国立西洋美術館で「常設展・ハイライトツアー」に参加した! | とんとん・にっき

国立西洋美術館で「常設展・ハイライトツアー」に参加した!


東京国立博物館、国立西洋美術館、東京国立近代美術館、等々へ行った時は、必ず「常設展」を観てくるようにしています。先日、国立西洋美術館へ「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」へ行った時も当然常設展を観ようと思っていたところ、なんと「ハイライトツアー」なるものを開催するという掲示板を発見しました。同行した家人が大いに興味を示したのと、時間があったこともあり、まずは参加して、気に入ればそのままずっと観て回ろう、気に入らなければ途中でも取り止めようと決めました。


プログラムの書いてある作品は、今まで何度か見たことのあるものばかりです。が、しかし、詳しく、丹念に観た、というわけでもありません。例えば、「ヴァニタス」や「サン=トロペの港」は、今まではほとんど素通りでした。しかし話を聞くのもいい機会と思ったわけです。そんなことで、西洋美術館の数あるコレクションの中で、なぜこれらの作品が選ばれたのかはともかく、なかなかいい取り合わせのような気がしました。


実は、帰ってから「週刊・世界の美術館」(講談社刊)を開いて「国立西洋美術館」の号の見たら、「サン=トロペの港」、「睡蓮」、「三連祭壇画:キリスト磔刑」が取りあげられていました。案内してくれた人は、西洋美術館ボランティアの女性の方でした。



ハイライトツアーのプログラムは、以下の通りです。
1 青銅時代(オーギュスト・ロダン)

2 三連祭壇画:キリスト磔刑(ヨース・ファン・クレーフェ)

3 ヴァニタス―書物と髑髏のある静物(エドワールト・コリール)

4 自画像(マリー=ガブリエル・カペ)

5 睡蓮(クロード・モネ)
6 サン・トロペの港(ポール・シニャック)


以下の文章の出典は、「国立西洋美術館名作選(2006年)」によります。


1 青銅時代(オーギュスト・ロダン)

1877年に石膏像で「敗北者」という題で出品されたが、その後「目覚める人」あるいは「最初の人類」と呼ばれるようになった。神々の世界である黄金と白銀の時代を経て、人類がこの世に初めて生まれ出る青銅時代の最初の脈動が、目覚めやらぬ若者の姿をかりて表現されている。


2 三連祭壇画:キリスト磔刑(ヨース・ファン・クレーフェ)

クレーヴ後期の作品。中央部にフランドル絵画特有の精妙な風景描写を背景に「キリスト磔刑」が表され、左右の翼部にはこの祭壇画の寄進者夫妻の跪く姿が描かれている。幻想的な奇岩を随所に配し、その風景描写は16世紀フランドルの世界風景画の特色をよく伝えている。


3 ヴァニタス―書物と髑髏のある静物(エドワールト・コリール)

コリールは17世紀後半のオランダの静物画家、肖像画家。彼は髑髏、地球儀、楽器などからなる、現世のはかなさや虚栄にたいして警告としてのヴァニタス画を得意とし、とりわけ書物を含む静物画を多数制作した。髑髏、火が消えたばかりの燭台、時計、砂時計、採譜、倒れたグラスなどが所狭しと並んでいる。一見、無造作に放置されたように見えるが、2本の対角線に沿って慎重に構図が決定されている。


4 自画像(マリー=ガブリエル・カペ)

ホルダーに挟んだデッサン用のチョークを片手に、画架の前に立つ自画像には、溌剌とした22歳の若い作家の初々しい面影が見事に捉えられている。胸元の大胆に開いた青井サテンのドレスは当時の流行の衣裳で、共地の青いリボンと相まって18世紀の華やぎを伝えている。同時にここにはロココ風の官能性と共に、新時代を予告するような簡素で直截な表現が現れている。


5 睡蓮(クロード・モネ)

モネは、最後には池のみにその関心を集中した。この作品も画面は完全に上から下まで水面だけで覆われ、そのため見る者は、あたかも池の中に建っているかのような強い感動を受ける。花や水を表す筆触や色彩は、初期の印象主義的な手法とはかなり異なり、時には表現主義的ともいえる厳しさで、池の水面の神秘なまでの美しさを捉えている。


6 サン・トロペの港(ポール・シニャック)

シニャックの芸術傾向は次第に著しい変化を見せる。まず構図の線的な厳格さが和らぎ、色彩の面では新印象主義絵画に特有の描点の粒が大きくなる。後者の変化は、点描派の当初の目的であった視覚混合よりも、個々の色彩の特性とそれらの対比を強調することになる。こうした様式の変化を端的に示すことによって、新印象主義からの脱却とフォーヴィスム誕生の準備という、世紀の変わり目におけるシニャックの代表する作品となっている。

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「サントロペの港」


「国立西洋美術館」ホームページ

とんとん・にっき-ho6 「週刊・世界の美術館 NO45」2009.6.18
国立西洋美術館