模型づくりとか趣味の日々リターンズ -4ページ目

【映画評】ルックバック アニメでなくアニメーション、見せていただきました。

ルックバックでございます。アマプラで視聴。こういう映画館で上映するには短い、シリーズ物でもない作品は、昔はOVAなんて形で展開されたりしましたが、今時は配信ですねえ。

 

小学4年の藤野は、学級通信に4コママンガを連載しており、自身でもマンガが上手いと自負していたが、隣のクラスで不登校の京本が、自分より絵が上手いと知りショックを受ける。

それからはひたすら絵を練習する日々。勉強もせず友達とも遊ばず姉にも心配される。

しかし小6の途中で、京本には勝てないと知り、ぱったりと絵を止め、そのまま卒業を迎える。

卒業式の日、藤野は先生から、京本に卒業証書を届ける様頼まれる。

初めて出会った京本に「藤野先生!」と呼ばれ、自身が京本に尊敬されていると知る。

二人ははコンビでマンガを描くこととなり、高校卒業と同時にデビューの運びとなるが、京本は美大に行きたいとの思いを募らせ、二人に別れの時がやってくる。

 

引きこもりの京本が藤野に手を引かれ、外に遊びに出る。藤野の手が京本の手をしっかりと握って引っ張る。京本の笑顔。でも握った手がアップになる度に、やがてこの手が離れてしまうんではないかと、観る側に不安が募る。案の定、徐々に藤野から心が離れていく様が、表情の変化や、アニメーションならではのデフォルメで示されていく。これは切ない!

 

京本に尊敬していると言われ、家に帰る藤野のテンションが徐々に上がっていく。丸めた背中がまっすぐになり、歩きが小走りになりスキップになり、動きが大きくなっていく。水たまりの水が跳ねる。アニメーション!

 

ストーリーはやがて切ないものになっていくが、最後にフィクションならではの、マンガっぽい、アニメっぽい救いがある。実写でやれば「そんなバカな」と言われかねない展開も、マンガならアリかなと思わせる。その絶妙なバランスも上手い。

 

1時間ほどなのでサクッと観られますが、すごい充実感。これは良いものを見せていただきました。必見!

 

 

 

 

【映画評】グラディエーターⅡ リドリースコット面目躍如の超弩級アクション、これはぜひ劇場で

 

 

グラディエーターⅡでございます。

 

いやー映画館で二度目が観たい、と久々に思わせた作品でした。

 

前作ナポレオンもそこそこな大作だったのに、さして間を空けずにこの大作。御年86歳のリドリースコット、どんだけ元気なんだ、と驚かされます。

 

そのナポレオン、人間ナポレオンを描くことにフォーカスし、そのためジョセフィーヌとの関係が中心に描かれることになったためか、スペクタクルシーンがあるにはあるが(そのスペクタクルシーンそのものはよく出来ているのだが)、映画としてはなにやら長いばかりでメリハリの無い印象の映画になってしまいました。

 

で、本作。その鬱憤を晴らすかのごとく、これぞリドリースコットの真骨頂!と言える、そりゃもうエグいアクションの連続www

コロセウムでの剣闘技大会も次から次へとアイディアを盛り込み、そりゃもうカツ丼にカレーをかけたが如くの大サービスで、これでもかこれでもか!と迫ってきます。なんと海戦も出て来ます!どうやって水貯めたんだー、どっから船入れたんだー。そんな細かいことはどうでもいいんです!www

 

キャラクター描写も遠慮が無いですwww

デンゼル・ワシントン演じるグラディエーターの手配師、まあいかにも一癖二癖ありそうな人物だし、これだけの大物役者を使うんだから、只でで済むわけは無い。で、期待に反しない活躍をしてくれます。もう影の主役と言って良いでしょう。

そいでもう、こいつらどうしようもねえな!とコテコテの嫌な奴をやってくれる、ゲタとカラカラ(なんだこの名前)の双子皇帝!まあ憎い憎い。こいつらの憎たらしさとが物語を支えていると言っていいでしょう!

ギャンブルでスッテンテンに巻き上げられるおっさんをはじめとする、右向け右の情けない元老院の面々。

 

前作の続きであるということが、しばらく話が進んだところでわかります。

前作の主人公マキシマスが、伝説的な人物として名を残している、ということになってます。

なので前作の復習は必須でしょう。

で、その流れで一か所だけ、「えーマジ!?」展開が中盤で出て来ます。え?え?そんなん前には言ってなかったじゃん…

ここさえ乗り切れば、あとは楽しめます。

 

アカシウス将軍のルシアス奪還作戦がちょっと雑過ぎるとか、5千の反乱軍対6千の皇帝軍による闘いが始まるかと思いきや、ルシアスと敵の一騎打ちでケリが付いちゃうところとか、まあところどころアレなところはあるんですが、ともかくこの迫力、スキのないセットと重厚な絵作りと圧倒のサウンドですよ。前作のような緻密さは無く、勢いで押してくるタイプの映画ですが、間違いなしのスペクタクル超大作。ぜひ劇場で!

 

 

 

【映画評】ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ タイトルは「アーサー・フレック」でお願いしたかった

 

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥでございます。ピンとこないタイトルです。

IMAXで鑑賞。

 

前作の2年後、ジョーカーことアーサー・フレックは5人殺害の罪であっさりと捕まり、精神病院(医療刑務所みたいなとこ?)に収監され、静かに過ごしている。そこでリーという女性と出会い、互いに惹かれていく。幸福感に満たされるアーサー。またリーの大胆な行動にも影響され、自身も次第に大胆になり、他の受刑者を煽り立て、看守に逆らうなどするようになる。

アーサーの裁判が開始される。裁判は世間から注目され、テレビで異例の生中継が行われる。裁判が進む中、アーサーは自身の弁護を自身で行うと宣言、観衆が歓喜する中で、遂にジョーカーの姿で裁判に現れる。

 

随分と不評なようでww

不評の原因はアメコミファンの期待したジョーカー像ではなかったからでしょうか。

でも自分はこの作品、前作ほどのインパクトはなかったけど、結構好きなんすよ。

 

前作のラストをどう捉えるかによって、本作への期待の内容は変わってくると思うんですが、あのラストで「悪の権化ジョーカーが遂に誕生した!」と解釈するなら、続編ではジョーカーがハーレイクインと共に、悪辣の限りを尽くし大暴れ…となり、それがアメコミファンの期待するところだったでしょう。

 

でもねー。自分はそういう風には見えんかったんだな。

 

5人殺したとはいえ、3人はチンピラサラリーマン、1人はいじめっ子への仕返しでしょ。

 

ジョーカーってゲームの様に人殺しをするし、それを楽しんでる異常者なんすよ。その人数が多くても平気だし(映画「ダークナイト」のジョーカーなんかフェリー一隻沈めようとするし。楽しそうに)。

 

その意味ではアーサーはちっとも悪の権化になってない。いいことの一つも無かった人生で、ついに自分で自分の人生をコントロール出来た、その快感に酔いしれて踊ってる、そんだけ。

 

テレビの生中継での殺人はインパクトが強くて、それ見て喜んだ無責任な一般ピープルが、アーサーを祭り上げて神輿に乗せただけ。

 

なので今回のオチは納得なんです。

 

そもそもこの映画、いつまでたってもバットマン出てこないようになってるんだから。悪役もしかるべしです。

そしてラストも、もうジョーカーの続編はやりません、と宣言してる。

 

この映画は「ジョーカー」の映画じゃない。ジョーカーになれなかった男「アーサー・フレック」の映画なんす。

リア充になれなかった弱者男性の映画なんす。なんかそう思って観ると…切ないなあ…