日米会談―今後見すえた連携を
よほど微妙な会話があったということなのだろう。訪米した福田首相とブッシュ大統領との会談で、北朝鮮のテロ支援国家指定をめぐって何を話し合ったのか。「米側との了解」で、具体的なやりとりは公表されなかった。
核放棄に向けての北朝鮮との交渉を踏まえ、米政府は年内にも指定を解除する方針だと言われる。だが、拉致問題で何の進展もないのに、重要な交渉カードであるテロ支援国家指定の解除が先行するのは、日本政府としては好ましくない。
これをどう調整するのか。今回の首脳会談の最大の焦点だった。
米側関係者によれば、米国の解除方針に変わりはなく、首相から拉致問題が進展するまで指定を解除しないよう求める直接的な発言はなかったという。
公表しなかったのは、拉致に厳しい日本の世論への配慮や、両政府間のずれが露呈するのを避けたいという双方の思惑からのことに違いない。
解除するかどうかは、北朝鮮が核施設の無能力化を約束通り実行するかなど、北朝鮮の今後の出方にかかっている。米側が事前に胸の内を公言するわけにはいかない事情もあったろう。
大統領はその代わり、拉致について「決して忘れない」と明言し、北朝鮮問題で日米が緊密に連携していくことを確認した。この約束は重く受け止めたい。
拉致問題は一日も早く解決しなければならない。けれど、北朝鮮の姿勢を見れば簡単には運ぶまい。今後の交渉も見すえて、米国の協力を確かなものにしておく重要さは小さくないのだ。
一方、インド洋での海上自衛隊の給油再開について、首相は「特措法の早期成立に全力を尽くす」と約束した。この手形をどう落とすか、国会の会期を再延長するかどうかを含め、帰国すれば難しいかじ取りを迫られる。
ブッシュ・小泉時代の「日米蜜月」を支えたのは、日本がインド洋やイラクに自衛隊を派遣したことだった。自衛隊の海外派遣では極めて抑制的だった従来の路線から日本は踏み出し、米国は北朝鮮問題での日米連携で応えた。
ところが今はどうだろう。米国の「テロとの戦い」はイラクをはじめ、世界各地で行き詰まり、来年の米大統領選に向けての論戦でも米軍撤退があからさまに語られている。給油活動の再開に日本の世論が割れているのも、そうした空気と無縁ではない。
北朝鮮をめぐっても、米国の積極姿勢を歓迎しつつも、少し前のめり過ぎないか、懸念する声が出ている。
こうしたずれは首脳会談などで調整していかねばならないが、同盟国だからといって利害がすべて一致するわけでもない。時として米国との対立を辞さない欧州を見ても、それは明らかだ。
互いが国益を主張し合い、その上で共通のゴールを模索して協力する。それが日米関係の成熟であるとも言える。
asahi.com:朝日新聞社説
<拉致議連>「訴えが日米首脳会談にも反映した」 帰国会見
北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除しないよう働きかけるため訪米していた超党派の国会議員から成る拉致議連のメンバー5人が17日、帰国した。議員らは14日に訪米し、拉致被害者家族会メンバーらとともに国務省のヒル次官補や保守系議員らとの面会を重ねてきた。
成田空港で記者会見した議連の平沼赳夫会長は「我々の訴えが福田(康夫)首相とブッシュ大統領との会談にも相当反映されたと思う」と語った。18日午後には家族会の飯塚繁雄副代表(69)らが帰国する。【工藤哲】
<拉致議連>「訴えが日米首脳会談にも反映した」 帰国会見(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
<北朝鮮非難決議>日本とEUがトーン弱め修正案 国連委
【ニューヨーク小倉孝保】日本と欧州連合(EU)は16日までに、北朝鮮人権状況の非難決議案の修正案を国連総会第3委員会(人道問題)に提出した。韓国の要求を受け入れ、非難色を薄めたが、拉致問題についてはほぼ原案通り、被害者の即時帰国要求を明記した。今週の委員会で採決される。
修正案は、韓国の要求を受け、北朝鮮核問題の6カ国協議の進展と10月の南北首脳会談を歓迎することを新たに加えた。
一方、拉致問題については、「北朝鮮政府が拉致被害者を即時に帰国させるなど、直ちに解決することを強く求める」と、原案をほぼ維持した。韓国は、北朝鮮の名指しを避けるとともに、「即時帰国」部分を削除するよう求めていた。
昨年は、核実験を実施した北朝鮮に国際的な不信感が高まっていたものの、同決議案は小差で採択された。今年は昨年に比べ、北朝鮮に対する各国の非難感情は薄まっており、採択は微妙な情勢にある。
<北朝鮮非難決議>日本とEUがトーン弱め修正案 国連委(毎日新聞) - Yahoo!ニュース