように、英語の力は理解が半分、習練による慣れが半分である。
英語を読むことによってのみ英語は読めるようになる。
読書にあたって、われわれは形式と内面の両面から考えているはずであるが、本書の内部にいる限り、常に形式面の考慮が優先していた。
しかし数多くの書物を読み、多くの英文にふれて英語に慣れることによって、形式に対する考慮はしだいに意識の底に沈んでいく。
やがては形式上特に難解な文章にぶつからぬ限り内容だけを考えていればよくなる。
その時、つまり、本書の説く思考法が諸君の無意識に世界に完全に沈み、諸君が本書のことを忘れ去ることができた時、「直読直解」の理想は達成されたのであり、本書は諸君のための役割を果たし終えたこととなるであろう
これは非常に重要な言葉だと感じています。
伊藤先生自身が、「形式(構造)への意識は、やがて無意識の底に沈むものだ」とはっきり述べています。
英文解釈は、ずっと構造を意識し続けるための学習ではなく、構造を意識しなくてもよい状態へ至るための訓練だということです。
まとめ
- 英文解釈を学んでいる人が、すべての英文を逐一分析しているわけではない
- 難しい英文にだけ、構造を考えながら読めばいい
- 英文解釈をきちんと学ぶことで、構造把握は次第に自動化される
- 伊藤和夫先生も「思考法が無意識に沈んだとき、直読直解の理想は達成された」と述べている
- 英文解釈は速読の妨げではなく、速読への正しいプロセス
英文解釈は地味で時間がかかる学習に見えます。
でも、それをきちんと積み上げた先に「速くて正確な読解力」があると私は感じています。
焦らず、一歩ずつ取り組んでみて下さい。
一緒に英語学習を頑張りましょう!
ご意見、感想大歓迎です。
























