東京国立博物館平成館で「東大時大仏 天平の至宝」展を観た! | とんとん・にっき

東京国立博物館平成館で「東大時大仏 天平の至宝」展を観た!


東京国立博物館平成館で「東大寺大仏 天平の至宝」展を観てきました。チラシは「国宝・八角燈籠」、1991年に東大寺へ行ったときには、大仏殿へ行く途中、通りすがりにちらっと見ただけでしたが、なんとこれは「国宝」でした。唯一、造立当初から大仏と寺を見守ってきたものだそうで、寺外では初めて公開されたものです。いや、平成館の室内で観るとこれはデカイ。しかも華やかな文様がまた素晴らしい。まあ、東大寺には国宝がごろごろしているわけですが、今回の「東大寺大仏 天平の至宝」展にも「国宝」が次々と出てきました。数えてみると全部で国宝が12件もありました。


気になったので、「東大寺」には「国宝」がいくつあるのか、調べてみました。新潮社とんぼの本の「国宝」によると、東大寺の国宝は28件、そのうち(持ち運びできない)建築が7件もあります。「法華堂」「転害門」「本坊経庫」「鐘楼」「開山堂」「南大門」「金堂(大仏殿)」の7件です。その他にまず動かせそうもないものに「梵鐘」や南大門の「金剛力士立像」があります。また今回出されていなかった絵画の国宝は2件あります。従って今回出された「国宝」は東大寺の国宝のうち、運べそうな国宝の約半分が出されていたことになります。


「八角燈籠」の他に、僕が気になったのはまずは「誕生釈迦佛立像及び灌仏盤」、「東大寺大仏 天平の至宝」展とはいえ、まあこれはさすがに高さ15mもあるデカイ「大佛(毘慮舎那佛)」そのものは持ってくるわけにはいきませんから、その代わり、ということでしょう。「灌仏盤」には蓮華蔵世界の詳細な「毛彫図」がありました。が、しかし、照明が暗くてよく見えませんでした。そして「良弁僧正座像」、「僧形八幡神座像」、「重源上人座像」の3体、これらはそれぞれ表情は異なりますが完成度が高く、見事な木彫です。なかでも晩年の姿を写したもので、数珠をてにした老体の「重源上人」の風格ある顔には圧倒されました。



また、これが傑作「五劫思惟阿弥陀如来座像」、これは三井記念美術館の「奈良の古寺と仏像」展で観た「五劫思惟阿弥陀如来座像」の別バージョンでしょう。なんせアフロヘアーの仏像があるなんて、三井の時にもおおいに話題になりましたが、異形の阿弥陀如来像、三井に出たものは合掌している像です。長く伸びた髪が「五劫」といい、非常に長い時間を象徴している、という。他に、「銀製鍍金蝉形鏁子(宝相華透彫座金付)」は、これは「錠前」つまり「鍵」です。小さなもので、実物を観たときにはよく分からなかったのですが、映像で観て「なるほど、そういう仕組みなのか!」と驚きました。


伊藤ていじの単行本「重源」という本があります。もちろん読みましたが、なんかの拍子にこの大事な本をブックオフに売っちゃったようで、今から思うと残念なことをしてしまいました。今は絶版になっていて、購入できません。そんなこともあってか、平重衡の南部焼き討ちによって焼失した大仏殿の復興に、その身命を捧げ86歳で亡くなった重源、今回の展覧会で「重源上人座像」に出会えて、その表情を観ることができたのは、僕の喜びでした。


夏の暑い日だったか、校倉造の「正倉院」を一目見ようと塀の周りを歩いていたら、どうも逆回りだったようで、歩けども歩けども塀ばかりで門が見えない、という体験も、今は懐かしい思い出です。「東大寺」といえば、大仏殿もさることながら、僕の中では「二月堂」が最高です。そして「二月堂裏参道」が大好きな裏道です。













光明皇后1250年御遠忌記念
特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」

東大寺は、聖武天皇と光明皇后が、夭逝した皇子の菩提を弔うため造営した山房に始まり、やがて、聖武天皇の発願により盧舎那仏(るしゃなぶつ)が造立され、国家的な仏教信仰の中心になりました。天平勝宝4年(752)には大仏開眼供養会(だいぶつかいげんくようえ)が盛大に執(と)り行われ、インド、中国の僧が参加するなど国際色豊かな文化が生まれました。後世の兵火により2度罹災しますが、そのたびに高僧らが復興、再建に取り組み、創建時の天平文化を代表する至宝が伝わっています。本展では大仏造立に関わる作品を通して天平文化の精華をご覧いただきます。大仏殿前の高さ4.5メートルを超える八角燈籠(国宝)が寺外で初公開となるほか、古代の誕生仏では日本最大として知られる誕生釈迦仏立像(国宝)や、大仏開眼供養会などに使用された伎楽面(重要文化財)など、天平の宝物を一堂に展示します。また鎌倉時代、江戸時代に大仏を再興した、重源(ちょうげん)上人、公慶(こうけい)上人の肖像彫刻の傑作などを通じて、今日まで脈々と伝えられる東大寺の歴史を紹介します。さらにバーチャルリアリティー(VR)映像で平安時代末期に焼失した創建時の大仏殿を再現、寺では見ることのできない盧舎那仏の背面を含め、360度ぐるりと大仏をご覧いただきます。


「東京国立博物館」ホームページ


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