「戦争と平和 ➉ 流血(虐殺)の罪とイスラエルと反ユダヤ主義について」
ユダヤ教が生活の糧とする旧約聖書には「流血の罪」について、次のように教えています。
「人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。
人の血を流す者は
人によって自分の血を流される。
人は神にかたどって造られたからだ。
(創世記9章5,6節)」
「あなたたちは、自分のいる土地を汚してはならない。
血は土地を汚すからである。
土地に流された血は、それを流した者の血によらなければ、贖うことができない。
あなたたちの住む土地、わたしがそこに宿る土地を汚してはならない。
主であるわたしがイスラエルの人々のただ中に宿っているからである。
(民数記35章33,34節)」
それゆえ、イスラエルの地に住むユダヤ教のユダヤ人たちは、イスラエルの地において武力侵攻をして虐殺の罪を行なう事はあり得ないはずです。
もちろん、ガザ地区もイスラエルの地です。
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現地で特派員や研究者として活動してきた毎日新聞専門編集委員の大治朋子さんはYahoo!ニュースの特集記事で次のように語っています。
「現地にいたころ、多くのイスラエル人に『ホロコーストを経験したのに、なぜ戦争を続けるのか?』と尋ねました。
すると、だいたい似たような言葉が返ってくる。『ユダヤ人虐殺は、私たちが国家や軍隊をもっていなかったから起きたのだ』と。だから「強さ」「力」が必要なんだ、というわけです。
「ユダヤ人が神から与えられたこの『約束の地』(現在のイスラエル付近)を守り、祖先の悲願に報い、ユダヤ人であるというだけで殺されることがない『安住の地』を死守するためにも、戦い続けることが唯一の道だ」という考え方です。
引用以上
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つまり、現在のイスラエル国家は、戦時中の戦争に邁進していた日本を彷彿させます。
戦時中の日本は隣国の韓国に侵攻して「流血の罪」を犯しました。1910年の韓国併合から1945年の日本敗戦までの35年間、日本は朝鮮半島を植民地支配した。
それから80年経ちましたが、韓国は日本を決して許さず「反日教育」を続けています。
私の信仰の友が韓国のプロテスタント教会の神学校へ通った時、日本人という理由でイジメにあい、つらい経験をしました。
「流血の罪」は、子孫にまで被害が及ぶのです。
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聖書の教えもそうです。
ユダヤ人に対して、パウロは衣のちりを振り払って言った。
『あなたがたの血は、あなたがたの頭上に降りかかれ。
私には責任がない。今から私は異邦人のところに行く。』」
(使徒の働き18章5〜6)
これは旧約聖書の預言の御言葉を伝えたのです。
「角笛の音を聞いた者が警告を聞き入れないなら……その血の責任はその者の頭上にある」(エゼキエル書33章4節)
つまり、旧約聖書を生活の糧とするイスラエルのユダヤ人たちに対して、流血の罪を犯すことについて、クリスチャンは警告しなければなりません。
イエスさまも次のように警告されました。
「こうして、正しい人アベルの血から、あなたたちが聖所と祭壇の間で殺したバラキアの子ゼカルヤの血に至るまで、地上に流された正しい人の血はすべて、あなたたちにふりかかってくる。
はっきり言っておく。これらのことの結果はすべて、今の時代の者たちにふりかかってくる。」
(マタイによる福音書23章35,36節)
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そして、ユダヤ人たちはローマ人への手紙11章で書かれているように神に不従順のままです。
群衆はますます激しく、「(イエス・キリストを)十字架につけろ」と叫び続けた。
ピラトは言った。「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」
民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」
(マタイによる福音書27章23~25節)
「ユダヤ人たちは、主イエスと預言者たちを殺したばかりでなく、わたしたちをも激しく迫害し、神に喜ばれることをせず、あらゆる人々に敵対し、 異邦人が救われるようにわたしたちが語るのを妨げています。
こうして、いつも自分たちの罪をあふれんばかりに増やしているのです。しかし、神の怒りは余すところなく彼らの上に臨みます。(テサロニケへの手紙第一2章15,16節)」
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そして、その「流血の罪」の報いがその頭上にふりかかりました。
それが「反ユダヤ主義」と言われています。
「世界史の窓」の授業と学習「反ユダヤ主義」から引用します。
「1870年代~80年代に、ユダヤ人に対する排斥論がヨーロッパで高まった。
それを反ユダヤ主義、またはアンチセミティズムともいう。anti-Semitism とは、ユダヤ人をセム語系民族と区分し、西欧人のアーリヤ人系民族に比べて劣等であるという根拠のない人種主義からきた言葉である。
ユダヤ人はローマ時代に離散(ディアスポラ)し、ヨーロッパにも移住してきたがキリスト教社会では、ユダヤ教の信仰を守るユダヤ人に対する迫害が発生していた。
しかし最初から暴力的迫害があったわけではなく、おおよそは平穏に共存していたが、11世紀の末ごろ、十字軍時代に入ると、キリスト教徒の中に社会的不満をユダヤ教徒にぶつける動きが始まり、中世後期、ローマ教会の権威が動揺すると、教会による異教徒に対する迫害となって一団と強くなり、ユダヤ人への憎悪感が生まれた。
この宗教的反ユダヤ感情は、次第に人種的な差別感にも転じ、黒死病(ペスト)の流行をユダヤ人の陰謀とするなど、社会の敵役とされるケースが多くなった。
それ以後、ポグロム(ロシア語で破壊という意味)という組織的なユダヤ人迫害が、20世紀の初めまで続いた。
さらに作曲家ワグナーは論文と音楽を通してアーリア人の優越を主張し、ユダヤ人を攻撃した。
このような流れのなかで出現したのがナチスのユダヤ人迫害と絶滅計画の実行(ホロコースト)であった。」
引用以上
プロテスタント教会の生みの親「マルティン・ルター」やドイツ国内のプロテスタント教会の多くもユダヤ人虐殺を支持して、ナチスドイツのホロコーストに大きく貢献したと言われています。
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そして日本はユダヤ人に対して、次のような考察があります。
戦前のドイツ産まれアメリカ育ちのユダヤ人であるデビッド・クランツラー(英語版)は、日本とヨーロッパの反ユダヤ主義の違いについて以下のように論じた。
「日本とヨーロッパの間にある反ユダヤ主義形態の区別の鍵は、ユダヤ人を悪魔、反キリストあるいは償還(贖罪)しえぬ者だと識別するキリスト教の長い伝統の中に存在するように思える……
日本人はこのユダヤ人のキリスト教的イメージを欠いており、彼らの議定書の読み方は全く異なる展望をもたらした。
キリスト教徒は排除することでユダヤ人の問題を解決しようとした。日本人は、ユダヤ人の巨大な富と権力を日本の利益に活かそうとした。」
引用以上
日本は昔からキリスト教の信者数が約1%という状況です。
キリスト教の教えをよく知らないことが「反ユダヤ主義」にならなかったという考察は的を得ていると思います。
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そして現在、ユダヤ人たちはイスラエルに帰還して、軍事力を強化させて、キリスト教国家のアメリカの全面協力のお蔭で、ガザ地区や隣国に対して、武力侵攻によるジェノサイド(集団虐殺)=流血の罪を次々と行なう立場となりました。
ガザ、レバノン、イラン、カタール爆撃、シリアでトルコと代理戦争など、ガザでは民族浄化を、また、南に進軍して虐殺を行ない続けています。
虐殺する行為=流血の罪を犯せば、その血が頭上にふりかかります。
しかし、ネタニヤフ首相はそれを「反ユダヤ主義」へと責任転嫁して、流血の罪を認めません。
[エルサレム 14日 ロイター] - イスラエルのネタニヤフ首相は、オーストラリアのシドニーで14日にユダヤ教の祭り「ハヌカ」を祝うイベントで発生した銃撃事件を非難し、アルバニージー豪首相に対し、同国がパレスチナ国家樹立を支持することは反ユダヤ主義を助長すると警告していたことに言及した。
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そして、メシアニック・ジュー(ユダヤ人のキリスト教)や多くのキリスト教会の牧師やクリスチャンたちも「反ユダヤ主義」を訴えて、イスラエルが行なっている流血の罪を指摘したり、非難や警告をさせないようにしています。
「反ユダヤ主義」を訴えることにより、イスラエルのジェノサイド(集団虐殺)による流血の罪を認めさせず、ジェノサイド(集団虐殺)を続行できるようにしているのです。
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それは、キリスト教は「反ユダヤ主義」から一転して、ユダヤ人を擁護する「シオニスト」が誕生したことによると言われています。
前回の記事で詳しく書きましたが、アメリカは以前から、バイデン政権の時も数万トンにおよぶ兵器・軍事装備がイスラエル国防軍(IDF) の継戦能力を支えています。
バイデン大統領はカトリック教徒ですが「シオニスト」を宣言しました。
シオニストたちが、イスラエルの武力侵攻によるジェノサイド(集団虐殺)を支持し、「悪いのはハマスだ!」「イスラエルを批判するのは反ユダヤ主義だ!」と反論しています。
つまり、「イスラエルの敵を虐殺して何が悪い!」ということでしょう。
そして「戦争と平和⑧」で詳しく書きましたが、チャーリー・カークや「アメリカの牧師」と呼ばれた福音派伝道師である故ビリー・グラハムの息子、フランクリン・グラハムなど、アメリカのキリスト教会(福音派)は一致して、「トランプ大統領の再選は神の御計画であり、恵みであり、祝福です!」と教えてきました。
アメリカのCNNニュース 11月2日の記事から引用します。
トランプ氏はSNSへの投稿で、ナイジェリアにおけるキリスト教徒の「大量虐殺」を批判。
米国は「今や恥さらしとなったこの国に武装して乗り込む可能性が大いにある。恐ろしい残虐行為を犯しているイスラム主義テロリストを完全に駆逐するためだ」と述べた。
トランプ氏は「私は戦争省に対し、行動の可能性に備えるよう指示する」とも書き込み、「ナイジェリア政府は速やかに対応した方がいい」と警告した。
ヘグセス米国防長官はこれに「イエス、サー」と応じ、トランプ氏の書き込みのスクリーンショットをSNSに投稿。
「ナイジェリアであれどこであれ、罪のないキリスト教徒の殺害は直ちに終わらねばならない。戦争省は行動の準備を進めている。
ナイジェリア政府がキリスト教徒を守るか、それとも我々がこの恐ろしい残虐行為を犯すイスラム主義テロリストを殺害するかだ」と述べた。
米政権による指定を受け、ナイジェリアのティヌブ大統領はSNSに「ナイジェリアを宗教的に不寛容な国とみなす評価は、我が国の現実を反映しておらず、政府が全ナイジェリア国民の宗教と信仰の自由を守るために続けてきた誠実な取り組みも考慮していない」と記した。
さらに、ナイジェリア政府は「米国政府および国際社会と協力し、あらゆる宗教共同体の保護に関する理解と協力の強化に努めている」と言い添えた。
ナイジェリアでは、キリスト教徒とイスラム教徒の双方が、過激なイスラム主義者による襲撃に遭っている。
こうした暴力には複数の要因があり、宗教的動機による事案もあれば、限られた資源を巡る農民と牧畜民の争い、地域共同体や民族間の対立に起因する場合もある。
キリスト教徒も狙われているものの、現地の報道によれば、犠牲者の大半はイスラム教が主流のナイジェリア北部に住むイスラム教徒だという。
引用以上
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ナイジェリア政府とアメリカのトランプ大統領の声明を聞けば、解釈はまったく異なります。
いずれにせよトランプ大統領の言っていることは「キリスト教徒の敵は殺せ!」です。
トランプ大統領の行ないは、イエス・キリストの御名によって、キリスト教徒の敵とイスラエルの敵は殺せ!殺せ!殺せ!
主の栄光のために殺せ!殺せ!殺せ!という印象を持ちます。
そして「ノーベル平和賞」を要求しています。
つまり、現在、自称キリスト教が「イスラエルの敵」と「キリスト教の敵」を虐殺することによって、世界を平和にするという計画が行われているのです。
前回記事で詳しく伝えたように、聖書が教える(ミカ4:3)(イザヤ2:4)(ゼカリヤ9:10)(詩篇85:8)(ローマ人への手紙11章)などの神の預言に反逆しています。
それは、恐るべき「不法を働く罪」です。
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カトリック教会のレオ14世教皇も立ち上がり、トランプ大統領の悪の行ないを批判し続けています。
BBCニュースから引用します。
「史上初のアメリカ出身の教皇であるレオ14世はまた、麻薬を運搬している疑いがあるヴェネズエラの船舶に対するアメリカの爆撃が、カリブ海地域での緊張を高める危険性があると警告した。
教皇は就任以来、トランプ大統領のさまざまな政策を批判してきたが、今回はこれまでで最も強い言葉を使った。」
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冒頭で伝えましたが、もう一度繰り返します。
「人間どうしの血については、人間から人間の命を賠償として要求する。
人の血を流す者は
人によって自分の血を流される。
人は神にかたどって造られたからだ。
(創世記9章5,6節)」
「あなたたちは、自分のいる土地を汚してはならない。
血は土地を汚すからである。
土地に流された血は、それを流した者の血によらなければ、贖うことができない。
あなたたちの住む土地、わたしがそこに宿る土地を汚してはならない。
主であるわたしがイスラエルの人々のただ中に宿っているからである。
(民数記35章33,34節)」
イエスさまは警告されました。
「地上に流された正しい人の血はすべて、あなたたちにふりかかってくる。
はっきり言っておく。これらのことの結果はすべて、今の時代の者たちにふりかかってくる。」
「角笛の音を聞いた者が警告を聞き入れないなら……その血の責任はその者の頭上にある」(エゼキエル書33章4節)











