国立西洋美術館で「所蔵水彩・素描展」を観た! | とんとん・にっき

国立西洋美術館で「所蔵水彩・素描展」を観た!

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国立西洋美術館で「所蔵水彩・素描展―松方コレクションとその後」を観てきました。「 フランク・ブラングィン展」の関連小企画展としての位置づけです。西洋美術館新館2階のちょっと奥まったところにある「版画素描展示室」で展示してありました。東京国立博物館・平成館で「長谷川東伯」展を観てから、西洋美術館で「フランク・ブラングィン展」を観た後なので、しかも閉館時刻が迫っていたこともあり、落ち着いてじっくり観ることができませんでした。


実は行くまで、「水彩・素描展」が開催されていることを知らなかったので、不意打ちを食らった感がありました。もちろん、いい意味でですが。「紙作品は光や湿度など環境の変化に弱いためあまり展示の機会は多くありません」とホームページにあり、せっかくのこの機会を見逃すわけにはいきません。駆け足で会場を観て回りました。まあ、なんと言っても、ギュスターヴ・モローの2つの作品が目を引きました。チラシには「聖なる象」が、そして会場入り口前には「聖チェチリア」(部分)が使われていました。


変わったところではポール・ゴーガンの扇面画、明らかにジャポニズムの影響です。ゴーガンが扇面画に手を染めたのは1884年頃、ルーアン時代のこと。当時ゴーガンはピサロに私淑し、制作を共にしていたので、おそらくその影響のもとに試みたものと想像され、その後、彼は生涯にわたって時折この形式を採り上げ、現在20点余りの扇面画が残されているという。いや、知りませんでした。


「素描」といっても馬鹿にできません。以下、「素描」3点、エドガー・ドガの「髪をとかす女」、オーギュスト・ロダンの「蛇を巻く男」、そしてこれは素晴らしい、エミール=ルネ・メナールの「エチュード」です。それぞれ木炭、パステル、水彩、クレヨン、コンテ、等々、使われている材料は異なるものの、その特長を生かした作品、なかでも「エチュード」は完成作品と言っていいほどの力作です。おっと、エドガー・ドガの「背中を拭く女」も、パステルでの素描、妙にエロチックで、素晴らしく迫力のある作品でした。


















「所蔵水彩・素描展―松方コレクションとその後」:チラシ裏による

国立西洋美術館は、1910年代後半-20年代のヨーロッパで川崎造船所の初代社長・松方幸次郎が築いた大コレクション、いわゆる松方コレクションを基礎として1959年に設立されました。2009年には開館50周年を迎え、記念事業の一環として企画展示館では、松方に収集を指南した画家フランク・ブラングィンの回顧展が開催されます。本展はブラングィン展の関連小企画展として、所蔵品のなかから松方コレクションを中心に19-20世紀の主要な水彩・素描作品38点ほどを紹介します。完成作のための習作として、あるいは独立した一つの作品として制作された水彩・素描作品には、油彩画とはまた違う独自の性質や表現を見出すことができます。紙作品は光や湿度など環境の変化に弱いためあまり展示の機会は多くありません。今回の展覧会では、ふだんは目にすることの少ない水彩・素描作品の魅力をお楽しみください。


「国立西洋美術館」ホームページ