~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -29ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

最近リリースされた新譜から ⑮

今回の新譜は、ルミューの歌唱によるフランス歌曲集。フランス歌曲はほぼ聴いたことないので、今日はお勉強ですね。ベルリオーズ、サン=サーンス、ラヴェルの順に、時代を追って収められています。興味深いCDです。

【CDについて】

①作曲:ベルリオーズ

 曲名:歌曲集「夏の歌」op7 (28:59)

②作曲:サン=サーンス

 曲名:歌曲集「ペルシャの歌」op26 (25:52)

     歌曲集「ペルシャの夜」op26bと「うつろな華やぎ」による

     パラツェット・ブリュ・ザーネ・エディション管弦楽版

③作曲:ラヴェル

 曲名:歌曲集「シェエラザード」M41 (16:03)

演奏:ルミュー(コントラルト) 山田和樹指揮 モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2022年7月19-21日、モンテカルロ Auditorium Rainler III

CD:50 5419 765940 9(レーベル:ERATO、輸入販売:ワーナーミュージックジャパン)

 

【曲と演奏について】

ベルリオーズ:夏の歌op7

ベルリオーズは、ロマン派世代の作曲家。シューベルトより少し後という年代でしょうか。フランス発のロマン派音楽の道を切り開いた最初の世代という位置づけですかね。どうも、「幻想交響曲」ばかり目立って、他の曲がかすみがちなのですが、規模の大きい作品をたくさん残しています。この「夏の歌」は、当初ピアノ伴奏の歌曲集として出版され、のちに順次管弦楽伴奏に編曲されました。友人でもあった詩人ゴーティエの詩から6編を選んで作曲されました。

 

その管弦楽伴奏は、穏やかでとても色彩豊かなものになっていますが、あくまで控えめな歌への色付けという雰囲気で、メロディと詩を楽しみます。森の恋人の情景で始まり、死を暗示したり、あるいは死や離別の喪失感を歌った曲が置かれ、最後に愛と誠実を求める女性の姿で締められます。ロマン派的感興の歌曲集で、激情が交錯する詩による歌曲集でした。最後の「未知の島」の詩は、ちょっと皮肉な面も垣間見える感じで心に残ります。

 

サン=サーンス:ペルシャの歌op26

サン=サーンスの活躍した時代。異国趣味が流行していました。東方オリエントへの夢といったところでしょうか。このCDにはベルリオーズの曲の最後に旅立ちの歌があり、ラヴェルの曲もシェエラザードなので、旅と異国趣味といったコンセプトにもなっています。サン=サーンスの曲は明るく楽しいイメージがありますが、さてこの曲はどうでしょう。

 

その東方への旅情を掻き立てる旋律。所々に顔を出しています。ただ、そればかりという訳では無くて、あくまでも叙情的な歌曲集でした。その中で第2曲の「うつろな栄華」は、他の5曲とは離れて単独でオーケストレーションされた曲。心に浮かぶ華麗な栄華の遺構に欠けたものと、それを得ることのできない宿命を描きます。味わい深い歌詞と曲でした。作詞のアルマン・ルノーは、ペルシャや日本の詩の影響を受けている詩人とのこと。サン=サーンスやドビュッシーが曲をつけています。

 

ラヴェル:シェエラザード

ラヴェルは、シェエラザードをオペラとして作曲を試みましたが、序曲は完成したもののオペラ自体は完成させることはありませんでした。一方で、後年歌曲集として3曲からなるこの曲を作曲し、ラヴェルの代表的な歌曲集となりました。第3曲「つれない人」は、当時ラヴェルにも好意を寄せたエンマに捧げられています。エンマの好意に対する「つれない」答え、だともとることができるようです。

 

さて、この曲は有名曲ですので、さすがに聴いたことがありました。特に第1曲の「アジア」は、異国情緒あふれるラヴェルの管弦楽伴奏が聴かれ、このCDの最初の2曲とははっきりと雰囲気が異なり、印象派の音楽に時代が変わったことを感じます。表現もより現代的になり、内容をストレートに感じることができました。ラヴェルの歌曲はほかには聴いたことはありませんが、この曲はラヴェルのオペラとも同じような雰囲気を感じました。

 

ルミューとロト指揮パリ管による、シェラザード第1曲「アジア」の後半部分

 

コントラルトのルミューの歌唱は明瞭でドラマティックなのではないかと思います。このあたりは、私は声楽曲をあまり聴いていないので、よくわからない世界ではありますが…。山田和樹の伴奏はとても雰囲気をよく作り出していて、ルミューの歌唱をしっかり盛り上げていると思いました。

 

購入:2023/10/14、鑑賞:2023/11/16

【CDについて】

作曲:ドビュッシー

曲名:映像第1集 (15:06)

   映像第2集 (13:35)

   子供の領分 (15.50)

演奏:ベネデッティ=ミケランジェリ(p)

録音:1971年9月 ミュンヘン Plenarsaal der Akademic der Wissenschaften

CD:415 372-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

ドビュッシーは、映像(images)と題する曲集を計画し、当初はピアノ独奏曲を6曲と、2台のピアノのための3曲を準備しました。その後紆余曲折があって数年が経過。改めて推敲され、第1集と第2集が独奏曲3曲づつ。第3集が予定されていた2台のピアノのための曲を、管弦楽曲として出版することになります。その際、もともと用意した曲の一つの「水の反映」は、曲自体が新しいものに差し替えられました。この差し替えの前に、交響詩「海」が作曲されており、その影響もあると考えられているとのことです。

 

【演奏について】

ミケランジェリのドビュッシーといえば、定番中の定番ですね。ところが、たまたまこのCDを見かけて、意外と聴いてないことに気づいたので、いそいそと落札して、聴いてみることにしました。映像と子供の領分が入っているもので、とても親しみやすい曲が入ったCDです。

こういった曲ですので、穏やかに落ち着いて聴き始めます。「水の反映」から始まります。いかにもドビュッシーです。ミケランジェリの演奏は、あぁ、これがドビュッシーだなと思わせるもの。きっと、彼の演奏は聴く者にとっても、ドビュッシーの標準となっていくような気がします。繊細で美しく、いろいろな色彩を感じる音色は、まさに映像という表題を持つこの曲と一体となって、情景を心に浮かばせてきます。ドビュッシーの映像は、音楽という流れのあるものの中で表現され、絵ではなく動画なんだね、と思ったりします。印象派的な絵が動いていく、アニメのようなものかもしれません。そういった映像が、ミケランジェリによって表現されていきます。

今回、ミケランジェリの演奏でこの曲集を聴いて印象に残ったのは、「運動」のリズムにうまく音色が乗って、鮮やかな色彩を帯びた映像が浮かぶこと、あとは、勿論標題があって情景を思い浮かべるのではありますが、廃寺にかかる月の情景や、錦鯉が何匹か身をくねらせて泳ぐ姿など。きっとその映像は聴く人にとっても違うのだろうと思いつつ、自分の映像を楽しむのでした。

子供の領分は楽しい曲集ですが、映像と同じ楽しみ方ができます。やはり「雪は踊っている」が好きですね。最初に聴いたのは、冨田勲のLPです。美しい曲です。もちろんゴリウォーグも好きですが、こちらは抑制的に奏でられている気がします。ちょうどいい雰囲気と思います。

 

【録音について】

ミケランジェリの多彩なピアノの音がよく捉えられた、素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

20世紀の名盤です。この演奏で聴くドビュッシーは、やはり格別のものがあると思います。しかし、時代も変わり、たくさんの新しい名演の録音が出てきているので、それらの新たなスタイルも体験してみたいものです。

 

購入:2023/10/02、鑑賞:2023/11/08

いままで記事にしていなかった交響曲名曲5選 ⑤

5回目、最後です。このCDには2曲交響曲が収められていますが、お目当てはプロコフィエフの第5番の方ですね。高校時代からよく聴いていた曲ですが、最近あまり聴かなくなっていました。思い出のある交響曲の一つです。いろいろなタイプの演奏があると思いますが、今回は昔聴いて、これいいんじゃない?って思ったことのある、ムラヴィンスキーにしてみました。

【CDについて】

①作曲:グラズノフ

 曲名:交響曲第5番変ロ長調 op55 (31:55)

②作曲:プロコフィエフ

 曲名:交響曲第5番変ロ長調 op100 (40:56)

演奏:ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1968年9月28日 レニングラード the Great Hall of the Leningrad Philharmonic

CD:RD CD 11165(レーベル:Russian Disc)

 

【曲について】

プロコフィエフは、ヒトラー率いるドイツの侵攻にあたって、かつてない祖国愛に目覚めたといいます。そして、作曲家として祖国に貢献する道や方法を考えこの曲が生まれました。プロコフィエフはこの曲に関し、「戦争が始まって、誰もが祖国のために全力を尽くして戦っているとき、自分も何か偉大な仕事に取り組まなければならないと感じた。」と語っているとのことです。初演は1945年1月13日にモスクワで行われ、ソヴィエト全域にラジオ中継されました。それは大成功をおさめ、更に11月にはクーセヴィツキー指揮のボストン響でアメリカ初演も行なわれました。

 

【演奏について】

私のクラシック鑑賞に大きな影響を及ぼした、冨田勲の「バミューダ・トライアングル」に、この曲の第二楽章が含まれていました。そして、その影響もあってエアチェックした、マゼールのライヴ(フランス国立管だったかな…)をいつも聴いていたことを覚えています。その後、共通一次試験の前日、早く寝ようとこの曲を子守歌にして床に就いたのですが、すっかり聞き入ってしまい、結局最後まで聴いてしまって眠れず…という変に思い出深い曲なのでした(笑)。その後発売されたバーンスタインの新譜とかも、発売当日を待ちわびて購入した記憶があります。

 

さて、久しぶりに聴いてみようと思ったのですが、このCDはグラズノフから始まります。この2曲は並べてみると、題名も調性も同じで作品番号だけ違うのですね…。同じ日のライヴ録音のようです。

 

グラズノフの曲にはあまりイメージが無く、何かインパクトも受けたという記憶もないのですが、まず聴いてみましょう。第一楽章、いきなりシューマンのようなフレーズが出て来て驚きました。全体的にロシアの交響曲の伝統やフレーズで構成されますが、それにだいぶロマン派が入っているような雰囲気です。第二楽章も、これってメンデルスゾーン?といった感じが入っています。ロシアの伝統音楽と、独墺系のロマン主義との融合を図った曲と見ました。意外と面白い曲だったのかもしれません。今まで流して聴いていたのか、気づいていませんでした。最新録音とかあったら、聴いてみたいと思いました。

 

で、本題のプロコフィエフ。第一楽章が始まります。さらっと始まったと思ったら、けっこう音の強弱の幅も大きく、テンポの動きもそこそこに入っているような気がします。一つ一つのパートを丁寧に目立たせて、レニングラードフィルの名技を浮きだたせているような気がしました。ライヴですが、乱れがありません。とはいいつつ、少し流れが良くないところもあると思いましたが、これは演奏スタイルによるかもしれません。この曲は、けっこう洒落た感じで演奏されることもあると思いますが、それとは違って陰影の強いダイナミックな演奏をしています。

 

第二楽章は素晴らしいと思います。次々と軽妙に現れてくるパートが、どれもこれも明瞭かつニュアンスがついて歌われています。第三楽章も同様ですね。とてもロマンティックかつダイナミックです。第四楽章は第一楽章と似た感じを持ちましたが、最後まで濃い演奏で盛り上がっていきます。この演奏は各パートの細部がよく表現されて、かつ起伏もある演奏なので、この曲の全体像をつかむ意味でも大変いい演奏と思いました。このCDを買った時に聴いた感じも、同じだったと思います。イメージで言うと、濃い演奏なのですね(笑)。この演奏はリマスタリングされたものもある様子で、それも興味がありますが、それよりもしばらくこの曲の新譜を聴いていないので、新時代の演奏を聴いてみたいと思いました…。

 

【録音について】

演奏の迫力は十分伝わるもので、各パートの音も明晰なのですが、音質的には今一つかもしれません。リマスタリングすると迫力が増すと思います。

 

 

【まとめ】

久しぶりにかつて印象に残っていたCDを聴いて、この曲の面白さを再認識しました。改めて他の演奏もいろいろ聴いてみたいなと思いました。グラズノフももう少し聞いてみたいですね。

 

購入:1993/10/06、鑑賞:2023/11/12(再聴)

 

「いままで記事にしていなかった交響曲名曲5選」という5回シリーズ、これにて終了です。こういう選び方なので、ちょっととりとめのない感じになってしまいました。最後ですので、5回分のリンクをしておきます。次回以降は…。

 

 

 

 

 

 

 

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑮

【CDについて】

作曲:ショーソン

曲名:交響曲変ロ長調 op20 (35:10)

作曲:フォーレ

曲名:組曲「ペレアスとメリザンド」 op80 (16:25)

演奏:フルネ指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

録音:1988年10月10-12日 ユトレヒト ムジクツェントルム・ヴレデンブルグ

CD:COCO-70503
   (レーベル:DENON、販売:コロムビアミュージックエンタテインメント)

 

【曲に関して】

ショーソン唯一の交響曲で、当時はサン=サーンス、ダンディ、フランクと立て続けにフランスで交響曲が作曲された時代でした。この交響曲は、師であるフランクとワーグナーの影響が大きいとされており、当時のフランス音楽の叙情性と、ドイツ・オーストリアの技法が組み合わさった作品となっています。フランクに代表される循環形式がと入れられていますが、それほど大きくは目立たないようです。

 

【演奏についての感想】

ショーソンの交響曲は聴く機会は少ないのですが、そもそもショーソン自体、録音が多いと思われるのは「詩曲」くらいでしょうか…。そんなショーソンの曲のCDを取り出してきました。曲自体は聴くのが初めてではありませんが、強く印象が残っている訳でもありませんでした。

 

全体を通して聴いた感じは、フランクの交響曲ニ短調をベースにするとイメージが湧きやすいかと思いますが、より循環形式がおとなしくなって、叙情性が強くなったという感じでしょうか。雰囲気としては、フランクのあくの強いドロドロした展開な無くなり、遥かに叙情的で、フランス的でもありました。明るいメロディと、哀愁のあるメロディが交差していく感じではないかと思います。フランクの指導を受けているということで、構成的にはしっかりしていますし、ワーグナーの影響が大きい分、管弦楽が分厚く聞こえて迫力があります。そして、フランスの叙情性という意味では、その先のドビュッシーの雰囲気を感じさせるところもあるかも知れません。何か聴きたい時、まだまだファーストチョイスにはなりにくい感じがしますが、ふと聴き返したいような雰囲気のいい交響曲かもしれませんね。また、別の演奏家でも聴いてみたい曲でもありました。

 

フォーレのペレアスとメリザンドも、時々聴きたくなる曲です。第3曲のシチリアーノが有名ですね。フルネの演奏は叙情性が豊かで、穏やかな表現だと思います。決して濃厚なタイプではありません。そして、細部をクリアに聴かせるという感じでは無くて、全体の雰囲気をうまく作って聴かせる演奏だと感じました。

 

【録音に関して】

オーケストラの全体の雰囲気がよく捉えられている録音だと思います。

 

【まとめ】

ショーソンの交響曲を聴くのはしばらくぶりでもありますが、改めて聴いてみると、叙情的なうえに、意外とダイナミックな音楽であることも感じました。また別の演奏でも聴いてみたいと思いますし、この時代のフランス音楽は、いろいろな要素が取り込まれていて、なかなか面白いと思いました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/12

ショスタコーヴィチの時代 ⑰

ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は、この時期の傑作のひとつで、演奏会でもよくプログラムに組まれていて、たくさんの録音がありますね。1933年の作品で、20代のショスタコーヴィチの代表的作品の一つです。ムチェンスク郡のマクベス夫人、24の前奏曲、交響曲第4番などが、この時期の代表作となります。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:①ピアノ協奏曲第1番ハ短調 op35 (21:38)

   ②2台のピアノのためのコンチェルティーノ イ短調 op94 (10:01)

   ③ピアノ五重奏曲ト短調 op57 (34:27)

演奏:アルゲリッチ(p)①②③、ヴェデルニコフ指揮 スイス・イタリア語放送管弦楽団①

   ジルベルシュタイン②、カピュソン(vn)③、マルグリス(vn)③、チェン(va)③、

   マイスキー(vc)③、ナカリャコフ(tp)①

録音:2006年6月17日① ルガーノ Palazzo dei Congressi①

   2006年6月21日③、2006年6月25日② ルガーノ Auditorio Stelio Molo

CD:50999 5 04504 2 8(レーベル:EMI、発売:EMI Records)

 

【曲と演奏について】

ピアノ協奏曲第1番ハ短調op35

ピアノの名手ショスタコーヴィチですが、ショパンコンクール落選や、作曲活動に集中するために、演奏活動は停止していました。1933になって、自作曲に限って演奏活動をするという事で折り合いをつけ、その時に作曲されたのがピアノ協奏曲第1番になります。この曲の中には自作曲からの引用(先週聴いた「条件付の死者」からの引用など)や、古典的作品のパロディがふんだんの盛り込まれており、諧謔的な性格の曲となっています。初演は、作曲家としてもソリストとしても大成功を収めたとのことです。

 

このCDは2006年度のルガーノの音楽祭における録音となります。アルゲリッチの(あるいはインターナショナルな)ショスタコーヴィチという印象を強く感じます。冒頭から鋭い音で斬り込まれて演奏が始まります。硬めの輝かしい弾けるような音で展開していき、ピアノもオーケストラも雄弁に演奏され、第一楽章の弾むような楽想を表現していきます。第二楽章は、ゆったりとたっぷりと抒情的に演奏され、第一楽章との対比が素晴らしいです。そして、ソロから雰囲気が重苦しく変わり、第三楽章(あるいは経過部)へと入っていくあたりはなかなかの聴きどころだと思います。そして再びトランペットが戻り、最終楽章へ。鋭い音色のアルゲリッチのピアノは、怒涛の展開へと入っていきました。スリリングな演奏の中で、「条件付の死者」を引用したりと、曲は目まぐるしく展開。ソロは再びアルゲリッチに受け継がれ、コーダへと疾走していきました。凄い高揚感と迫力で、確かにアルゲリッチならではの演奏であったと思います。

 

2台のピアノのためのコンチェルティーノ イ短調 op94

ショスタコーヴィチは、息子のマクシムの発展のために、いくつかの作品を残しています。このコンチェルティーノのその一つで、交響曲第10番と前後して1953年に作曲されました。構成的にも簡便な曲で、大作曲興の余技といった雰囲気もあります。

 

このCDは、アルゲリッチとジルベルシュタインによっての演奏です。緩-急-緩-急-緩-急と移り変わる作品で、移り変わっていく曲の表情が豊かに展開していきます。親しみやすいメロディをもつ曲ですが、構成的には中身の詰まった秀作だと思います。アルゲリッチとジルベルシュタインの二人の演奏。ピアノが鋭く冴え渡り、楽しさが湧きだす演奏です。

 

ピアノ五重奏曲ト短調 op57

プラウド批判の翌年1937年に交響曲第5番で名誉を回復したショスタコーヴィチは、弦楽四重奏曲の作曲にも取り組み始めました。そして、弦楽四重奏曲第1番のモスクワ初演を行って大成功を収めたベートーヴェン弦楽四重奏団により依頼されたピアノ五重奏曲が本作品になります。初演はベートーヴェン弦楽四重奏団とショスタコーヴィチのピアノで行われました。そして1941年、ショスタコーヴィチはこの曲でスターリン賞を獲得することになりました。

 

ピアノ五重奏曲は、重苦しい雰囲気で始まります。アルゲリッチのピアノは一貫して鋭く輝く音色で演奏されていきます。そして緩徐楽章は、ゆっくりしたフーガで、たっぷりと美しく歌いながら、だんだん重苦しく展開していく様子は圧巻です。第三楽章はスケルツォ。細かく刻まれるリズムは、かつての諧謔的なスケルツォとは離れ、円熟のスケルツォです。第四楽章は一転して穏やかな楽章。ピツィカートやピアノにのったヴァイオリンが大変美しい楽章です。主役の楽器は移り変わりながらメロディを奏でていきます。その雰囲気を引き継ぎながら、第五楽章へと穏やかに入っていき、そして穏やかな円熟の音楽を聴かせて、静かに曲は終わりました。

 

【録音】

ライヴ録音ですが、残響も含めて大変自然でクリアな素晴らしい録音で、演奏の雰囲気がよく伝えられていると思います。

 

【まとめ】

アルゲリッチによる、ルガーノ音楽祭でのショスタコーヴィチ演奏集でした。ショスタコーヴィチの演奏の歴史に残る様な素晴らしい演奏と録音だと思います。こういった録音を残してくれたことに感謝せざるを得ません。

 

購入:2023/08/24、鑑賞:2023/11/12

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:交響曲第7番 イ長調 op92 (37:55)

   交響曲第8番 ヘ長調 op93 (23:38)

演奏:アントニーニ指揮、バーゼル室内管弦楽団

録音:2010年7月5-7日(第7番)、2012年7月4-6日(第8番)

   ルツェルン Kultur und Kongresszentrum

CD:19439737032 (6CD)
   (レーベル:SONY CLASSICAL、販売:SONY MUSIC INTERNATIONAL)

 

【曲に関して】

交響曲第7番、第8番はともにリズム重視の交響曲。同時期に作曲され、まずは第7番が初演され、その2ヶ月ほど後に、第7番の再演と第8番の初演が併せて行われました。当日のプログラムは、2曲の他には、ウェリントンの勝利と、三重唱の「おののけ、背徳者」であったとの事。当時のベートーヴェン人気もあって、コンサートは大盛況だったようですが、第8番は人気の他の曲に隠れてしまい、評判は今ひとつであったようです。

 

【演奏についての感想】

今でもベートーヴェンの交響曲の中では人気度が低めの第8番ですが、第7番と第8版は、リズムの面白さが一つのポイントでもあり、アントニーニのメリハリの強いHIP演奏で聴くと、第8番は、また新たな魅力が出てくるかもと期待して聴いてみました。この2曲だけで見ると、録音に2年間の時間が開いているので、2つの録音が全く同じ状況で演奏された、ということはないと思いますが、どんな演奏なのか楽しみです。

 

さて、まずは第7番から、このCDは始まります。

第一楽章の冒頭のジャン!!が明るく強いので、衝撃的です。そして短く刻まれるフレーズは、アクセントがとても強く感じます。尤もこれはこの全集の特徴でもあるのですが…。そして、序奏から主部にふわっと入るところが面白く、逆に安心しました。緩急のメリハリもしっかりしています。走り出したと思ったら、いろいろ意表もつかれました。颯爽と進む中でプラスセクションがとても目立ちました。

第二楽章は、引きずらず力強さまで感じる演奏。第三楽章は快速。トリオの部分のアクセントがちょっと面白いと感じました。第四楽章はアントニーニの演奏の真骨頂ですね。お見事でした。やりたいことをいろいろやり通した感があります。かなり特異な演奏とは思いますが、これでもかと技を繰り出してくるところに、ケレン味のなさも感じ、圧倒されました。

 

続けて第8番です。これも早めのテンポで颯爽とスタートします。強弱の振幅も大きく感じます。第8番の名演奏とは?という命題がいつも解決しないのですが、これは一つの回答かも?なんて思いながら聴いていました。第二楽章のテンポの刻みも快速でした。ニュアンスもよくついています。第三楽章も同じく、楽章毎に発見がありますね。第四楽章も早いテンポで走っています。結局、この23分台というのは相当なテンポではないでしょうか。とはいってもメロディも充分歌われているので、ただ早いというだけではなくて、しっなり構築された、いい演奏だと思いました。

 

【録音に関して】

いつも通り、いい録音だと思います。強弱の幅が大変大きく、しっかり捉えられていると思います。

 

【まとめ】

アントニーニのベートーヴェン、期待の7番8番はなかなか楽しめました。次は9番。期せずして師走に聴くことになりそうです。

 

購入:2023/06/23、鑑賞:2023/11/06

秋に聴くブラームス③

ブラームスに秋を感じる試みも、今回が早くも最終回(笑)。このCDは、以前にこのブラームスのピアノ・トリオ集の第2集を聴いたので、第1集も聴いてみようと買っておいたのでした。第2集は安定の演奏でしたので今回も期待です。

【CDについて】

作曲:ブラームス

曲名:ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 op8 (36:01)

   ピアノ三重奏曲第2番ハ長調 op87 (29:16)

演奏:トリオ・オーパス8

録音:1995年12月14-16日(第1番)、1996年1月11-13日(第2番)

   ザントハウゼン Tonstudio van Geest

CD:BVCC-6068(レーベル:ARTE NOVA、販売:BMGジャパン)

 

【曲について】

ブラームスのピアノ三重奏曲第1番は、ブラームスが20歳の頃作曲されましたが、その35年後大幅に改作されました。そして、その後は新旧両方の版が継続して出版されていきます。どちらも作品番号は8で、若き日の作品と、円熟期に改作した作品を両方聴くことができるのです。改作は、第一楽章や第四楽章は、第二主題そのものが書き直され、また各楽章も部分の改訂のほか、大幅に短縮されて、コンパクトになっています。

 

【演奏について】

第1番から聴き始めました。第一楽章の第一主題は美しいメロディで始まります。ここは新旧共通ですね。メロディがじっくり歌い込まれたあと、少し寂しげな第ニ主題。そして、再び第一主題で展開といったように、お手本のような完璧な展開です。第ニ主題以降が改作された部分で、若々しく美しい第一主題に続いて、重厚な展開していきました。第二楽章はスケルツォ。ロマン派的な雰囲気の色濃い楽章でした。第三楽章は静かな緩徐楽章で、独特の荘重な雰囲気もある美しい楽章です。ピアノの音の雰囲気と、それに乗ったヴァイオリンとチェロの二重奏が美しく、ブラームスの音楽の中でも名場面ではないでしょうか。ここはとても気に入りました。そして第四楽章は、晦渋な主題と明るい副主題で組み合わされたロンド。このメロディを中心に、どんどん盛り上がっていきました。

 

続いて第2番です。第一楽章はチェロの低音主導で始まり、複雑に絡み合って展開していきます。これは円熟期のブラームスならではの素晴らしい構築感を感じられます。第二楽章は緩徐楽章ですが、変奏曲で書かれています。中間の緩徐楽章に変奏曲があるのは珍しく感じます。重々しく劇的な主題から導かれる変奏は、憂いを持った曲が続いていきます。第三楽章のスケルツォの主題は不思議な感触の音楽で、中間部との対比も面白く、ブラームスの技巧を感じる面白い楽章でした。そして、第四楽章は第一楽章同様、堅実に構築された音楽で盛り上がっていきます。全体はいかにもブラームスらしい、しっかりした構成の中に憂いを湛えた曲なのでした。

 

そいうことで、トリオ・オーパス8の演奏ですが、その名の由来の通りで、このブラームスのop8がきっかけで編成されたトリオ。いわばこのCDは、このトリオのルーツにあたる訳で、表情も豊かな大変安定した演奏だと思いました。私は、このトリオは結局はブラームスの2枚しか聞いていないのですが、音色が素晴らしいので、他のop8作品、例えばショスタコーヴィチのトリオもop8なので、録音もあるらしいですから、是非探して聴いてみたいと思いました。

 

 

【録音について】

ちょっと音は大きめですが、このトリオの音がクリアに伝わってくるいい録音です。

 

【まとめ】

秋のブラームスを3枚楽しみました。最後の曲が一番明るかったかなとは思いますが、ブラームスの曲はどこかに秋が漂うのですね。中間の二つの楽章とか、思わずその境地に絡めとられていきそうです。今回の3日間は、谷川岳周辺の写真と共にお届けしました…(笑)。そろそろ冬の準備をしないと、ですね。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/11/14

 

10月29日(日)2日目の清水峠は雨。稜線の縦走は諦めて、元の道を土合に戻りました。

最近リリースされた新譜から ⑭

今回の新譜は、旧譜の復刻版を思わず買ってしまいました。これです(笑)。私はシューベルトのグレイトには目が無いのですが、これはアルヘンタの事故死の2ヶ月前に残されたセッション録音とのこと。特に初CD化とかいう事ではないみたいですね。1957年11月の録音で、オーケストラはパリの名手たちの臨時編成のものです。

【CDについて】

作曲:シューベルト

曲名:交響曲第9番ハ長調 D944 (49:44)

演奏:アルヘンタ指揮 セント・ソリ管弦楽団

録音:1957年11月、パリ Salle Wagram

CD:LBCDR-1037 CD-R

   (レーベル:LEBHAFT、原盤:Le Club Français Du Disque、

    発売:アインザッツレコード)

原盤LPレコード:Omega Disc、OSL-12

 

【曲と演奏について】

まずは、この録音に関してですが、製作はフランス・ブック・クラブ(Le Club Français Du Livre)のレコード部門である、Le Club Français Du Disqueだと思います。アルヘンタは最晩年に、このレーベルにセント(チェント)・ソリ管(パリ音楽院管弦楽団やラムルー管弦楽団などのメンバーを集めた録音用の団体)にいくつかのステレオ録音を残しています。

 

そしてこのCDは、板起しのCDーRです。元になったLPは、アメリカのOmega Diskのもので、ジャケットもOmega Diskのものが採用されています。このあたりのLPは、ものによっては、探せば入手できないことは無いと思いますが、マニアックな分野ですね。首を突っ込めばドロドロの世界に入りそうなので、とりあえず敬して遠ざけております(笑)。

 

さて、楽しみに聴いてみます(笑)。いきなり、明るい音色のホルンですねぇ。そして、弦も明るめで、細かなニュアンスは少なめです。ちょっとぎこちないですが、あっさりした感じで、全体の流れの中で雰囲気を出していきます。細部まで丁寧に積み上げられた、輪郭がはっきりした演奏に感じます。主部に入っていくと、テンポがとてもいい感じです。そして進むにつれて、だんだんリズムに乗って、颯爽とした演奏になっていきました。第一楽章を最後まで聴くと、爽やかさが感動的です。

 

第二楽章もご機嫌なテンポの、メリハリのある演奏です。ただし、ずっと突っ走る感じなので、ちょっと淡白に感じるところがないではないかな…。第三楽章も同様にテンポ良く、歯切れよく進んでいきます。なかなか、キレのいい演奏ですね。第四楽章は、気持ちじっくり落ち着いて進んでいく感じがしました。その分悠然とした雰囲気もあります。全体的には、見通しがよく、メリハリが効いているところは変わりません。アルヘンタの演奏は、あまりためを作らず、ニュアンスをつけないので、あっさり流れていった感じはありますが、気持ちの良い演奏でした。いにしえの録音といっても、1957年のステレオ録音ですが、めったに聴かない部類の演奏なので、なかなか楽しかったです。

 

録音は、板起しで暖かい感じの音ですが、当時の録音や、当時のレコードの限界を感じるところもありました。特に強奏部は限界を感じます。個々の音の迫力は十分感じますが、厚みという意味ではさすがに…と思いました。

 

たまに、こういう演奏を楽しみたいですね…と思いました(笑)。

 

購入:2023/11/10、鑑賞:2023/11/10

秋に聴くブラームス②

ブラームスに秋を感じましょう。これは、ブラームスが最後に作曲したソナタ。今日は、木枯らしの吹いた日。ブラームスの晩秋を重ねます。

【CDについて】

作曲:ブラームス

曲名:クラリネット・ソナタ第1番へ短調 op120-1 (21:45)

   クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調 op120-2 (20:41)

演奏:キング(cl)、ベンソン(p)

録音:1984年9月17-19日

CD:CDA66202(レーベル:Hyperion、販売:Hyperion Records)

 

【曲について】

ブラームスのクラリネット・ソナタは、晩年の一連のクラリネット作品の最後の曲であり、ブラームスの作品は、これ以降は聖書からの歌曲とオルガン曲を残すだけとなります。室内楽としてもソナタとしても、最後の作品となった曲です。初演に先立って、クララ・シューマンとヨアヒムの前で私的な演奏が行われたようですが、第1番の冒頭はクララ・コードのようですね。

 

【演奏について】

このCDを買ったのはいつのことかは忘れたのですが、きっと1990年代だと思います。ヴィオラ・ソナタは聴いたことがあって、けっこう気にいっていたので、本家のクラリネット・ソナタが聴きたかったのだと思います。そして、CDショップ(たぶん石丸電気)で見つけた、ジャケットのエングストレン湖の絵に惹かれて買ったのだと思います。その後このクラリネットのCDが大変気にいって、それ以来ずっと聴き続けているのです。演奏しているのはシア・キングさんで、イギリス室内管弦楽団の首席奏者などを努められた方ですね。

 

時々思い出したように聴いているのですが、今日は、晩秋を思わせる秋の日に聴いてみます。第1番の冒頭は、もちろん何度も聴いた曲で、しっかりしたブラームスの晩年の素晴らしいソナタです。でも、この曲の圧巻は第2楽章で、大変シンプルでかつ美しい音楽だと思います。ブラームスの晩秋ということに思いを馳せれば、あまりにも美しすぎる諦観をここに聞くことができます。第三楽章は一転明るい雰囲気。第二楽章と続けて聴くと、晩年のブラームスの人類への美しいく暖かい応援であり讃歌ではないかと思ってしまいます。そして、第四楽章明るく快活な音楽となって終わります。

 

そして、第2番は明るいメロディで始まります。第1番よりはピアノが活躍する曲だと思います。そのピアノは優しい音で雰囲気を包んでいます。第二楽章はスケルツォ的楽章で、これもピアノが目立ちますが、主部とトリオの対比が鮮やかです。明るく展開しながらも静かに曲を閉じます。最後は第三楽章。ブラームスが最後に書いた器楽曲です。穏やかでもの静かな曲調の主題にによる変奏曲。一歩一歩立ち止まるような変奏もあったかと思えば、思い出したわうに快活なパッセージを奏で、最後は大きく盛り上がって終止符を打ちました。

 

シア・キングさんと、クリフォード・ベンソンさんの演奏は、落ち着いていてとても雰囲気がいいのです。クラリネットの哀感を湛えた音色と枯れた境地を思わせる演奏に、ベンソンさんのサポートが素晴らしいと思います。

 

【録音について】

アナログ録音で、ちょっと音が曇った感じがしますが、それもまた良しという感じです。

 

【まとめ】

秋のブラームスにどっぷり浸かってしまいました(笑)。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/13

 

10月28日(土)に土合から清水峠に登った時の光景。湯檜曽川の清流と紅葉です。

いままで記事にしていなかった交響曲名曲5選 ④

4回目は、マーラーの交響曲第7番です。第5番もまだ記事にしていなかったのですが、私は現時点ではマーラーの曲の中で第7番が一番好きなものですから…。あまり聴くのが得意ではないマーラーですが、第7番は抵抗なく聴ける曲なのです。今回は、現代音楽の演奏のイメージのあるギーレンの演奏で聴いてみました。

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第7番ホ短調 (79:25)

演奏:ギーレン指揮、南西ドイツ放送交響楽団

録音:1993年4月19-23日 バーデン=バーデン Hans Rosbaud Studio

CD:CD 93.030(レーベル:Hanssler CLASSIC)

 

【曲について】

交響曲第7番は、マーラーの曲の中でも長年不人気の曲とされてきました。Wikiによると、構成としては、「暗」から「明」に至る伝統的な進行が見られるものの、その経過にも帰結にも明快な必然性が感じられず、物語としての読解が難しく、この曲は「構成的に難がある」「分裂症的」などと批判されてきた。とあります。これ、読解が難しければ、なぜ「構造的に難がある」という結論に向かうのかな?と思います。マーラーを聴くということは、すべてに理屈をつけないといけないことなのかな?とも思いますし、第7番自体は素晴らしい曲だと思います。

 

【演奏について】

さて、マーラーの第7番は、標題とは無縁で、作曲者による解説やエピソードも無いという、マーラーには珍しい曲らしいです。私はマーラーの描く標題的な意義づけに馴染めないでいるので、この曲は安心して聴けるのです。あと、この曲を好きになったのは、マーラーを聴こうと思い立って、コンサートのチケットを予約し、予習としていろいろな演奏を聴いたのがきっかけです。コンサートは、ハーディングと新日フィルでした。サイン貰ってきました…(笑)。さて、ギーレンの演奏は中身が濃い印象があったので、久しぶりに聴いてみましょう。

 

第一楽章が始まりました。引き締まった、軽快に進む演奏というのがまずは第一印象。少々荒削りで、アクセントは強めかもしれません。重いメロディが何度も繰り返されますが、その中で、歌うようなメロディが出現すると、そこはじっくりと歌いこんでいました。演奏が表情豊かだと思います。

 

第二楽章は、美しいメロディに支配された楽章で、何か懐かしい感じもします。演奏は、端的で明快なものだと思いました。全体の音のバランスもことさら誇張がなく、自然でストレートな表現だと思います。ただ、後半に入るにつれて、淡々とまったりと進む感じが出てきました。

 

第三楽章はスケルツォですね。目まぐるしく移り変わる各パートの演奏をじっくり聴いていると、なかなか面白く感じる演奏だと思いました。細部まで浮き出させて表現している感じがして、流れよりも、この曲の弾けた感じがよく出ていると思いました。

 

第四楽章も、音のバランスや、テンポの振り方など独特なところがあると思います。第三楽章と同じくですが、普通の演奏を頭に置いていると、ちょっと感触が違って聞こえるところがあるかもしれません。ギーレンの個性がよく出ていると思います。

 

第五楽章も引き続き細かいところのニュアンスが面白く、時々ニヤっとしてしましました。細部のアクセントも面白いと思います。そして、だんだんと豪快に盛り上がっていき、最後も弾けきって終わります。かなり気合を感じますし、細部の表現やニュアンスなど、最後まで耳を離せない演奏と思いました(笑)。

 

といった感じで、ギーレンがいろいろと思いを込めた、なかなか面白い録音だと思いました。オーケストラはメジャーどころと比べると、音の厚みなど思うところはありますが、そこはスタジオ録音ということで、基本的にはきっちりカバーされていると思います。この曲好きだったことですし、いろいろCDもあるので、またいろいろと聴いてみたくなりました。

 

【録音について】

オーケストラの音が素直に拾えていて、この曲やオーケストラの音の特徴が出ていると思いました。

 

【まとめ】

マーラーについて記事にすると、情報量が多いだけに、あまりにも「お子ちゃま的」なことしか書けない気がして、ちょっと萎縮気味ではありますが、面白いことは確かなので、いろいろと聴くことで解決しようと思いました(笑)。

 

購入:不明、鑑賞:2023/11/02(再聴)