tmpブログ -50ページ目

超 お薦めマーティンSW !

1115  ヨコハマ 快晴

素晴らしい天気。実に爽快な気分です。

そんな日に入荷した大お薦めの個体を紹介致します。
2009 年製のマーティンSWシリーズの個体でD-18のサイドバックとネック素材をマホからチェリーウッドに変更した限定品なのです。

実はワタシは以前からメーカーさんの開発仕事の際に、このチェリーウッドの採用をプッシュし続けて来た経緯があります。実際には採用されなかったのですが、エレキのボディ材としては自分では幾度か採用し製作しております。

とにかくアコギの主流の素材としてはトップはスプルースかシダー材、ネックやサイドバック材としてはマホガニーが非常に多く採用されています。またサイドバック材ではローズ系の素材が圧倒的にメイン扱いでした。
でもこうした数種の材に集中してしまうのは大量生産に採用されると素材単価が下げられ手配も楽な点がメリットなのです。まあ、俗にいう「定番仕様」だからこその理由ですね。

ところが、例えばサイドバック材に限って申せば、マホガニー系かローズ系に大別されるので、アコギのウッドトーンはその多くが2種類で構成されていると言えるのです。

ワタシはその点が非常に残念でした。
なぜならマホ材とローズ材ではキャラクターが独立して離れ過ぎている事と、よりギターサウンドに適したチェリーウッド材が全くと言っていい程,採用されていないからでした。メーカーさんに提案しても興味を示さないんですねえ~残念ながら。

チェリーウッドはマホの様な腰の強さもブルージーなトーンも備えていながら音にブライト感も出てとにかくレスポンスが素晴らしくパワーも出せる素材なのです。ネック材としても充分使用可能ですしね。個人的にはマホよりも好きなくらいです。

そんなチェリーウッド仕様がマーティンから限定で出ていたのですから、驚きました。
これは買うしか無いでしょう。
案の定、チューン前のチェックで、そのレスポンスの良さと音量に驚かされます。
ブルージーなトーンでありながらマホやローズの様に音が暗くないんです。まさにアコースティックギターの素材としてメインとなっても不思議は無いと言える素材です。乱暴な表現で言えば、例えば、エレキギターでギブソンの楽器しかなかったとして、そこにフェンダーのテレキャスターやストラトが登場した様な感じ。ミュージシャンが喜ばない筈が無いんです。

確かに定番であるローズウッド材の上品な色艶のあるトーンも魅力なのですが、ワタシが製作家としてどうしても気になるのは、そのトーンの暗さなんです。表情が暗いんです。
まあ、四畳半フォークみたいな音楽にはいいんですが、本来のギターサウンドに何か足りないもの、それはブライトなトーンバリエーションなんですね。
かと言って、メイプルのサイドバック仕様は音が固過ぎて偏ったトーンになっちゃうし。

とにかくその多くにローズやマホばかりが採用されている関係でこれまでのアコギはどれもキャラクターが似ちゃってるんです。

ローズの色艶感とは違ったブライトな色艶もチェリーの特色ですし、重たい素材のローズがネック材には使えませんが、チェリーウッドはマホでネックを作った時よりもレスポンスに優れているのです。唯一の欠点はマホよりも良質材の入手が困難なのと素材単価が高いという点ですね。

とまあ、マツシタは随分チェリー材を褒めるね~って思うでしょうが、ワタシを良く知るミュージシャンでしたら、それは今に始まった事ではない事は周知の事実です。

そんなマツシタ一押しのチェリーウッドのネック&サイドバック材仕様のマーティンをこれから t.m.p チューン致します。むちゃくちゃ鳴る事はチューンする前から目に見えています。

今回は入荷額が高くなってしまってチューン後の販売プライスも30万近くになってはしまいますが、ありきたりのマーティンのD-18やD-28 を買うより個性の面ではこの個体をワタシはお薦めしますね。
マーティン・スマートウッドシリーズのチェリーウッド仕様、トップは素晴らしいシトカスプルースです。純正ハードケース付き。
生涯に1本最高のマーティン系のアコギをお求めでしたら、コレはいいです。
ご予約承ります。早い者勝ち!≧(´▽`)≦

経過報告 2件

1114  ヨコハマ 晴れ

今日も晴れてくれて気持ち良く仕事が出来ました。有り難い。

LP-Spl のセットアップも順調に進んでおります。
スタンダードの様な華やかさは無いですが、シンプルで いいギターの面構えになって来ました。

カスタム製作中のSTELLA-P-90W は本日ブラックオリーブに着色しました。
I さんのCS製ストラトもコーティングに入っています。共に写真より実物の方がぜんぜんいいです。

最近の塗装行程が短縮化されてるのお気づきでしょうか?
実は一番下地になるラッカーのウッドシーラーと言う目止め塗料を変えたのです。以前のは音はいいのですが、目止めに時間が掛かる上に目痩せを起こし易かったのですが、その塗料が製造中止になって新しい目止め剤に変えざるを得なかったのです。

でもその新しい目止め剤が若干音は硬めになるのですが、思った程ではなく、それでいて硬化が早く肉付きも良いので作業性がグンと高まったのです。遠赤外線ヒーターの併用で時間短縮が叶って満足です。

この調子で明日からもいい仕事が出来そうです。

個別報告 I さんの LP−Spl

1114  ヨコハマ 晴れ

晴れてくれて助かります。各作業中の個体の塗装を行ないつつ、写真のLP-Spl のセットアップの準備を着々と進めています。
今日はフレットファイリング仕上げとブリッジ周りのセットアップやシールド処理などを手掛けています。

派手さは無いモデルですが、本来であるならロックミュージシャンにはジャズギターとして設計されたスタンダードよりもずっと音楽的には向いているのがこのモデルです。
お気付きになられてましたか?
ワタシはこれまでにあまりレスポール Std を入手してチューンしてませんでしょ?それが理由だからです。本来ですとスタンダードよりも使用頻度が高くて当たり前の楽器なのですが、現状でいい作りの Spl が少ないってのが難ですねえ。でも素養はシンプルな素晴らしいモデルなんです。

今回のチューンでは少しピックアップ設定で悩んでいます。
t.m.p のピックアップは色艶で勝負するPAFタイプとそれよりもパワーがあってブルージーなサウンドの双方を用意しているので、主に6通り程の設定が可能なのです。

フロントのP-90 はパワーを抑えて色艶たっぷりのレイドバックサウンドで、リヤーはブルージーなタイプをオープンハムでマウントしようかと、ご本人にもラインでどうしよっか?と話し合ってる最中です。まあ、ピックアップは最後の最後に決めましょ。

本体自体は様々なチューン手法で どう考えても鳴りまくりの1本に仕上がってますから。

Haru ちゃん ぼちぼち結論頂戴ね。(^~^)

経過報告 3本

1113  本日2回目のブログ報告

本日はギタリスト I さんのLP-SPL/PH 仕様のリフニッシュした塗装面の艶だし研磨。
元が、どナチュラルな個体でしたので少しイエロー着色して仕上げ直してあります。
明日からセットアップがスタートです。お楽しみに。

TさんのSTELLA P-90W は本日カラーリング行程でゴールドに一旦着色。
この上にブラックオリーブを吹き重ねて深みのあるダークオリーブにカラーリングにして行きます。

ここ数日の作業完了品の出荷で少しだけ工房内が動き易くなりました。
でももうすぐチェリーウッド/サイドバック仕様のマーチンの限定品が届くので少し狭くなるね。






終了報告 埼玉の I さん

1113  ヨコハマ 曇り空

朝一の作業が I さんのギブソンLP-Stdの最終調整作業。無事に終了しております。
明日の午前には到着予定です。長らくお待ち下さいましてありがとうございました。

ピックアップもこのギターの為にフロントとリヤーではポールピースとマグネットも変更した t.m.p 製のPAF タイプをマウントしております。
50's のレスポールに近いナチュラルなレスポール・サウンドで鳴っております。

ピックアップそれぞれにローカットヴォリューム操作が可能ですので、バッキング時のサウンド・バリエーションがいっきに豊富なギターに生まれ変わっております。

指板の大きな修正でネックグリップは一回り小振りにはなっておりますが、レスポールらしさは以前よりもグッと増しています。明日の到着をお楽しみにお待ち下さいませ。

タンジェリン・オレンジにリフィニッシュしている最中のストラトの方はお気持ちに変化は無いか、ピックアップシステムのご要望に関してあらためてのご連絡をお待ち致しております。
まだ現時点でしたらピックアップ/キャビティ加工前ですから変更は可能です。
ご連絡宜しくお願い致します。

個別報告 I さんの LP−Std

1112 #-2

本日2件目のブログ報告は I さんのチューンナップ作業でLP-Std です。
本日の作業で後は弦を張って調整を残すのみのところまで来ています。

今回はメールお見積もり金額と若干のコスト差が出ておりまして、ポットをギブソン純正のロングシャフトポットとCTSの同じくミディアムシャフトの構成でMV+MT+2LCV サーキットを組んでおりまして、ギブソンのロングシャフトポット2個分の通常ポットの値段差が¥2.000出ております。
この個体は明日中に完成させる予定です。 I さんお楽しみに。


ちなみに、今回は指坂修正がかなり手間が掛かりましたが、若干の説明補足をさせて頂きます。

前回解説した内容で仕込み角が本来4度の筈がこの個体は5度も有り、今回は指板上面角度の修正が0.5度ほどしか修正が出来ていない点に関してですが、なぜ1度修正して4度に出来ないのかと疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので解説致します。

タイトルは「楽器の設計も物理的な算出が必要」です。

これは関数計算で求められるので、こんなタイトルなのですが、仮に指板の上面をゼロフレットから正確に1度角度修正しますと、指板自体の長さが460ミリほどありますので、タンジェント計算で高さはほぼ8ミリと計算出来ます。指板厚は5ミリ程度しかありませんから、1度の修正自体は不可能なんです。そこで半分の0.5度で削りますとそれでも4ミリも指板端末の厚さは無くなり、指板は1ミリ程度の厚さしか残らなくなってしまうのです。

更に、仮に1度の指板上面角を4度に修正出来たとしても、ヘッドの居る位置はネックの仕込み角自体が5度のままですから、4度のネック仕込み時のヘッド位置より深い位置に存在したままなので、同じ設定音は得られません。
これも計算で求められます。4度の仕込み角と5度の場合ではヘッドの深さ位置はおよそ10ミリ近く違って来るのです。コレだけ違ったら同じサウンドになる筈が無いのです。

じゃあ今回はどうーして対処したワケ? って話しですが、
今回はまずトラスロッドを緩めて順ゾリさせることでヘッドを起こし、4度のネック仕込み時のヘッド位置に少しでも近づけてあげた上で、主に12フレット以降の指板上面を削り修正して、最終的に0.5度程の角度修正を行なっているのです。

大まかな説明ですが、分かって頂けたでしょうかねえ?
とまあ、楽器も物理的な構造が非常に重要だと言う事です。
ワタシが頻繁に行なっている作業にペグのロケーション変更がありますでしょ?アレだって理想的な張力バランスを元に設定がメチャクチャな楽器のペグ位置を修正する事でバランスを整え直しているワケで、データ上の数値からどこをどれだけ移動したらバランス出来るか計算で出せる様にしてあるのです。 言ってみれば、これも独自な設計ノウハウですね。

ですから楽器を作り替えるチューンナップはリペアーマンには出来ませんよ、となるワケです。
なぜならチューンナップの基本はバランス良く鳴リ響く楽器に作り替える作業ですから、まず設計自体が出来ないと話しにならないのです。その上で製作技術が必要とされるので部分的な修理作業とは比較に成らない程のスキルが求められます。
ある意味では最も難しい作業がチューンナップだとも言えますね。

ともかく、少なくともワタシの場合、楽器をどう作るか、どう作り直すか、その判断には関数計算がやたらお出ましになるのであります。 以上、おしまい。



経過報告 CSストラトの I さん

1112  ヨコハマ 曇り空

朝方2セット目の燻煙が終わり、そのまま3セット目に突入しています。
終了予定は13時あたりかな? それまでの間に湿度も高くはないので塗装も行なっています。

今日のメインは I さんのCS製ストラトの全面的な作り替え作業でボディのカラーリング処理です。キャンディーアップルレッドの赤が退色したタンジェリンオレンジがご本人からの要望です。
そもそもこの色合いは数十年の経年変化によるものですから、あえて色むらを出して仕上げてあげて丁度いい感じですね。

かなりリアルな仕上がりになっています。 I さん、こんな感じでいかが?

今日は寝不足なので身体はダルいですが、気分はいいです。イイ仕事が出来てるからです。(^ε^)v


経過報告 その他

1110  ヨコハマ 晴れ

今日は晴れてくれましたので燻煙処理と塗装がメイン作業でした。

写真のトリプル・J のベースは先日ベーシスト・I さんに仕上げた個体ですが、その後のご本人の求めるサウンドが70’S 指向だと判明し、急遽設定変更したものです。
要するにコンプレッション・サウンドがお好みだと言う事です。
I さん本日設定変更が終了しておりますのでお受け取りのご予定をお知らせ下さいませ。

今回の燻煙は2セット/16時間を連続で行なう予定の為に今夜はほぼ徹夜で煙の番人をしなくちゃいけません。そろそろ寒さが増して来ておりますので、これまでの温度管理と違って来ますので神経を遣います。


終了報告 オベーションのYさん

1109  ヨコハマ 曇り空

日曜日ですが、本日も作業です。

写真のオベーションのチューンが予定通り終了致しましたのでご報告致します。
ブリッジ周辺に手を加えられない事を前提に設定を考案しての作り替え作業でした。

ほぼイメージ通りの仕上がりです。
作り替え終わったこのオベーションほど木の響きがしているオベーションを弾いた事が無いですね。
ナチュラルさがグンと増して以前には無かったバランスの取れた生音が心地よい楽器に生まれ変わっております。

たぶんブラインドテストをしたらマーティンのD-28と勘違いされる方が結構出て来る筈です。

まあ、サウンドだけではなくてルックスも元よりバランスしてると思いますしね。作り替えた感が無いのもいいでしょ? 
Yさん長らくお待たせを致しました。明日には発送させて頂きますのでお楽しみにお待ち下さいませ。もし、到着日時指定がございましたら今日中にご指定下さい。

ご依頼ありがとうございました。




経過報告 オベーションのYさん

1108  ヨコハマ 小雨

横浜は肌寒い1日でした。塗装も燻煙もストップ。

今日は来客対応以外では写真のオベーションの作り替えの大詰め作業でした。
作り替えたヘッドの艶だし研磨からペグとWBH ナット整形とフレットファイリングです。
元のペグロケーションを変更する為にまずヘッド面積の拡張作業からスタートしてやっとここまで辿り着きました。
メーカー製造でしたら新品の楽器が板材から完成して工場出荷出来るだけの時間が経過してます。

最初の写真が元のヘッドで2枚目が作り替え後のヘッドです。
面積拡張だけでなくデザイン的にも違和感無く仕上げる必要がありますのでデザイン処理と加工技術が試される作業だと言えます。

今回はブリッジ周辺の作り替えの許可が依頼主から頂けませんでしたのでネック関係の作業だけに留まっています。その結果、作業当初に予定したペグロケーション変更は2,3,4弦のみでしたが、ブリッジで縦穴ピン止方式が採用出来なくなったので追加で5,6弦も変更を加えています。

何とか、元よりもローエンド方向にレンジを広げつつ各弦のバランスを整えるためです。
明日には弦を張ってナットの溝切り、そして最終調整へと進めます。Yさんお楽しみに。