【CDについて】
作曲:ドビュッシー
曲名:映像第1集 (15:06)
映像第2集 (13:35)
子供の領分 (15.50)
演奏:ベネデッティ=ミケランジェリ(p)
録音:1971年9月 ミュンヘン Plenarsaal der Akademic der Wissenschaften
CD:415 372-2(レーベル:DG)
【曲について】
ドビュッシーは、映像(images)と題する曲集を計画し、当初はピアノ独奏曲を6曲と、2台のピアノのための3曲を準備しました。その後紆余曲折があって数年が経過。改めて推敲され、第1集と第2集が独奏曲3曲づつ。第3集が予定されていた2台のピアノのための曲を、管弦楽曲として出版することになります。その際、もともと用意した曲の一つの「水の反映」は、曲自体が新しいものに差し替えられました。この差し替えの前に、交響詩「海」が作曲されており、その影響もあると考えられているとのことです。
【演奏について】
ミケランジェリのドビュッシーといえば、定番中の定番ですね。ところが、たまたまこのCDを見かけて、意外と聴いてないことに気づいたので、いそいそと落札して、聴いてみることにしました。映像と子供の領分が入っているもので、とても親しみやすい曲が入ったCDです。
こういった曲ですので、穏やかに落ち着いて聴き始めます。「水の反映」から始まります。いかにもドビュッシーです。ミケランジェリの演奏は、あぁ、これがドビュッシーだなと思わせるもの。きっと、彼の演奏は聴く者にとっても、ドビュッシーの標準となっていくような気がします。繊細で美しく、いろいろな色彩を感じる音色は、まさに映像という表題を持つこの曲と一体となって、情景を心に浮かばせてきます。ドビュッシーの映像は、音楽という流れのあるものの中で表現され、絵ではなく動画なんだね、と思ったりします。印象派的な絵が動いていく、アニメのようなものかもしれません。そういった映像が、ミケランジェリによって表現されていきます。
今回、ミケランジェリの演奏でこの曲集を聴いて印象に残ったのは、「運動」のリズムにうまく音色が乗って、鮮やかな色彩を帯びた映像が浮かぶこと、あとは、勿論標題があって情景を思い浮かべるのではありますが、廃寺にかかる月の情景や、錦鯉が何匹か身をくねらせて泳ぐ姿など。きっとその映像は聴く人にとっても違うのだろうと思いつつ、自分の映像を楽しむのでした。
子供の領分は楽しい曲集ですが、映像と同じ楽しみ方ができます。やはり「雪は踊っている」が好きですね。最初に聴いたのは、冨田勲のLPです。美しい曲です。もちろんゴリウォーグも好きですが、こちらは抑制的に奏でられている気がします。ちょうどいい雰囲気と思います。
【録音について】
ミケランジェリの多彩なピアノの音がよく捉えられた、素晴らしい録音です。
【まとめ】
20世紀の名盤です。この演奏で聴くドビュッシーは、やはり格別のものがあると思います。しかし、時代も変わり、たくさんの新しい名演の録音が出てきているので、それらの新たなスタイルも体験してみたいものです。
購入:2023/10/02、鑑賞:2023/11/08