最近リリースされた新譜から ⑮
今回の新譜は、ルミューの歌唱によるフランス歌曲集。フランス歌曲はほぼ聴いたことないので、今日はお勉強ですね。ベルリオーズ、サン=サーンス、ラヴェルの順に、時代を追って収められています。興味深いCDです。
【CDについて】
①作曲:ベルリオーズ
曲名:歌曲集「夏の歌」op7 (28:59)
②作曲:サン=サーンス
曲名:歌曲集「ペルシャの歌」op26 (25:52)
歌曲集「ペルシャの夜」op26bと「うつろな華やぎ」による
パラツェット・ブリュ・ザーネ・エディション管弦楽版
③作曲:ラヴェル
曲名:歌曲集「シェエラザード」M41 (16:03)
演奏:ルミュー(コントラルト) 山田和樹指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2022年7月19-21日、モンテカルロ Auditorium Rainler III
CD:50 5419 765940 9(レーベル:ERATO、輸入販売:ワーナーミュージックジャパン)
【曲と演奏について】
ベルリオーズ:夏の歌op7
ベルリオーズは、ロマン派世代の作曲家。シューベルトより少し後という年代でしょうか。フランス発のロマン派音楽の道を切り開いた最初の世代という位置づけですかね。どうも、「幻想交響曲」ばかり目立って、他の曲がかすみがちなのですが、規模の大きい作品をたくさん残しています。この「夏の歌」は、当初ピアノ伴奏の歌曲集として出版され、のちに順次管弦楽伴奏に編曲されました。友人でもあった詩人ゴーティエの詩から6編を選んで作曲されました。
その管弦楽伴奏は、穏やかでとても色彩豊かなものになっていますが、あくまで控えめな歌への色付けという雰囲気で、メロディと詩を楽しみます。森の恋人の情景で始まり、死を暗示したり、あるいは死や離別の喪失感を歌った曲が置かれ、最後に愛と誠実を求める女性の姿で締められます。ロマン派的感興の歌曲集で、激情が交錯する詩による歌曲集でした。最後の「未知の島」の詩は、ちょっと皮肉な面も垣間見える感じで心に残ります。
サン=サーンス:ペルシャの歌op26
サン=サーンスの活躍した時代。異国趣味が流行していました。東方オリエントへの夢といったところでしょうか。このCDにはベルリオーズの曲の最後に旅立ちの歌があり、ラヴェルの曲もシェエラザードなので、旅と異国趣味といったコンセプトにもなっています。サン=サーンスの曲は明るく楽しいイメージがありますが、さてこの曲はどうでしょう。
その東方への旅情を掻き立てる旋律。所々に顔を出しています。ただ、そればかりという訳では無くて、あくまでも叙情的な歌曲集でした。その中で第2曲の「うつろな栄華」は、他の5曲とは離れて単独でオーケストレーションされた曲。心に浮かぶ華麗な栄華の遺構に欠けたものと、それを得ることのできない宿命を描きます。味わい深い歌詞と曲でした。作詞のアルマン・ルノーは、ペルシャや日本の詩の影響を受けている詩人とのこと。サン=サーンスやドビュッシーが曲をつけています。
ラヴェル:シェエラザード
ラヴェルは、シェエラザードをオペラとして作曲を試みましたが、序曲は完成したもののオペラ自体は完成させることはありませんでした。一方で、後年歌曲集として3曲からなるこの曲を作曲し、ラヴェルの代表的な歌曲集となりました。第3曲「つれない人」は、当時ラヴェルにも好意を寄せたエンマに捧げられています。エンマの好意に対する「つれない」答え、だともとることができるようです。
さて、この曲は有名曲ですので、さすがに聴いたことがありました。特に第1曲の「アジア」は、異国情緒あふれるラヴェルの管弦楽伴奏が聴かれ、このCDの最初の2曲とははっきりと雰囲気が異なり、印象派の音楽に時代が変わったことを感じます。表現もより現代的になり、内容をストレートに感じることができました。ラヴェルの歌曲はほかには聴いたことはありませんが、この曲はラヴェルのオペラとも同じような雰囲気を感じました。
ルミューとロト指揮パリ管による、シェラザード第1曲「アジア」の後半部分
コントラルトのルミューの歌唱は明瞭でドラマティックなのではないかと思います。このあたりは、私は声楽曲をあまり聴いていないので、よくわからない世界ではありますが…。山田和樹の伴奏はとても雰囲気をよく作り出していて、ルミューの歌唱をしっかり盛り上げていると思いました。
購入:2023/10/14、鑑賞:2023/11/16
















