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【映画評】哀れなるものたち 女性は勝ち誇り男はみじめなのであった

 

哀れなるものたちでございます。

2024アカデミー作品賞 ディズニー+で視聴

 

架空の町ロンドン。マッドサイエンティストのゴッドことゴッドウィン・バクスターは、妊娠中に川に身を投げた女性の命を、胎児の脳を女性の脳と入れ替えるという大胆な方法で救う。体は大人だが脳は子供である彼女はベラと名付けられ、愛情を注がれつつも実験台として育てられる。彼女の日々の行動はゴッドの教え子である医学生マックスにより観察され記録される。

 

驚異的なスピードで知識を吸収していくベラ。やがてマックスに求婚され婚約するが、女癖の悪い弁護士ダンカンが彼女を誘惑し、旅行に連れ出す。性への興味も強い彼女にダンカンは夢中になるが、社会性に欠ける彼女は行く先で数々のトラブルを引き起こしたり、社会の現実にショックを受けるなどし、徐々にダンカンの手に余ることになっていく。

 

ダンカンの全財産を貧民に渡したために二人は文無しとなり、パリで路頭に迷い、ベラはダンカンに帰国する様に告げ、自身は食べていくためと娼館に住み込む。ベラに未練があるダンカンは帰国せず、時にベラに絡みに来るがベラは構わず、同じく娼館に住む社会主義者のトワネットと共に、娼館で得た金で大学に通い始める。

ゴッドの危篤の報でロンドンに戻るベラ。マックスとの結婚式の最中に、ダンカンに伴われやって来たのは、なんと元夫だった。

 

いや~変な映画。絵作りは派手でドギつくて、ベラ役のエマ・ストーンの目ん玉ひん剥いてロボットのように動く姿は夢に出て来そうだし、広角レンズを多用した画面と不安を書き垂れる音楽が観客に延々と刺激を与え続け、何が言いたいんかよくわからん映画を強引にラストまで引っ張ってくる。かの「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を彷彿とさせるし、異形のモノを扱う映画として「シェイプ・オブ・ウォーター」も思い出させる。

 

まあよくトンデモな脚本をまとめ上げ映画として完成させたもんだと感心するし、いい映画なんだかどうなんだか正直わからんでしたが、最後のワンカットを見て(いやそれこそどんな解釈だって出来そうな映画だが)、自分なりに、ああこれはそういう映画かと腑に落ちるところはありました。

 

すっかり成長しおちついたベラの、あの勝ち誇った笑顔がすべて。これは女性が自立し解放され勝利に至る映画。

 

元夫のエピソードも最後に突然来て、なんでこれがここで来るのかと思ったが、あの勝利の笑顔のためには、このエピソードが必要だったんだとわかった。

 

娼館で客の男性側が、まあダサいというか惨めな描き方をされていたり、ベラが(エマ・ストーンがってことになるけど)ダンカンもマックスも虜にし、娼館では売れっ子だったりするわりには、それほど美人じゃなく、お体もまあそれほど…なのも、女性寄りの視線なのかなあ、と。

 

その他いろいろ考えさせられる要素があり、深く考察をさそう映画ではあるが、映画全体がテリーギリアム調でもあり、あくまですべてお伽噺、寓話であるとまとめられており、これまた深い。

 

ところでタイトルの「哀れなるものたち」、哀れなのは一体誰?これ原題は”Poor Things"で、Poorは貧しいとかみじめの意味もあるので、「かわいそうな人たち」ぐらいの意味でとれば、ベラに翻弄された男たち、ダンカンや元夫、娼館の客ってことになんのかなぁ。そか!あの最後の犬はつまり…

 

機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム 1話のノリで全話使って大戦争映画やってほしかったんだが…

Netflixで視聴。全6話で1話約30分程度なので、サラッと観られます。

 

えー私はガンダムシリーズの中では「第08MS小隊」と「Ms-Igloo2重力戦線」が大好きでして。

モビルスーツは陸戦だ!と信じて疑わないわけですww

で、本作はまさに重力戦線の再来!冒頭、ルーマニアの地に進駐するジオン兵団。3DCGでリアルな描写。リアル寄りにリデザインされたマゼラトップが良い!これがちゃんと主砲打って、反動もあるのにはシビれました。航空機群もまた良い。ドップもガウも出て来ますぜお客さん!いやー良い!

 

 

以上。

 

 

だって話がつまんないんだもん。

 

 

えーなんか脚本はアメリカの人で監督はドイツの人ですか。外国のヲタクが日本のロボットアニメや特撮に何を求めているのかは、ハリウッドゴジラシリーズやらパシフィックリムやらでわかっちゃあいるんですが。

要するに怪獣やらロボが大迫力のどつき合いしてれば良いのです。ストーリーなんてむしろ邪魔。

 

今回は女性が主人公で、故郷に一人息子を残したまま軍に参加してるって話。まあその彼女が母であるという点が、オチにかかってくるわけですが。

それでもあのラストはなんだかわかんね。

 

 

そんなんなら、主人公とかその背景とかいいから、70年代のハリウッド戦争映画みたいな群像劇で、大部隊同士のガチ戦争映画にしてほしかった!ガンダム世界で!残念!

 

・人が普通に歩いてるところ、なんかフワフワして変だし、トラックとか妙に軽く見えるんだが、やっぱりお金のかけ方がハリウッド映画とは違うんですかね?

 

・復讐のレクイエムってタイトルは…レクイエムは鎮魂歌だから、死んだ誰かに捧げる歌ということで、誰に?復讐を誓う歌?主人公のイリアの行動に、同僚を失った悲しみが常にあるとは言えるが、作品のテーマはそこではない気がするし…あーなんかタイトルも適当だな!

 

 

【映画評】ゴールデンカムイ キャラクター再現度の高さに恐れ入る

ゴールデンカムイでございます。

 

原作は言わずと知れた野田サトル氏のコミックです。

 

時は明治。二〇三高地の生き残り、通称「不死身の杉本」は、一攫千金を狙って訪れた北海道で、奇妙な男から話を聞かされる。「アイヌの隠した金塊を、アイヌらを惨殺して強奪した男がいる。男は監獄で24名の囚人に、金塊の隠し場所を表わす地図を刺青し、彼らに脱獄を促した。脱獄囚らは途中で仲間割れし、何人かは殺され残りは散り散りとなった。」

男は直後に熊に殺され、遺体を見た杉本は、彼自身が刺青の持ち主と知る。杉本自身も熊に襲われるが、居合わせたアイヌの少女アシㇼパに命を救われた。惨殺されたアイヌの中に彼女の父親がいたと聞かされた杉本は、協力してアイヌの金塊を奪還しようと持ち掛ける。彼自身も事情があり大金を必要としていたのだ。しかし金塊を狙うのは杉本だけでは無かった。最強と言われる陸軍第七師団には、金塊を元手に軍事国家を築こうとする鶴見篤四郎中尉。脱獄囚の中には新選組の生き残り土方歳三がいた。各人の思惑が交錯し、熾烈な金塊争いが幕を開ける…!

 

おー、こうして書くとなかなかに燃えるストーリーでありますな。

 

北海道の原野を舞台にし、熊も出てくるわけですが、「レヴェナント」と比べるのは酷というもの。むしろこの素材を映画にしたのは、撮影の大半を北海道の原野で出来ることでセット少な目で済むから、という算段があったような気がします。低予算は日本映画の宿命みたいなものなので、その上でどう工夫して映画作るかが逆に見どころとも言えましょう(実際は暖冬で雪が足りなくて大変だったらしい)。

 

んで本作の工夫は、キャラクター作りに尽きる!いやキャスティングがお見事。演出側も俳優さんたちも原作のキャラクターを如何に再現するか腐心、いやむしろ楽しんでる風にすら見えます。なんか楽しそうなんだもん。頭にはんぺん入ってるおじさんとか脳漿流れてるおじさんとかイカれた元武士とか、もうおじさんたち変人ばっかしwww芝居も含めてよくこれ再現してるな~原作好きなキャストも多いんだろうな~

少女アシㇼパを20代の女優さんが演じることに当初は違和感もあったようですが、完成したものを見て異論を唱える人はいないでしょう。映画内の役柄的には16,17歳といったところでしょうか。そもそも原作のアシㇼパが子供にしては妙にしっかりしすぎており、何歳も年上の杉本と対等にやりあうといった、子供としては不自然なキャラクターなんですね。それを原作通りの年齢の子供にやらせようとすれば、映画内に幼少期のアシㇼパが出てきますが、要するにアレぐらいの齢だってことで、それは無理だったろうと一発で分かる。キャスティングされた方に敬意を表したい。

ま、唯一、杉本役の山崎賢人だけはイケメンすぎるか…死地を潜り抜けてきた凄みが少々足りないかも。

 

2時間でどうまとめるのかと思っていたら、当初からWOWOWで続編を配信シリーズでやること前提での企画だったようで、映画のラストで、この後のストーリーで出てくるキャラクターをチラ見せしてきます。はい楽しみ!

 

これレヴェナントの監督が撮ってさ、坂本龍一の音楽ついてたらどんな映画になったべな~なんて妄想するのも映画ファンの楽しみなんでないかい?(と、北海道弁で〆たりする)