10時に宿をチェックアウト。帰りのバスは16:25発。草津温泉は湯量が豊富で、良質な浴場がたくさんあるが、さすがに6時間以上、温泉に入っているだけというのは厳しい。

 

なので、どこかに観光に行くことにしたのだが、草津温泉にはいわゆる「観るもの」は少ない。個人的に興味があるのはB級スポット的動物園の「草津熱帯圏」くらい。正直、湯もみショーとかは興味ない。そこで、バスターミナルに「重監房資料館」のポスターが張られているのを思い出し、徒歩で行くことにした。

 

「重監房」とは、かつて草津温泉に送り込まれて来たハンセン病患者を対象とした懲罰用建物のこと。2019年頃に開館したらしく、草津温泉からはかなり歩くことにはなるが、入場無料。また、俺自身、かつて(仕事柄)清瀬駅からバスで行く「国立ハンセン病資料館」を見学したこともあり、繋がりもあると言える。方向的には重監房資料館は草津熱帯圏のさらに先なので、時間次第では帰りに草津熱帯圏にも寄ることにする。

 

荷物を背負って出発。湯畑の横を通り、国道292号をひたすら東へと進む。遠い…。

 

 

途中、国道292号沿いに無料共同浴場「こぶしの湯」を発見。重監房資料館に向かってグーグルマップを見ていたら、見つけた。外観を撮影し、建物の外側を確認すると、「地域住民以外入湯禁止」の類の張り出しが一切ない。これは…? 観光客でも入れるのか? 入るとしても帰りに寄るとし、ともあれさらに東へと進む。

 

 

国道292号をひたすら歩く。道路の両脇には積雪。温泉街からは遠く離れた場所まで来たが、重監房資料館の姿はまだ見えない。

 

 

山の中の国道をかなり歩き進め、ようやく重監房資料館への道の分岐点に到着。この後は積雪が固められて凍結した道の上を歩く。

 

 

 

「重監房資料館」に到着。入場無料。まずはハンセン病の歴史、及び、資料館建設に至った動画を観るとのことで、職員が案内してくれた。

 

 

動画2本を観た後、館内に展示されている重監房のレプリカを観る。

 

 

 

重監房の実寸大レプリカ。

 

ここには全国から隔離されたハンセン病患者の中で反抗的な者が集められていた。正式名称は「特別病室」だが、病室とは名ばかりで、冬には雪が吹き込むような、非常に環境の厳しい独房であったという。1938~1947年までの9年間で、特に反抗的とされた延べ93名のハンセン病患者が入室として習慣され、そのうち23名が亡くなったという。この監房への収監は正式な裁判によるものではなく、ハンセン病療養所の所長が有する「懲戒検束権」に基づいて行われ、患者の人権は完全に無視されていた。中には冤罪的な収監も多かったという。

 

70年以上が経った今、重監房は基礎部分を残すのみとなっており、2013年にその基礎部分の発掘調査が行われ、南京錠、椀、眼鏡など、そこに人が収監されていたことを示す遺物が複数、出土されたという。なお、その現存する基礎部分を見てみたかったのだが、その場所は資料館から少し離れた山の中で、記念碑などもあるらしいが、今の時期は積雪の下に埋まっているという。

 

 

資料館には重監房の基礎部分から発掘された出土遺物も展示されていた。

 

重監房資料館を後にする。敷地には資料館の他に納骨堂があり、一般の人が立ち入ることができるのはその2つの建物だけとされている。資料館の敷地は「国立療養所 栗生楽泉園」の敷地と隣接しており、栗生楽泉園には今もハンセン病患者が住んでいるとのことだが、だいぶ高齢で、現在の人数は100人に満たないらしい。

 

 

栗生楽泉園の住民居住棟と思われる建物群。プライバシー保守のため、重監房資料館に来た観光客が栗生楽泉園の敷地に立ち入ることは禁止されている。そういえば「国立ハンセン病資料館」を訪れた時も、今もハンセン病患者が暮らしているのは、(その時も敷地の中には入っていないが)こんな感じの建物群であった。

 

来た道=国道292号を東に向かって戻り、無料共同浴場「こぶしの湯」に到着。改めて建物の外観を確認したが、やはり「地域住民以外入湯禁止」の類の張り出しは一切ない。なので、入湯することにした。

 

 

「こぶしの湯」浴槽を撮影。源泉は万代鉱源泉。

 

 

どうやら18ヶ所の無料共同浴場の中ではかなり新しい方のようで、他の無料共同浴場では見られなかったステンレス製カラン蛇口やシャワー、鏡などが設置されており、印象に残った。湯温は熱めだが、シャワーで水を引っ張って埋めたところ、浴槽に浸かることができた。

 

 

脱衣場の中にも「地域住民以外入湯禁止」の類の張り出しは為されていない。それどころか、むしろ逆に「この浴場は地域住民が管理運営している地域住民の浴場です。入浴には充分なマナーを守り入浴してください」「入浴時に挨拶を。特に地域住民以外の方、挨拶を交わしお互いに気持ち良く入浴しましょう」等、現在も部外者の入湯を歓迎するかのような張り紙が複数為されている。その紙の古さからは、コロナ前から張り出されていることが窺えるが、「地域住民以外入湯禁止」の旨で上書きされてはいない。

 

しかも加えて、募金箱が置いてあり、「ポケットから落ちましたコイン等、いただけました時は来季の花に咲きます。又、出かけてください(『また来てください』の意味か)」と、なかなか粋なことが書いてある。草津温泉の他の無料共同浴場では、こういう寸志を求める箱は見たことがない。自分が部外者だから手前勝手な発想になってしまうのだろうが、地域の無料共同浴場運営のためには、部外者の入湯を禁止するよりも、歓迎して寸志を受ける方が効果があるのではないか?と感じる。

 

そもそもこの「こぶしの湯」は立地的に温泉街から遠く離れた位置(昭和区)にある無料共同浴場であり、通常であれば外部から来た観光客が入る機会は少ないと言える。少なくとも外国人観光客が無料でここに入れるという情報を得ることは困難であろう。だからこういう対応が通用する…とも言える。

 

俺は今回、外観のみ撮影したところを含めて、18ヶ所の無料共同浴場のうち11ヶ所を訪れた。入湯したのは5ヶ所(白旗温泉にはこの後に入った)。思えば、その「部外者への対応」は各所によってまちまちであった。かなりヒステリックに「地域住民以外入湯禁止」の旨を張り出しているところ。「地域住民以外入湯禁止」の張り出しはあるが中から出て来た人が「入っていいよ」と言ってくれたところ。建物の外側に「地域住民以外入湯禁止」の旨が一切張り出されていない(ので入った)ところ。建物の外側には「地域住民以外入湯禁止」の旨が一切張り出されていないが中に入ると張り出されているところ。そして、ここ「こぶしの湯」のように、現在も部外者の入湯に対し歓迎の意を張り出しているところ。

 

ネット上で調べた事前情報によると、部外者が入れる無料共同浴場は湯畑の近くの3ヶ所のみだが、実際には他にも2ヶ所あった。これはやはり、実際に来てみないとわからないことである。また、長距離を歩いたので、この位置に部外者でも入れる無料共同浴場があったのは有り難かった。

 

 

長距離を歩いたため、だいぶ腹も空いて来た。さらに国道292号を戻り、事前に調べておいた「和食処みやたや」にて昼食を取ることにする。

 

 

天ぷら定食・ご飯大盛1350円(税込)を注文。ご飯が普通盛なら1200円(税込)である。これが凄かった! まるで懐石料理かのように、見るからに豪華で品数が多く、器も美しい。これだったら3000円でもおかしくない…いや、昨今の物価高騰状況ならもっと高額でも「ぼったくり」とは思えない、それほどのクオリティである。

 

この天ぷら定食はメニュー表の一番上に書いてあるが、値段も最も高い部類のメニューであった。つまり、丼ものなど、もっと安いメニューもあるということ。食材費も急高騰しているであろうこのご時世において、この価格は正直、驚きでしかない。しかも、味も超美味。

 

店は夫婦で切り盛りしており、店内は客で満席。俺はカウンターに座った。客層は地元の人が多い様子だが、俺以外にも観光客らしき人もいる。ただ、2人で店を回しているため、切り盛りに限界があるようで、1~2人程度の客は受け入れていたが、4人以上の来店客には「すみません、今は対応できません」と言って入店を断っていた。その辺は、お一人様である俺個人的には構わない。草津温泉にて、超穴場の名店を発見してしまった。

 

昼食を終え、「和食処みやたや」の近くにあるB級スポット的動物園「草津熱帯圏」に入ることにする。

 

続く。

2月28日

 

早朝5時に起床。昨日のうちに購入していた食料を食べて朝食とし、6時に散策に出発。

 

 

前日にライトアップされていた湯畑。朝の空気の冷たさと湯の熱さの差により、湯気で真っ白である。

 

 

湯畑の近くにある旅館「源泉閣」。ここの裏手にある「わたの湯」源泉が、俺が泊まった「飯島館」まで引かれている。「わたの湯」は以前は「湯畑」源泉と同一と見なされていたようだが、平成16年頃に別の源泉と定められた様子。なお、この「わたの湯」を源泉としている「共同浴場」は無いので、ある意味、宿でそれに入れたのはレアとは言える。

 

 

湯畑の近くの「熱乃湯」。ここは共同浴場ではなく、湯もみショーが行われる観光施設。平日でも観光客が多いながら「観るもの」が少ない草津温泉では、人気があって大行列ができる観光施設なのだが、朝6時台ではさすがに誰もいない。

 

 

そして、朝6時台では湯畑の周囲にも人はほとんどいない。ようやく俺が望む「静かで落ち着いた温泉街」の雰囲気を堪能することができた。

 

朝一番で向かうは、18ヶ所の無料共同浴場のうち、唯一未入湯の「長栄の湯」である。

 

 

長栄の湯に向かう途中、無料共同浴場「千代乃湯」がある。ここは観光客でも入湯可。後で入ることにし、外観だけ撮影し、先へと進む。

 

 

さらに進むと無料共同浴場「煮川乃湯」があった。ここも場所を憶えていた。事前調べでは、ここは「地域住民以外入湯禁止」のはずだったが…入口付近を確認するも、その旨の張り出しがない。てことは、え? 観光客でも入って良いの? とりあえず外観だけ撮影。入れるようなら後で入ることにして、先へと進む。

 

 

歩いていると、たまたま無料共同浴場「長寿乃湯」を発見。「地域住民以外入湯禁止」の旨、大きく張り出されていた。

 

 

無料共同浴場「長栄乃湯」に到着。左が旧・長栄乃湯。右が現・長栄乃湯。ここは団地の中にある。

 

 

旧・長栄乃湯。かつては「町営乃湯」という名称だった。区民会館事務所に併設されている無料共同浴場だが、現在休業中。いつ頃からか、コロナ絡みなのかは不明。

 

 

現・長栄乃湯。やはり「地域住民以外入湯禁止」の旨、大きく張り出されていた。

 

とはいえせっかく来た草津温泉。そして、唯一の未入湯の共同浴場。ここは入湯はしないにせよ、せめて外観だけでなく、浴槽内の画像の撮影をしたい。過去4回、草津温泉を訪れて無料共同浴場を巡ったことがある俺は、地元住民専用であれ、多くの無料共同浴場の入口が施錠されていないことを知っている。浴場の戸に手を掛けてみたところ、開いた。

 

 

大気の冷たさと浴槽内の暑さの寒暖差でデジカメのレンズにかなり結露が付いたが、現・長栄乃湯の浴槽を撮影。源泉は万代鉱源泉。

 

その後、張り出しの警告(?)を守り、入湯せずに辞去。しばらくして長栄乃湯の遠景を撮っていたところ、団地の住民が入湯に来ていた様子。地元住民専用の共同浴場に(入湯しないとはいえ)観光客が入っていたらトラブルになりかねないので、早々に辞去して良かった。

 

来た道を戻る。気になるのは入口に「地域住民専用」の旨の張り出しがなかった「煮川乃湯」である。改めて寄ってみると、やはりその旨の張り出しは1つもない。中を伺うと、すでに入湯中の人がいる様子。おそらくは地域住民であろう。

 

さて、どうするか。観光客である俺がここに入り、中にいる地域住民とトラブルになるのは避けたい。でも、建物の外側には「地域住民専用」の旨の張り出しは一切ない…。ならば、とりあえず入ってみようか。それで、中で入湯している地域住民に何かクレームを言われたら、「他の無料共同浴場には張り出しがあったんですが、ここはないので、入らさせていただけるのかと思いまして…」と言い訳して、早急に出てしまえば良い。せっかく来た草津温泉だ。入れる無料共同浴場には入りたい。

 

よって、意を決して中へと入る。先に入っていた地域住民の方に挨拶したら、普通に挨拶を返してくれた。その後、特に何を言われるわけでもなし。普通に入湯できた。

 

 

先に入っていた地域住民の方が写らないよう、「煮川乃湯」の浴槽を撮影。源泉は、無料共同浴場18ヶ所のうち唯一の煮川源泉。湯温は熱くて長湯はできず、地域住民の方よりも俺の方が先に出た。

 

 

続いて「千代乃湯」へ。源泉は湯畑源泉。ここは無料地元住民以外も入湯可なので臆せず堂々と入湯する。中の照明は暗め。ただ、濃い湯気が立つため、フラッシュを焚いて撮影すると真っ白になる。湯温は草津温泉の他の無料共同浴場に比べるとぬるめであるため、ここではそれなりにゆっくりと浴槽に浸かった。

 

千代乃湯を出て、湯畑の周囲を通り、西の河原通りへと向かう。そこに向かう理由は前日、このエリアの無料共同浴場「凪乃湯」の建物の外側に「地域住民専用」の旨の張り出しがなかったため、観光客でも入れるかどうか気になり、入れるようなら入りたいと思ったからだ。かつ、近くの長寿店で温泉饅頭を購入するためである。

 

凪乃湯に到着。建物の外側には「男湯」「女湯」の表示はあるが、やはり「地域住民以外入湯禁止」とはどこにも書かれていない。なので、入ってみた。中には誰もいない。なので、気がねなく衣類を脱ぎ、浴室の入口の戸を開けて中に入ろうとしたところ…その浴室の入口の戸にのみ、「地域住民以外入湯禁止」との旨の張り出しがなされていた。

 

いや、いきなり(本当にいきなり)そう言われても、こっちはもう入湯する気で服も脱いでしまっているしなあ…ということで、入らさせていただくことにする。もしこの後、地域住民の人が入りに来て、何かクレームを言われたら、以上のことを説明すれば良いだろう、と。

 

 

「凪乃湯」の浴槽を撮影。源泉は、無料共同浴場18ヶ所のうち唯一の河原源泉。中の照明が暗い…ていうか、灯りが無い?

 

ところで、この凪乃湯も含めて、草津の無料共同浴場はどこも、朝も昼も夜も、湯はドバドバと浴槽に出っ放しになっている。そこに入湯しようとしたところ…熱い! これは度を越した熱さだ。熱すぎる。水道があるので、かなり埋めたが、それでも熱い。無理して足を浸けると…熱さを越えて痛い。結局、水で埋めた湯を繰り返し掛け湯にする形の入湯とした。

 

 
凪乃湯を出た後、そのすぐ近くにある「元祖温泉饅頭専門店 長寿店」へ。今日も朝の早くから、饅頭配りの爺さんと緑茶配りのおじさんは仕事に勤しんでいた。昨日は緑色(抹茶)の試食をしたので、今回は茶色の試食をさせてもらった上で、店内へ。

 

 

職場への土産として、茶色のあずき饅頭を購入。20個入りで3000円のところを2600円(税込)円に値引きしていた。これが緑色の抹茶饅頭だと、値引きにならない。職場での土産は1人1個ずつになるから、同じ味であることに問題ないため、迷わず茶色を購入した。なお、以前は白色の饅頭もあったのだが、現在は生産していない。もしかして、原材料の価格高騰が原因か? 嗚呼、哀しき哉、物価上昇…。

 

店を出ると、試食配りのお爺さんが「ありがとねえ」と言ってもう1つ(半個)、試食の饅頭をくれた。今度は緑色の抹茶である。蒸かし立ての饅頭は、いつ食べても美味。

 

宿へと戻り、チェックアウト時刻の10時まで、ゆっくり過ごして身体を休めた。

 

続く。

宿の飯島館に到着する。

 

 

斜面の途中に建っている「飯島館」。1泊素泊まりで8130円(税込)。うち1000円は「お一人様追加料金」としても、以前はもっと安く泊まれたようだ。哀しき哉、物価上昇…。電話で事前予約して、当日に現金支払い。

 

 

飯島館のロビー。昭和の雰囲気満載で、個人的にはとても好みである。浴衣も貸してもらえた。

 

 

宿ではインコを飼っている。ズグロシロハラインコのピーちゃん。YouTubeチャンネルも持っているらしい。

 

 

部屋に入ると布団が敷かれていて、コタツが用意されていた。有り難い。

 

 

コタツには、今時どこを探しても売っていないであろう、味のある座椅子が入っていた。

 

 

コタツの上にセットされていた茶菓子。飲食の後、早速、宿の温泉に入ることにする。この宿は「湯畑」と「わたの湯」の2つの源泉を有する温泉宿として知られている。

 

 

男湯浴槽。源泉は湯畑源泉。

 

 

家族湯浴槽。源泉は湯畑源泉。

 

 

貸し切り湯浴槽。源泉は「わたの湯源泉」。いずれの浴槽も湯温は熱めで、水を入れて下げながら入浴した。

 

まったりと過ごし、外が暗くなる。半額割引を目当てに「スーパーもくべえ」へと買い出しに行くが、ちょっとのんびりし過ぎたようで、半額どころか定価の惣菜もあまり売っておらず、刺身の半額が多かったので購入。ただ、それだけでは足りないので、温泉街のもう1つのスーパー「スーパー大津」草津店へ。ところが、ここでも惣菜は少なく、売っていたのは半額の刺身…。それらを買い加えた上で、帰りにライトアップされているという湯畑を観に行く。

 

 

草津山「光泉寺」の階段の上から見える、ライトアップされた湯畑。周囲には人がたくさん。

 

 

青色の他、写りづらかったが赤色、紫色のライトアップがなされていた。

 

 

湯畑は夜でも豊富な湯量を放出している。

 

 

湯の放出口にもライトアップが当たる。12年前はこのライトアップ演出はなかったはず。

 

勿論、このライトアップは今の草津温泉に「求められているもの」なのだろう。実際、この時間、ライトアップを観に来ている観光客は多かった。観光客の需要を満たすための演出(?)をするのは、観光地にとっては正しいことだ。ただ、個人的には正直、ライトアップってのは温泉街のイメージからは程遠い。何というか、チャラチャラしている、と言うと言い過ぎなのだが…。俺には鄙びた温泉街の方が好みである。まあ、そういう方が好きなら(草津ではなく)そういうところへ行け、という話なんだが。

 

 

宿に戻り、2つのスーパーで購入した食料で夕食とする。おにぎりと刺身、すべて半額。これ以外の食料も購入したが、それらは翌朝に回した。食後、未完成のままだったインドネシア旅行の日記の清書を進め、寝落ちした。

 

続く。

続いて湯畑エリアへと向かう。

 

 

湯畑に到着。相変わらずのパワー、そして、泉質のクオリティを感じる。しかし、周囲の雰囲気は直近で訪れた12年前と比べて、だいぶ変わっていた。

 

 

湯畑の近く、12年前まで有料駐車場があった場所には現在、「湯治広場」なる名称が付けられ、なんかよくわからん釜倉系のオブジェが展示されていた。

 

確かに昔から、草津温泉には駐車場が少なかった。そもそもこの場にあった駐車場にはキャパシティに限界があった。ロードバイクを持ち込んだ時には、遠く離れた墓場の駐車場に車を停めて、自転車で草津温泉まで移動し、共同浴場巡りをした。現在は草津温泉バスターミナルの近くに2階建ての有料駐車場がある。インバウンド需要もあって、観光客が増えた以上、仕方のない対応と言えよう。

 

 

湯畑の近くの無料共同浴場「白旗乃湯」。ここは湯畑に近いだけあり、観光客も入湯することができる。先ほど「地蔵乃湯」で入湯したばかりなので、この時は「白旗乃湯」に入るのはパスし、西の河原公園方面へ向かうこととする。

 

 

西の河原通りを歩くと…平日だというのに物凄い人、人、人混み。ここは軽井沢か?と。そして、聞こえて来るのは中国語…。

 

 

西の河原通りの途中にある「草津温泉どうぶつふれあい処」。近年作られた施設と思われるが、ここで「おさるの湯もみショー」が見られたり、カピバラや小動物に触れることができるらしい。店の前には大行列ができていた。正直、「草津温泉でこういうのに需要があるの?ふーん…」と。

 

 

西の河原通りにある「元祖温泉饅頭専門店 長寿店」の前を通る。ここは有名な温泉饅頭の店で、俺は過去に草津温泉に来た4回とも、この店を訪れた。

 

 

店の前では道行く観光客を相手に、店の名物爺さんが蒸かしたての饅頭の試食を配っていた。

 

 

俺も(今回も)饅頭の試食を貰った。抹茶の饅頭を貰い、緑茶もつけてもらった。蒸かしたてだけに美味だった。しかし…。

 

2003年に初めて草津温泉を訪れた時は、温泉饅頭は1種類につき1個を試食として食べることができた。当時、種類は茶、緑(抹茶)、白の3種類。つまり、3個食べることができた。それが直近で訪れた2012年には、どれか1種類の1個のみを試食として食べることができた。

 

では、現在2025年はどうかというと…画像にある通り、1種類につき半個を試食として食べることができる。これには正直、がっかりした。勿論、店が吝嗇になったと言いたいわけではない。嗚呼、哀しき哉、物価上昇…。

 

 

西の河原公園の入口に到着。さらに奥へと進む。

 

 

西の河原公園の看板。

 

 

公園内では湯が流れる川のいたるところに足湯が設置されており、多くの人が足を漬けていた。

 

 

西の河原公園の奥、西の河原露天風呂の手前にある大きな足湯。聞こえて来るのは中国語…。

 

 

「西の河原露天風呂」の入口手前まで来たが、入湯料800円なので、入らずに引き返す。

 

 

西の河原公園から引き返し、西の河原通りに入る前に道を逸れて進む。ここは場所を憶えていた、無料共同浴場「翁乃湯」。こちらにも「住民以外入湯禁止」の旨、入口に大きく張り出されていたのだが…。

 

外観の撮影だけしていたら、建物の中から出て来た爺さん(画像に写っている)が「温泉入りたいの? 入っていいよ」と。有り難いお言葉ながら、(地蔵乃湯に入ったばかりなので)丁重に辞退したが、これは意外だった。だって「部外者立入禁止」って張り出されてるし。ただ、観光客が地域の無料共同浴場に入ることに関しての考え方は、同じ草津温泉の住民でも人によって、また、地域によってそれぞれなのかな?と。

 

 

 

西の河原通りを戻る。ここも場所を憶えていた、「元祖温泉饅頭専門店 長寿店」の裏手にある無料共同浴場「凪乃湯」。ここでも外観だけ撮影したのだが、ここには「住民以外入湯禁止」の旨が入口に張り出されていない。…てことは、何? 観光客も入湯して良いってこと? 元々、一見さんには場所がわかりにくい場所だから、張り紙の類がなされていないのか?

 

 

湯畑へと戻る。周囲は人でいっぱい。聞こえて来るのは中国語…。

 

 

湯畑の周囲をぐるっとひと回りしながら撮影し、宿へと戻った。

 

続く。

2月27~28日、草津温泉に単独で湯治に行って来た。

 

今回、草津温泉に行くことにしたきっかけ、目的は、

  • 身体を動かしまくるアウトドア・アクティビティを敢えてやらず、疲れを取るためだけの「湯治旅」をしたい。
  • 去年(一昨年?)頃に運行が始まった吉祥寺⇄草津温泉の長距離バスに乗って行きたい。吉祥寺なら(長距離高速バスタのある)新宿や渋谷に比べても自宅に近いし、バスなら安いから。
  • 日本百名山の1つである草津白根山は、噴火の影響で登山コースが立入禁止になって以来久しい。また、草津には18ヶ所の無料共同浴場があり、かつては部外者=観光客も自由に入れたが、コロナ禍以降、湯畑周辺の3ヶ所を覗いては地域住民以外入浴禁止になったという。現地に赴くことで、それらの実状を知りたい。
といったところ。2月の勤務シフトが出て、たまたま2連休になった平日があったので、予約を入れて行ってみた。
 
遊歴:2025年2月27~28日
 
2月27日、5時起床、6時自宅を出発、7時に武蔵小金井駅でJR中央線に乗車。吉祥寺駅に到着し、象の花子像を目印にバス乗り場へ。7:40、バス発車。乗客数は7割程度。俺は1人旅なので、隣の席が空いていて快適に使えた。途中、上里SAで30分程度の休憩もあり、予定時刻の11:20を少し過ぎた頃、草津温泉バスターミナルに到着。
 
 
草津温泉バスターミナルにて、吉祥寺駅からの長距離バスを撮影。料金は往復7200円(税込)。ネットで事前予約のクレカ支払い。まあ、お得と思われる。
 
草津温泉バスターミナルに観光案内所があるので、地図やリーフレットを入手する。ここで草津白根山についての情報が得られるかと思っていたのだが…資料は何もない。バスのチケット売り場には草津白根山方面への路線図や料金表が提示されていたが、それらすべてに「現在運行中止」との張り紙がなされている。この運行中止というのは、噴火の影響なのか、冬期だからかは不明。
 
なお、俺が草津温泉に来るのはこれで5回目。最初に来たのは2003年9月で、直近では2012年10月。いずれも車で、うち2回は他の地を旅行した後に寄った。1回は常布の滝下温泉、常布の滝を訪れた帰りに寄った。直近の1回はロードバイクを持ち込んで、当時は観光客も入れた18ヶ所の無料共同浴場を回れるだけ回った。結果、4回で18ヶ所中17ヶ所の共同浴場に入った。
 
残りの未入湯1ヶ所は長栄の湯。しかしこの無料共同浴場は現在、地域住民以外入浴禁止である。また、近年になり19ヶ所めとして「碧乃湯」なる無料共同浴場ができたらしいが、これは閉業したペンションの湯を改装したもので、こちらも地域住民以外入浴禁止とのこと。
 
バスターミナルを出る。時刻はちょうどお昼時。目星をつけていた店に行くことにする。バスの車窓から見えていたので場所はわかりやすい。
 
 
 
とんかつの店「とん香」にて、ロースかつ定食税込1980円(税込)を食す。普通に美味いが…あまりに厳しい昨今の価格高騰。なお、この店の名物はジャンボロースかつ定食2420円なのだが、12時過ぎに入店した時点で売り切れていた。
 
 
「とん香」に面する道をさらに進むと「温泉門」なる道にかかるオブジェがあり、大きな足浴槽がある。昔はこんなのはなかったが。草津温泉ではインバウンド需要に対応し、近年、こういうオブジェを結構造っているようだ。
 
宿のチェックイン時刻は14時だが、先に荷物だけ置かせてもらえることになっているので、宿を目指して歩く。
 
 
宿に向かう途中でたまたま見つけた無料共同浴場「千歳乃湯」。「住民以外入湯禁止」の旨、入口に大きく張り出されていた。外観のみ撮影。
 
 
移動途中、「スーパーもくべえ」の場所を確認。旅行中とはいえ、この物価高で外食ばかりをしていたら家計が破綻してしまうため、このスーパーで夕食を見繕うことにしていた。
 
 
たまたま見つけた無料共同浴場「喜美乃湯」。こちらにも「住民以外入湯禁止」の旨、入口に大きく張り出されていた。外観のみ撮影。
 
昔、草津温泉の醍醐味といえば、観光客でもアテもなく歩いてて、たまたま見つけた無料共同浴場に「ひと風呂浴びるか」とふらりと入って汗を流す、みたいなことだったのだが…。観光客が利用できなくなったのは、きっかけはコロナウィルス感染予防のためというが、今は正直、だいぶコロナ(が怖いというイメージ)は和らいできている。それでも入湯禁止を続けているのは、おそらくはインバウンド需要が進み、いわゆるマナーの悪い外国人観光客の入湯を防ぐためでもあるのだろうが…それにしても、世知辛い。
 
 
戻って来るように歩いて、草津温泉バスターミナルの前を通る。駅舎は一部、改築中であった。
 
 
 
宿の近くの草津山「光泉寺」。敷地内には茅葺屋根の釈迦堂や五重塔もある。本尊と釈迦堂は草津町指定文化財らしい。
 
 
宿の「飯島館」に到着。光泉寺と湯畑周辺とは標高差があり、長い階段で繋がっているのだが、その階段と平行するような感じの急な坂道の途中にある。顔を出し、草津には間違いなく来ていることを示す。チェックイン時刻には早いため、荷物だけ置かさせてもらう。
 
 
 
宿から適当に坂道を下りて行ったところ、湯畑ではなく「裏草津」なるエリアに着いた。観光客でも入れる無料共同浴場「地蔵乃湯」に入って温まる。源泉は地蔵源泉。湯温は熱め。入湯者が多かったため、内部の撮影はできず。
 
 
 
地蔵乃湯から出た後、源泉の「地蔵源泉」を撮影。
 
 
 
「顔湯」なる設備(?)もあった。木枠の窓に顔を突っ込んで、硫黄の蒸気を浴びるというものだが、ほんのりぬるい感じしかしなかった。他には手洗い湯、足湯もある。それらを利用する人々から聞こえて来るのは中国語。最近ではこのエリアを「裏草津」と名付け、こういった新しい設備を造ることでインバウンド需要に応じているようだ。
 
 
地蔵源泉の近くの宿「月洲屋」。かつて、エアコンが普及していなかった時代に勉学生に使われた「勉強宿」で、その後も自炊ができて安く泊まれる湯治宿(但し要3泊以上)だったらしいが、2020年頃から現在まで休業しており、現在は廃墟感がある。こういう味のある宿に泊まってみたかった…。
 
続く。