東京都美術館で「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」を観た！

東京都美術館で「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」を観てきました。観に行ったのは10月25日と12月24日の2回です。10月25日はそれほど混んではいませんでしたが、12月24日は会期末も近く、とんでもなく混んでいました。特に浮世絵や手紙・書簡、書籍などは小さいので、前に並ばれると、見えにくくなってしまいます。その辺は図録で補うしかありませんが。それにしても「ゴッホ」と名がつけば、展覧会は大当たり必至です。

「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」ロビー案内板

「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」のみどころは、ホームページによると、下記のとおりです。

1. 日本初！ファン・ゴッホ美術館との本格的国際共同プロジェクト

本展覧会は、日本における「ゴッホ展」の中でも初となるオランダのファン・ゴッホ美術館との国際共同プロジェクトで、日本展終了後、ファン・ゴッホ美術館でも開催されます。

2. 日本美術がファン・ゴッホに与えた影響をさまざまな角度から検証

ファン・ゴッホは、日本から如何なる影響を受け、如何なるイメージを抱いていたのか。国内外のコレクションから厳選したファン・ゴッホ作品約40点と、同時代の画家の作品や浮世絵など50点あまりによって、その実像を多角的に検証します。

3. 日本初公開！ガシェ家に残された3冊の「芳名録」

最初期における日本人のファン・ゴッホ巡礼を、ガシェ家の芳名録に基づいた約80点の豊富な資料によってたどります。日本を夢想したファン・ゴッホ。ファン・ゴッホに憧憬した日本人。交差する夢の軌跡をご覧ください。

展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章　パリ　浮世絵との出逢い

第2章　アルル　日本の夢

第3章　深まるジャポニスム

第4章　自然の中へ　遠ざかる日本の夢

第5章　日本人のファン・ゴッホ巡礼

「画家としての自画像」
パリ滞在中の最後期に描かれた自画像。細かな筆触でおおわれた青色の上着や、原色が連なるパレットの描写など、ファン・ゴッホがパリで獲得した色彩表現が発揮されている。その一方で、画中の表情はどこか憂いをおびている。のちにゴーガンに宛てた書簡からは、この時期、画家はパリでの生活に疲れていたことがうかがえる。画家としての確かな手応えと日々への疲弊感を胸に、ファン・ゴッホはパリを離れ、新天地アルルへと向かった。

フィンセント・ファン・ゴッホ「画家としての自画像」1887/88年ファン・ゴッホ美術館

第1章　パリ　浮世絵との出逢い

「花魁（渓斎英泉による）」

浮世絵に強い関心をもっていたファン・ゴッホは、浮世絵版画を油彩で模写した作品を残している。これはそのうちの１点で、『パリ・イリュストレ』誌の日本特集号の表紙に印刷された花魁像を拡大模写したもの。オリジナルは、溪斎英泉による《雲龍打掛の花魁》で、雑誌に印刷される段階で左右が反転したと考えられる。花魁像には、オリジナルには見られない原色に近い鮮やかな色彩がふんだんに使われている。浮世絵を忠実に模写するのではなく、さまざまな版画から借用したモティーフを自由に組み合わせて背景を描き、独自の花魁像に仕上げている。

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「花魁（渓斎英泉による）」1887年、ファン・ゴッホ美術館右：渓斎英泉「雲龍打掛の花魁」1820～30年代（文政後期～天保前期）、千葉市美術館

　フィンセント・ファン・ゴッホ「カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ」1887年、ファン・ゴッホ美術館

左：歌川広重「名所江戸百景/大はしあたけの夕立」1857（安政4）年、中右コレクション右：歌川広重「名所江戸百景/亀戸梅屋敷」1857(安政4)年、中右コレクション

第2章　アルル　日本の夢

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「雪景色」1888年、個人蔵右：フィンセント・ファン・ゴッホ「アイリスの咲くアルル風景」1888年、ファン・ゴッホ美術館

左：葛飾北斎「冨嶽三十六景/神奈川沖浪裏」1831～33（天保2～4）年頃、株式会社ニトリ右：葛飾北斎「冨嶽三十六景/山下白雨」1831～33（天保2～4）年頃、株式会社ニトリ

フィンセント・ファン・ゴッホ「種まく人」1888年、ファン・ゴッホ美術館

第3章　深まるジャポニスム

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「寝室」1888年、ファン・ゴッホ美術館右：フィンセント・ファン・ゴッホ「タラスコンの乗合馬車」1888年、ヘンリー＆ローズ・パールマン財団（プリンストン大学美術館、長期貸与）

フィンセント・ファン・ゴッホ「男の肖像」1888年、クレラー=ミューラー美術館

左：東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」1794（寛政6）年、株式会社ニトリ右：三代歌川豊国（歌川国貞）「三世岩井粂三郎の三浦屋の高尾」1861（文久元）年、及川茂コレクション

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「夾竹桃と本のある静物」1888年、メトロポリタン美術館右：フィンセント・ファン・ゴッホ「渓谷（レ・ペイルレ）」1889年、クレラー・ミューラー美術館

左：歌川広重「東海道五拾三次/大津」1833～34（天保4～5）年、中右コレクション右：歌川広重「東海道五拾三次/庄野」1833～34（天保4～5）年、中右コレクション

第4章　自然の中へ　遠ざかる日本の夢

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「アニエールの公園」1887年、個人蔵右：フィンセント・ファン・ゴッホ「蝶とけし」1889年、ファン・ゴッホ美術館

フィンセント・ファン・ゴッホ「ポプラ林の中の二人」1890年、シンシナティ美術館

第5章　日本人のファン・ゴッホ巡礼

「芳名録Ⅰ：初編」

ファン・ゴッホの最期を看取った医師ガシェの遺族は、20点あまりのファン・ゴッホ作品を大切に守り伝えていた。ガシェ家にはファン・ゴッホの足跡をたどり多くの日本人が訪れ、芳名録に署名を残している。その一冊目は表紙に「芳名録初編」と記され、サイズは最も小型（18 x14 cm）で、局紙（きょくし）のような紙で和綴じ仕立てになっている。署名は1922（大正11）年3月9日から12月17日までで、署名した訪問者の数は26名に及ぶ。

「芳名録Ⅰ：初編」1922（大正11）年国立ギメ東洋美術館

左：前田寛治「ゴッホの墓」1923（対象12）年、個人蔵右：佐伯祐三「オーヴェールの教会」1924（大正13）年、鳥取県立博物館

結城素明「ガシェの肖像」1924（大正13）年、国立ギメ東洋美術館

左：フィンセント・ファン・ゴッホ「ガッシュ博士の肖像」1890年、東京藝術大学大学美術館右：奥山儀八郎「ゴッホ作<タンギー爺さん>による版画」1952（昭和27）年、国立ギメ東洋美術館

「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」
フィンセント・ファン・ゴッホ（1853-1890）は、パリ時代からアルル時代前半にかけて、浮世絵や日本に関する文献を集めるなど、日本に高い関心を寄せていました。一方で、ファン・ゴッホの死後、日本の芸術家や知識人が、この画家に憧れ、墓のあるオーヴェール=シュル=オワーズを巡礼していたことが明らかになりました。本展では、ファン・ゴッホの油彩画やデッサン約40点、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点に加え、関連資料を通して、ファン･ゴッホと日本の相互関係を探り、その新たな魅力を紹介します。

「東京都美術館」ホームページ

「ゴッホ展　巡りゆく日本の夢」