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「6者」に危機 中国、苦しい説得 ミサイル問題

 北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン2」を含む7発のミサイルを発射して12日で1週間を迎えた。中国による北朝鮮説得工作が実を結ぶかどうかが最大の焦点となっているが、交渉が不発に終われば、核問題をめぐる6者協議の存亡にもつながりかねない。再び弾道ミサイルが発射される可能性も完全には排除されておらず、北朝鮮の「次の一手」をめぐる神経戦が続いている。

 「残念ながら北朝鮮が6者協議の重要性を認識している兆候は見あたらない」。訪中している米国のヒル国務次官補は12日、北京で記者団に対し、北朝鮮の態度に失望感を隠さなかった。

 しかし、ヒル氏は平壌で説得にあたる武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官については「よく頑張っている」と評価。ともに6者協議の首席代表を務める武次官の労をねぎらった。

 国際社会の注目を一身に浴びて武次官は10日、平壌入りした。北朝鮮がミサイルを発射する以前から、中朝友好協力相互援助条約の45周年に際して、回良玉副首相に随行する予定だったが、事態が一気に緊迫しても、中国政府は特使を派遣せず、武次官に大役を託した。

 姜瑜・中国外務省副報道局長によると、武次官は平壌で、やはり6者協議の首席代表である金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官と会談した。

 平壌で協議する金、武の両氏。北京で朗報を待つヒル氏。北朝鮮のミサイル問題の行方は国連安全保障理事会からいったん舞台を移し、6者協議の首席代表らの動きが焦点となってきた。

 武次官が目指すのは、北朝鮮から「ミサイル発射の凍結」と「6者協議への無条件復帰」の言質を取りつけることだ。日本などが提出した制裁決議案の採択が6者協議の枠組み崩壊につながり、北朝鮮は一層の瀬戸際外交を進める――というのは6者協議の議長国・中国にとっての最悪のシナリオだ。

 だが、平壌からはまだ画期的な知らせは伝わらない。もし北朝鮮が何の譲歩もせず、逆に態度を硬化させれば国連での議論に与える影響は必至。中国が主張する制裁回避に傾きかけた潮目が再び変わる恐れがある。

 姜・副報道局長は11日の定例会見で、中国の説得工作について「一度や二度の訪問で解決を望める問題ではない」と、交渉の難しさを口にした。制裁の発動が「北朝鮮を暴走させるかどうかは定かではない。でも、6者協議に北朝鮮が完全に背を向ける可能性は高い」と北京の外交筋は見る。

 中国は11日、制裁条項を削った非難決議案なら受け入れる姿勢を明らかにした。拘束力のない議長声明を主張していた立場からの歩み寄りにみえるが、決議という形式での譲歩を強調して制裁は阻止する狙いだ。

 難航している中朝交渉が不調に終わった場合に備え、日本などが提出した制裁決議案を事前につぶしておくのが目的、という見方もある。

 「6者協議を行っているときに、北朝鮮を刺激して対話の道を閉ざすべきではない」。ロシアのプーチン大統領は12日、米テレビ局のインタビューでこう語った。ラブロフ外相も同日、「自分の望む通りすべての国が投票するべきだという日本の姿勢は、まったく受け入れられない」と、制裁決議案反対の姿勢を鮮明にした。

 ロシアにとって6者協議は、北朝鮮問題への関与を保証する貴重な枠組みだ。ロシアが議論をリードする場面はほとんどないが、将来のエネルギー協力への参加という「実利」と、地域の安全保障を話し合う場にイスを確保する「メンツ」の両面から、破綻(はたん)は避けたい。安保理全体の合意を軽視した制裁論議がイラン問題で繰り返されることへの懸念も強い。プーチン氏は「北朝鮮に対してもイランの核問題に対しても、共通のアプローチをとるようロシアは努める」と述べた。

 政治評論家のマカルキン氏は「制裁決議は米国の外交的勝利。ロシアにとっては受け入れがたい」と、最近のロシアの大国意識を指摘する。米国に対抗し、中国と足並みをそろえる――。

 ラゾフ駐中国大使は12日、北京での会見で、中ロ関係を「最高の時」と表現。「安保理常任理事国として重い責任を持つ両国の目標は一致している」と述べた。
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北朝鮮制裁 決議案の修正、政府検討 憲章7章削除も

 北朝鮮のミサイル発射問題で中国とロシアが独自の非難決議案をまとめたのを受け、日本政府は、米英仏などと共同で国連安全保障理事会に提出した制裁決議案の文言修正の検討に入った。中ロが強く反対する国連憲章第7章に関する記述を削除する案が浮上している。政府は制裁措置の実効性を確保する姿勢は崩していないが、安保理での決議採択を優先し、中ロへの歩み寄りを模索する。

 当初拘束力がない議長声明を提案していた中国が、ロシアと共同で非難決議案をまとめたことに対して日本政府内では肯定的な評価が出ている。外務省幹部は13日、「実質的に今日から文言の交渉が始まる」と語った。

 文言修正の検討では、日本などの制裁決議案について(1)ミサイル発射を「国際平和と安全への脅威」と認定している(2)経済制裁や武力行使を含む強制措置を定めた国連憲章第7章を明示している(3)具体的な強制措置を国連加盟国に義務付けている――の3点をどう扱うかが焦点となる。

 国連憲章第7章は、経済制裁や武力行使を含めた強制措置を規定。安保理が「平和に対する脅威、平和の破壊、侵略行為」と認めれば、経済制裁だけでなく、将来的には軍事行動を起こすことができるとしている。

 制裁決議案は、第7章のもとで北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器計画に寄与する中間財を含む物資、技術、資金の移転禁止や、ミサイルとミサイルに関する物資や技術の調達禁止を加盟国に義務付けるとしている。中ロの決議案は第7章を明示せず、加盟国へも義務付けではなく、「求める」とした。

 この点について、日本政府は第7章を削除しても制裁の実効性を担保できる方法を模索する姿勢に転じた。外務省幹部は13日、「必ずしも7章にこだわらない。制裁の内容を実現できるように実質的に担保できればいい」と語った。

 一方、ミサイル発射を国際平和と安全に対する「脅威」と位置づけることについては日本政府は最も重視しており、修正には応じられないとの立場を変えていない。決議の対象となる行動を「脅威」と認定することが、強制措置発動の前提となるためだ。
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北朝鮮ミサイル:非難決議採択強まる 日本、一本化へ譲歩

 日本政府は13日、国連安全保障理事会に米英仏などと提出した北朝鮮に対する制裁決議案について、国連憲章第7章に基づく制裁条項にはこだわらず、中国とロシアが提示した非難決議案との一本化を図る方針を固めた。北朝鮮のミサイル発射を「国際平和への脅威」と認定する条項などは残す形での修正を検討している。中露案は米国なども評価しており、修正協議のうえ、強制力の伴わない非難決議案が一両日中に採択される可能性が強まった。

 外務省幹部は13日、中露が非難決議案を提示したことを「歩み寄り」と評価。「第7章かどうかは大きな問題ではない」と述べ、15日から始まる主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)前の決議採択を優先させる方針を明かした。日本が主張する中露案の修正点としては、「国際平和への脅威」との認定や、加盟国に求める措置の表現を強めることなどを挙げた。

毎日新聞 2006年7月14日 3時00分
北朝鮮ミサイル:非難決議採択強まる 日本、一本化へ譲歩-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ