英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。
今日は少し個人的なテーマで書いてみたいと思います。
それは「英語指導者として心がけていること」についてです。
英語を教える立場に長くいると、自分の経験や視点が「普通」だと思い込んでしまうことがあります。
今回はそのあたりについて、率直に書いてみますね。
私は英語が「好き」で「得意」だった
正直に言うと、私は幸運なことに英語が比較的好きで得意でした。
高校、浪人時に成績が低迷して苦労した時期もありましたが、全く英語ができないということはなかったように思います。
教えて頂いた先生に感謝ですね。
ただ、この「英語が好き・得意」という出発点は、指導者として考えると、必ずしも強みだけではないと感じています。
指導者に潜むバイアス
英語の指導者には、英語が大好きで得意な人が多いですね。
これは自然なことです。
英語を職業にしようと思う人には、そういった人が多くなります。
ところが、そこに一つの落とし穴があります。
それは「英語が得意な人の視点」で指導しがちになる、ということです。
例えば、「この単語を覚えるのは当然」「このくらいの文法は分かるはず」という感覚が、知らず知らずのうちに出てしまうことがあります。
英語が好きだからこそこうしたことに気づきにくい。
「英語を嫌いな人・苦手な人がどう感じているか」が見えにくくなるんですよね。
英語が好きではない学習者もいる
英語を学んでいる人の中には、英語が好きではないが、必要性に駆られて学んでいる方も多くいます。
- 就職・転職のためにTOEICスコアが必要
- 仕事でどうしても英語を使わなければならない
- 学校の授業があるから、入試で必要だから仕方がなく勉強している
こういった方にとって、指導者が「英語って楽しいですよ!」と言っても、あまりピンとこないかもしれません。
そういう方に寄り添える指導者でありたいと思っています。
「英語が好きではなくても、必要な場面で使えるようにする」ことを目標にできる指導こそ、多くの学習者にとって現実的で有益なものではないでしょうか。
日本の英語教育を冷静に見る
「日本の英語教育は問題だ、よくない」という声はよく耳にします。
確かに課題はあります。
ですが、言われるほど悪いわけではないとも感じています。
学校で学んだ文法や語彙は、英語の土台として機能している部分が多いです。
「学校英語は役に立たない」と全否定するよりも、学校で学んだことを上手く活かす形で指導することの方が大切だと思っています。
英語教育に異を唱えることが格好良いと思っていると方もいらっしゃいますが、英語教育に異を唱えれば唱えるほどだから英語ができなくても仕方がないと思ってしまう人が増えてしまう可能性があることも考えないといけません。
英語教育の功罪は冷静に見た上で、学習者がすでに持っている土台を活かす方向で考えたい。
英語教育を完全に否定する必要はないと感じています。
多くの人は学校で英語を学んでいるわけですから…
生存者バイアスという落とし穴
指導者として特に気をつけたいのが、生存者バイアスです。
例えば、「自分はこの方法で英語が上達した」「○○という指導法で生徒の成績が伸びた」という経験があったとします。
でも、それはその方法が優れていたからではなく、自分がたまたまその方法に合っていた、あるいは他の要因が重なった結果かもしれません。
上手くいった場合も上手くいかなかった場合もその原因は1つとは限りません。
逆にそのような単純なケースは極めて稀でしょう。
上手くいったケースばかりが記憶に残り、上手くいかなかったケースは見えにくくなる。
これが生存者バイアスの怖いところです。
たとえ上手くいった場合でも、その指導法が本当に良かったかどうかは冷静に考える必要があります。
自分がやってきた学習法、指導法が最善とは限らない、という意識は常に持っておきたいと感じています。
現実的・個別最適化な指導を目指して
誰もが英語学習に十分な時間をかけられるわけではありません。
毎日1〜2時間の学習時間を確保できる人もいれば、仕事や育児でほとんど時間が取れない人もいます。
そういった現実を無視した「理想の学習法」は、多くの人にとって実行できないものになってしまいます。
俗に言う砂上の楼閣ですね。
その人の状況、目標、使える時間に合った英語学習法を示すことが、指導者の役割だと思っています。
色々な人が英語を学んでいる。
英語が好きな人もいれば、そうでない人もいる。
時間が十分にある人も、そうでない人もいる。
そのことを忘れずに指導を続けていきたいですね。
まとめ
- 英語指導者は英語が好き・得意な人が多いため、得意者の視点で教えてしまいがちな点に注意が必要
- 英語が好きではなく必要性から学んでいる人にも寄り添える指導を心がける
- 日本の英語教育は功罪含めて冷静に評価し、学習者の土台を活かす方向で指導する
- 自分の経験・指導法に生存者バイアスが潜んでいないか常に問い直す
- その人に合った、現実的で実践可能な学習法を提示することを大切にしたい
完璧な指導者でいることは難しいですが、こういった視点を持ち続けることで、より多くの方の役に立てるようになりたいと感じています。
皆さんはどう思われますか?
是非コメント欄で教えて下さい。
ご意見、感想大歓迎です。



















