国立西洋美術館・版画素描展示室で「内藤コレクションⅢ 写本の精華 天に捧ぐ歌、神の理」を観てきました。実は、何にも分からず、行ってみて驚きました。聞きしに勝る、カラフルで美しい写本でした。もちろん、西洋美術館へ行った時には、必ず新館2階の版画素描展示室に立ち寄ることを常としていますが、「内藤コレクション」については、まったく知りませんでした。
観に行く直接のきっかけは、あきさんのブログです。
西美が休館になる前に やっぱり好きです♡ 装飾写本 内藤コレクション展Ⅲ
西洋美術館が休館になる、という情報も、このブログからでした。是が非でも休館前に、もう一度、全体を観ておこうと思い、行ってきました。観に行ったのは、10月15日のことでした。
全館休館のお知らせ(休館期間:2020年10月19日(月)~2022年春(予定))2020.09.18国立西洋美術館は、2020年10月19日(月)から2022年春(予定)にかけて、館内施設整備のため、全館を休館いたします。
皆様にはご不便ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
2020(令和2)年10月19日(月)~2022(令和4)年春(予定)
以下、西洋美術館のホームページによる。
「内藤コレクションⅢ 写本の精華 天に捧ぐ歌、神の理」
印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人々の信仰を支え、知の伝達を担う重要な媒体でした。羊や子牛など動物の皮をなめして作った紙に人の手でテキストを書き写し、膨大な時間をかけて制作される写本は非常な贅沢品であり、特権的立場にある人々のみに所有が許されるものでした。彼らの目を喜ばせるべく、テキストの区切りや頁の余白には華やかな彩飾が施され、それらは今日も褪せない輝きを保ち続けています。
こうした彩飾写本の世界に魅了され、零葉、つまり本から切り離された1枚1枚のリーフ(紙葉)を中心にその収集を続けてこられたのが、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏(1932-)です。当館では、この貴重なコレクションを2016年春にご寄贈いただいたのをきっかけに「内藤コレクション展」を3回シリーズで開催してまいりました。最終回となる本展では、フィナーレにふさわしく、とりわけ華やかで美術史的評価の高い作品を多数ご紹介いたします。
今回の出品作の核のひとつとなるのは、聖歌集に由来するリーフです。天に捧げる歌を記した一連のリーフは、グループで参照されたために大型の判型をもつものも多く、その大きく華やかな装飾には、ときに小型絵画に匹敵する見応えがあります。もうひとつの核となるのは、教会法令集由来のリーフです。教会法令集とは、教父文書、公会議決議、教皇令を中心に、カトリック教会の組織運営や信徒たちの信仰、生活に関して定めた法文を所収した書物のことです。それらのリーフにおいては、とりわけ、余白にびっしりと記された注釈に圧倒されるでしょう。濃密な文字の列からは、神の理を明らかにしようとした学者たちの熱意が彷彿されます。
なお、本展の出品作の中には、長沼昭夫氏より西洋美術振興財団へご寄付いただいた基金で購入したリーフも含まれます。長沼氏は、日本の美術館の西洋中世美術コレクションを拡充すべきであるという内藤氏の思いに賛同され、支援を寄せてくださいました。内藤氏、長沼氏のご厚意に感謝するとともに、本展の開催にご協力くださいました各位にも心より御礼申し上げます。
「国立西洋美術館」ホームページ
https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
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