鎌倉国宝館で特別展「鎌倉×密教」を観た! | とんとん・にっき

鎌倉国宝館で特別展「鎌倉×密教」を観た!




鎌倉国宝館で特別展「鎌倉×密教」を観てきました。鎌倉に行ったのは、11月23日、勤労感謝の日でした。鶴岡八幡宮の境内は「七五三」のお参りで、たくさんの家族連れで賑わっていました。鎌倉国宝館へ行ったのは始めて、特別展「仏像×密教」のチラシをどこかの美術館で手に入れて、「不動明王」の顔つきが妙に気になり、ぜひとも観てみようと、鎌倉まで足を延ばしました。チラシには「秘仏光臨。」「鎌倉ゆかりの密教尊像が一堂に集結!」とあります。


鎌倉国宝館本館は、日本銀行小樽支店や歌舞伎座を手がけた岡田新一郎の設計によるもので、正倉院を模した高床式校倉風建築で、国の登録有形文化財に登録されています。入って右側の展示室は、鎌倉時代の寺院建築の手法を用いた須弥壇を中心に、鎌倉を代表する仏像が露出展示されていました。あたかも仏堂にいるような雰囲気の中で、仏像を配してありました。また、入って左側の展示室はケース展示で、「異国降伏御祈祷記」(明王院)や「足利氏満御判御教書」(鎌倉国宝館)が展示されていました。


圧巻はやはり、チラシにもなっている明王院の「五大明王座像」でしょう。うねる波のような大迫力の頭髪、怒りのためか、顔を大きくゆがめ、口と目が異様に変形しています。左右が別人のようです。堂々立つ体軀は、どっしりと安定しています。いままでは滅多に観ることができない仏像だそうで、まさに「秘仏光臨」です。五大明王像としての展示で、他の不動明王の周囲に配されています。明王院は、神奈川県鎌倉市にある真言宗御室派の寺院。山号は飯盛山。寺号は寛喜寺。本尊は五大明王で、「五大堂」とも称される。鎌倉観音霊場第八番札所。と、ウキペディアにあります。


また、修禅寺の「大日如来座像」(重要文化財)も、端整な顔立ちで、荘厳さと静謐さを保っています。五島美術館蔵の「愛染明王座像」(重要文化財)は、手が6本、頭の上にまた頭があり、髪の毛が逆立っています。かつて鶴岡八幡宮境内の愛染堂の本尊で、江戸時代まで運慶作とされていたそうです。来迎寺の「如意輪観音座像」は、膝を立てて、首を少し傾けて、微かに微笑んだように見えます。宝金剛寺の「不動明王及び二童子像」、光背の火焔が荒々しくたなびいています。巨福呂坂町内会の「歓喜天立像」、2人が抱き合って立っている、妙な姿です。ブリヂストン美術館の彫刻、ブランクーシの「接吻」を思い浮かべました。


僕が「仏像」を観るようになったのは、2006年10月から12月にかけて、東京国立博物館平成館で開催された「仏像 一木にこめられた祈り」からでした。そのときの目玉は滋賀・向源寺の「十一面観音菩薩像」でした。それからやっと5年、仏像をどう観たらいいのか、どこを観たらいいのか、まだなにもわかりません。長岡龍作の「日本の仏像 飛鳥・白鳳・天平の祈りと美」を読みましたが、扱っているのが「平安時代」のものばかり、東博の「仏像」展でも奈良・平安仏がほとんどで、例外的に江戸時代の円空・木喰を扱っていました。どうして仏像は平安時代なのか、よくわかりません。今回は「鎌倉仏」、「平安仏」とどう違うのかさえもよくわかりません。まあ、観るしかないとは思いますが。








「特別展 鎌倉×密教」展

源頼朝により幕府が開かれて以降、鎌倉の地ではさまざまな仏教の宗派が興隆しました。これまで鎌倉における仏教信仰については、禅宗や律宗、あるいは浄土宗や日蓮宗などのいわゆる「鎌倉新仏教」が取り上げられる機会が多かったと思われます。しかし、幕府の基幹となった鶴岡八幡宮寺や勝長寿院、永福寺といった大刹はいずれも密教を主とする寺院であり、そこでは幕府や将軍家、北条氏などのためにさまざまな密教修法が行われていました。幕府が滅んだ後も、歴代の関東公方たちは戦乱や兵難のたびに密教の祈祷を行い、あくまでも中世鎌倉における信仰の根幹は密教にあったことがわかります。本展は、こうした鎌倉における密教の歴史と美術について紹介する展覧会です。寺外初公開となる密教尊像や、鎌倉ゆかりの密教美術の優品が一堂に介す貴重な機会となります。本展を通じて、鎌倉にかかわる密教信仰を概観するとともに、その多様性に富んだ造形世界を体感していただければ幸いです。


「鎌倉国宝館」ホームページ


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とんとん・にっき-aizome 「愛染明王 愛と怒りのほとけ」

平成23年10月15日(土)~12月4日(日)
神奈川県立金沢文庫